え……はぁ、『断罪』についてですか?その問いをするのはなんというか――
……名前しか知らない?それはますます意味不明ですね。この国に住む以上、絶対に付いて回る問題ですよ?もしかせずとも貴方、他国の人ですか?それは……豪胆と言うかバカと言うか。……ところで何故そのような質問を?
……はいはい、言い分は分かりました。それで、私もう帰っても?課題があるんで――……ほう?お金が出る?百ラート?
……なるほどなるほど。…………そこに良いお店があるんですが、せっかくですし寄っていきません?
◆◇
え、はい。お話ですか?ちょっと待ってくださいね……。
すいませーん!……はい、お疲れ様です。注文なんですけど、ここの、メニューの上から下までお願いします。はい。お金は気にしなくて良いので。
……はい、お待たせしました。何を注文したのか?……まあまあ、取り敢えず早速話しましょうか。『断罪』についてでしょう?
多分私が最近――と言っても数年前ですが――越してきたばかりなのも知っているから、私に声をかけてきたのですよね?何しろここの人達は秘密主義……いえ、何て言うんでしょう、身内意識が高いというか……はい。
こほん。それで、『断罪』ですか?
うーん、話すと言ったものの、そもそもですね。私達国民ですら、この……なんというか、『現象』?を理解しているとは言えないんですよ。
ああそんな落胆しないでください。別に『訳がわからない』じゃなくて、『経過が分からない』と言うだけなので。
はい、そうですね。まあ、お聞きしているとは思いますが、『断罪』はその名の通り『罪』を犯した物に襲い掛かる『現象』です――もう現象って言っちゃいますね。
それでですけど、我が国が『平和と善の国』と呼ばれる所以もここにあります。知ってるでしょうが。
誰一人罪を犯せない。誰一人それを許されない。
つまり、絶対的な法、と言いましょうか。それがまかり通っているのが、この国です。
ちなみに、その『罪』の規模によって『断罪』の内容とタイミングが変わります。殺害ならそれが行われる前にその者に『断罪』が降りかかるでしょうし、個人的な窃盗なら行った後に『断罪』が降りかかります。値段にもよりますけど。
……はい?意図せずして、他人へ迷惑をかけたら?……あー、考えたことありませんでした。今まで一度もそんなこと無かったので。
まあ、多分裁かれるんでしょうね。
……はあ。連鎖的?毒?公害?出所が一つに絞れない場合?
さあ?知りません。多分、平等に、差別なく。
一切合切全て等しく裁かれるのではないでしょうか?
……最後ですか?ありがとうございます。ずいぶんと割りの良い仕事でした。
あ、ちなみにですが、詐称、詐欺も『罪』らしいですよね。騙される方が悪いってのもここじゃ通じないらしいです。……いえ?別にどうこう言いたい訳じゃありませんよ?
それで、最後の質問とは?……はい……はい。……はい?私達が『断罪』をどう考えているのか?
……まあ。多数派の意見従うのでしたら――『神』なのでは、ないでしょうか?