ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~   作:ゼロ・ツー

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実力の差

零弐side

 

フェイの方に自立兵器が向かってすぐに、俺とシヴァは挌闘戦に入った。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

「おらぁぁぁぁ!!」

 

速度では圧倒的にシヴァに分がある。

しかし、一撃の威力なら俺の方に分がある。

ならそこを衝くまでである。

 

「〝マイクロシューター〟!」

 

左手に魔力の塊を作りだし、簡易の魔導砲を放った。

シヴァがこれを避けたときに切り込もうと考えた。

 

「あめぇんだよ!」

 

シヴァはトンファーを回転させて、魔導砲の盾にした。

 

「〝フルージング・シュトゥルム〟」

 

魔導砲はトンファーに当たった瞬間にかき消されていた。

いや、正確には違かった。

シヴァの使った魔法は、触れたものの寿命をゼロにしているだけなのである。

魔力にだって、その場にいるのには限界がある。

人間だって生きているのに限界がある。

つまりはそう言ったものを総称して寿命と呼んでいるのだろう。

そして、恐らく魔導砲を防いでいるのは、魔導砲自体の砲撃距離をゼロにした上に、魔力の寿命をゼロにしているのだろう。

だがこんな魔法は、前に戦った時は見た事が無かった。

 

「テメェだけが強くなったと思ってるんじゃねぇぞ、クソガキ!」

 

シヴァの魔法について考えている隙に、目の前まで接近されているのに気付かなかった。

頭部に一撃をもらい、後方に吹き飛んだと思ったら、腹部にも一撃入れられて、地面に叩きつけられた。

 

「おいおい、こんなんで倒れないでくれよ。まだ、俺はテメェを殴りたりてねぇんだからよぉ!」

 

「だ、れが、倒れるかよぉ!!」

 

地面を蹴り、一気にシヴァに斬りかかった。

しかし、トンファーをクロスするようにして防がれたが、脇の下から出した手の平を向けた。

 

「〝ショット〟」

 

「グッ、やるじゃねぇか、クソガキ!」

 

セリフと一緒に蹴りが飛んできたが、それを左腕で受け止めた。

 

「おぉぉぉぉ!」

 

「な!?グハァ!?」

 

すぐさまレーヴァテインの柄を腹部に叩きこんだ。

それによってシヴァと距離が開いた。

そのまま一気に接近し、左手に握り直したレーヴァテインで斬りかかった。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

「なめてんじゃ、ねぇぞ!!」

 

シヴァもトンファーで殴りかかってきたが、寸前に避けながら剣で軌道を変えた。

それと同時に、左手に持っていたレーヴァテインから手を離し、空中で右手に持ち替えた。

入った!

そう確信した。

 

「だから甘ぇって言ってんだろ。クソガキ」

 

シヴァの言葉の直後、目の前から姿が消えた。

それと一緒に、右腕に幾重もの切り傷が出来た。

 

「グアァァァァ!」

 

右腕を庇いながら、痛みに耐えた。

簡単な治療魔法を使っても、今は止血程度しか効果を出せなかった。

そして、シヴァの姿を見ると、あまり変わっていないようにも見えるが、大きく変わった点があった。

両腕である。

トンファーを持っていた両腕には、籠手のようなものが装備されていた。

かすかにトンファーの名残があったが、それもほとんどないに等しい。

腕に平行になるように、波打った刃が生え、その間には棘が生えていた。

端のところからは玉鎖が伸びていた。

 

「形状、変化の武器かよ」

 

「そうさ。名前は〝イルアングライベル〟っていうんだがな、これがまた使い勝手がいいったらありゃしねぇんだ」

 

「くっそぉぉぉぉぉ!」

 

左手に持ち替えたレーヴァテインで斬りかかろうとしたら、すでに目の前にシヴァがいた。

 

「だからよ、簡単には死なないでくれよ。つまんなくなるからよぉ」

 

次の瞬間には、腹部にイルアングライベルの先端部分が叩き込まれた。

真面に直撃を受けて、そのまま地面に向けて吹き飛んだ。

途中、何かに阻まれたようになったが、それすら突破した。

落ちた場所は、駒王学園のグラウンドだった。

 

「レイジ!」

 

フェイもファングを潰してきたのか、俺の近くに降りてきた。

グラウンドでは、兵藤とコカビエルが一戦行おうとしているところだった。

しかし、そちらも満身創痍の様だった。

コカビエルの近くにシヴァが下りて行った。

 

「よぉ大将。まだこっちは終わっていなかったのか?」

 

「なぁに、ただ余興を楽しんでいただ。そっちこそまだ終わっていないみたいだが?」

 

「あいつらをバカにしちゃいけねぇよ。あんなんでも一度は俺を負かしたやつらなんだからな」

 

「ほぉ、なら俺があいつらと一緒に遊んでやってもいいぜ」

 

「へぇ、それはそれで面白そうだな」

 

「お前いきなり現れて何者だよ!」

 

「手を出すんじゃねぇ!お前らが束になっても勝てやしねぇ!」

 

兵藤がシヴァに叫んだが、俺が一括した。

 

「そうだぜ、赤龍帝のボウズ。そこにいるクソガキかクソチビに聞いたはずだぜ」

 

その言葉に、グレモリーたちも驚いた。

俺とフェイが束になってやっと勝てるかという奴が目の前にいるのだという事にである。

実際、俺もフェイも傷を負い、肩で息をしているのに対し、シヴァは軽いとは言い難いが、俺たちよりもはるかに軽傷な上、息もそんなに上がっていない。

 

「それより大将。余興ってんなら、もっと面白いもんがあるぜ」

 

「ほぉ、それはどういう……」

 

コカビエルのセリフの途中、シヴァの腕が振るわれた。

その直後、コカビエルの全身に切り傷が生まれた。

誰もがその光景に驚きを隠せなかった。

 

「し、シヴァ。貴様、何を……」

 

「何って、これだけやってわかんねぇのか?テメェを潰してるんだよ!」

 

シヴァが地面に倒れたコカビエルを踏みつけた。

 

「大体、テメェみてぇな低能が、俺より強いわけがねぇだろう!テメェは堕天使の幹部かもしんねぇがな、俺は魔法使いだぞ!それがテメェごときに劣るわけがねぇだろうが!」

 

途中途中コカビエルを踏みつけながら、そう罵っていた。

 

「あなた、一体何が目的なの!」

 

「おうおう、その髪、まさかグレモリー家の悪魔か?ってことはおまえがリアス・グレモリーだな。俺の目的はなぁ、そこにいるクソチビにクソガキをぶっ殺すことだけだよ!!」

 

「だったらなぜ、堕天使と手を組んだの!」

 

「そんなのは簡単だ。魔法使いが最強だと知らしめるためさ!こいつは堕天使こそが最強と言っていたがな、魔法使いこそっていうのを教えてやるためだよ」

 

「……狂ってる」

 

シヴァの答えに、グレモリーがそう呟いた。

 

「元からですよ。あいつはね」

 

「あぁ、昔っから変わらねぇ」

 

「言うようになったな、クソチビにクソガキ。だったらよぉ、さっさと殺し合い続けようじゃねぇか!!」

 

シヴァが、地面を蹴ってこちらに近づこうとした瞬間、声が響いた。

 

「そこまでだ」

 

声の主は、相原井蛙だった。

 

「井蛙、来てくれたのか」

 

「大丈夫?フェイたん」

 

「七美も来てくれたんだ」

 

「当たり前でしょ!」

 

祠堂七美も一緒にいた。

 

「テメェ、冥土返し(ヘヴンキャンセラー)か?」

 

「確かに僕はそう呼ばれた時もあった。だけど今はしがない診療所の医師だ」

 

井蛙がちらりとこちらを見た。

七美はフェイから治療を始めていた。

 

「キミがどんな目的でここに来たかは知っているが、僕の患者に手を出さないでもらおうか」

 

「へ、だったら、その患者を守って見せろ!」

 

一瞬にして井蛙に近づいたシヴァは、その胴体を切り裂いた。

しかし、井蛙に変化はなかった。

 

「なに?」

 

「キミじゃ、僕の実態を捉えることはできないよ」

 

俺のすぐ脇に出現した井蛙はシヴァにそう告げた。

井蛙の系統魔法は、幻術魔法である。

その幻術魔法は、〝認識阻害(オブソートレコジネイト)〟。

つまりは相手の認識を変える魔法能力である。

因みに七海の系統魔法は、生物魔法である。

その生物魔法は、〝水流操作(スターリジェネレーション)〟。

水を操作することに長けた魔法能力である。

井蛙が言葉と同時に、ある詠唱をした。

 

「〝実在と仮構の狭間を行き交う幻術魔法を結合する〟」

 

それは本来、幻術魔法使いが二人は必要なものであった。

 

「〝我の魔力を糧とせよ〟」

 

この詠唱に対し、さすがのシヴァも驚きを隠せていなかった。

 

「〝幻獣生成魔法を発動する〟」

 

何せ、井蛙の呼び出したのは……。

 

「〝召喚(きた)れ ワイバーン〟」

 

上級の魔法生物なのだから。

現れたワイバーンは、全長十メートルはあった。

黒い鱗に覆われたその体は、見たものを畏怖させるかのようだった。

 

「さて、ここでキミに選択肢を上げよう」

 

「選択肢だ?」

 

「大人しく帰るか、ここで殺されるかだ」

 

井蛙の言葉からは、それだけのことが出来るという強さを感じた。

それを感じたのは俺だけではなかった。

 

「あ~あ、仕方ねぇ、今回は引いてやるよ。だがな、次こそは殺してやるぜ、クソチビ、クソガキ」

 

そう言ってシヴァは魔法陣で転移して消えた。

 

「ふぅ。さて、今度はキミだ。キミはそうするんだい?」

 

「気づいていたのか?さすがにこんなものを見せられては俺も引くしかないだろうな」

 

何処からか、声が聞こえた。

すると、空から光が下りてきた。

 

「白龍皇だね」

 

光が落ちてきたことに、みんなも驚いた。

 

「あなたも強そうだが、今は仕事を優先させてもらおう」

 

そして、コカビエルと倒れていたフリードを担いだ。

 

『無視か、白いの』

 

『起きていたか、赤いの』

 

赤龍帝と白龍皇の会話のようだった。

 

『せっかく出会ったのにこの状況ではな』

 

『いいさ、いずれ戦う運命だ。こういうこともある』

 

『しかし、白いの。以前のような敵意が伝わってこないが?』

 

『赤いの、そちらも敵意が段違いに低いんじゃないか』

 

『お互い、戦い以外の興味対象があるという事か』

 

『そういうことだ。こちらはしばらく独自に楽しませてもらうよ。たまには悪くないだろう?また会おう、ドライグ』

 

『それもまた一興か。じゃぁな、アルビオン』

 

光が空に上がり、遠のいて行った。

そこで、俺の意識は途切れた。

 




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