ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
零弐side
この日最初に違和感を感じたことは、朝の出来事からであった。
俺とフェイは駒王学園二年で、それなりに顔が知られている。
理由としては、俺は一年の時から話をする間柄である木場祐斗と並ぶほどの容姿の為か人気があるらしい。
フェイはその見た目から子ども扱いされそうなのだが、大人びた雰囲気と口調のギャップが男女問わずに人気になっているらしい。
さらにそんな二人が同棲し、一緒に登下校し、校内でもよく一緒にいる為、顔が知られるのは必然的である。
そのため、俺は特に男子の一部から嫉妬まがいの目で見られる節がある。
そのうちの一つに、いつもと違うものを感じた。
自分たちの教室に行くと、何時もみたいに一部の男子から嫉妬まがいの視線を感じたが、そのうちの一つが、前までと感じていた物と全く違うものだったのだ。
視線の主は兵藤一誠だった。
この学園では松田、元浜という奴と合わせて変態三人組と呼ばれている奴である。
しかし、そいつは前までは何の変哲もないとは言えないが人間だったことに変わりはなかったが、今感じるのは悪魔としての気配だった。
おそらくはこの学園の悪魔の誰かに転生されたのだろうと考え、フェイには耳打ちした。
「……フェイ」
「……わかってる。あいつでしょ」
「……あぁ、警戒だけしておこう」
「……そうだね」
ただその行動は嫉妬まがいの視線をクラス男子全員から浴びる羽目になった。
とりあえずこの日は何時も通り過ごし、追々調べていこうと考えた。
放課後になり、俺とフェイはとある場所に向かった。
その場所はどこにでもあるような小さな診療所だった。
「どーも、定期健診に来ました」
「こんにちは」
「フェイたぁぁぁぁん!!」
入るなりいきなりフェイが押し倒された。
誰がやったかは明白だ。
祠堂七美。
ここの診療所の助手をしている人物で、ここにいる俺たちを助けてくれた魔法使いの医師の弟子でもある。
因みに、フェイをたん付けで呼ぶ上に、隙あらばセクハラ紛いの行為をするが、信頼できる人物でもある。
「もぉフェイたん二週間も来ていないんだもん。寂しかったのよー!」
「や・め・ろ!顔を近づけるな!どさくさに紛れてセクハラするな!と言うかいい加減に離れろー!!」
「やれやれ。七美は相変わらずだね」
フェイと七美が床に倒れて揉みくちゃしていると目的の人物が出てきた。
相原井蛙。
俺とフェイを助けてくれた魔法使いの医者で、『
その所以が、切断された腕を縫合痕すら残さず結合したり局所麻酔で心臓手術を行うなど、医師としての腕はズバ抜けており、どんな病気や怪我も治したことからだと聞く。また『何があっても患者を見捨てない』という信念の下、『必要とあらばどんなものでも用意する』と豪語し、医師として眉をひそめるような技術でも躊躇せず治療に利用するらしい。
蛙の顔に似ていることから『カエル顔の医者』と呼ばれることもしばしば。
最近では俺の治療と七美に自身の技術の伝授のためにこの地に腰を据えている。
「まぁ、二人はいつものことだから放っておいて、診察に入ろうか」
「あぁ、頼む」
フェイと七美の声を聞きながら、奥の部屋に入っていた。
診察は大体脈を測ったり、魔力を介して体の中の魔力回路の状態を調べる。
「うぅん。大分元の状態に戻ってきているみたいだね。昔に比べたら安定してきているみたいだしね」
「けど最近、左目に疼きが起こることがあるんだが」
「それについてはたぶん君の剣事態の問題だと思うね。君の剣はまだ謎が多いからね」
俺の剣というのは間違いなく魔剣レーヴァテインのことだろう。
確かに未だに使用している自分でも完全に使いこなすどころか、剣事態に振り回されている節が多い。
実際に使用していると、魔力や体力、精神力を大幅に消耗し、様々な調整を行っても、操作は困難を極めているのが現状である。
「とりあえず今できるのは魔導砲をぶっ放し過ぎないことだね。唯でさえ消耗が激しいんだから使用は控えるべきだね」
「確かにそうかもしれない。だけど……」
「必要なときに撃つなとは言わない。使用を控えるべきだと言っているだけなんだけどね」
過去に助けてもらった時は、度重なる戦闘で体はボロボロ。体力や精神力も大幅に消耗していたため、意識すら薄かった。
魔力に至っては魔力回路がボロボロで、元に戻るかわからないと言えるほどだったらしい。
「だけど俺は、これからも使い続けるだろうな」
「……まぁ、たとえ倒れても僕のところに来れば必ず助けてあげるからね。そこだけは覚えておいてね」
「あぁ、苦労を掛けるな」
診察を終え、診察室から出ると、フェイと七美の格闘が終わりを迎えていた。
さすがに体格的に七美が有利でも実戦経験が多いフェイの方に軍配が上がっていた。
ただしそのフェイの姿も、髪や服が乱れて大分ひどかった。
「5762戦3495勝2267敗ってところか」
「はぁはぁ。レイジ、さっさと帰ろう。これ以上ここにいたらぼくの方が持たない」
「はいはい。じゃあ、帰るか」
「あぁ、ちょっと待ってくれるかな」
帰ろうとしたら、井蛙が止めてきた。
そしてある物を渡してきた。
「暇だったらここに行ってもらいたいんだよね」
渡されたのは地図で、ある場所にバツ印が書かれていた。
地図自体はここの土地のもので、バツ印の場所は町外れの家だった。
「そこに数日前にはぐれ悪魔が出たらしくてね。悪魔たちが手を出してないようだから先に狩ってくれると助かるんだよね」
「わかった。今夜にでも狩りに行ってくる」
そう言い、とりあえず家に帰った。
その際には、七美がフェイを引き留めようとしたが、井蛙に止められた。
その日の夜。
私服に着替えた俺とフェイは、町外れの家に来た。
井蛙に頼まれたことをさっさと終えるために、来たのだった。
夕方にでも来たかったが、その時間では人目に付くので大分遅い時間になった。
「さっさと狩って帰ろうぜ」
「そうだね。さすがに遅くなってきたし」
中に入ると、強烈な血の臭いが充満していた。
「不味そうな臭いがするぞ?でもとても美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」
奥から現れたのは、女性の上半身に獣の下半身。槍を両手に持った悪魔だった。
「これが今回のターゲット?……弱そう」
「そう言ってやるな。どうせここで死ぬんだから」
「こざかしいぃぃぃぃ!ガキごときがぁぁぁ!お前の身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁぁ!」
槍を振りかざして、突っ込んできた。
すぐに左右に散開して、臨戦態勢を取った。
「「〝
二人で同時に魔法を発動するための映昌をして、魔法を発動した。
〝解除〟したと同時に、普段は抑えられている魔力が一気に解放された。
俺は蒼黒い粒子を、フェイは黒い粒子を全身に纏う防御魔法を使った。
そして左右から挟み撃ちにして、同時に魔法を放った。
「「〝ショット〟」」
使用したのは基本魔法の一つで、魔力弾の様なものが放たれた。
それを受けたはぐれ悪魔は、俺の攻撃で胴体を、フェイの攻撃で獣の肉体を吹き飛ばした。
「「……弱」」
それが率直な感想だった。
いくら強めに撃ったとはいえ、こんな簡単に肉体を吹き飛ばすことはそうそうない。
「まぁ、とりあえず消すか」
俺はすぐに残った部位に向けて、手をかざした。
「〝マイクロバースト〟」
残った肉体を中心に黒い球体が現れ、一気に大きくなったかと思うと、一瞬で小さくなり、弾け飛んだ。
その衝撃は凄まじく、小さなクレーターが出来ていた。
「……やり過ぎたか」
「もう少し威力を調節したほうがいいと思うよ」
実際にやろうとしてもうまくいかないのが現状なのだが……。
そう思っていると、入り口の方から誰かが近づいてくるのに気づいた。
それに気づくと同時に、見えない剣を抜くような体勢をとった。
フェイの方もすぐさま胸元に着けていた鉛筆と取り出した。
「出てきたらどうだ。いるのは気づいているぞ」
俺が声を掛けると、入り口からぞろぞろと現れた。
人数は五人。全員知っている顔だった。
そして、今……。
「こんばんは。蒼薙零弐くんにフェイシス・クラウンさん」
もっとも会いたくなかった悪魔の一人、リアス・グレモリーとその眷属たちだった。
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