ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~   作:ゼロ・ツー

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魔法使いの戦いⅢ

イッセーside

 

俺は裏切りをしたヴァーリと戦いを終えて、蒼薙とフェイちゃんの方に加勢に行こうとしたけれども、そこで目にしたのは、俺の戦い何て比較にならないような争いだった。

禍の団(カオス・ブリケード)』側のトレイラーとかいう組織に魔法使い二人と戦っている蒼薙とフェイちゃんの姿は俺たちとは比べ物にならないほどに痛々しかった。

 

「……お前らは、今すぐに建物の中に避難してろ!絶対に外に出るんじゃねぇぞ!」

 

蒼薙が、立っているのもつらいはずなのにそう叫んできた。

すると、相手の魔法使い二人と蒼薙が互いに攻撃を再開した。

そして、その戦闘とは別にフェイちゃんの持っていたコンパスのような槍が上空に出現した。

 

「〝堅城なる蒼天(そうてん)に位相の常闇(やみ)開放(ひら)くとき〟」

 

コンパスの先が開放し、大きく円弧を描き始めた。

 

「〝凍結(いてつ)き!滅息(いきづま)り!遠逝()け!〟」

 

凄まじい速度で回転し始め、鉛筆の部分からは漆黒の粒子が円に縁を濃く、空を削り闇を創るように描いていた。

 

「……まさか!?みんな、急いで結界を張って!」

 

近くにいた祠堂さんがそう叫んできた。

みんな、なにがなんだかわからない様子だった。

だけどすぐにその理由がわかった。

フェイちゃんが腕を振り下ろすと同時に、動きを止め、最後の詠唱と共に、描かれた円の内部が球状に陥没した。

 

「〝スペースアーク〟!!」

 

自然現象ではありえない風速で、空気ごと球体に吸い寄せたそれはブラックホールの様だった。

周りにいた悪魔や天使、堕天使はそれに巻き込まれ、数人が吸い込まれていった。

俺たちは、校舎の中に避難して、サーゼクスさまやレヴィアタンさま、アザゼルやミカエルさんがすぐに結界を張ってやりすごしている。

外にいた悪魔なども、結界の外に転移してやり過ごすものや、結界を張ってやり過ごすものも居た。

自分の視線を蒼薙たちの方に向けた時、自分の目を疑った。

蒼薙が、魔法使い二人に激突し、球体に吸い込まれていこうとしているのが見えたからだった。

だけどすぐに引き剥がされていたが、吸引力が強いためか、それほど離れなかった。

 

「これが……俺の、全力だぁぁぁぁぁ!!」

 

次の瞬間、蒼黒い魔力の魔導砲が撃たれていた。

 

「〝レーヴァテイン〟!!」

 

その景色を見ると、誰もが魔法使い二人が死んだとも思えるほどだった。

数秒間の放出が終わると、次第に球体が小さくなり、最後には消えて行った。

フェイちゃんも力尽きたのか、地面に体を横たわらせた。

コンパスは、フェイちゃんの脇の地面落ちてきて、突き刺さった。

蒼薙も、フェイちゃんの近くへと自由落下していった。

 

「終わったのか?」

 

誰かの声が響いたが、終わったと誰もが思った。

唯、祠堂さんだけが未だに険しい顔をして、助けに行こうともしない。

俺たちは蒼薙とフェイちゃんのもとに駆け寄ろうとしたが、祠堂さんがそれを制止させた。

 

「蒼薙!」

 

「レイジくん!」

 

「そっちに行ってはダメ!」

 

「……く、るな!お前ら!」

 

その時、蒼薙たちと俺たちの間に何かが落ちてきた様だった。

 

「やってくれたな、クソチビにクソガキ」

 

その場にいた誰もが気づいたが、それと同時に驚いてもいた。

先ほど砲撃を受けたはずの二人が傷を負いながらも、立っていたのだ。

ただし、魔力もほとんど残っておらず、肩で息をしている状態に見えた。

片方は額から血を流し、もう片方はところどころ焦げたような感じだった。

あれだけの攻撃を間近で受けて、まだ立っていられる。

そのことに、俺たちは恐怖心すら覚えていた。

 

「まったく、まさかここまで俺たちが追いつめられるとはな」

 

「だがまぁ、これまでって所だろうなぁ。このクソガキがぁ!」

 

もう動くことすらできない蒼薙の腹に蹴りが入った。

それだけで、声すらあげることが出来ていなかった。

 

「あいつら!」

 

「……いけない!」

 

俺がぶっ飛ばすために駆けだした瞬間、目の前に水の壁が出来た。

 

「〝スプリングウォール〟」

 

「何で邪魔するんですか?」

 

「駄目よ。今のあなたが行っても、あなたが殺されるだけよ」

 

「じゃあ、どうすればいいんだよ!」

 

「落ち着きなさい、イッセー」

 

部長が、俺を抑えてきた。

 

「何か方法はないのかい?」

 

「ないことはないけど……」

 

「だったら、どうすればいいんですか?」

 

「……本気で殺しに行くしかない。いくら魔力の消費が大きくても、彼らはトレイラーの幹部よ。油断できない」

 

「なら、それで行くしかないみたいだね」

 

「なぁに、これだけの戦力だ。やれるだろ」

 

サーゼクスさまたちが作戦会議をしていると、水の壁の向こうから叫び声が聞こえた。

蒼薙とフェイちゃんの声だった。

 

「本当だったら、あなたたちに戦わせないように言われてたけど、私はフェイたんを助けたいからね。行くわよ!」

 

水の壁が二つの渦に変わり、相手の方に飛んで行った。

だけど、それが当たることはなく、当たる前に霧散した。

 

「今よ!!」

 

「行くわよ!みんな」

 

「「「はい、部長!」」」

 

部長の合図と同時に、俺と木場、ゼノヴィアが飛び出て行った。

蒼薙とフェイちゃんを助けるために。

 

Side end

 

 

 

 

 

 

 

 

零弐side

 

何もない空間。だけどそこから外の様子が手に取るようにわかる。

 

「感じる。

聞こえる。

みんなが戦っているのが。

駄目だ。あいつらの相手は、俺たちじゃないと」

 

『だったら、どうするの?』

 

「俺が、立たなきゃ、戦わなきゃいけないんだ」

 

『でも、今の君は戦うどころか、立ち上がることすらできないよ。そんな状況で君は何ができるの?』

 

「何もできないかもしれない。

むしろ、足手まとい以外のなにものでもないのはわかっている。

だけど、あれは、あいつらとの戦いは、俺たちがやるべき責任でもあるんだ。

誰かを守るなんてたいそうなことは言わない。

誰かを掴むための手を。

その手を掴んでいるだけの力が俺は欲しいだけだ」

 

『そう。それが君の答えなんだね。レイジ』

 

目の前に誰かが現れた。見た事はない。名前も知らない。

だけど、その人を俺は知っている。

桜色の長髪を持つ、この女性を俺は知っている。

 

『はじめましてだね。レイジ』

 

「誰だ?」

 

『私は……うん、サクラ。私の名前はサクラ』

 

「サク……ラ?」

 

『そう、サクラ。ねぇ聞かせて。さっきのレイジの言葉。レイジはその手で誰の手を掴みたいの?』

 

そんなことは、何も考えなくても思い浮かぶ。

出会った時は命のやり取りをしたかもしれない。

だけど、これまでの長い時間。

俺の傍にいてくれた。

俺と一緒にいてくれた。

俺の背中を預けてきた。

俺と共に笑ってくれた。

怒ってくれた。

泣いてくれた。

そして、俺にその眩しい笑顔を向けてくれた。

 

「俺は、俺はあいつの、フェイの手を掴んでいたい。昔つかめなかった誰かの手のようにしたくない。

今度は、今度こそ、フェイの手を掴んでいたい。

唯それだけを望みたいんだ」

 

『うん。わかった。レイジの出した決断なんだね』

 

『七割くらい合格かな』

 

『いいよ。私が力を貸してあげる』

 

『だけど忘れないで、この力は世界を壊す』

 

『世界だけじゃない。他のものまで壊すかもしれない』

 

『それでも、使う覚悟はある?』

 

「その手を掴めるんなら、覚悟なんていらないだろ。

使えるかじゃない。

使うんだ。

それがどんなものでも」

 

『うん、そうだね。やっぱり私は、君を、レイジを選んでよかったよ』

 

『だから君に託す。だけど今回は、一時的なものだっていうのは覚えておいてね』

 

「あぁ、わかったよ。サクラ」

 

Side end

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者side

 

グラウンドでの戦闘は過激を増していた。

たった二人の魔法使い相手に、悪魔や天使、堕天使の軍勢はどんどんやられていった。

だが、決して押されているわけではない。

魔王や堕天使総督、熾天使(セラフ)の奮闘もあり、押されているのはシヴァとローだった。

 

「こうなったら、これ以上の長居はできないか。おい、シヴァ!」

 

「あぁ?何だ?」

 

「こっちでこいつ等始末するから、一旦時間を稼げ!」

 

「いいぜ。やってやる!」

 

「やらせるかよ!」

 

「こっちこそ!」

 

一進一退の攻防の中、ローの日本刀が零弐の身体に向けられた。

 

「あばよ。クソガキ」

 

「マズイ!」

 

「クッソォォォォ!」

 

日本刀の刃が、零弐の心臓を突き刺した。

 

が、その前に何かに阻まれた。

レーヴァテインである。

 

「……レーギュルン、第七解放(セブンス・リビレーション)

 

消えそうな声で呟いた言葉だった。

だけど、何故かその場にいた者たちの耳によく聞こえた。

刹那、砂塵が舞い上がった。

ローはその勢いに飛ばされ、距離を取った。

砂塵の中央から現れたのは、体がボロボロで、あちこちから血を流して、立つことさえできなかったはずの零弐だった。

彼の周りは、黄金色の粒子と蒼黒い粒子が舞っていて、その手のはこれまで禍々しいオーラを放っていた筈のレーヴァテインが、どんな聖剣にも負けないほどの神々しいオーラを纏ったレーヴァテインになっていた。

 




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