椿の涙<鬼殺隊列伝・五百旗頭勝母ノ帖>   作:水奈川葵

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二.父という人

 しかし(たつ)を激昂させたのは、その(ゆい)が結局路頭に迷って、以前から懇意にしていた薬草問屋で世話になっていると聞いたときだった。

 

夫婦(めおと)になるのではなかったのか?」

 

 厳しい顔で現れた達に、すっかり見てわかるほどに腹の大きくなった結は悄然と頭を下げた。

 

「そなたと親しく話しておった男共に問うたが、誰一人として認めなんだ。腹の子の父は誰じゃ?」

「………」

「結!」

 

 達が(なじ)ると、結は目に涙を浮かべながらゆっくりとかぶりを振った。

 

「あの方は…悪くありません。どうか……責めないで下さい」

「この期に及んで何を…。そなた、あの日に訪ねていって、すげなく追い返されたらしいではないか。そのような薄情な男を庇ってどうする?」

「庇っているわけではありません。あの方の都合も考えずに行った私が悪いのです。どうか……母上」

 

 その後も激昂した達がその男に詰め寄ることを恐れてか、結はなかなか口を割らなかった。

 

 最終的に、達が決して相手の男を責問することをしないと約束して、ようやく結は子供の父親の名前を言った。

 

「……五百旗頭(いおきべ)卓磨(たくま)…?」

 

 達はつぶやきながら、素早く記憶を巡った。

 一巡して、誰なのか出てこない。

 再びゆっくりと記憶を辿って、ようやく出てきたのは、岩の呼吸遣いで、ひどく無口で陰気な顔をした男だった。

 

「……あの男が?」

 

 達は思わず聞き返した。

 自分の覚えている限り、結と五百旗頭卓磨が特に親しくしていた様子はない。

 

 それでも結が嘘を言うはずもない。

 すぐさまその五百旗頭を殴りつけたい衝動が湧き出るのを、達は深呼吸と共に押し込めると、とりあえずその日は帰った。

 

 

 

 達は結との約束があったので、直接、五百旗頭卓磨に会うことは控え、書状を書き送った。

 しかし、勝母と志摩との会話を聞いた(ぬい)は、その夜に五百旗頭卓磨を訪ねた。

 

 

◆◆◆

 

 

「どういうつもりだ?」

 

 会うなり縫は抜いた刀を卓磨に向ける。

 ちょうど任務から帰ってきたばかりであったのだろう。

 鬼の返り血なのか、自分の血なのか、卓磨の着物は汚れていた。

 

 剣呑とした目で自分を睨んでくる縫を無表情に見た後に、低い声で尋ねてきた。

 

「……結の妹か」

 

 姉の名を当たり前に呼ぶことにも、縫は苛立った。

 

「身重の姉を追い返しておいて……名を呼ぶな!」

 

 卓磨はひどく面倒そうに目を細めると、背を向ける。

 いきり立った縫が刀を振り上げると、その大柄な体躯からは想像できぬほど素早い動きで、刀を持つ手を蹴り上げた。

 

「あッ!」

 

 縫が叫ぶ間に、空中に飛んだ刀を取ると、縫の髪を掴んで、その首に刃を向けた。

 身動きできぬまま、縫は一瞬恐怖で喉が鳴ったのが恥ずかしかった。

 

「ッく……離せ…!」

「…………では、とっとと帰れ」

 

 卓磨は言うなり、縫の鞘に刀を収めると、肩を押しやった。

 ペタリと尻もちをついた縫を見下ろして、卓磨は言い捨てた。

 

「お前には関係ない。口を挟むな」

 

--------------------------

 

 その後、達からの書状を読んだ卓磨は、改めて結と結婚する気はないことを、書面で伝えてきた。

 自分には鬼殺隊士としての本分があり、剣士としての心技体の極致を目指す為に、家庭は不要……と。

 

 達はその手紙を読んで青筋を浮かべながらビリビリに破くと、すぐに火鉢に焚べたが、冷静になると、結局は二人が選んだ夫婦の形を認めた。

 女だてらに…と、馬鹿にされつつ、剣の道を極めてきた達には、卓磨の心情はある程度理解できたのだ。

 

 もっとも、許したわけではない。

 

 達は花鹿屋敷の一隅に離れを作り、そこで結に住むように言った。

 結は恐縮していたが、縫はいよいよ臨月を迎えた姉が心配で、必死に説得した。

 日頃、自分の望みを言うこともない妹の頼みに、結は申し訳なく思いながら聞き入れた。

 

 

◆◆◆

 

 

 結局、正式に夫婦となることなく、結は女児を産んだ。

 

 生まれてすぐに這い出そうとしたその赤子を見た時、達の期待は結からその子に移った。

 

「この子は将来有望じゃ。のぅ、勝母(かつも)

 

 結は嘆息した。

 達が赤子の名前を勝手につけて、その名で呼ぶからだ。

 

「母上。この子の名前は(みゆき)です。卓磨様がちゃんと考えて下さったのです」

 

 結が何度訂正しても、達はそのことについては頑として受け入れなかった。

 

「そなたが苦しんで産んだ子の顔も見に来ぬ男に、名付けするいわれなどない」

 

 結は困り果てたように嘆息しながらも、うっすらと笑っていた。

 勝母が物心つくようになってから、結は語ってくれた。

 

「幸、という名前はね…あなたの父上様が考えてくださったのですよ」

「お父上が?」

「そう。おばば様はご存知ないけれどね……ちゃんと、あなたが産まれた夜にお出でになって、名前をつけて下さったのよ」

 

 そうは言われても、勝母にとって父はあまりに稀薄な存在だった。

 

 離れは母屋からの枝折戸の他に、側道に面した小さな戸口があったが、そこからたまにやって来る男があった。

 

 それが父だと教えられても、勝母はその男が怖かった。

 自分を見下ろす顔は冷たく、一切の感情が読めなかった。

 小さな子供にはとても近寄り難い存在だった。

 

 それでも父だからと、それなりに話しかけたりしてみたが、返事は一切なかった。

 一度として、勝母は父と話したことがなかった。

 

 結ともほとんど話さない。

 たまに怪我の治療で来ることもあったが、それ以外は何のために来ているのかわからなかった。

 

 ただ、父が来て泊まる時は母屋へと連れて行かれた。

 達は勝母が来るのは喜んだが、父が来ていることを知ると、不機嫌になった。

 

「のうのうと……よく来るものよ」

 吐き捨てて言いながら、勝母にはニコリと微笑む。

 

「まぁ、よいわ。おかげで今日は勝母と一緒に寝ることが出来る。のぅ?」

「はい!」

 

 勝母もまた、たまにこうして達と寝食を共にすることを楽しんだ。

 

 達は昔、鬼殺の隊士であった頃に方々へと旅して回った頃のことを語ってくれた。

 その土地々々での珍しい習俗や祭、食べ物のことや、身に起きた珍事。

 だが、勝母が最も楽しかったのは、やはり鬼を成敗する話であった。

 得意気に話す達を見るのも、話の中で敏捷に動き回って鬼の首を取る達の姿を想像するのも血湧き肉躍る。

 

 もっとも、そのせいで達と一緒に寝る時はいつも夜ふかしになってしまい、朝寝坊して志摩に怒られていたが。

 

 

◆◆◆

 

 

 母がまた身籠ったと知ったのは、勝母が六歳の時だった。

 

 その事を告げに来た結に、達は「ふん、そうか」とだけ言って興味を示さなかったものの、志摩相手に陰口を叩いた。

 

「あの男…何が家庭を持たぬじゃ。女の腹だけ痛めておいて、剣の修行なぞと…どの口がホザくのやら」

 

 さすがに子供であっても、祖母が父に対していい感情を持ってないことはわかった。

 勝母は祖母の気持ちはある程度、理解できた。

 

 だが、母が父のことをとても愛していることもわかっていた。

 こちらは勝母にはさっぱり理解できなかった。

 

 祖母と母の間で、勝母は自分の気持ちがよくわからなかった。

 父に対する自分の気持ちがあやふやなのが、勝母には心地悪かった。

 

 

 

「父上は、どうして一緒に暮らさぬのですか?」

 

 ある日、久しぶりにやって来た父に向かって、勝母は思い切って問いかけた。

 

 縁側で煙管をふかして、庭の薔薇(そうび)の花をボンヤリと見ていた父は、背後から怒鳴るように声をかけてきた娘を、睨むように見た。

 

「………父ではない」

 

 問いに答えるどころか、父は――――五百旗頭卓磨は冷たく勝母を突き放した。

 

 勝母は唖然となった。

 母は父が自分の父だと教えてくれた。母が嘘を言うわけはない。

 

 衝撃のあまり口を開けたまま固まった勝母に、卓磨は少し眉に皺を寄せ、面倒そうな、困ったような…複雑な顔になった。

 

「……父と、思うな」

 低くつぶやくように言う父に、勝母は首を捻った。

 

「父上は、幸の父上ではないのですか?」

 大きな声で、ただただ不思議そうに問うてくる娘に、卓磨は渋面になって溜息をつく。

 

「……父などと…思っておらんだろうが」

「いいえ! 父上は、父上です」

「……なぜ、そう思う?」

「母上が仰言(おっしゃ)いました。母上は嘘つきですか? 母上のおなかの子供も父上の子供じゃないのですか?」

 

 卓磨は苛立たしげに煙を吐くと、灰吹に灰を捨てて出て行ってしまった。

 母は久しぶりに訪れた父のために好物をこしらえていたのだが、帰ってしまったので、悲しそうな顔になった。

 

「ごめんなさい…」

 勝母が謝ると、母は哀しげながらも微笑んだ。

 

「いいのよ。きっと、また来て下さるでしょうから…」

 泣きそうになる勝母を抱き寄せて、母はやさしく頭を撫でた。

 

「父上は…幸が嫌いなのですか?」

「そんなことはありませんよ」

「でも…父じゃないと仰言(おっしゃ)ってました!」

 

 母は「まぁ、まぁ」と笑うと、ポロポロと泣く勝母をぎゅっと抱きしめて慰めた。

 

「幸…という名前は、あなたが幸せになるように……と願って、つけて下さったのよ。どうしてあなたの事を嫌うなんてことがあるものですか」

「でも、ちっともしゃべって下さらない」

「お父様は、少しばかり話すことが苦手でいらっしゃるのよ。だから、本当は伝えたいと思うことが、上手に言えないの。あなたがもう少し大人になれば、きっとお父様の優しさに触れることができますよ……」

 

 母の言う父の優しさ…は、わからなかったが、さほど時間をあけずに、勝母は父の強さを知ることは出来た。

 

 

◆◆◆

 

 

 勝母が庭にある修練場の隅で、達からもらった木刀で素振りをしていた時のこと。

 その日は、珍しく叔母の縫がその修練場に現れた。

 

 縫は一週間前に任務から帰ってきてから、また寝込んでいたのだが、ようやく回復したらしい。

 新たな任務に備えて体を再び鍛えようとしていたのだろう。

 

 道場には最終選別を控えた達の弟子達が稽古中で、結もまた入ってきたばかりの子の指導を行っていた。バツが悪くて避けてきた先に、勝母の姿を見ると、あからさまに睨みつけてきた。

 

「叔母上も、練習ですか?」

 尋ねた勝母に、縫は吐き捨てるように言った。

「うるさい。邪魔だ。離れへ戻っておけ」

 

 勝母はもうその時には、はっきりと縫に嫌われているのはわかっていた。

 しかも、勝母を睨むのは必ず周囲に達や結のいない時であった。

 この二人がいる時には、叱られることを恐れてか、少々無愛想だがそれなりに叔母らしく振る舞った。

 そのさもしい根性に、勝母もまた縫のことが嫌いであった。

 

「嫌です! 私が先にここで練習していたのです」

「……なに?」

「叔母上が練習なさりたいなら、しばしお待ちを。あと二十回で―――――」

 

 終わります、と言う前に木刀が勝母の横腹を打った。

 どどぅ、と砂の上に倒れて、勝母の口の端から血が流れた。歯で口の中を切ったらしい。

 

「立て」

 縫は怒りのあまり震え青ざめていた。

「相手してやる。立て…」

 

 勝母はニヤと笑った。むしろ望むところだった。

 常日頃から、この叔母の陰湿ないじめに辟易していた。

 

 母が病人には優しくしろと言うので仕方なく従っていたが、今はもう病人でない。勝母などよりもずっと大人であるのだから、子供の勝母が気を遣う必要はない。

 

 立ち上がって構える。

 

 達の教えを受けて勝母はメキメキ成長していた。だが本格的な訓練はまだ早いという結の手前、達の弟子達と打ち合ったりすることはしなかった。

 勝母は自分がどれくらい強くなったのか、知りたかった。

 

「……っう…」

 

 縫はすぐさま動揺した。

 勝母の剣先はびくとも動かず、縫を睨み据えている。

 ただ立って構えている小さな姪が、だんだんと大きくなってくる。

 

 ギリ、と歯軋りして縫は静かに全集中の呼吸を行う。

 勝母は気付かない。

 まだ、達は勝母に呼吸は教えていなかった。あまりに小さい内から行うと、内臓への負荷が大きすぎるからだ。

 

 一度、萎えていた叔母の気がまた充溢してくるのを感じて、勝母は内心で首をひねった。

 何か…おかしい。

 そう思った刹那に、縫が技を繰り出した。

 

 花の呼吸 肆ノ型 紅花衣

 

 その斬撃の早さと、肺腑をえぐるかのように襲いくる刃に、勝母はあわてた。

 グッ、と息を飲み込んで、刀の軌跡をしっかりと見つめながら躱そうと、身体を後ろへと逸した時に、フッと目の前に影が現れた。

 

 大刀が凄まじい早さで、縫の持っていた木刀を微塵に破壊した。

 その斬撃の勢いに吹っ飛ばされた縫は、修練場に立てられていた巻藁(まきわら)にしたたか体を打ちつけて倒れた。ミシッと木の裂ける音がして、折れた巻藁が縫の上に落ちた。

 

「…子供相手に呼吸の技を使うなど…所詮、女のやる事よ」

 

 明らかな軽蔑を含んで、五百旗頭卓磨は刀を背に括りつけた鞘に収めた。

 縫は勝母と同じように、口の端から血を垂らしながら卓磨を睨みつけた。

 

「貴様に関係なかろう? 今更、その娘を我が子とでも言う気か?」

 

 時々咳き込みながら掠れた声で言う。

 よろよろと立ち上がると、抜刀して構えた。

 

「抜け!」

 

 卓磨は冷えた目で縫を見ると、踵を返した。

 途端に勝母と目が合う。

 

 勝母は目の前で繰り広げられた父の剣技に、一瞬で心を奪われた。

 憧れをそのまま包み隠すこともなく自分を見てくる娘に、卓磨は眉を寄せると目を逸らして立ち去ろうとする。

 

「あ……父上」

 

 勝母が呼びかけようとした時に、縫が再び技を出そうと刀を振り上げていた。

 勝母に向かって。

 

 その殺気を卓磨はいち早く感じ取るや否や、身を低く屈めて砂を蹴り上げ、縫の懐に入り込む。

 縫がその速すぎる間合いの詰め方に手立てを講じる隙もなく、卓磨の掌底が縫の胃の腑を打った。

 

 ガチャンと刀が落ちて、縫は倒れた。

 

「なんの真似じゃ、これは?!」

 卓磨と縫が喧嘩になっていると家人から聞いてやって来た達は声を荒げた。

 

「五百旗頭…貴様がここに入るを許した覚えはないぞ!」

 

 達の威勢の強さに、結は慌てて卓磨と達の間に割って入った。

 

「母上! お待ち下さい!」

「どけ!! 結ッ」

 

 結は動かず、その場で振り返って卓磨を見つめた。静かな表情で見つめ返す卓磨に、結は唇を引き結ぶ。

 ススス、と卓磨の前に進み、正座して頭を下げた。

 

「妹が何か不手際をしたなら、謝ります。お許しくださりませ」

 落ち着いた口調で言ってから、顔を上げると厳しい目で見つめた。

「ですが、妹は病の身。手出しはお控えくださりませ」

 

「………」

 卓磨は憮然として、再び踵を返す。

 

 勝母の横を通り過ぎさま、軽く肩を叩かれた。ハッとして見上げると、

「他言無用」

と、囁くように言い置いて、去って行く。

 

 達は地に横たわり、身体をくの字に折り曲げて、噎せている縫を冷ややかに見つめた。

 

「全く……情けない。刀を抜かせる事もできぬとは…」

「母上、縫はまだ完全には癒えてないのです」

 結は縫の上半身を起こしてやると、背をやさしく撫で擦った。

「縫。いつもの薬は持ってる?」

 

 結に介抱され、縫はゆっくりと頭を振ると、ゴホゴホと咳をした後で、落ちた刀を掴み、それを支えにして立ち上がった。

 

「刀を杖代わりにするものでないわ!」

 達は怒鳴ったが、結がそっと頭を下げて縫を支えながら母屋へと歩き去るのを、溜息をついて見送った。

 

「やれやれ…そなたの母御前(ははごぜ)はどうにも厄介な者達ばかりの世話を焼く」

 残された勝母を見ると、達はニッコリと笑みを浮かべた。

 

「父に何か言われたか?」

 勝母はしばらく考えて首を振った。達は少し驚いたように目を見開いた。

 

「どうした、勝母? あの男、何か言っておったろう?」

 勝母は達を相手に嘘をつくのは嫌だった。だが……

 

「言われました。でも、言えません!」

「ほぅ……ばばにもか?」

「言えません!」

「どうして? 脅されでもしたか?」

 

 勝母はブルブルと激しく頭を振ると、真っ直ぐに達を見つめた。

 

「父上との……約束だからです!」

「………」

 

 達はその返事に、眉を寄せた。

 それまで父に対してはどこか遠慮気味というか、恐れて近寄ることもなかった勝母が、なぜいきなりこうも懐いた様子なのだろうか…?

 

 しばし考えて、フッと笑った。

 

「父の剣技を見たか?」

 達が問うと、勝母は興奮したように何度も頷いた。

 

「どのように振るったかも見えぬ程に早いのです! しかもあのような大きな刀で。長い上に、とても分厚くて重そうな…それを軽々と扱われてました! それに刀を抜いて襲ってきた叔母上に背を向けていたのに、まるで見ていたかのように……」

 

 そこまで言って、勝母は「あ…!」と口を噤んだ。

 達はカラカラと笑って、勝母の肩をやさしく叩いた。

 

「おおかた、先に仕掛けたは縫であろう。あやつは私よりもあの男への恨みが深いからの。最愛の姉を奪った憎き男よ」

「叔母上は父上を嫌っておられるのですか?」

「ああ。蛇蝎(だかつ)のごとくの」

「どうして?」

「さあ? よぅはわからぬが……縫にとって結は唯一無二の存在なのであろう。母の腹にいた頃からの同胞(はらかた)じゃ。普通の姉妹よりも結びつきは強いのかもしれぬな」

 

 達は己が早くに家を出た為に、家族の情というものに薄かったが、この事は意外に正鵠(せいこく)を射ていた。

 

 

 

<つづく>

 

 

 






次回は2021.07.13.火曜日更新予定です。


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