ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
零弐side
駒王学園球技大会当日。
この日まで目下の目標だった部活対抗戦の時間になった。
当日の朝の内にドッジボールだという事はわかっていたので、今は体育館近くにいた。
そこで何故かアルジェントが学校指定のハーフパンツではなく、ブルマだったことに感涙していた。何でも桐生にドッジボールの正装がブルマで、兵藤も喜ぶと聞いたらしい。
気合が入った兵藤がチーム一丸となるため、あるものを用意していた。
『オカルト研究部』と刺繍がされたハチマキであった。
予想外の出来映えに塔城でさえ驚いていた。
しかし、祐斗は変わらず上の空だった。
だが、チームの士気が上がったのは確かだった。
そう思ったのも十数分前の事だった。
「狙え!兵藤を狙うんだ!」
「うおおっ!てめぇら、ふざけんなぁぁ!」
一回戦の相手は野球部。
さっきまで上がっていた士気が、兵藤一人でこのありさまだ。
理由は簡単だった。
グレモリー――駒王学園の二大お姉さまのお一人。大人気の学園アイドル。当てられない。
姫島――グレモリーと同じく二大お姉さまのお一人。学園のアイドル。当てられない。
アルジェント――二年生ナンバー2の癒し系天然美少女。しかも金髪!当てられない。
フェイ――二学年ナンバー1の人気を誇る美少女。しかも銀髪ツインテール!当てられない。
塔城――学園のマスコット的なロリロリ少女。当てたらかわいそう。
祐斗――全男子の敵だが、当てたら女子に恨まれる。当てられない。
俺――祐斗同様男子の敵だが、先日の出来事で怖い。当てたくない。むしろ殺される。
兵藤――なぜこいつが美男美女ばかりのオカ研にいるのかわからない。当てても問題ないだろう。いや、むしろ当てるべきだ。ちくしょう、死ね。あいつに照準を当てるんだ!ヘッドショットだ!死ね、死ぬんだ野獣め!
敵の気持ちが手に取るようにわかる。
たまにこっちに来るが、全部取ってブチ当てる。
塔城も逃げ回る兵藤に来るボールを取って、当てる。
同じ様に俺がこぼれ球なんかを拾って、容赦なく相手ないしウザいギャラリーにブチ当てて行った。
ギャラリーからも死ね死ねコールはやまない。
そうしているうちに、祐斗に行ったボールをイッセーが急所で庇って当たり、精神的に戦闘不能になった。
塔城が兵藤を運び、アルジェントが治療のために離脱した。
この後猛攻が起こり、オカルト研究部の勝利になった。
そして放課後になり、グレモリーが祐斗の頬を叩いた。
だけど、祐斗の様子はやはり異常だったが、ある一言からある程度推測ができた。
「僕は復讐のために生きている。聖剣エクスカリバー。それを破壊するのが僕の戦う意味だ」
さすがにただ事ではなくなってきたので、俺とフェイは祐斗を追いかけた。
土砂降りの中、傘をさしていないが、今の祐斗にはちょうど良かったみたいだった。
復讐のために生きる。
確かにそれが悪いとは俺たちからは言えなかった。
俺たちも復讐に近い思いで生きているのだから。
だが、井蛙に言われたことがある。
復讐のために生きて、それを成し遂げたらその後はどうするのだと。
生きる意味がなくなっては意味が無いのだと、そう言っていた。
しかし、今の祐斗にそれを言っても何も変わらないというのはわかっていた。
だから俺もフェイもあえて口に出さなかった。
その時、眼前に人の影が現れた。
神父だった。
だが様子がおかしかった。
すると腹部が血に染まり、血反吐を吐くとそのまま地面に倒れた。
その時、さっきを感じ祐斗を突き飛ばすと同時に、剣を抜いて攻撃を受け止めた。
雨の中、銀光が走り、火花が散った。
襲ってきた人物は長剣を持ち、聖職者と同じ格好――神父だった。
だが俺はそれを見ただけで否応なく不機嫌になって行った。
「やっほ。おひさだね。でも、そっちのははじめましてかなぁ」
嫌な笑みを浮かべる少年神父は祐斗を知っているようだった。
「祐斗。知り合いなのか?」
「知り合いなわけがない。前に戦ったことがあるだけだ」
「そうだね。ぼくも一度しか顔を合わせていないけどね」
祐斗が自身の
フェイが知っているとすれば、恐らくアルジェントの救出時の事だろう。
名前はフリード・セルゼン。
だが今聞きたいのはそんなことじゃなかった。
「てめぇ、一体どこで魔法使いと知り合った?」
「あぁ?何のことですか?」
「とぼけても無駄ですよ。あなたからは魔法使いが魔法を使う時に放出する魔力の粒子が付着しているんですから」
「あらら、そんなことがわかるんですかい」
「答えろ!おまえは魔法使いの間近で魔法を見ていたか、魔法を実際に受けたことがあるんだろ!」
「正解正解大正解!まっさかそんなことがわかるなんてねぇ、……殺しがいがあるってもんでしょ!」
高速で斬りかかってきたのを、受け止めると同時に俺とフェイは〝
祐斗も一緒に魔剣で攻撃を始めたが、もう二人神父がいたのか、斬りかかってきた。
「レイジくん!そいつはぼくがやる!」
「っち。わかった」
少し不安はあったが、祐斗にフリードを任せ、俺は出てきた二人の内の片方を相手にすることにした。
「おぉぉぉぉぉ!」
片割れが何も持たずに突っ込んできた。
だが確かにその手に何かを持っているのがわかった。
剣を突くようにして攻撃してきたのを弾くと、そのまま襟首を引っ掴み引き寄せた。
「〝フリック〟!」
腹部に膝蹴りを叩き込むと同時に、基本魔法で威力を上げた。
そのまま吹き飛んで塀にぶつかったところで、体を斜めから切り伏せた。
フェイの方はと言うと……。
「はぁぁぁぁぁ!」
槍で長剣と斬り合っていた。
だがさすがに小柄なフェイが短槍とはいえ、長い得物では分が悪い。
しかしフェイは冷静に槍についている鎖を相手の剣に巻き付け、自身の脇に引き寄せるように体制を崩させた。
「〝スパーク〟」
基本魔法の一つを相手の目の前で使うと同時に眩しいほどの光が一瞬起こった。
「がぁぁ!?目がぁぁ!?」
それにより相手は目を潰され、フェイの槍の餌食になった。
「苦戦しているようですね」
「そうだな」
目の前で繰り広げられているのは、祐斗とフリードの戦いだったが、どうも祐斗の方が押されている。
「あら?あらあら?もしかして俺っち一人になっちゃった」
さすがにフリードも俺たちが相手を倒したのには気づいたようで、すぐさまそいつらの持っていた剣を回収した。
「まっさかやられちゃうなんてねぇ。ま、俺っち一人でも十分だったんだけでねぇ」
「逃がすと思っているのか?」
「逃がしてもらうんだけどねぇ。ねぇねぇ、君たちさ、魔法使いについて教えてほしかったんでしょ?」
「だったらなんだ?」
「いやぁ、俺のボスのご友人からの素敵な素敵な伝言をお伝えしてあげようと思っただけなんですがねぇ」
「なんだっていうんです?聞くだけ聞いては上げますよ」
フリードは懐からボイスレコーダーを取り出して、再生した。
そこから聞こえた声を聞き、俺たちは震えた。
『久しぶりだな。クソチビにクソガキ。まだ首の皮繋がっているだろうなぁ?ちょっと待っていてくれれば、近いうちにそっちに行ってお前らを殺してやるからよぉ。首洗って待ってな』
「てことらしいから、バイチャ」
フリードはすぐに閃光玉を使って逃げた。
残されたのは、雨に打たれて佇んでいる俺とフェイ、祐斗だけだった。
「レイジくん。今のは?」
祐斗は自分の事もあるが、先ほどのことを聞いて俺たちを心配してくれた。
だが、そんな声は俺たちには入っていなかった。
「シュヴァレス・アイゼン。絶対に殺してやる」
「そうだね。今度こそ、完膚なきまでに」
降りやむ気配のない雨の音が儚く聞こえた。
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