ハリー・ポッターと黒い魔法使いの孫   作:あんぱんくん

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幼い時に誰かに聞いた、遥かに昔の御伽噺。

四人の魔法使いと偽りの神の戦いのお話。

何処にでもある英雄譚、終わりもハッピーエンドでなんの面白みもない。

でもそれは幼い私の心を確かに震わした。

そして願わくばもう一度。



#005 魔法薬学の主

「ったくよーお前ら友達甲斐のない奴らだぜ、まったくよ」

 

 セオドールはなんと、次の授業である魔法薬学の授業には復活していた。

 恐るべき回復力にボクとミリセントは戦いた。

 

「……骨折ってそんなに短期間で治るものなの?」

 

「信ずるものは救われん。パウロの言った通りさ。礼拝は欠かさずにしておくもんだよな」

 

「その割には足折ってたけど?」

 

「あーそれはあれだ。多分、献金皿への寄付が足りなかったんだろ」

 

 そう言って彼は大笑いした。

 ヘマした先程は、あれだけ泣き叫んでいた癖に元気になったものだ。

 一時の失敗でクヨクヨするボクからすれば、羨ましい事この上ない。

 ボクはミリセントの失態で水の泡となった得点をまだ気にしていた。

 

「まぁ真面目な話、マダム・ポンフリーの腕が良かったんだろ。杖を一振りで直ぐさ。それよりも聞いてくれよフィルチの野郎、足が折れてる俺を見てなんて言ったと思う? 足が折れたくらいでギャアギャア喚くな。足を引きずってでも授業へ行け、だってさ。ふざけた奴だよ」

 

 肩を竦めるセオドールは、怪我をしたことなど屁とも思っていないようだった。タフ過ぎる。

 ミリセントはセオドールの愚痴を聞いてガハハッと爆笑していた。

 

「そりゃ間違いないさね! アンタが怪我をした時のリアクションは芸人並みだからねえ! 足を折った時の泣き言と、昔遊んだ公園で膝を擦りむいた時の泣き言がまったく同じなのには私も驚いたよ!!」

 

「パターン化してるわけだ。道理で言い慣れてると思ったよ」

 

 二人でクスクス笑っていると、セオドールがムスッとしてそっぽを向く。

 流石にからかい過ぎたらしい。

 

「悪い悪い。あの後、私らもしっかりと遅刻したから許しておくれよ」

 

「何がしっかりと遅刻しただよ。悪い報告じゃねぇか」

 

「まぁまぁ。セオドールの事を説明したらお咎めなしだったから許してよ」

 

「そうさね! それにフィルチを呼んだのはメルムだよ? そこは感謝しときな」

 

「それなら許す」

 

 どうやら本気で怒ってはいなかったようで、セオドールはあっさりと態度を翻した。

 恨みがましくないのは彼の美点だった。

 

「見ろよ、アレを」

 

 ニヤニヤと笑った彼は左端の赤いネクタイを締めた生徒達を顎でさす。

 そういえば、魔法薬はスリザリンとグリフィンドールの合同授業だった。

 気になることといえば、その赤いネクタイを締めた連中はみんなこっちを凝視していることである。

 

「お前らは遅れ気味だったから知らないだろうけど、さっきまで凄かったんだぜ? 教室の前に行列が出来ててさ」

 

 今この教室はセオドールの言う通り、混沌と化していた。

 つま先立ちで、グリフィンドールの方をジロジロ見ているスリザリンの生徒達、逆にスリザリンの方をジロジロ見つめるグリフィンドールの生徒達。

 代々仲の悪いことで有名な二つの寮。合同授業だというのに寮で席が自然と分かれている辺り、それは顕著である。

 その二つの寮が見つめ合っている異常な状況だが、双方見ているのはあまりにも違った。

 

「見て見て」

 

「どこ?」

 

「ガタイの良い女とノッポの男に挟まれてる奴?」

 

「顔見た?」

 

「めっちゃ綺麗だけど無表情だね。やっぱり闇の魔法使いの血族は怖いよ」

 

 耳を済ませれば、囁き声が聞こえてくる。

 なるほど、そういうことか。

 

「今年の一年、その有名人のツートップが一堂に会してるんだ。そりゃこうもなるさね」

 

「ハリー・ポッターだよね。彼、有名人だ」

 

 ハリー・ポッター。生き残った男の子。

 稲妻のような傷痕があると聞いているが本当だろうか。

 闇の帝王。例のあの人。ヴォルデモート卿。

 以前、爺様に聞いたことがある。

 

 ────ねぇ爺様、聞きたいことがあるんだけど

 

 ────なんだ孫よ? そう畏まって。お前らしくもない

 

 ────イギリスの書物で読んだことあるんだけど、ヴォルデモートって爺様と同じくらいに強いんだって。本当? 

 

 ────それは嘘だな

 

 ────だよね。噂では赤ちゃんに負けたらしいし。やっぱり爺様の方が強いんじゃないかな

 

 そう言った時の爺様の顔は、まるでボクが太陽は西から出て東に沈むと言ったかのような酷い顔をしていた。

 

 ────はっはっはっ!!! 違う違う! 活動していた時代がそもそも別だから何とも言えないが、闇の帝王は私よりも強いぞ? それも全盛期の私よりも、な

 

 ────え、そうなの? 大したことないと思ってた

 

 ────馬鹿を言うな。俺も奴も国家機関(ガヴァメント)に追っかけられて何十年と生き延びていたんだぞ? まずマトモな魔法使いじゃそれは出来ない

 

 ────じゃあそんな強力な闇の魔法使いが、どうして赤ん坊に負けたの? 

 

 ────さぁな。そもそもその話自体、私は半信半疑だが……そうか赤ん坊か。なるほどなるほど。ならそういう結末も有り得なくはない

 

 ────1人で納得しないでよ。どういう事なの? 

 

 ────……親の愛は強しって奴だ

 

 今思うと、その時少しだけ爺様は憂うような表情をしていた。

 ボクにはその感情は何なのかよく分からなかったし、どうでも良かった。

 でも、爺様が負けを認めた魔法使いがダンブルドア以外にもいたというインパクトが強くてよく覚えている。

 そんな、ちょっぴり不思議でくだらない会話。

 

「お前もだぞ、黒い魔法使いの孫娘殿!」

 

 わしゃわしゃと頭を撫でてくるセオドールは何故か誇らしげだ。

 ミリセントも隣でウンウンと頷いている。

 

「うーん、グリンデルバルドの末裔と英雄ハリー・ポッターか。どちらが強いのか私ゃ見たくなってきたよ」

 

 なんとこの状況で、ミリセントは己の心に潜む戦闘の血を滾らせているらしい。

 率直に言ってやめて欲しい。

 決闘騒ぎをするには、イギリス魔法省は些か法が整い過ぎている。

 

「見ろよ、グリフィンドールの連中を。まるでエホバでも拝むみたいにメルムを見てる」

 

「やめてよ。目立つことは好きじゃない。クールにいこうクールに」

 

 ただでさえ同学年の中で浮いた立場なのだ。

 嫌がらせを受けることこそないが、少し避けられている感じもする。

 悲しい事に今やボクは、求心力だけでいえばマルフォイよりも下だ。

 この上、悪目立ちなど以ての外である。

 テンションを上げるセオドール達と対照的にボクは背を縮こまらせた、その時。

 

「お、来たぞ。我らが寮監のお出ましだ」

 

「ん?……あー噂通りだねぇありゃ」

 

 アルコール漬けの生物が浮いているガラス瓶が並べられた壁を這うように、その男は現れた。

 我らがスリザリンの寮監にして魔法薬学の教授である彼は、教卓に立つと生徒が揃っているのを確認し、出欠を取り始めた。

 

「なんか顔色悪いね、あの先生」

 

「ありゃ元々らしいぜ。セブルス・スネイプだ。よくスリザリン贔屓して、グリフィンドールの生徒から蛇蝎の如く嫌われている。クィディッチを何度も優勝に導いた敏腕監督としても有名」

 

「よく知ってるね」

 

「昨晩、子守唄代わりに先輩から叩き込まれたんだよ。背の高いお前はビーター向きだってね」

 

 苦笑するセオドール、恐らく二年になろうがチームに入る気など皆無だろう。

 だって彼は運動部というガラじゃない。

 身近な教会で賛美歌を聴きながら聖書を読んで育ったセオドールは、生粋の文化部だった。

 

「ふーむ。私にゃあの先生が、体育会系にはこれっぽっちも見えないけどねぇ。あの細い足なんざ払っただけで折れちまいそうさね」

 

「普通はあんなものだよミリセント。でも、確かに身体を動かすことは苦手そうだ」

 

 ロリポップをしゃぶりながらボクは同意する。

 教室の隅でクラスの人気者を眺めながら、本を読んでいる日陰者。

 そんな絵に書いたような陰気臭い男だった。

 

「ああさよう」

 

 神経を逆撫でする嫌な猫なで声。 

 

「ハリー・ポッター。われらが新しい────スターだね」

 

 誰にでも分かる敵意を剥き出しにして、スネイプ先生がポッターに嗤いかけた。

 一拍遅れて、近くの席から冷やかしにも似た笑い声が起こる。

 ドラコ・マルフォイだった。

 彼は、早々に英雄様がお気に召さなくなったらしい。

 そして、それは我らが寮監も同様。

 出欠を取り終えたスネイプ先生の目には、温かみがまるでない。

 例えるなら、虚ろで暗いトンネルのような目だ。

 

(ポッターも可哀想に。面倒なのに目を付けられたね)

 

 スネイプ先生は、ボクの名前には一切の反応を示さなかった。

 それは本来の彼は、人を名前や血筋で差別することが無い人間だということを示している。

 だというのに、ポッターの名前で一回止めた。それは彼に何かしらの含みがあると言っているようなものだった。

 

(怖いねぇ……個人的な恨みかな?)

 

 じゃないとあんな目は出来ない。

 あれは人を憎んでる目だ。

 何度もその視線に晒されたボクが言うんだから間違いない。

 例のあの人にやったようにポッターは、スネイプ先生のご家族を吹っ飛ばしでもしたのだろうか。

 そんなことをボクが考えていると、スネイプ先生が話し始めた。

 

「さて。このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と厳密な芸術を学ぶ」

 

 呟くような話し方なのに、一言も聞き漏らすまいと生徒達が静まる。

 彼はマクゴナガル先生と同じように、何もしなくともクラスを静かにさせる能力を持っているようだ。

 

「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である。ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロ達より、諸君がまだましであればの話だが」

 

 スネイプ先生の大演説にクラスの殆どが静まる中、後部座席にてボクらはコソコソとお喋りをしていた。

 

「聞いたか? 俺達の先輩、ウスノロだってよ」

 

「その理論でいくなら始めたての私たちはトロールさね」

 

「というか、魔法薬って将来何かの役に立つの?」

 

「さぁ?料理の仕方が上手くなるんじゃないか?鍋料理だけ」

 

 そんな特に意味の無い会話は「ポッター!」という先生の大声で中断された。

 スネイプ先生がポッターに今年の魔法薬学初になる質問を振ったのだ。

 

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

(へぇ……案外スタンダードな質問だね。もっと意地の悪い問題出すかと思ってた)

 

 ポッターにだけ悪意丸出しのスネイプ先生なら、それぐらいやってもおかしくはない。

 とはいえ、それが分かるのも少数らしい。

 ボクはミリセントとセオドールの方をチラッと見たが、二人もなんの事かさっぱりという顔をしていた。

 そしてそれは彼らだけが例外という訳でもなく、クラスの大体はそんな感じの反応なので、これが通常なのだろう。

 しかしそんな困惑する生徒達の中、ビシッと手を高々と挙げる者が一人。

 

「ハーマイオニーか」

 

 あれだけ自信満々に挙げるのだ。

 もう正答が分かっていると見て良いだろう。

 流石、教科書を丸暗記する生徒は違う。

 

「分かりません」

 

「チッチッチッ……有名なだけではどうにもならんらしい」

 

 ハーマイオニーの手を無視したスネイプ先生は口元でせせら笑う。

 かなり陰湿だ。

 考えてみれば、初めての授業でいきなり問題を解けなど無理難題もいい所だ。

 

「なんかボク達の寮監は随分と性格がひん曲がった人だね」

 

「だなぁ……小物感甚だしい。絵に描いたような嫌な奴って感じだ。マグルの映画とかに出てきそうなくらいには」

 

 ボクとセオドールの意見が一致した所で、スネイプ先生がまた質問を重ねる。いい加減授業に入って欲しい。

 

「ポッター、もう一つ聞こう。ベゾアール石を見つけてこいといわれたら、どこを探すかね?」

 

「……!」

 

 今出されている二つの質問は、ありがたいことに魔法薬が苦手なボクにも分かるものだった。

 グリフィンドールの方を見ると、ハーマイオニーが先程よりも手を高く、椅子に座ったままで上げられる限界まで手を伸ばしている。

 ポッターにはベゾアール石が一体なんなのか見当もつかないようで顔を顰めていた。

 マルフォイ、クラップ、ゴイルの耳障りな笑い声がボクの耳を打つ。

 

「先生、ボク分かります」

 

 ボクはそっと手を挙げた。

 途端に鳴り止む笑い声。マクゴナガル先生が声を張り上げた時のようにクラスがシーンと静まる。

 

「ほう。グリンデルバルドには分かるのかね?」

 

「はい、先生」

 

 現在進行形で木のように手を上げ続けるハーマイオニーを無視していたスネイプ先生は、ここぞとばかりに暗い目を光らせる。

 ポッターを嬲る邪魔をされて少し不機嫌そうではあったが、そこは教師。

 言ってみろ、とスネイプ先生が心おおらかに許可してくれる。

 

「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを混ぜると強力な眠り薬になります。ベゾアール石は山羊の胃から取り出される石のことで、万能な解毒薬であり大抵の毒物や薬には効果があります」

 

「ふむ。概ね正解だ。もう少し掘り下げるならば、アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを混ぜた睡眠薬は「生ける屍薬」とも呼ばれており、その強力な作用を物語っている。若干説明が足りないが初めてにしては上出来、大したものだ。スリザリンに5点……どうしたのかねグリンデルバルド?」

 

 魔法薬の先生からの褒め言葉。

 しかし、残念なことにボクはそれを聞く余裕がなかった。

 よっしゃ! とミリセントがボクの肩を叩いたことで、ひ弱なボクは顔を強かに机に打ち付けていたからだ。

 

「あぁッ!? すまないねぇ、メルム。嬉しくて力加減を間違えちまったよ」

 

「……痛い」

 

 ジンジン痛む鼻を押さえつけて前を見ると、残念なものを見るようなスネイプ先生の生暖かい視線と合う。

 なんかスッキリしないし納得もいかないボクだが、これで分かったこともあった。

 スネイプ先生はスリザリン贔屓だ。しかもかなり露骨な。

 ポッターのことはもちろん露骨に嫌っているが、他のグリフィンドールの生徒も発言権は無いに等しいことがハーマイオニーの事で証明されている。

 スリザリンが何度も寮杯を獲得するわけだ。

 ここまで露骨に贔屓する教師は少なくとも他にはいない。

 自分の寮ですら容赦なく減点しそうなマクゴナガル先生がいる中、スネイプ先生の存在はスリザリンにとって大きなアドバンテージとなっているのだろう。

 

「ではポッター、もう一つ聞こう。モンクスフードとウルフスベーンの違いは何だね?」

 

「……わかりません」

 

「グリンデルバルドとは大違いだな? え、ポッター。同じ有名人でもこうも違うらしい。勤勉は身を助けるぞ。これからはクラスに来る前に、教科書を開いて見ることをお勧めしよう。そうすれば、この繊細な学問を少しは理解出来る筈だ。無論、その首の上に乗っているのが帽子を乗せるだけの台でなければ、という前提の元に基づいた話だが」

 

 凄まじく辛辣な言葉である。

 仮にも生徒に対しての敵意全開なスネイプ先生の対応にボクはドン引き不可避だった。

 仕事に私情を挟んじゃダメだろうに。

 ちなみに今の質問だが、さっぱり分からない。

 そもそも何故、先の二つの質問に答えられたかと言えば本当に偶然の産物であった。

 生ける屍薬は、世間知らずの旅人の身ぐるみを剥がすのに度々使われているという話を聞いていたから知っていたし、ベゾアール石に至っては知らなきゃ命に関わる類の必需品なので知っていて当然だったのである。

 

「ハーマイオニーが分かっていると思いますから、彼女に質問してみてはどうでしょう?」

 

 意外とポッターは好戦的なようだ。無謀だが。

 挑発的な発言に生徒が数人笑い声を上げる。

 チラ、とハーマイオニーの方を見ると椅子から立ち上がり、天井に届かんばかりに手を伸ばしていた。まるで電柱のようだ。

 そして勿論、言い返されたスネイプ先生が愉快な気分になっているワケもない。

 

「座りたまえ」

 

 ピシャリとハーマイオニーに言うスネイプ先生の顔は、まるで極東の島国で見た般若の面ソックリであった。

 

「教えてやろう、ポッター。モンクスフードとウルフスベーンは同じ植物で、別名をアコナイトとも言うが、トリカブトのことだ。どうだ? 諸君、何故今のを全部ノートに書きとらんのだ?」

 

 クラスの全員がいっせいに羽根ペンと羊皮紙を取り出し、ノートを書き始めた。

 無論、ボクもである。

 隣でそれを珍しげに眺めているミリセントがボソッと呟く。

 

「授業ではノートを書きとらない主義だとばかり思ってたんだがねぇ」

 

「流石に不得意な教科をノート無しに乗り切ろうとは思わないよ。それに、あの先生の言う事は聞いていた方が良さそうだ」

 

 ノートを必死でとりながらセオドールもヘラリと笑って同意してくる。

 

「賛成。あの人の顔見ろよ。ユダに裏切られた時のキリストさんの顔にソックリだぜ」

 

「見たことあるの?」

 

「馬鹿言え、んなワケあるかよ。でもそう考えるとしっくりくるだろ? メルムの言う通り素直に従っておいた方が良いのさ」

 

 そう言う彼のノートには適当なデタラメが満載に書き殴られている。

 思い出してみればスネイプ先生が質問していた時、セオドールはボーッと壁の瓶を眺めていただけだった。話を聞いていなければ、書くことも出来無いだろう。

 とはいえ何事もポーズは大事だ。

 やっているフリだけでも印象はかなり変わる。

 これは大人の世界でも良く活用される便利な処世術だ。

 

「それとポッター、君の無礼な態度でグリフィンドールは1点減点」

 

 そして、スネイプ先生は嫌いな人間に対して驚くほど容赦が無かった。

 

 

 ──────……

 

 

 その後も魔法薬の授業中に、グリフィンドールの状況は良くなることはなかった。

 その中でも実習は特に酷かったと言える。

 生徒を二人ずつ組にして、おできを治す簡単な薬を調合させる実習。

 長い黒マントを翻しながら、スネイプ先生は生徒達が干イラクサを計り、蛇の牙を砕くのを見回っているのだが、これが中々に酷かった。

 

「おいおい参ったぜ。また注意を受けちまった。蛇の牙の欠片が2ミリ大きいんだってよ。どうにもみみっちいだけじゃなく、細かい事も気になるタチらしい」

 

 隣でクラッブと組んでいたセオドールが苦い顔で愚痴る。

 彼の班は酷かった。

 クラッブが隣でウンウン唸りながら教科書を読んでいるのだが、半分も理解しているか疑わしい。

 その上、大雑把なクラッブの調合により何度もスネイプ先生から注意を受けたことで、セオドールは実習のほぼ全てを受け持っている状態に陥ったのだ。

 

「そうだね。おまけにスリザリン内でも贔屓してるみたいだし」

 

 力の強過ぎるミリセントに蛇の牙を粉砕する仕事を任せ、干イラクサを計りながらボクも愚痴を零す。

 スネイプ先生はスリザリンの生徒の中でも、取り分けドラコ・マルフォイを気に入っているようだ。

 彼を除いて、スリザリンとグリフィンドールの生徒の殆どが何かしらの注意を受けている。

 一緒に組めたゴイルは幸福者だろう。

 そう思いながら、ボクはミリセントの襟を掴んで椅子の上に避難する。

 

「ふむ。マルフォイが角ナメクジを完璧に茹でたから、皆見るように……ッ!?」

 

 スネイプ先生の声に被せるようにして突如、地下牢いっぱいに強烈な緑色の煙が上がった。

 シューシューという大きな音と共に床に広がる液体。

 なんとネビルが、相方のグリフィンドール生の大鍋を溶かしてねじれた小さな塊にしてしまい、零れた薬が床を伝ったようだった。

 

「ふざけんなよ! まだ買ったばかりの靴だぞ畜生め。安全に実習もできないのかグリフィンドールの連中は!」

 

 悲鳴を上げたセオドールの靴には、無惨にも大きな焼け焦げ穴が空いていた。

 遅れてクラス中の生徒が椅子の上に避難していく。

 

「靴で良かったじゃん。見なよネビルの有様を」

 

 ボクが指を差した方向には、グッショリと薬を被って全身に真っ赤なおできが噴き出したネビルの姿があった。

 どうやら大鍋が割れた際に飛び散った薬に被弾したらしい。

 彼は全身に走る痛みに呻き声を上げていた。

 

「バカ者! 大方、大鍋を火から降ろさないうちに山嵐の針を入れたのだろう!」

 

 大声で叱責したスネイプ先生は、杖を一振りして零れた薬を取り除くと隣で呆然としているグリフィンドール生に、ネビルを医務室まで連れて行くように言いつける。

 おできが鼻にまで広がってシクシク泣き出す彼を見てセオドールが冷や汗を流した。

 

「危ねぇ危ねぇ。またマダム・ポンフリーの世話になる所だった……おいクラッブ! お前もしくじったらああいう風になるんだぞ。俺達のライフに関わる話だ。薬の調合しっかりな?」

 

 ウスノロのクラッブは分かったのか分かってないのか分からない顔つきでしきりに頷き返している。正直不安だ。

 スネイプ先生といえば、実習を無茶苦茶にされた怒りの鋒先をポッターに向けている。

 

「ポッター! 針を入れてはいけないとなぜ言わなかった? 彼が間違えれば、自分の方がよく見えると考えたのだろう。グリフィンドールはもう1点減点だ」

 

 もはや言い掛かりを通り越して、ただの八つ当たりだ。

 良く分からない理由で一点減点されたポッターは顔を真っ赤にして言い返そうとする。

 だが、それを隣にいた赤毛のグリフィンドール生が小突いて止めていた。

 

(……賢明な判断だね)

 

 あそこでポッターが言い返せば、口答えをしただのなんだの言ってさらにスネイプ先生は減点を喰らわしていただろう。

 スネイプ先生のやり口を見ていれば分かる。可哀想な話だが、ポッターは嵐のようなものだと諦めて泣き寝入りするしかない。

 

「はぁ……」

 

 色々と濃い一時間に、ボクは疲労の溜息を隠せない。

 この授業が終わったら、ハグリッドの居る山小屋に行こう。

 少しはこの膿んだ空気を何とか出来るかもしれない。

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 その日、ハリー・ポッターはむしゃくしゃしていた。

 いや頭が混乱し滅入っていたと言うべきか。

 なんと最初の一週間で自分はグリフィンドールの点数を二点も減らしてしまったのだ。

 思えば新入生歓迎会の時からスネイプは自分のことを嫌っていると感じていた。

 だが、あれは間違いだったのだ。

 

「スネイプは僕のことを嫌ってるんじゃない。憎んでいるんだ」

 

 一体どうしてスネイプはあんなに自分のことを憎んでいるのだろうか。

 そうしょげていると、隣のロン・ウィーズリーが赤毛の頭を揺らしながら肩を叩く。

 

「元気出せよ。フレッドもジョージもスネイプにはしょっちゅう減点されるんだ」

 

 あの二人が減点されるのはスネイプに限った話ではないだろう。

 だが、親友が自分のことを励まそうとしてくれているのを知っているので、口を噤む。

 

「ねぇ一緒にハグリッドに会いに行っていい?」

 

 雰囲気を変えるように、うーんと背伸びをしてロンはあっけらかんと言う。

 

「そりゃあいい考えだよロン。行こうか」

 

 三時五分前に城を出て、二人は校庭を横切った。

 ハグリッドは「禁じられた森」の端にある木の小屋に住んでいる。

 森番と呼ばれる所以だ。

 彼の家に行くと戸口に石弓と防寒用長靴が置いてあった。

 そこまでは良い。だが隣にある小さな女の子用の靴は何なのだろうか。

 

「なぁハリー、この靴誰のだと思う?」

 

「ハグリッドのガールフレンド? まさかね」

 

 ハグリッドと短い間一緒にいたがガールフレンドが出来るような器用な人間では無かった筈だ。

 まぁハグリッドの彼女かどうかはさておき、来客中なのは確かで滅茶苦茶に戸を引っ掻く音とブーンと唸るような吠え声の合間に笑い声が響いてくる。

 ノックをしようかどうか二人で迷っていると、鈴のような綺麗な声が此方に向けられる。

 

「来客だよハグリッド。この時間ならハリー・ポッターと赤毛の子だね」

 

 なんで分かったのだろうか。

 ロンと二人でそっと顔を見合わせる。

 特別、音を忍ばせて来たわけでもない。

 とはいえ、ハリー達の来た方向はハグリッドの小屋の窓からは見えない筈なのだ。

 言い知れない不気味さを感じつつ、どうしたものかとハリーが迷っていると

 

「入ってきなよ。別に難しくて大事な話をしているわけじゃないし」

 

 感情を感じさせない幼い声。

 不思議と何処かで聞いたことのあるような気もする声だった。

 それは何処だっただろうか、とハリーが思考の渦に入ろうとするも、大きくなる犬の吠え声がそれをさせない。

 

「退がれ、ファング、退がれ」

 

 犬の吠え声にも負けない程の大声。

 そして、戸が少し開いて隙間からハグリッドの大きなひげモジャの顔が現れた。

 

「おぉ! 本当にメルムの言った通りハリー達か! よく来たよく来た。さ、中に入っちょくれ」

 

 ハグリッドは巨大な黒いボアーハウンド犬の首輪を押さえるのに苦労しながら、ハリー達を招き入れた。

 

「うわあ……! ここがハグリッドの森小屋なんだね」

 

 中は一部屋だけだった。

 ハムやキジが天井からぶら下がり、焚き火のかけられた銅のヤカンにはお湯が湧いている。

 

「くつろいでくれや」

 

 ハグリッドがファングを離すと、ファングは一直線でロンに飛びかかり、ロンの耳を舐め始めた。

 ハグリッドと同じように、ファングも見た目と違って全然怖さを感じない。

 

「彼はロン。ロナルド・ウィーズリーだよ。ボクの親友」

 

 ハグリッドは大きなティーポットに熱いお湯を注ぎ、ロックケーキを皿に乗せた。

 そしてロンのそばかすをチラッと見ながら苦笑する。

 

「ウィーズリー家の子かい。え? おまえさんの双子の兄貴たちを森から追っ払うのに、俺は人生の半分を費やしているようなもんだ。そうだろうメルムや」

 

 ハグリッドがそう声を掛ける方向にハリーは目を向ける。

 そういえば、ハグリッドの小屋にはもう一人来客がいたのだ。

 部屋の隅のとてつもなく大きなベッド。

 そこには小さな女の子が仰向けに足を組んで寝っ転がっていた。

 

「げっ……!」

 

 隣でロンが顔をしかめる。どうしたのだろうか。

 彼は少し怯えているようでもあった。

 ロンが小声で矢継ぎ早に言う。

 

「ハリー、君も知ってるだろう? 今年のホグワーツには、君以外にも有名人がもう1人入ったのさ。それもスリザリンに」

 

 スリザリンという言葉に、一瞬ドラコ・マルフォイのすかした顔が脳裏を過ぎる。

 ハリーは既にスリザリンに半ば拒否反応が出来つつあった。

 

「それでその有名人の名前が」

 

「グリンデルバルド」

 

 ロンの声を遮る涼し気な声。

 むっくりとハグリッドのベッドから起き上がった少女の声だ。

 少女の印象は一言で言うと現実味がない、だった。

 後ろにおろした透き通るような銀の長髪、無機質な翡翠の瞳と感情をあまり感じさせない色白の端正な顔。

 人間離れした容姿は、絵本の中から妖精が飛び出したと言われた方がしっくりとくる。

 

「久しぶり、になるのかな。また会えて嬉しいよポッター」

 

「え?」

 

 ハリーには見覚えがなかった。

 こんな可愛い娘と会ったら二度と忘れそうにないものなのだが。

 そうすると彼女は口元を緩める。

 

「まぁマルフォイを挟む形での話だったし、記憶に残らなくてもしょうがないね。覚えてないかな? ほら、マダム・マルキンの洋服屋で」

 

「……あぁ!」

 

 確かにいた。

 あの胸糞悪いマルフォイのせいですっかり記憶が汚染されていたが、確かにハリーは彼女と店を出る時に少し話をしている。

 

「思い出して貰えたようで何よりだよ。あの時は災難だったね。マルフォイの馬鹿に絡まれるのは、他の何よりも悲惨だ」

 

「スネイプに目をつけられるよりマシさ」

 

 ハリーがそう返すと、少女は小さく微笑んだ。

 大体無表情な彼女だが、よく見てみると些細な表情の変化が見られる。

 

「自己紹介がまだだったね。ボクはメルム。メルム・ヴォーティガン・グリンデルバルド。ボクがどういう意味で有名かは、そこの赤毛君に聞けばいいよ」

 

 その言葉にハリーがロンの方を見ると、彼は困ったような顔をする。

 本当に言っていいのかを躊躇うような表情だ。

 

「あー……そのなんて言えば良いのかな。有名なのはあの娘じゃなくて、お爺ちゃんの方なんだ」

 

「お爺ちゃんの方?」

 

「うーん、そうなんだけど」

 

 やはり本人を前にしてその親族の悪口を言うのは躊躇われるようだった。

 ロンがグズグズとしているのを見かねてか、メルムがあっけらかんと事実を告げる。

 

「ボクの祖父であるゲラート・グリンデルバルドは闇の魔法使いだったんだよ。それで悪いことを沢山した。例のあの人レベルでね」

 

「例のあの人って、ヴォルデモート?」

 

 その途端に、二人分の悲鳴が小屋に響く。

 ロンとハグリッドのものだ。二人にヴォルデモート関連の話題を振れば、そこら辺の女の子よりも繊細になる。

 だがその点メルムはしっかりしたもので、例のあの人の名前を聞いても、頷くだけで特に反応もない。

 

「一応言っておくと、ボクと爺様は血筋が繋がっているだけでまったく別の人間だよ。そこの赤毛君が分かってくれるとは思わないけどね」

 

「失礼な奴だな、僕は赤毛君じゃない! ロンだよ。ロナルド・ウィーズリー」

 

「なるほど、それじゃウィーズリー。君はボクを見た時、げっと言って顔を顰めたでしょ。それもかなり失礼な行為だと思うんだけど、その辺どう思う?」

 

「それは……悪かったけど」

 

「それじゃあ、これでお相子だね。よろしく、ウィーズリー」

 

 そう言って無理矢理ロンの手を握ってブンブン振るメルム。

 可愛らしい顔つきと違って、かなりズバズバ物事を言う子だ。

 ハーマイオニーと雰囲気が似ているが、メルムは確固たる芯を持って話しているだけで、そこまで悪い女の子ではないようにハリーは感じた。

 

「自己紹介は済んだか。なら俺の作ったケーキを食べちょくれや。折角用意したお茶も冷めちまうしな」

 

「それもそうだね」

 

 ハグリッドの言葉に、メルムは頷くとベッドからハリーの隣の席へ移動する。

 着席の瞬間、フワッと女の子特有の柔らかい匂いがして何故かハリーはドキドキしてしまった。

 グリフィンドールにいるハーマイオニーや他の女子達に比べて、メルムはなんというか佇まいが違う。落ち着いているのだ。

 

「ハグリッド、このロールケーキ硬いんだけど」

 

「俺の特製だからな! 顎が鍛えられてええだろう」

 

「そう言う問題じゃないんでしょハグリッド。味は普通に美味しいから尚更勿体ないよ」

 

 歯が折れるくらい硬いロールケーキにメルムが文句を言い、ハリーもそれに賛同する。

 メルムは外見からは想像も出来ない程、人当たりが良かった。

 話を合わせるのも聞くのも上手く、四人はしきりに学校生活のことを楽しく話し込む。

 

「あの猫だがな、ミセス・ノリスだ。いつかファングを引き合わせなくちゃなあ。俺が学校に行くとな、知っとるか? いつでもずっと俺をつけまわすんだ。どうしても追い払えん。フィルチの老いぼれがそうさせとるんだ」

 

「ミセス・ノリスってよく廊下を徘徊してるあの猫ちゃんだよね。ちょっと目つきが悪いのは飼い主に似たのかな。ほら、フィルチさんってアンデッドみたいじゃない」

 

「確かにそうだ! アイツ、いっつもヨレヨレの服を着て白髪まみれでさ。不潔だと思ってたけど、アンデッドなら僕も納得だね。まったくマーリンの髭!」

 

 最初はミセス・ノリスの話だったのに、何故か学校の管理人フィルチへの罵倒へと話題が変わる。

 確かにメルムとロンの言う通りだ。

 管理人のフィルチは、コスチュームかと思うくらいにはみすぼらしい格好をしている。

 あれで学校を掃除しているというのは何かの冗談だとハリーも常々思っていた。

 だが、ハリーが今回話したいことはフィルチを洗濯機に服ごと放り込むか否かの話ではないのだ。

 迂闊にもファングの頭を膝に載せたことで、自分の服がヨダレでダラダラになる中、ハリーはスネイプの授業のことを喋った。

 

「気にするな。スネイプは、生徒という生徒はみーんな嫌いなんだからな。あれはああいう生きもんだと思っとけ」

 

 ハグリッドの助言は、ハリーの欲しい答えではなかった。

 魔法薬学での仕打ちを未だに忘れられていなかったハリーは食い下がる。

 

「でも僕のこと、本当に憎んでいるみたい」

 

「馬鹿な! なんで憎まなきゃならん。スネイプは腐ってもホグワーツの教師だぞ。辞めたきゃ勝手に辞めとる」

 

 そう言いながらもハグリッドはまともにハリーの目を見なかった。

 少なくともハリーにはそう思えてならない。

 助けを求めるようにメルムの方を見ると、相変わらず無表情の彼女は少しだけ考え込んでいる様子だった。

 

「それはそうとロン。チャーリー兄貴はどうしとる? 俺は奴さんが気に入っとった。動物に掛けてはチャーリーの右に出るヤツは早々いないと俺は思っちょる」

 

 話題を変えるように、ハグリッドはロンへ家族の話題を振った。

 そして、それに食いついたのは意外にもメルムだった。

 

「何それ。ボクも気になる」

 

「あぁメルムもスキャマンダーのおっさんのとこに世話になっちょるって話だったな」

 

「そうなんだ! あ、チャーリーって僕のところの2番目の兄貴でさ。今はドラゴンの飼育をしていて」

 

「ほう! ドラゴンか! ありゃあ凄い生きもんだ。いやあ、奴さんの魔法動物の調教の腕は前々からな……」

 

 ロンがチャーリーのドラゴンの仕事のことを色々と話し、メルムとハグリッドが興味津々の様子で聞き入っている中、ハリーはティーポット・カバーの下から、一枚の紙切れを見つけた。

「日刊預言者新聞」の切り抜きだ。

 

「なになに? そこに何が入っていたかについては申し上げられません。詮索しない方がみなさんの身の為です、か。意味深だね」

 

 いつの間にか会話から抜け出してきたメルムが、横からハリーの持っている切り抜きを読み上げてうっそりと笑う。

 

「ハグリッド! グリンゴッツへの侵入があったのは僕の誕生日だよ! 僕達が彼処にいる間に起きたのかもしれない!」

 

 汽車の中でロンがグリンゴッツ強盗事件について話してくれたことを思い出し、ハリーは声を上げる。

 今度こそハグリッドはハリーから目を逸らし、ウーッと唸ってロールケーキをまた勧めてきた。

 

「いや、良いよハグリッド。歯が折れちゃう」

 

 ハリーといえばそれは受け取らず、再び記事を読み返したのだった。

 




ということで今回はハリーとメルムの初邂逅でした!感想お気に入り登録ドシドシお願いします!
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