ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~   作:ゼロ・ツー

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思いと決闘

蒼薙side

 

兵藤が持っていた魔法陣で会場に転移すると、近くに巨大な扉があった。

 

「〝レック〟!」

 

その扉を俺が魔法でブチ破るかのように開けた。

扉が開くとともに、俺とフェイはそれぞれの化身(アスペクト)を手に取った。

 

「部長ォォォォォッッ!」

 

兵藤は目的の人物を見つけたのか、会場全域に響き渡るように叫んだ。

 

「ここにいる上級悪魔の皆さん!そして部長のお兄さんの魔王さま!俺は駒王学園オカルト研究部の兵藤一誠です!部長のリアス・グレモリーさまを取り戻しに来ました!」

 

その言葉と共に、兵藤がグレモリーとライザーのもとに歩み寄る。

 

「おい、貴様!ここが――」

 

邪魔するものが出てきたが、そいつの言葉を言い切る前にこちらから仕掛けた。

 

「「〝解除(リベレイト)〟」」

 

俺とフェイは同時に〝解除〟し、それぞれ魔法を撃った。

 

「おらぁぁぁぁッ!」

 

俺は魔力を乗せた斬撃を飛ばした。

 

「〝ダークスライス〟」

 

フェイは空間を切断する魔法を撃った。

会場の左右にそれぞれの魔法の爪痕が残った。

その後を見ただけで、どれだけ強力な魔法なのか一目瞭然である。

 

「き、貴様!ここがどこだかわかっているのか?人間」

 

「おいおい。お前らもわかってるのかよ?お前らの目の前にいるのは、魔法使いだぞ!」

 

「こんなことして、唯で済むと思っているのか!」

 

「あなた方はそんなことしか考えられないのですね。何のためにぼくたちが来たのかわかってもいないみたいですし」

 

「今回は、会談の為と負け犬の顔を拝もうと思ったんだが、さすがによぉ、俺だって頭下げられて頼まれりゃ、断るに断れねぇだろ!」

 

俺とフェイの気迫に、誰もが近づくことさえできなかった。

 

「ははは、おいしいところを持って行かれちゃったね」

 

声のする方を見ると、白いタキシードを着て剣を持った祐斗。

 

「……遅いです。それと、やり過ぎです」

 

ドレスを着て拳を構えた小猫。

 

「あらあら、やっと来たと思ったら、派手にやりましたわね」

 

和服を着て手に魔力を宿した姫島。

やはり皆、グレモリーのことを思っていたらしい。

それぞれが、兵藤をカバーするように、立っていた。

 

「ありがとう」

 

イッセーが小さくお礼を言って、ライザーのもとに向かい、宣言した。

 

「部長――リアス・グレモリーさまの処女は俺のものだ!!」

 

イッセーの驚愕の宣言から一触即発だった空気が、魔王サーゼクスによって変わった。

サーゼクスは、自身が用意した余興で、ドラゴンの力が見たいためにグレイフィアに頼んだと言っていた。

サーゼクスは赤龍帝の兵藤と不死鳥のライザーの対決で、パーティーを盛り上げたいらしい。

ただし、対価が無いというわけではなく、兵藤が勝った場合グレモリーを連れて帰ることを了承した。

各上級悪魔からは対価を与えることに少し非難があったが、さすがは魔王と呼ばれているだけあり、その不満を正論で押し止めた。

兵藤が了承したことで、ライザーもやる気を見せて、対決を了承した。

今回俺たちは、それを見守ることにした。

一応対決をやるかという話は来たが、さすがに俺とフェイを相手にできるのはサーゼクスとグレイフィアぐらいだと分かっていたので、辞退した。

そして、専用のフィールドに移された二人は、合図と同時に、動いた。

 

「部長、十秒でケリをつけます」

 

兵藤の宣言に、ライザーは五秒で倒すと宣言した。

兵藤は、すぐさま『兵士(ポーン)』の力、『プロモーション』で『女王(クイーン)』に昇格した。

 

「部長ッ!俺は木場みたいな剣の才能はありません!朱乃さんみたいに魔力の天才でも、小猫ちゃんみたいなバカ力もなければ、アーシアのような治癒の力も、蒼薙やフェイちゃんみたいに才能に恵まれてもいません!でも貴方の為なら最強の『兵士』になってみせます!輝きやがれぇぇッ!!オーバーブーストォッ‼」

 

Welsh(ウェルシュ)Dragon(ドラゴン)over(オーバー)booster(ブースター)!!!!』

 

兵藤の左手の神器(セイクリッド・ギア)が光り、全身に赤い鎧が装着される。

 

「鎧!?赤龍帝の力を鎧に具現化させたのか!?」

 

「これが龍帝の力!禁手(バランスブレイカー)、『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』――俺を止めたきゃ魔王さまか蒼薙たちに頼み込め!何しろ、『禁じられし忌々しい外法』らしいからな!」

 

なるほど、自身の身体の一部を代償に、限定つきではあるが禁手にいたらせたらしい。

本当に、面白そうだ。思わず笑いが出そうだった。

兵藤が鎧の背中のブーストを吹かせてかなりのスピードでライザーに殴りかかるがライザーは体をずらしてよける。イッセーはそのまま止まることが出来ずに壁に激突する。

あまり時間は無駄にしてはいられないのは本人が一番わかっているだろうが、コントロールが出来ていない。

つまりは、まだまだ力不足だと分かる。

 

「赤龍帝のクソガキ!悪いが手加減しないぜ!認めたくないが、いまのおまえは化け物だ!火の鳥と鳳凰!そして不死鳥フェニックスと称えられた我が一族の業火!その身に受けて、主であるリアスの前で散れェェッ!」

 

「てめぇのチンケな炎で俺が消えるわけねぇだろォッ!」

 

ライザーと兵藤の拳がぶつかり合い互いに弾き飛ばされる。しかしライザーは背中からだした炎の翼で空中で体制を立て直したが兵藤は地面に叩きつけられる。

もし、鎧がなければ今ごろは灰になっていただろう。

 

「恐いか!俺が怖いか!当たり前だ!おまえは赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)がなければただのクズだ!その鎧が無ければ、俺の拳が届く以前に業火の熱でお前は消失している!そう!お前からその神器を取ったら、おまえは何の価値もない!」

 

ライザーが背中の炎を広げて兵藤をなじる。

確かに、兵藤から神器を取れば、価値は大幅に下がるが、それは誰だって一緒である。

兵藤に今ある価値は神器。それが今持てる価値となり、力となりうる。

兵藤が空に飛び上がり拳を強く握りしめる、ライザーも自らの手に炎を纏わせる。

そして、互いにクロスカウンターで顔面に拳が突き刺さった。

互いに拳が入り、大きく仰け反った。

 

「そんなもの!効くわけ――」

 

言葉の途中で、ライザーが血を吐き出した。

始めは苦しんだのは兵藤の方だったが、ライザーは殴られたダメージとは違ったもので苦しんだように見える。

 

「十字架だと!?」

 

「十字架の効果を神器で増幅させて、あんたを殴った。高めに高めた聖なる攻撃は上級悪魔にだって効果テキメンなわけさ。たとえ不死身のフェニックスでもこのダメージはそうそう癒せないんじゃないか?」

 

「バカな!十字架は悪魔の身を激しく痛めつける!いかにドラゴンの鎧を身につけようと手にすること自体が愚の骨頂――」

 

そこで、ライザーが何かに気づいた様だった。

そう。俺は兵藤に手紙で指示をした。

もし、殴り込みに行くのに力が必要なら、自分の神器の中の存在と話し合ってみろと、その結果がこれである。

今の兵頭の左腕は、赤龍帝との契約の代償として、龍の腕に変貌した。

ライザーも、そのことには驚いていた。

 

「そんなことをすれば二度と元の腕には戻らない!おまえはそれがわかっているのか!?」

 

「そんなことは蒼薙が事前に教えてくれてたさ!だけど、俺みたいな奴の腕一本で部長が戻ってこられるんだぜ?こんなに安い取引はないだろう?」

 

「イカれているな……。だからこそ、迷いのない一撃を放てるのか……。怖いな。初めて俺はおまえに心底畏怖した。だから!俺はおまえを全力で倒す!」

 

ライザーが自身の周囲を炎で包みながら突っ込んでいった。

兵藤も、自身の最大の一撃を入れた。

互いの拳がぶつかり合い、その衝撃で、フィールド全体が見えにくくなった。

視界が晴れると、兵藤の鎧が解除されていた。

 




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