ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
零弐side
その日、何時も通り部室に行くと、兵藤の顔がボコボコになり、そんな兵藤をアルジェントが治療していた。
グレモリーは呆れて息を吐き、姫島はいつものように笑顔でお茶を淹れ、祐斗は兵藤にホモホモしい発言をし、塔城は不機嫌そうに口をへの字に曲げていた。
何があったのかは一目瞭然である。
そのため、俺もフェイも唯々呆れた。
それからすぐに今日の本題に入った。
内容は使い魔についてである。
兵藤とアルジェントは悪魔になり立てで、まだ使い魔を持っていないので、その使い魔を探しに行くというものだった。
因みに、それぞれの使い魔は、グレモリーが紅いコウモリ、姫島が手乗りサイズの鬼、塔城が白い子猫、祐斗が小鳥だった。
使い魔を探しに使い魔の森と言うところに魔方陣で転移しようとする前に、兵藤が疑問の声を上げた。
「そう言えば、蒼薙とフェイちゃんは使い魔持っていのか?」
兵藤の質問に、俺とフェイは互いに顔を見合わせた。
「俺たちの場合は……というより、魔法使い自体使い魔なんて持つなんて話聞いたことないがな」
「そうですね。それに、使い魔を持つ意味もありませんし」
「そうなの?意外と便利なのだけどね」
使い魔は、主の手伝いから、情報伝達、追跡など臨機応変に扱える。
だが、魔法使いはそういう定義を今まで持っていなかった。
「ん~、確かに便利だろうが、魔法使いにもいろいろあるからな」
「魔法使いの中でも扱いやすい系統魔法は生物魔法なのですが、その中でも最も多い種類の魔法は、あなた方も見たかもしれませんが、体の一部、または全身を獣に変える魔法があります。それを使えばクマにでも、カラスにでも、狼にでもなれます。それに、上級魔法使いが二人以上いればドラゴンを、二人以上の幻術魔法使いがいればワイバーンなどの魔法生物を作りだせますから」
「……本当に何でもありなのね」
「それが魔法使いだ」
グレモリーが驚き、どこか諦めた感じでいた。
とりあえず、兵藤とアルジェントの使い魔探しに出かけることになった。
転移した先の森は、やたら背の高い巨木が周囲に生え、日光もほとんど届いていない。
湿気も感じ、何が出てもおかしくない雰囲気のうっそうとした森である。
「ゲットだぜ!」
「なっ!」
「きゃっ!」
突然の大声に兵藤とアルジェントが驚いていた。
アルジェントに至っては、兵藤の後ろに隠れてしまった。
「俺の名前はマダラタウンのザトゥージ!使い魔マスターを目指して修行中の悪魔だ!」
「ザトゥージさん、例の子たちを連れてきたわ」
「へぇ。さえない顔の男子か、それともキリッとした顔の男子か?はたまた金髪の美少女か、銀髪の美少女かい?まぁ、誰が来ようと任せてくれ!俺にかかればどんな使い魔でも即日ゲットだぜ!」
「この二人よ。イッセー、アーシア。彼は使い魔に関してのプロフェッショナルよ。今日は彼にアドバイスをもらいながら、この森で使い魔を手に入れるの。いいわね?」
グレモリーがザトゥージに兵藤とアルジェントを紹介し、使い魔探しが始まった。
ザトゥージがカタログらしきものを取り出し、使い魔の紹介をした。
彼のオススメは龍王の一角である『
だがさすがに魔王クラスの龍を使い魔にする気はない上、使い魔にすることが出来る気がしないため、即断っていた。
次に勧められたのは、ヒュドラ。
だがそいつはの猛毒はどんな悪魔も耐えられない。その上不死身。
主人も毒殺する最悪の魔物である。
グレモリーは兵藤にゲットさせる気まんまんだったが、兵藤はそれも断った。
兵藤からの注文はかわいい使い魔、いわゆる女の子系がいいと言ったのに対し、ザトゥージが使い魔とはどいう言うものかを問い始めたが、アルジェントも兵藤と同じ意見を言うと、即返事を返した。
それから実際に使い魔を見に行くことになり、最初に見にいったのは水の精霊『ウンディーネ』だった。
兵藤はそれを聞き、変なことを考え出していた。
何故わかるかといえば、顔を見れば一目瞭然である。
そしてウンディーネがいる泉について少ししたら、泉が輝きだした。
兵藤は期待の目で登場の瞬間を見ていたが、現れたウンディーネの姿を見て衝撃を受けていた。
現れた姿は、バカげた筋量のぶっとい上腕、俺や兵藤の胴回りよりも太い足、鉄板を仕込んだようにも思える分厚い胸板、歴戦の戦士のごとく顔中が傷だらけだった。
だが俺とフェイもその姿を見た瞬間に思わず〝ショット〟を撃ってしまった。
その衝撃だけでウンディーネが吹き飛んで行った。
その時の俺とフェイの言い分はこうである。
「さすがになぁ」
「あんなものを見てしまいましたからね」
「「カッとなってやった。反省はしていない」」
あれから場所を移したら、蒼い雷撃を使うドラゴン『
そのドラゴンは、龍王には及ばないがドラゴンの中でも上位に入るほどで、激レアでもあるらしい。
同じドラゴンという事で兵藤が挑もうとした時、女性陣から悲鳴が上がった。
声の方を見ると、女性陣にネバネバしたゲル状のものが纏わりついていた。
どうやら、木の上からどんどん落ちてきているらしい。
だが何故か男性陣とフェイには落ちてこないどころか、俺とフェイには一切近づこうとしない。
「スライムか」
なるほど。別に名称はなく、見た目のまんまなわけ。
少しすると、スライムが服を溶かし始めていた。
兵藤はその光景をガン見し、祐斗は違う方に顔を向けていた。
ザトゥージは鼻血を出し、俺は手で顔を覆いながら下を向いてため息を漏らした。
そうしていると、木の幹から触手が出てきたらしい。
スライムと触手は特に名称もなく、よくコンビで得物の捕獲をするらしい。
スライムは衣服を、触手は女性の分泌物を餌としているらしい。
「あれ?何で、フェイちゃんの方には近づこうとしないんだ?」
ここにきて兵藤が疑問の声を上げた。
その疑問にフェイは淡々と答えた。
「これはぼくの推測ですが、本能的に近づこうとしないだけだと思いますよ」
「どういうこと?」
「兵藤さん。もしあなたが山道でクマにあったとします。そのクマがこちらに気づいていないのなら、あなたならどうしますか?」
「そりゃあ、気づかれないように避けるけど……」
「なるほど。そういうことか」
兵藤はまだわかっていないようだったが、祐斗はわかったみたいだった。
「つまり、本能的に自分よりはるかに強いと感じて、襲ってこないだけですよ。と言っても、相当実力が離れていないと襲うようですが」
「あぁ、なるほど」
フェイが流し目でグレモリーたちを見たのは指摘しないが、兵藤もやっと理解したらしい。
だが、それまでで、兵藤はこのスライムと触手を使い魔にすると言い出した。
そんな兵藤をしり目に俺はザトゥージに質問した。
「対処法はあるのか?」
「そりゃああるぜぇ!珍しいスライムと触手でもないが、森の探索中、迷惑な生物でね。こういうのは火の魔力で一気に蒸発させるのが一番――」
「〝レック〟」
「〝ショット〟」
ザトゥージの説明を終える前に、俺は周囲にいるスライムと触手を、フェイはグレモリーたちの身体にまとわりついているのを、それぞれ基本魔法で消していった。
威力はしぼっているが、それでも十分に消すことが出来た。
「なぁぁぁぁぁ!!何やってんだ、二人とも!!」
「何ってそりゃあ……なぁ」
「えぇ、汚物の排除です」
二人そろって雑草を刈っているというような口調で答えた。
拘束から解放されたグレモリーたちもそれぞれ魔力で焼いたり、引きちぎっては投げていた。
そんな中、兵藤はアルジェントに残ってまとわりついていた奴らを庇うかのように、アルジェントに抱き着いた。
「どきなさい、イッセー。こういう役に立ちそうもない生物は焼くの。邪魔だわ」
「いやだいやだ!俺はこのスライムと触手を使い魔にするんだ!俺の求めていた奴らなんです!こいつらを使って俺は羽ばたきたい!上を目指していきた!」
「イッセーさん、あの……私に抱きついてくるなんて……」
兵藤の行為に呆れてものが言えなかった。
アルジェントもアルジェントで、兵藤が何故そうしているのかも知らず顔を赤くしていた。
そんな時、さきほどの蒼雷龍が現れ、兵藤とスライム、触手に対して雷撃を放った。
どうやら、このドラゴンはアルジェントに懐いたようで、その外敵と判断して攻撃したらしい。
結局、今回の使い魔探しでは、兵藤は収穫が無く、アルジェントが蒼雷龍の子供を使い魔にして幕を閉じた。
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