転生したら最高最善の魔王だった件   作:競馬好き

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魔装兵事件

翌日

 

「兄貴、なにやってるんだよ・・・」

 

警備兵を連れて現れたカイドウさん。あきれた声でカイジンさんに声をかける。

 

「フン!そこのバカが、客であり恩人でもあるソウゴの旦那に失礼なことをしやがるから、ちょいとお灸を据えてやっただけのことよ!」

 

そう言って引き連れていた騎士に介抱されているベスターを指差す。ベスターは驚きとショックのせいで立ち直れていない。まさか殴られるとは思っていなかったのだろう。

 

「おいおい・・・お灸を据えるって、大臣相手には不味いだろ・・・」

 

ため息混じりに言葉を漏らすカイドウさん。

 

「とにかく!兄貴達の身柄は拘束させてもらう!」

 

そう言って、部下に指示を出し始めるカイドウさん。そして、俺達に聞こえる程度の声でこう言った。

 

「悪いようにはしないから、大人しくしてくれよ」

 

カイドウさんの配慮に感謝しながら、大人しく指示にしたがった。その間に、リムルがママさんに金貨5枚を渡していた迷惑料だろう。俺も、何か渡そうと思ったけど、お金もなければなにもないので渡せなかった。

 

 

 

王宮に連行され、二日ほど牢屋に拘束された。拘束されたと言っても、ちゃんとした食事は出たし、過ごしやすい環境だった。

 

「俺が短気を起こしたばかりに、すまん!!」

 

カイジンさんが謝ってきたけど、あれは俺を思ってのことだし、そんなことで怒る人たちは、ここには居ない。

 

「カイジンさん!大丈夫!問題ないさ!!」

「そうそう!親父さんが気にすることないですよ!!」

「・・・・!!・・・・!!」 

 

三人とも同じ気持ちだったようだ。しかし、やっぱりあの人はなにも言わないんだ。

 

「裁判が終わったら、俺達カイジンさんについていきますぜ!」

「リムルの旦那、ソウゴの旦那、俺達も行ったら迷惑かい?」

「・・・・?」

 

あの人が何を言ったのかわからないけど、満場一致のようだ。

 

「全然迷惑じゃないですよ!!むしろ大歓迎です!!」

「ふん!まとめてめんどう見てやるさ!ただし!こき使うから、覚悟しとけよ!」

「「「おう!(・・・!)」」」

 

こんな感じで、拘束一日目は、釈放後のことを考えていた。

 

 

 

「そういえばあの大臣、えらくカイジンさんのこと目の敵にしてなかったか?」

 

リムルがそんなことを言った。この質問に対して、カイジンさんは苦虫を潰したような顔をして答えた。

 

カイジンさんはもともと七つある王宮騎士団の団長の一人であり、工作部隊の団長であった。ベスターは、団長時代の副官であったらしい。ベスターは、侯爵の出であったらしく、金でその地位を買った等と言われており、カイジンさんが平民の出で妬んでいた。だが、仕事熱心であったらしく、複雑な精神状態であったという。平民出の上官の命令を聞くしかないということは、貴族のもの達は他の何よりも屈辱を感じる。だが、立場上聞くしかない。ベスターもベスターで自分のプライドと仕事の合間で悩んでいたのだろう。そのときのカイジンさんも、王さまの期待にそおうとして、他人の気持ちを考えてやるほど、余裕がなかったのだとか。そんな時、ある事件が起きた。その事件の名は、魔装兵事件。当時の工作部隊は革新的な技術革新がなく、すべての部隊のなかで最低の評価であった。技術大国の立場から、工作部隊は花形であるべきだと主張するベスター派と堅実な研究を行い続けるべきだと主張するカイジン派で争っていた。

両者の意見は拮抗、会議で結論が出ることはなかった。そんな時、エルフの技術者との共同開発の、魔装兵計画が持ち上がった。この計画を成功させ、工作部隊の地位を確固たるものとしよう。そう考えたベスター。ベスターの焦りを感じ取ったカイジンさんは、ベスターに忠告を促したが、平民出の上官の忠告など完全無視し、開発を急いだ。そして、焦ったベスターの独走から、精霊魔導核の爆発事故を起こし、計画は頓挫。こうして、計画は幕を閉じた。

 

 

「その事件の責任を、ベスターはすべて俺に押し付けた。軍の幹部も抱き込み、偽の証言も用意した。そして、俺は軍を去ったって訳よ」

 

貴族の出だから、自分の立場の保身をしたがるのは、まぁ当たり前のことなのだろう。もとの世界での政治家だってやっていた。富裕層やそういう国の重要な立場に関わるとそうなってしまうのだろう。

 

「俺が国から出れば、少しはマシになるだろう」

 

そう言って、カイジンさんはこの話を締めくくった。三兄弟も当時のことを知る人物であり、ベスターを嫌っていた。貴族はどうしてもそうなってしまうのだろう。権力、立場、そして金は人を狂わすものだからかな?

それにしても、この国は貴族を優遇する国。そんな簡単に釈放してくれるとは思えない。そんな疑問に、カイジンさんは。

 

「大丈夫だろ。一応、俺は退役したとはいえ、団長にまでなったおかげで準男爵の地位に戴いている。

庶民が貴族に対して!!てのなら、裁判待たずに死刑もありえたけどな」

 

笑いながらそう言うカイジンさん。だ、大丈夫かなぁ?

 

 

 

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