ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
零弐side
何もない空間。
そこで俺、蒼薙零弐は頭を抱えて蹲っていた。
何も聞きたくない。そのような雰囲気を出していた。
しかし、どれだけ耳を塞ごうが何をしようが聞こえてきた。
――貴様は一体何をやっているんだ!――
――神に仕える者として恥ずかしくないのか!――
――異端の子よ。なんと汚らわしい――
好きでなったわけじゃない。
自分でもなりたくてなったわけじゃない。
――魔剣なんぞ扱えるとは。恥を知れ!――
――お前はいらない子だ。ここを出て行け――
いつの間にか声にならない悲鳴を上げていることに気づいた。
そして、周りもいつの間にか暗くなっていた。
その次に見えたものは、炎が燃え盛り、今にも崩れそうな教会の中で、一人の少年が積み重なる死体の真ん中で、返り血を全身に浴びながら一本の剣を手にして佇んでいた。
そしてその少年の視線がこちらに向いた。
その顔は、狂気の笑顔を浮かべていた。
「……じ、……い……」
どこからか声が聞こえてきたが、はっきりと聞こえなかった。
それに意識を向ける余裕もなかった。
目の前の少年がこちらに向かって歩いてきているからだ。
「れ……じ、……いじ」
声が出なかった。
悲鳴を上げたくも、まるでその存在に怯えているかのごとく声すら出なかった。
最後に見たのは、天井から落ちてくる炎に包まれた柱によって道が遮られた向こうにいた、涙を流す少年の姿だった。
「……れいじ、レイジ!」
そこで目が覚めた。
「……はぁ、……はぁ」
呼吸が激しく乱れ、全身に嫌な汗を掻き、肌寒く感じた。
「レイジ。大丈夫?随分魘されていたみたいだけど」
声のする方を見ると昔からの顔見知りがいた。名前をフェイシス・クラウンという。
その顔を見たら、何故か心から安心できた気がした。
周りを見ると、まだ暗かった。
おそらくまだ夜中なのだろう。
「……また見たの?昔のこと」
「……あぁ」
普段の自分からは思えない気の弱さだったと思う。
しかし、身体を起こしながらも感じたのは、精神的な疲労だった。
「大丈夫。もう過ぎた事でしょ」
優しく、子供をあやすように頭を撫でてくれた。
その優しさに、久々に甘えたくなったのか、勢いよくフェイを抱きしめた。
「ちょ!?レイジ!?」
「悪い。少しだけ、こうさせてくれないか」
フェイは、何も言わずに抱きしめ返してくれた。
体温をまじかに感じることが出来、そのぬくもりにすべてを委ねたくなった。
その体勢のまましばらく過ごした。
あれから落ち着くことが出来たのか、いつの間にか寝ていた。
フェイは自分のところに戻ったみたいだった。
いつもより少し早い時間に起きたため、軽く汗を流すためにシャワーを浴びてから朝食作りに入った。
大体準備が終わったころに、眠そうに眼を擦りながらフェイが起きてきた。
実際にその姿は子供のように見えるが、本人の前でそんなことを言えば何を言われるかわかったもんじゃないので、あえて口に出しはしない。
「起きたか。もうすぐできるから顔洗って来い」
「……うん。わかった」
少し猫背になった体で顔を洗いに行ったのを確認すると、テーブルに朝食を並べて行った。
「それで、調子の方は大丈夫なの?」
いつの間にか戻ってきたフェイは、顔を洗ったことで少しは目が覚めたらしく、そんなことを聞いてきた。
「問題ないさ。いつも通りいつも通り」
「そう。ならよかった」
俺の答えに満足したのか、自分の席に着いた。
向かい合うように俺も自分の席に着いた。
「フェイ」
「なんだい?」
「ありがとうな」
「礼を言われるほどのことじゃないよ。それに、ぼくが同じようなことになったらレイジだって同じことしてくれるでしょ」
「……へ、当たり前だよ」
「そうだろ。なら冷める前にいただくとしよう」
フェイは帰ってくる答えがわかっていて当たり前のような感じで答え、さっさと朝食を食べ始めた。
それを見た俺も一緒になって食べ始めた。
そもそも俺が何故あのような夢を見たかというと、自身の過去に関係していた。
俺とフェイはもともと北欧の出身で、俺の場合はどこにでもあるようなしがない教会で、捨て子だったのを保護された。
それからその教会で育てられた俺は、将来を
それは魔剣。しかもただの魔剣ではなく、魔剣レーヴァテインと呼ばれる伝説の魔剣だった。
それを知った教会はすぐさま俺に異端の烙印を押して、教会から追放した。
まだ悪魔祓いになっていなかったことから、はぐれになることはなかったが、剣一本とボロボロの衣服だけで居場所を失った俺は路頭に迷ったように旅をした。
その時、自分でもあまり覚えていないのだが、教会を潰したのは俺だということはよく覚えていた。
フェイの場合は、物心つくころから魔法使いの組織に所属していた。
そこでいろいろな魔法を習ったり、独自の魔法を編みだしていた。
しかし、その魔法使いの組織は違法集団だったこともあり、自身たちの都合の悪い物は簡単に切り離していたらしく、魔導具を作り上げた後に、魔法使いの組織から禁忌を使用したとして追われる身となったらしい。
そして、俺が旅をしている途中で、フェイが追手から逃げている途中で、二人が出会った。
最初こそいろいろな誤解から規模の大きい戦闘を行ったが、そこは相打ちに終わった。
その後、二人してフェイを追ってきた追手に捕まり、いろいろあった後魔法使いの組織で処刑されかけるところまで行ったが、俺が魔剣レーヴァテインの封印を限定解除できたことと、フェイと協力したことで、魔法使いの組織をアジトごと潰すことが出来た。
その後、魔法使いの医者によって助けられた俺たちは今このように過ごしていられる。
魔法使いの医者は今でも俺たちによくしてくれ、同じ町に住んでいる。
そんなことが過去にあったが、今となっては時折見る悪夢にしかならない。
また、魔法使いの医者の勧めで、住んでいる町にある高校に入学することになった。
そこに入って、表の世界を知りながら、裏の世界の戦いに備えるという目的があるためである。
幸い、この町は悪魔が管轄している土地なので、下手なことをしなければ問題ないという考えなのである。
そして通っている学校は、私立駒王学園。
駒王学園は現在共学だが、数年前まで女子高だったため、今でも男子より女子の方が割合が高いが、女子が多いという事で、男子には人気のある学校である。
そこが悪魔たちの拠点となっている場所でもある。
そしてこの日もいつも通り支度をしてから学校に向かった。
俺は指定の男子用制服を着て、魔剣レーヴァテインに不可視の魔法をかけて、腰に携えた。
フェイの方も指定の女子用制服を着て、ストッキングを履き、ポケットにキャップ付の鉛筆を入れた。
これが俺たちのいつものスタイル。
私服の際には、俺は烏羽色を基調としたジャケットにズボン、白いシャツという服装。
フェイは髪と同じような色をしたネクタイに、灰色のセーラー服にストキングは変わらずに履いている。
そしてその服がそのまま俺たちの戦闘服でもある。
特殊な術式を籠めているため、魔力を宿した攻撃や衝撃をある程度軽減してくれるような仕組みである。
まぁ、そんなことは今はいいとして、この日もいつもと変わらない日常のはずが、とある出来事で慣れ親しんだ日常から変わり始めた。
まるで、今まで外れていた運命の歯車が、噛み合い、ゆっくりと回りだし始めたかのように、変わり始めた。
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