ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
零弐side
駒王学園の中にあるどこかの教室の中に飛ばされた俺とフェイ。
周りには、乱雑した机や椅子、机の中に入っていた教科書などが散らばっていた。
「ガフッ!」
こみ上げてきた血を吐き出しながら、大分体がやられてきているのを実感した。
「ふ、フェイ。大丈夫か?」
「大丈夫……って言いたいけど、少し無理がある」
俺が校舎の壁にぶつかるとき、フェイを庇うようにして、自分の背中から突っ込んだため、俺に抱かれるようにフェイがいる。
しかし、体の方はだいぶダメージか来ていた。
先ほどよりも時間が経っているため、額や腕、足などのあちらこちらから血を流し始め、咳き込むと一緒に血が出てきていた。
服装も大分ボロボロになり、溶けた服の間から血のにじんだ白い肌が見え、ストッキングもところどころ破けている。
俺自身も、額から流れた血の所為で左目が開けず、フェイよりも体の大きなせいで、溶ける部分は多かった。
服装も、袖口や襟はほとんど解けて、流れ出ている血が露わになっていた。
「おうおう、大分参って来たみたいだな」
「大人のストッキングを破るより、子供の方が悪いことをしているみたいだよなぁ?」
「だ、まれ、クソがぁぁぁ!」
「おいおい、そんな状態で立つもんじゃないぜ?それに……」
「な、に……ぐ……ッ、グハッ!?」
「……ゲホッ!?」
「あ~、言わんこっちゃない。もうそろそろ二十五分だぜ。骨まで来てんじゃねぇか?」
「ほ、ざけぇぇぇ!」
〝フリック〟で地面を蹴り、シヴァに斬りかかったが、先ほどまでよりもあっさりと受け止められた。
「いまのテメェじゃ、俺に届きやしねぇよ!」
そのまま刃の部分で背中を斬られ、地面へと叩きつけられた。
「レイジ!」
「人の心配してる場合かよ!」
フェイも俺と同様に、踵落としを受けて、地面に落下した。
立ち上がろうにも、まるで生まれたての小鹿のように、手足を震わせる状況では、誰が見ても圧倒的に不利。
だからといって、引けるわけでもない。
俺もフェイも、魔力がほとんどない状態で、この状況の打破するには、大きく賭けに出なくてはいけない。
うまくいく確率はあまりに低い。
「だけど……やらなきゃいけねぇよな」
「あぁ、……そうだね」
フェイも同じ考えだった。
周りを見ると、とっくに時間停止の結界が無くなり、周りに被害が出ないようにする結界だけが張ってあった。
むこうで予想外だったことは、ヴァーリの裏切りである。
唯、兵藤とバトった後で、仲間と引き上げていくところだった。
それにより、悪魔と天使、堕天使の方の加勢も考えられるが、そうさせるわけにはいかない。
「……お前らは、今すぐに建物の中に避難してろ!絶対に外に出るんじゃねぇぞ!」
俺はなけなしの体力を使って叫び、そう指示した。
むこうは何が何だかわからないようだったが、こちらもそれに構っている暇はない。
「ほとんどの残ってない体力使ってどうすんだ?そんなんじゃ俺たちに簡単に頃さえちまうぞぉ!」
「出来るなら、……やってみろ!」
シヴァとローがこちらに向かってくるのと同時に、俺が迎え撃った。
フェイはミスティルテインを〝ブラックドア〟で上空に飛ばし、遠隔操作を始めた。
「〝堅城なる
ミスティルテインの先が開放し、大きく円弧を描き始めた。
「〝
凄まじい速度で回転し始め、鉛筆の部分からは漆黒の粒子が円に縁を濃く、空を削り闇を創るように描いていた。
フェイが腕を振り下ろすと同時に、動きを止め、最後の詠唱と共に、描かれた円の内部が球状に陥没した。
「〝スペースアーク〟!!」
自然現象ではありえない風速で、空気ごと球体に吸い寄せたそれは、大気圏への扉である。
周りにいた悪魔や天使、堕天使はそれに巻き込まれ、数人が吸い込まれていった。
代表人などは何とか校舎の中に避難して、結界でやり過ごしている。
他の奴らは、結界の外に転移してやり過ごすものや、結界を張ってやり過ごすものも居た。
「やはり、戦いってのはこうでなくちゃなぁ!クソチビにクソガキ!」
「そうだなぁ、遊んでやるよ。お前らが溶けるのが先か、俺たちが吸い込まれるのが先か!」
俺とフェイはフェイの作った別次元への扉を開け、その吸引力の拮抗で耐え、シヴァとローは〝フロート〟を強化して耐えていた。
「〝遍く
ローの身体が、魔力の粒子で赤い霧に覆われたように完全に見えなくなった。
「〝
声だけが赤く染まった視界の奥から聞こえた。
「〝マテリアルペースト〟!」
直後、まともな思考が取れなくなった。
それはフェイも同じで、二人とも身体を尋常ではない震えで支配された。
ローの物質すべてを内部から溶かす魔法によって、俺たちは内部から破壊されていくのを感じた。
口から、鼻から、毛穴の一つ一つから血が溢れ出しているようだった。
フェイは半分も意識のない状態だった。
唯俺は、まだ意識を保つことが出来た。
そして、最後の賭けに出た。
フェイの作った異次元への扉から出て、シヴァとローのところに向かった。
「〝フロート〟!」
「こいつ、バカかぁ!」
シヴァとローに激突し、揉みくちゃになりながらも、確実に球体に近づいて行った。
この魔法を出し続ければ、フェイの方が持たない。
だからこそ、早く決着をつけなくてはいけない。
「〝インフィニット・レイディアス〟」
フェイが無意識に援護のために魔法を使った。
通路を広げ、吸引力を増させたのだ。
「こ、のぉ!クソガキがぁぁ!!」
シヴァの攻撃で、俺は引き剥がされた。
三人で同時に〝フロート〟を強化して、吸引力に抗った。
だが、俺はシヴァとローの目の前にいる。
このチャンスを見逃さない。
「これが……俺の、全力だぁぁぁぁぁ!!」
二人が動くその前に、俺は残っている魔力全てを使って、自身が出せ、尚且つ世界への影響を抑える程度の威力の魔導砲を撃った。
「〝レーヴァテイン〟!!」
先ほどよりも規模の大きい魔導砲は、シヴァとロー、二人を呑みこんで、球体へと吸い込まれていった。
数秒間の放出が終わった後、フェイが止めた。
「〝ジエンド・オブ・ザ・ライン〟」
ミスティルテインが逆回転をして、次第に球体が小さくなり、最後には消えて行った。
フェイが開けた別次元の扉も消えると同時に力尽き、地面に体を横たわらせた。
ミスティルテインも、フェイの脇の地面に突き刺さった。
俺も、フェイの近くへと自由落下していった。
その衝撃だけで、体に悲鳴が上がった。
だが、ローの魔法は切れていた。
「終わったのか?」
誰かの声が響いたが、終わったという実感がわかない。
俺とフェイが倒れているのにもかかわらず、七美が助けに行こうともしないからだ。
兵藤たちが駆け寄ろうとし、七美がそれを制止させた。
「蒼薙!」
「レイジくん!」
「そっちに行ってはダメ!」
「……く、るな!お前ら!」
その時、兵藤たちと俺たちの間に何かが落ちてきた様だった。
「やってくれたな、クソチビにクソガキ」
その場にいた誰もが気づいたが、それと同時に驚いてもいた。
シヴァとローが傷を負いながらも、立っていたのだ。
ただし、魔力もほとんど残っておらず、肩で息をしている状態だった。
シヴァは額から血を流し、ローはところどころ焦げたような感じだった。
あれだけの攻撃を間近で受けて、まだ立っていられる。
そのことが、魔法使いの恐ろしさを物語っているように感じていた。
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