「はっ、はっ、はっ...!」
一人の少女が草原を走っていく。
息を切らしながら、汗をかきながら。
「待って!アリス!」
少女は叫ぶ。目の前の背中に向かって。
「ふふっ、はい止まった!」
名前を呼ばれた少女、アリスは急に足を止めた。
それを見た後ろの少女はビックリして足を止め急ブレーキをかける。
「う!うわわっ!」
慌てて体勢を立て直そうとするが間に合わず、少女はアリスとぶつかってしまった。
「ありゃ。」
少女の身体が当たったアリスはバランスを崩してしまい、二人一緒に地面に倒れてしまう。
「い...たた...もぉ〜急に止まらないでよアリス....。」
「あっは。ごめんねアリシア。」
ムスッとした顔の少女...アリシアにアリスは無邪気に笑う。
それにつられて、アリシアも笑ってしまった。
二人の笑い声が草原に響き渡る。
「ははっ。何をやってるんだ二人とも。いくら平和だからといっても、そんなにはしゃいでちゃ危ないだろう。」
「まあ。この子達がこんなに元気なのはいいことじゃない。」
アリスとアリシアが楽しそうに笑っている後ろから、男の人と女の人がやってくる。
「あ、お父さんお母さん!」
「よしよしアリス!お前はホントに私に似て元気いっぱいだねえ!」
そう言われながら、アリスは母に抱っこされる。
「あ、お母さん私も...!」
「アリシア!お前は父さんがしてやるぞ!」
小さな身体の少女は父に高く持ち上げられる。
いつしか草原には父、母と二人の少女の楽しそうな声が響いていた。
****
−アークスシップ10番艦ナウシズ 市街地−
辺りは激しい戦闘音が響いている。
建物の倒壊、乗り物の横転。
痛々しい光景を見捨てながら、一人の少女が走る。
『アリシアさん、そのポイントから数十メートル先に閃機種を確認。数にして10!』
「了解。」
通信で敵の出現しているポイントを通達され、アリシアは向かう。
動かす足を更に加速させつつ、腰に携えていた二刀の武器、”斬雪”を取り出す。
「.....目標を捕捉。」
およそ二十メートル先にいる小型の閃機種、バリールの群を視界に捉えたアリシアは地面を思いっきり蹴り、加速の勢いを利用して瞬く間に距離をつめた。
アリシアは身体を回転させながら両手に持つ残雪を振る。
キレのある斬撃と、彼女の持つ氷のフォトンによる追撃が最も簡単にバリールの群れを殲滅した。
「ふぅ...。」
体から力を抜くように息を吐き、斬雪をしまう。
アリシアは周囲を見渡した後、艦橋へ通信を入れる。
「こちらアリシア。ポイントD3エリアの敵を殲滅しましt...!?」
交信中にアリシアは頭上に敵の気配が出現したのを感知した。
しかし、完全に気を抜いていたところを狙われた。
応戦する時間が.....ない!
「しまっt......!」
アリシアの頭上に現れたソードを携えた閃機種、ディゾルセイバーは大きく振りかぶりアリシアを一刀両断しようとする。
─────その時だった。
アリシアとディゾルセイバーの間を割って入る影。
白くなびく二つ括りの髪をしたその人物はその手に持つ刀身が青く輝くカタナを薙ぎ払い、ディゾルセイバーの核に一閃。
その鋭く、尚且つ重い一撃は核を真っ二つに切り裂きディゾルセイバーを撃破した。
「.............。」
華麗で、そして目を奪われる。
一瞬の出来事にアリシアは目の前に現れた存在をただ見つめる。
2つ括りのその人物は地面に着地すると、携えていたカタナをしまい、視線をアリシアへと向けた。
「アリシア、油断大敵よ。今は敵もこっちの反応を逆探知して送ってこられるんだから。」
そう言いつつ、アリシアに手を差し出す。
「...すみません、まリスさん。気をつけます...。」
まリスから注意され、アリシアは少ししょんぼりしてしまう。
「けど、あなたのおかげでここ一帯の敵は殲滅できたわ。
ありがと。」
気の引き締まった表情から一変し、今度は笑みを浮かべたまリスはアリシアの肩をポンと叩き、励ました。
「....ありがとうございます.....!」
ピピッ
まリスに褒められ笑みを浮かべてると、通信が入る。
『まリスさん、アリシアさん、そろそろそちらに第二部隊が到着します。一旦帰投して休憩してください。』
「了解。」
オペレーターからの通信を受け、まリスはキャンプシップにアクセスし、現在のポイントに呼び寄せる。
「よし、じゃあ帰るわよアリシア。」
「はい。」
現在、突如としてマザーシップを襲撃したフォトナー、終の女神シバはマザーシップを乗っ取り、独立運用を行っているアークスシップ及びアークスに向けて追撃部隊を送りつけている。
戦況はよろしくはない。
だけど、私たちは決して諦めない。
必ず希望はある。
どんな時も。
心に消えることの無い炎があるかぎり─────
****
《劇場版 PHANTASY STAR ONLINE2 THE SAGA EP6
"Story of NAUTHIZ"》
****