ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~   作:ゼロ・ツー

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過去と決断

零弐side

 

フリードを退けてからしばらくして、部室に来客が来た。

だがその来客に問題があった。

教会。

カトリックとプロテスタントに所属する教会関係者だったのだ。

いくら女性二人だけとはいえ、悪魔達にはその危険性を察知しているようだった。

グレモリーと姫島は真剣な面持ちで話し合いに対応していたが、危なっかしいのがこの場に二人いる。

俺と祐斗である。

どちらも現役信者を嫌っているためである。

実際に不機嫌な雰囲気を隠すことなく醸し出している。

祐斗は怨恨の眼差しで睨んでいるのに対し、俺はただただ不機嫌な雰囲気を出しているだけだった。

そのため、兵藤やアルジェントはハラハラしていた。

そんな中、フェイだけは心配ないと言いたげな感じに普段通りだった。

話し合いの内容は、カトリック教会本部ヴァチカンとプロテスタント、正教会に保管、管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われたという話であった。

兵藤が話についていけなかったため、現在のエクスカリバーの状況も含めて説明された。

彼女たち、名前はそれぞれゼノヴィアと紫藤イリナが持っていたエクスカリバーは『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』と『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』というものらしい。

カトリック側に二本、プロテスタント側に二本、正教会側に二本、行方不明の一本。

総勢七本が今のエクスカリバーなのだが、各陣営にある一本ずつが奪われたらしい。

そして、奪ったのちこの地に運んできた犯人はすでに特定している。

堕天使組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部、コカビエルだという。

そこで今回、グレモリーたちに会いに来たのは、エクスカリバー争奪の戦い――つまり今回の事件に関わるなという依頼の為だった。

グレモリーは自分の家柄に誓って、堕天使と手を組まないと言った。

グレモリーもまた、二人に聞いた。

さすがに『神の子を見張る者』の幹部を相手に二人は少なすぎるという事を。

だが二人は、最悪エクスカリバーを堕天使側の手からなくすことだと言い、そのためなら死ぬ覚悟だと言った。

信仰の為なら死んでも構わない。

やはり、あのころから何一つ変わっていないというのが、今の言葉から理解できた。

話し合いが終わり、二人がそのまま出て行ってくれればよかったが、余計な種を蒔いた。

かつて『聖女』と呼ばれたアルジェントを『魔女』と呼び、未だに神を信じていると知るや否や、いまなら神も救いの手を差し伸べてくれるはずだと言って、斬り捨てようとした。

そんな彼女の行動を兵藤が起こって止めたが、価値観や理解の仕方の違いがやはり大きく出たために、まともな話し合いになっていなかった。

一触即発の雰囲気に、祐斗まで介入した。

 

「ちょうどいい。僕が相手になろう」

 

「誰だ、キミは?」

 

「キミたちの先輩だよ。――失敗だったそうだけどね」

 

祐斗の言葉と同時に部屋中に魔剣が出現した。

だが今の俺には邪魔でしかなかった。

 

「祐斗」

 

「レイジくん。キミだろうと邪魔は……」

 

「消せよ。邪魔だ」

 

刹那。部屋中の魔剣が砕けた。

誰もが驚愕の顔を浮かべていた。

無理もない。すでに俺が〝解除(リベレイト)〟しているとは誰も知らないのだから。

知っているとしてもフェイのみで、彼女自身も短槍は出さなくても俺と同じようにここに来る前にすでに〝解除〟をしていたのだから。

 

「信仰の為に死ぬだの、神が救いの手を差し伸ばしてくれるだの、本当に何も変わってねぇんだな。お前ら教会のクズどもはよぉ」

 

「貴様、主を愚弄するか?」

 

「そういう考えは古くせぇんだよ。むしろそんな考えは必要ねぇだろ」

 

「あなた、私たちの信仰をバカにするの?」

 

「バカにする以前に呆れてんだよ。見えもしない存在にすがって、救いを求め、自分たちの都合のいいものが現れたら祭り上げ、悪くなったら蔑む。変わらねぇだろ。昔っから、そうやって腐らせてきたんだからよ」

 

「ふん。何も知らないやつが、知ったような口をきくな」

 

「そうよ。主への信仰は素晴らしいものよ」

 

「何も知らないのはそっちだろ?俺はおまえらの知らないことだって知っているんだからよ。お前らみたいなのを平気で生み出すから俺やアルジェントのような存在を生み出すんだろ!平気な顔で『聖女』と祭り上げたアルジェントをそっちの都合で『魔女』と罵り、唯、魔剣を使えるというだけで俺を『裏切りの悪魔祓い(エクソシスト)』と唱え、平気な顔で殺そうとするんだろ!」

 

俺の言葉に、グレモリーたちは驚いていた。

恐らく俺が元教会関係者だという事にだろう。

 

「あなたがあの『裏切りの悪魔祓い』なの?魔剣レーヴァテインの使い手の?」

 

「なるほど。つまりお前は主の敵か。なら、この場で断罪してくれる!」

 

「面白れぇ!返り討ちにいてやるよ。実力の差ってのを思い知れ!」

 

俺がゼノヴィアの方へ一歩歩いたとき、とんと体に何かが当たった。

正体はフェイだった。

 

「レイジ。ぼくたちにはほかにやることがあるだろう。こんなところで無駄に遊んでいる場合じゃないでしょ」

 

フェイは至って冷静に、俺を宥めるように話しているが、その手には鉛筆が握られ、先端は俺の身体に当てられていた。

 

「……はぁ、わかった。確かにこんなところで油を売ってはいられにな」

 

「……逃げるのか?」

 

「勘違いしないほうがいいですよ。むしろあなたは逃がしてもらえたんですから」

 

俺とフェイは自分たちの荷物を持って、部室を出て行った。

 

「グレモリー。悪いがしばらく部活は休むからな」

 

そう去り際に言い残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、これからどうするんだい?」

 

場所を井蛙の診療所に移し、話し合いが行われている。

と言っても俺たちがどうしたいのかという事なのだが。

 

「遅かれ早かれコカビエルと一緒にいるだろうから、奴が行動を起こした時に一緒にことを構えることになるだろうな」

 

「気をつけなよ。君は確かに魔法使いだ。基本魔法もうまく使える上、特異魔法も使える。だけどね、それしかできないんだという事を忘れてはいけない。系統魔法を扱えていない魔法使いほど脆いものはない」

 

「わかっている」

 

「いくら化身(アスペクト)の能力が強かろうと、所詮はその程度だという事を覚えておくんだよ」

 

井蛙に言われるまでもなく、そんなことは分かている。

今まではレーヴァテインの能力に助けられていた。

だが、やはり系統魔法は必要だというのはわかっている。

何故それが使えないのかはいまだにわかっていなかった。

だからこそ今はレーヴァテインに頼るしかない。

 

「それはそうと、フェイたんもやっぱり戦うの?」

 

「当たり前だよ。あいつらはぼくたちを狙っている。ぼくたちはあいつらを追っている。向こうから来てくれるというのに、戦わないという選択肢は最初からないよ」

 

「でもさぁ、実力的には向こうの方が上なんでしょ?特に戦闘に関してはシュヴァレス・アイゼンの方が」

 

「……えぇ、ぼくたち二人がかりでも倒せるかは分からないね」

 

シュヴァレス・アイゼンの戦闘能力はトレイラーの中でもトップクラスで、単純に戦闘と言うだけなら恐らく一、二を争うほどだろう。

だからと言って、俺たちは引けないし、引く気もない。

 

「井蛙、頼みがある」

 

「なんだい?」

 

「もしものときは、頼む」

 

「……わかったよ」

 

頭を下げて頼むのは数えるほどしかなかった。

だが、井蛙はそんな俺の中にある思いに気づき、了承してくれた。

 

「ただし、条件がある」

 

「なんだ?」

 

「決して死んではいけない。生きていれば僕が全力で生かしてあげることはできるんだからね」

 

「あぁ、わかった」

 

こうして、俺たちのトレイラーとの戦いは再び始まろうとしていた。

 




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