ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
零弐side
その二つ連絡は突然だった。
リハビリの最中に届いた連絡は、片方はレヴィから、もう片方はグレモリーからだった。
レヴィからは、魔王の話し合いの際フォートップが来るという連絡で、グレモリーからは塔城がオーバーワークで倒れたという連絡だった。
その連絡を受け、リハビリを一旦中断し、グレモリー家の使用人に駒王学園まで迎えに来てもらった。
魔方陣で転移した先は、何とも豪華な城のような屋敷の中だった。
案内された先は、塔城の部屋だった。
部屋の前にはグレモリーが待機していた。
そこで聞かされたのは、少し衝撃的だった。
塔城はもともと猫又の中でも希少な猫魈と呼ばれる妖怪で、姉妹だったらしい。
姉が悪魔の眷属になることで安定した生活を送れていたが、ある時その姉が主を殺し、はぐれとなったという。
姉の二の舞にならないように塔城は処分されるところだったが、サーゼクスが上級悪魔たちを説得し、監視することを前提に生かすことにされたらしい。
笑顔と生きる意志を失った塔城をグレモリーが預かり、長い時間を掛けて今の塔城にまで感情を取り戻したらしい。
その話を聞き、部屋に入ると、丁度兵藤が出てきた。
どうやら、話は終えたらしく、その表情にも覚悟が見えていた。
俺は右足の怪我のためにうまく歩けないのを補助する目的でもっている杖を突きながら、部屋に入った。
フェイもその後に続いて入ってきた。
ベットに上半身を起こしている塔城とそのそばにいる姫島の姿を見て、そちらに近づいた。
「話は聞いたぜ、塔城」
「……レイジ……先輩」
「……バカじゃねぇのか?」
俺の言葉に、姫島が驚いていた。
塔城はしゅんとなっていた。
「お前のことについてはあらかたわかった。今回のことも、どうせ力を使うのが怖いっていう理由なんだろ?……ふざけるなよ」
そう言って、塔城の服を掴んでこちらを向かせた。
姫島は止めに入ったが、逆にフェイに止められていた。
「俺たち魔法使いの力が才能から来るように、お前の力だって才能から来ているもんだろ。元から持っている力を使おうとしなきゃ、いざって時に大切なものを失うことになるんだぞ!」
「だけど……猫又の力を使えば、私も……姉さまのように……そんなことは……あんなことはもうイヤなんです」
「それはお前の姉が出した結果だろ!お前じゃない!お前は、お前にしか出せない結果を出せばいいだろ!俺たち魔法使いだって、元から魔法が使えるわけじゃない。使い方を覚え、そのための知識を身に着け、実際に経験していくからこそ、魔法使いでいられるんだ!お前の力と同じなんだよ。使い方を誤れば、危険なのはどんな力だって同じなんだよ!」
俺は塔城の顔を両手で押さえて、間近で言い続けた。
「確かにお前は姉に裏切られたのかもしれない。だがな、俺やフェイは物心つくころには、捨てられてたんだよ、実の親にな。だけど俺たちは生きてるだろ!お前だって、助けられてここまで生きてるんだろ!なら、自分の生き方で生きてみろ!誰かの役に立ちたいんなら、自分の持てる力を使え!怖がっているだけじゃ、何も変わんねぇんだよ!」
そう言って俺は、塔城から離れた。
「お前自身の生き方を見つけてみろ。俺みたいに、手遅れになったら意味がない。それに案外、身近に生き甲斐を見つけられるぜ」
そう言い残して、俺とフェイは部屋を出た。
扉を閉めると、フェイは俺の脚を蹴ってきた。
「痛ってぇぇぇぇぇっ!?」
「まったく、あんなことしなくても他に方法があったでしょ」
「だからって、怪我してる脚を蹴るか普通?」
「そうだね。ぼくたちは普通じゃないからね」
「確かに他の方法はあったが、あれが一番伝わりやすいだろ」
「一番勘違いされるやり方でもあるけどね」
「それを言うか」
そんなことを言っているが、フェイも内心心配なのは顔を見なくてもわかる。
「あいつは強くなるさ。何せ、俺たちに似てるんだからよ」
「……確かにそうだね」
とりあえず、リハビリに戻って、一日でも早く戻れるようにすることが優先事項である。
あれからまた数日が経った。
大体兵藤やグレモリーたちが修行を始めたころと同じくらいにリハビリを始めたので、三週間たたないくらいだろう。
この日は、グレモリー領で魔王主催のパーティーがあるという事なので、それに参加することになった。
そして、このパーティーでウィザードブレスのフォートップと顔を合わせることになっている。
悪魔側からの冥界入国ルートを通り、会場近くの駅からリムジンで移動させてもらえた。
思ったよりも遅れてしまったために、パーティーも始まってしまっていた。
そのためか、パーティー会場に着いたとき、会場近くの森の中にグレモリーと兵藤が入っていくのが見えた。
「どうかしたの?」
「いや、兵藤とグレモリーが森の中に入っていくのが見えたんだが……」
「それはおかしいね。二人もパーティーには参加していた筈」
「という事は、何かあったとみるべきだろうな」
「そうだね」
俺とフェイは、会場には向かわずに、兵藤とグレモリーの方に向かった。
途中で元龍王である『
しかし、暫くすると、結界が張られ閉じ込められた。
そうすると、タンニーンのいる方で、大質量の火炎が起こり、空一面を覆い尽くした。
そのため、空を飛ぶのは危険と判断し、地面に降りて走って向かった。
少しすると、兵藤とグレモリーたちがいた。
唯、それだけでなく塔城、さらにもう一人誰かいた。
気配は悪魔の様だったが、どうやら塔城と同じ猫魈でもあるみたいだった。
恐らくそいつが、塔城の姉である黒歌とかいう奴なのだろう。
それを確認した直後、黒歌を中心に薄い霧が発生した。
その後にグレモリーと塔城が膝をついた。
「ふーん、赤龍帝だから効かないのかしら?この霧はね、悪魔や妖怪にだけ効く毒霧にゃん。毒を薄くしたから、全身に回るのはもう少し苦しんでからよ。短時間では殺さないわ。じわじわっと殺してあげるにゃん」
「やらせると思うか」
駆け付けた俺が、レーヴァテインを振り抜き、霧を払った。
「フェイ!」
「〝ファイブエム・アーセナル〟」
俺が三人を庇うようにした直後、フェイが魔法を使い、一メートル四方の扉が描かれ、そこから急激な吸収力で周りを吸い込み始めた。
人ならなんとか耐えられるほどの吸収力だが、霧だけはそうはいかず、全て吸収された。
全ての霧を吸収したら、扉が消えた。
「蒼薙、何で此処に?」
「あぁ、お前らが森の中に入ってくのが見えてな、そんで追っかけてきたわけだ」
兵藤の問いかけにそう答えると、黒歌の方に向き直った。
「さて、どういう状況か知らないが、戦うってんならやってやるぜ。リハビリがてらにな」
「なるほど、あなたが噂のレーヴァテイン使いの魔法使いかにゃ。これはさすがにマズイかな」
「そう思うんなら、さっさと引いてくんねぇか?こっちもリハビリがてらって言っても、きついのには変わりなんだからよ」
「とはいえ、片手間程度には相手してあげられますけどね」
黒歌もさすがに分が悪いのはわかっているみたいだった。
上空ではいまだにタンニーンが戦っていた。
戦っている相手は、闘戦勝仏の末裔である美候とかいう奴だった。
そのためか、簡単に引くことはできないみたいだった。
「で、結局どうすんだ?俺たちと遊ぶか?それともここで引くか?」
「ほぉ、なら儂と遊んでもらおうかの?」
そこで声が聞こえた。
すぐにその方に向き直り、剣を構えた。
そこにいたのは、スーツとハットを着こなした人よりも二回りも大きい体格の鰐と薄茶色のロングコートの上からマントを羽織り、腰のベルトには短剣を差し、軍帽のようなものを被っている一人の少女がいた。
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