ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~   作:ゼロ・ツー

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観戦と強き思い

フェイside

 

あれから十日ほどが経ち、グレモリーさんたちのレーティングゲームの日になった。

修行は昼夜問わずに行われていたが、さすがに人間であるぼくたちが夜に悪魔と同じように行動できるわけではないので、昼間だけ手伝いをしていった。

ある時は訓練、ある時は座学、ある時は全体での戦闘を行っていった。

そのため、順調とまでは言わないが、ある程度は張り合えるぐらいにはなったと思う。

唯やはり、ぼくもレイジもどこか納得のいっていない所があった。

しかし今更そんなことを言っても遅いのはわかりきっているので、何も言っていない。

そしてこの日は、夜に学園に訪れていた。

理由は、グレモリーさんたちのゲームを見届ける為である。

そのために訪れたのは、グレモリーさんたちと同じ悪魔である人物のいる生徒会室だった。

 

「入るぞ」

 

「失礼します」

 

「お待ちしていましたよ。お二人とも」

 

レイジに続いて中に入ると、駒王学園生徒会長の支取蒼那ことソーナ・シトリーと副会長真羅椿姫がいた。

 

「こっちの顔で話すことはなかったから自己紹介でもしましょうか?」

 

「別に必要ねぇよ。そっちだて話は聞いてるんだろ」

 

「えぇ、少しは」

 

学園生活を行っていく上で、何度も顔を合わせることはあったが、こちらの顔であったことはなかったが、話はさすがに聞いていたらしい。

 

「それにしても驚きましたね。魔法使いなんて言うものがいたなんて」

 

「知らなくても仕方ありませんよ。なにせ、魔法使いが大きく動く出したのはここ数十年ほどの事なんですから」

 

「ほらほら、そんな話をしている暇があるのか?もうそろそろ時間だぞ」

 

レイジに言われて時計を見るともう少しでゲームが始まる時間だった。

それに気づき、シトリーさんが魔法陣でモニターを出し、中継を映し出した。

モニターは複数あり、様々な状況を映し出していた。

定刻になり、放送が入ると同時に、ゲームが始まった。

ゲームが始まって少ししたとき、シトリーさんが話しかけてきた。

 

「零弐さんにフェイシスさんはこのゲームどう見ますか?」

 

「どう?と言うのはどういうことですか?」

 

「リアスとライザー、どちらが勝つかという事です」

 

ある意味予想通りな質問だった。

この質問に関しては、ぼくもレイジも答えは出ている。

 

「俺的には不満があるが、フェニックスだろうな」

 

「ぼくも同じ意見ですね」

 

「意外ですね。修行の手伝いをしていたと聞きましたが?」

 

「修行したからってどうにかなるかっていう訳じゃねぇだろ。で、そういうお前はどうなんだ」

 

レイジが同じ質問を返した。

 

「個人的にリアスには勝って欲しいですが、厳しいでしょうね」

 

同じ考えなのは変わらなかった。

こうして話している間も、ゲームは進んでいった。

序盤はグレモリーさんたちのペースだった。

自分たちの数が少ないのにもかかわらず、どんどん相手の数を減らしていった。

しかし、兵藤の新しい技を見た瞬間、ぼくとレイジは机に突っ伏したくなった。

新しい技というのは、女の服を消し飛ばして、全裸にする『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』だった。

 

「……お二人とも、どんな修行したんですか?」

 

「……俺が聞きたい」

 

「……ぼくたちは何していたんでしょうね」

 

落ち込みの度合いが酷かったのは言うまでもなかった。

そしてゲームが進んでいくと、グレモリーさんたちはどんどん追い詰められていった。

塔城さんがやられ、兵藤さんの力がまた覚醒しても、姫島さん、祐斗さんとやられていき、最後には、兵藤さんも倒れて、グレモリーさんが投了(リザイン)した。

負けることに関しては予想できた。

しかし、今回の負け方に関しては、ぼくもレイジも呆れた。

自ら負けを認めるなどという事は、その時点で抗うことを諦めたという事である。

ぼくたちはそんなことを教えた覚えはないというのが、頭の中に浮かんで行った。

 

「やはり負けてしまいましたか」

 

「あぁ、負けたな。俺たちが予想していたよりもはるかにひどい結果でな」

 

珍しくレイジが苛立っていたが、それはぼくも同じである。

あまり長話をする気分ではなくなったので、部屋を出ようとした時、レイジが立ち止った。

 

「まだ何かあるんですか?」

 

「いや、誰経由でもいいからこれを兵藤に渡しておいてくれ。中身は見るなよ」

 

シトリーさんに渡したのは、小さな手紙だった。

それ自体がなんなのかは分からなかったようだったが、シトリーさん了承してくれた。

 

「あんなことがあっても、渡すんだね」

 

「一応な。あいつだってそうしたいだろうからな」

 

ぼくはすでにレイジが何を考えているのかを察しながら、家に戻った。

 

Side end

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーside

 

目が覚めると、見知った天井だった。

自分の部屋だ。

何で此処にいるのか、ぼやける記憶を必死に叩き起こした。

そして、そこで意識をはっきりとさせて、思い出した。

勢いよく上半身だけ起こすと声を掛けられた。

 

「目覚めたみたいですね」

 

枕元から聞こえた声の主は銀髪メイドのグレイフィアさんだった。

 

「グレイフィアさん!勝負は?部長はどうなったんですか!?」

 

「勝負はライザーさまの勝利です。リアスお嬢さまが投了されました」

 

その言葉に、俺は絶句した。言葉が出なかった。

情けなかった。

悔しくて、情けなくて、弱くて、哀れで……。

そんな俺自身に涙が止まらなかった。

 

「現在、お嬢さまとライザーさまの婚約パーティーが行なわれています。グレモリー家が用意した冥界の会場です」

 

「……木場たちは?」

 

「お嬢さまにお付き添いになられております。会場にいない関係者は、一誠さまとアーシアさまだけです」

 

アーシアは、部長の頼みでグレイフィアさんと俺を見ていたらしい。

ただ一つ気になることがあった。

 

「……蒼薙たちは?」

 

「招待はしております。蒼薙さまとクラウンさまはパーティー後に魔王さまと会談予定ではありますが、パーティーにはまだ姿を出しておりません」

 

そのことを聞いて、少し驚き、少し安心した。

 

「……納得されていませんか?」

 

グレイフィアさんがそう聞いてきた。

そのため、俺も少し感情的にはなったが、自分の思いを吐き出した。

嫉妬だという事は重々承知だった。

 

「ふふふ」

 

すると、グレイフィアさんが小さく笑った。

 

「あなたは本当に面白い方ですね。長年、いろいろな悪魔を見てきましたが、あなたのように思ったことを顔に出して、思った通りに駆け抜ける方は初めてです。私の主、サーゼクスさまもあなたの活躍を他の場所から見ていて、『おもしろい』とおっしゃっていたのですよ?」

 

グレイフィアさんがそう言いながら、懐から一枚の紙切れと、一通の手紙を取り出して、渡してきた。

 

「この魔法陣は、グレモリー家とフェニックス家の婚約パーティーの会場へと転移できるものです。そして、サーゼクスさまからのお言葉をあなたへお伝えします」

 

一拍あけ、グレイフィアさんは真剣な面持ちで言ってきた。

 

「『妹を助けたいなら、会場に殴りこんできなさい』、だそうです。その紙の裏側にも魔法陣があります。お嬢さまを奪還した際にお使いください。必ずお役にたてると思いますので」

 

どう返したらいいのかわからなかったが、手紙のことだけ説明が無かった。

 

「あの、この手紙は?」

 

「その手紙は、知人経由で兵藤さまに渡すように頼まれた、蒼薙さまからの手紙です」

 

そのことに、驚愕した。

何を考えているのかわからなかったからである。

 

「一誠さまが寝ておられる間に強力な力を感じました。ドラゴンは、神、悪魔、堕天使、そのどれとも手を結ばなかった唯一の存在です。あの忌々しい力ならあるいは……」

 

グレイフィアさんがそう言い残して、魔法陣で消えて行った。

その後徐に、蒼薙からの手紙を読んだ。

それを見て、俺は改めて覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が起きてから少しして、夜の街中を走っていた。

目指していたのは、この町にある診療所である。

手紙には地図もあり、それもそこを指していた。

診療所に着くと、中はまだ電気がついていた。

俺は入り口を叩いた。

少しして、目的の人物が出てきた。

 

「来たか。入れ」

 

蒼薙は俺が来ることがわかっていたかのように、中に招き入れた。

中に入ると、蒼薙以外で知っているのは、フェイちゃんだけだった。

他二人は知らなかった。

片方が美人だったが、今はそれに興奮するほどの馬鹿ではなかった。

 

「兵藤。ここに来たってことは、どういうことか分かるな?」

 

今までに一度しか感じたことが無い気迫でそう聞いてきたが、もう俺は決めていた。

そのために、家で準備もしてきたんだから。

 

「頼む!蒼薙、俺に力を貸してくれ!」

 

蒼薙に対し、俺は土下座で頼み込んだ。

プレライドだろうが、左腕だろうが、今部長を助けられるならいくらでも投げ出せる覚悟だった。

何も言わず、淡々と時間が過ぎた。

何秒だっただろうか?むしろ、何分、何時間だったのかもしれない。

 

「いい面構えだな。いいぜ、今のお前なら上等だ」

 

俺はその言葉に顔を上げた。

 

「フェイ、準備は?」

 

「いつでも行けるよ」

 

「井蛙、七美。そう言うことで、行ってくる」

 

「気をつけて行ってくるんだよ」

 

「フェイたん。怪我しないようにね」

 

「七美、今回ぼくたちはサブですよ。メインは彼です」

 

「さぁて、殴り込みで、ドンパチしようじゃねぇか!」

 

こうして、俺と蒼薙、フェイちゃんで殴り込みに向かった。

 




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