ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~   作:ゼロ・ツー

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戦闘後と和解

零弐side

 

目を覚ますと、そこは知っている天井だった。

どうやら、あの後に倒れた俺を井蛙が自分の診療所で治療してくれたみたいだった。

実際、この部屋は診療所の病室なのだというのは知っているからである。

窓の外を見ると、すでに日が昇り始めていた。

体を起こそうとしたが、体の節々に痛みが軽く走った。

 

「こら。まだ起きちゃダメよ」

 

扉が開かれて、入ってきたのは七美だった。

起き上がろうとした俺をベットに横にさせた。

 

「まったく、いくら軽傷とはいえ、傷はまだ残っているんだから。特に右腕は動かしちゃダメよ」

 

右腕を見ると、包帯が何重にも巻かれていた。

そこで初めて、気づいたことがあった。

 

「フェイ」

 

そう。フェイが俺の腹に上半身を覆い被せるようにして寝ていたのだった。

彼女自身も体のあちこちに包帯が巻かれていて、着替えることもしないで、あの時の格好のまま寝ていた。

恐らく、七美が掛けたのであろうと思う白衣を羽織っていた。

 

「フェイたんもね、自分の怪我なんて気にしないでずっと付っきりで見ててくれたんだからね」

 

七美は呆れつつ、何処か嫉妬したように言ってきたが、その顔はそうなることがわかっていたかのような表情だった。

 

「……ん」

 

動かせる左手でフェイの頭を撫でてあげると、気持ちよさそうに声を漏らした。

しかしながら、そんな行為を七美が羨ましそうに見ていた上、嫉妬じみた視線を向けてきた。

 

「おや、起きたんだね」

 

「井蛙。それに……サーゼクスか」

 

「やぁ、零弐くん。久しぶりだね」

 

病室の中に入ってきたのは、井蛙と以外にもサーゼクスだった。

恐らくは、コカビエルの件の事後処理のために来ていたついでに、ここに来たのだろう。

 

「大変だったようだね。そんなに強かったのかい?そのトレイラーの魔法使いと言うのは」

 

「いや、完全に手加減されていた。本気で来てたら、こんなんじゃ済まなかった」

 

実際、形状変化の武器を持っていながら、始めから変化させていなかったところを見るだけで、様子見だったのは明らかだった。

それにも関わらず、俺はこのありさまである。

実力の差は明白だった。

 

「そうか。……実は近いうちに三すくみの代表が集まって会談を行うことになったんだが、できれば君たちにも出席してもらいたいんだ」

 

「俺たちに?一体何のために?」

 

「これまで魔法使いと言う存在は公にはされてこなかった。だが、今回の件で各陣営にその存在の大きさが知られたはずだ。そこで魔法使いとの関係を持っておこうと思って、君たちを招待することにしたんだ」

 

「何故俺たちなんだ?」

 

「君たちが話していたことが本当であれば、君たちとトレイラーは敵対関係にある。堕天使側、つまりアザゼルから聞いた話だと、トレイラーは独自に接触してきていただけで、同盟でも仲間でもなんでもないという事がわかった。と言うことは、向こうが敵対してくる可能もある。それなら、敵対の可能性の少ない君たちがと思ったんだよ」

 

「君はどう考えるんだい?僕はすでに魔法使いとして一線を退いている身だからね。今回の件は、僕ではなく君が決めるべきだ」

 

「俺は……。わかった、出よう」

 

「有難い。詳しいことは追々リアスを通じて伝えることになるだろう。それじゃ、失礼する」

 

そう言い残して、サーゼクスは帰った。

残った俺は少し不安が残った。

恐らくサーゼクスは今回の件を受けて、悪魔側から支援を出そうとするだろう。

だが問題はそこじゃない。

魔法使いは、それだけで相当の実力がある。

下級の魔法使いであれば、中級クラスの悪魔は簡単に倒せる。

まして、上級の魔法使いともなれば、神すら倒せるほどだろう。

そうなれば、危ういのは悪魔側だ。

だからこそ、可能な限り魔法使いの戦いには巻き込みたくなかった。

いくら魔法使いの数が大幅に減っているとは言ってもである。

 

「随分と悩んでいるみたいだね」

 

「そりゃ悩むさ。こんなことになればさ」

 

「そうだね。でも、次はないよ。僕もこれからは手助けはできない。それだけは忘れないでくれ」

 

「あぁ、わかっているつもりだよ」

 

「ならいいんだよね」

 

井蛙が部屋から出て行くと、七美もそれに続いて出て行った。

 

「無理に体は動かさないようにね」

 

何て事を言われたが、今はとてもそんな気分じゃなかった。

フェイを起こさないように、体をずらしながら上半身を起こした。

 

「ん……あ、ぼく、寝ちゃってたんだ」

 

「よぉ、フェイ。おはようさん」

 

さすがにそううまくいかず、体を揺すった衝撃で、フェイが起きてしまったので、仕方が無いように、挨拶をした。

一瞬、フェイが固まったように見えたが、次の瞬間には俺に抱き着いてきた。

 

「ッ!?ふ、フェイ、少しは加減してくれ」

 

「バカ。心配かけさせておきながら、どの口が言うんだ」

 

「だけど、大丈夫なのはお前も知ってただろ」

 

「わかってる。そんなこと……」

 

小さく肩を震わせながら泣き始めたフェイを優しく抱きながら、慰めるように頭を撫で続けた。何度も何度も。

 

 

 

 

 

 

 

 

コカビエル襲撃、それに加えたシヴァとの戦闘があって、数日。

二日ほど療養のため学園を休んでいたが、療養明けに、右腕にギブスをして登校すると、案の定いろんな人に心配されて、声を掛けられた。

そして、それから暫くした日。

いつものように部活に顔を出すと、意外な人物がいた。

ゼノヴィアだった。

ただし、駒王学園の制服を着ていた。

 

「やぁ、赤龍帝」

 

「なっ……なんで、おまえがここに!?」

 

「なんだ、悪魔になったのか」

 

俺の言葉に兵藤が驚愕の声を上げた。

しかし、ゼノヴィアもそれに反応するように、黒い翼を生やした。

どこからどう見ても、悪魔の翼である。

 

「神がいないことを知ったんでね、破れかぶれで悪魔に転生した。リアス・グレモリーから『騎士(ナイト)』の駒をいただいた。デュランダルがすごいだけで私はそこまですごくなかったようだから、ひとつの消費で済んだみたいだぞ。で、この学園にも編入させてもらった。今日から高校二年生の同級生でオカルト研究部所属だそうだ。よろしくね、イッセーくん♪」

 

「……真顔でかわいい声を出すな」

 

「イリナの真似をしたのだが、うまくいかないものだな」

 

そういうものなのかとツッコミたくなった。

グレモリーはデュランダルの使い手が眷属にできたことに満足していたが、ゼノヴィアが何かをぶつぶつ呟きながら頭を抱えだしもした。

本当に大丈夫かと心配になる。

紫藤イリナに関しては、エクスカリバーの欠片を持って帰ったらしい。

神の不在のことは聞かなかったらしく、ゼノヴィアとは喧嘩別れしたという。

グレモリーからも今回の件で三すくみの会談が行われることが告げられた。

ゼノヴィアは俺とアルジェントに対して、自分のとった行動を謝ってきた。

アルジェントは素直にそれを許して、友達になった。

俺はと言えば……。

 

「君にも済まなかったと思っている」

 

「……」

 

「君の考えにも一理ある筈なのにもかかわらず、私は聞く耳を持とうとしていなかった」

 

「……」

 

「許してくれとは言わないが、これだけは言わせてくれ。すまなかった」

 

「……」

 

「おい、蒼薙。何か言ったらどうだ?」

 

「……はぁ、正直俺は聖書に記載された神の不在についてはずいぶん昔に知っていた。それを除いても、教会は見限っていた」

 

俺の言葉に、ゼノヴィアは一瞬、ビクっとなった。

 

「だが、俺が見限っているのは教会って組織事態だ。誰も個人を恨むつもりもない。むしろ、今回のことである程度経験できたみたいだろうからな」

 

「なら……」

 

「俺があのとき言っていたのは、おまえの教会のバカげた考え方についてだ。別にオマエ個人を恨むつもりはないから、顔を上げろ」

 

「……ありがとう」

 

別に礼を言われるほどでもないのだが、何故か気恥ずかしくなり、頬を掻いた。

それを見て兵藤が何故かウザかったから制裁を加えたのは別の件である。

そして週末。

さすがに療養のため兵藤達の誘いは断ったが、次があればまた誘ってくれとだけ言ったのだが、まさか、休み明けには兵藤と祐斗のBL説が加速することになるとは思っていなかった。

 




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