ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
あれからしばらくして意識を取り戻した俺は、フェイに怒られた。
突然気を失ったことで心配したという事だったが、それ以上にキスのことを根に持っているようでもあった。
パーティー自体は、『
被害自体は最小限に抑えられたのが幸いだったが、悪魔の警戒心の有無がとらわれる事態になった。
魔王領の会談ルームに各陣営のトップたちが集まっていたが、堕天使側の副総督シェムハザと天使側のセラフお怒りだった。
「相手は『禍の団』独立特殊部隊『ヴァーリチーム』の孫悟空『美候』と猫魈『黒歌』、元トレイラー幹部の上級魔法使い『クロノワールシュバルツ・シックス』と『セバス』、さらに聖王剣コールブランド使いの関与。一人一人が絶大な力を有するチームの五名も来るとは……。だいたい悪魔の管理能力は――」
シェムハザが小言を言い始めたことで、アザゼルが呆れていた。
だが今回の事件で全員が無事で、怪我人も軽傷、さらに兵藤が
遠くではチビドラゴン化しているタンニーンや上役たちがもうすぐ開かれるグレモリーとシトリーの戦いを予想していた。
だが俺としては今はそんなことを考える事よりも優先することがある。
クロノワールによって書き換えられた記憶、正確には記憶の上書きをしていた魔法を消して、元の記憶を取り戻したという事なのだが、何故それが教会を出て行ったころの記憶なのかがわからなかった。
もともとあった記憶は、俺がレーヴァテインを持ち出し、それを使って町ごと壊したという記憶だった。
確かに違和感はあったのだが、その原因がわからなかったのが、今回のことで判明した。
町を崩壊させたのは俺ではないという事である。
俺は確かにレーヴェテインは持ち出したが、町から出て行っただけで、崩壊させるようなことはしていない。
なら、あの記憶は一体何だったのかという事になる。
あの町が崩壊したのは事実なのは変わらないが、誰がやったかという事である。
そして何故俺に町の崩壊をさせたという記憶に書き換えていたのかという事になる。
このことに関してはフェイにも井蛙にも相談した。
記憶の書き換えに関しては、幻術魔法の類である〝
隣で同じことを考えているフェイと話し合いをしていったが、こんなことをするとすればトレイラーだけだが、理由も目的も不明でしかなかった。
そうしていると、部屋の扉が開いた。
そこにいたのはレヴィだった。
「レイジさんにフェイさん、準備出来たッスよ」
「あぁ、わかった」
他の人たちを置いて、部屋を出るのには理由があった。
パーティーで顔合わせする予定だった、ウィザードブレスのメンバーと会う為である。
本来の予定と遅れたのは、クロノワールたちの襲来が原因で、今回は先に俺とフェイが顔合わせをして、グレモリーとシトリーの対戦後に行われるテロ対策の会議で、他の勢力の人たちと顔合わせするという事になった。
そしてレヴィの後ろから別の人物が現れた。
「ふん。若造どもは老体の出迎えもできんのか」
古ぼけた帽子を被った隻眼の老人だった。
その後ろには、鎧を着た戦乙女のヴァルキリーがいた。
「――オーディン」
どうやらこの老人が北欧の神々の主神であるオーディンらしい。
オーディンとアザゼル、サーゼクスなどが話始めたのを見て、俺とフェイはレヴィの方に向かった。
「何であんなのと一緒にいたんだ?」
「呼びに行く途中で会っただけッスよ」
「ふむふむ。お主が、レーヴァテインを使っているという魔法使いじゃな」
一通り話終えたのか、オーディンが話しかけてきた。
「そうだが。何か用か?」
「なかなか可愛い娘たちをはべらせておるようじゃな」
オーディンの言葉の直後にハリセンで叩かれた。
「オーディンさま、そういう話ではなかったでしょう!」
「まったくお前は本当に堅物じゃの」
「今はそんなこと関係ないじゃないですかぁ!」
ヴァルキリーが泣きながらそんなことを言っていたが、とりあえず聞くことだけ聞くことにした。
「それで、何の用なんだよ?」
「ふむ。お主に大事な話があっての。時間が開いているときはあるかのぉ?」
「レーティングゲーム後にあるテロ対策の話し合い後であれば時間があるが……」
「ならその時でいい。それだけじゃ」
オーディンが笑いながらアザゼル達の方に戻るのを見てから、俺たちは部屋を出た。
いくつかある会談ルームの一つ。
そこに魔法使いたちが集まっている。
その部屋の前に俺とフェイ、レヴィが立っている。
「それじゃ、準備はいいッスか?」
「あぁ、問題ない」
「いつでもいいですよ」
レヴィが扉を開けると、部屋には数人の男女がいた。
今回挨拶に来たのはフォートップという話だったが、部屋にいたのは七人。
つまりレヴィを合わせたら八人となる。
そのうちの一人が俺たちの方に来た。
少し長めの黒髪に、片手だけに白い手袋をしている男だった。
「はじめましてですね。おれはウィザードブレスのフォートップの一人で、実質的リーダーをしているクルト・シャルロックです」
「ご丁寧にどうも。蒼薙零弐だ」
「フェイシス・クラウンです」
「一つ聞きたいんだが、いいか?」
「なんですか?」
「フォートップが来るって聞いていたから、四人だけだと思ったんだが……」
俺の質問の意図をあまり理解できなかったようだったが、すぐに気づいた様だった。
「俺たちウィザードブレスの戦力がギリギリなのもあって、フォートップに相方を着かせるようにしたんですよ。一人では対処できなくても二人なら対処できるようにという考えからですよ」
「なるほど、そういうことか」
クルト・シャルロックからの説明で納得がいった。
「それじゃ、今いるメンバーを紹介しとくッスね」
そう言ってレヴィは一人一人紹介した。
「一度会ったと思いますが、彼女が自分の相方の乙女橘りのんッス」
「乙女橘りのんです。よろしく」
クロノワール襲来時にレヴィと共に来た少女だった。
「俺の妹ので、相方のリーゼン・シャルロックだ」
「よろしくお願いします」
クルトが紹介した黒い長髪の少女は、彼の妹だった。
「俺は深影恭一郎だ。それでこっちが、相方のウィルデ・ローグ」
「よろしく頼むぜ」
自分から来たのは、黒縁のメガネに紫色のロングコートを着た男と、袖なしのワインレッド色のジャケットを着た男だった。
「最後に、山奈ミラさんとユウキ・コンノッス」
「……よろしくお願いします」
「よろしく!」
レヴィと同様の服装の上から白いマントを羽織り、後ろの一部だけ長くした白い短髪少女と肩や左右の腰が露出し、黒い胸当てとズボン、紫を強調した腰部分がコートのような服装をした紫色の長髪少女だった。
その場にいた六人の紹介が終わり、話し合いに入った。
話し合いでは、『ウィザードブレス』の現状と戦力について、そして今後の目的についてを聞かせて貰った。
むこうからの要求としては、トレイラーと闘うにあたって、ウィザードブレス内部でも噂が広がっている俺たちを招き、トップに立って率いてほしいという話だった。
話自体に嘘も偽りもないようだった。
ここにいるメンバーの実力が相当なものだという事はわかる。
だがそれでも、戦力としてみるとトレイラーと闘うのは厳しい。
それで今回の話を持ちかけてきたというのだろう。
「話自体は、乗ってもいい」
「本当か!」
「唯、すぐにとはいかない」
「どういうことです?」
「ぼくたちにはやることがあります。それに向こうも決着をつけるまで追ってくるでしょうから、時間が必要なんですよ」
「なるほど。そう言うことッスか」
「だがよ、仲間になれないわけじゃないんだろ?」
「だから話自体は乗っていいって言ったんだ。近いうちに行われるテロ対策会議に出るから、お前らも出ればいい」
「それは賛成だけど、いいのかい?」
「ぼくたちの協力者たちとでも説明すればいいですし、協定にサインすることも考えておけば十分に利益はある筈ですよ」
「なるほど。……わかった。参加させてもらう。それと今は協力者でも構わない」
「そうか。それじゃ、交渉成立だな」
クルト・シャルロックと握手を交わして、俺とフェイはウィザードブレスの協力者になった。
その後、仲間として行動していくから敬語などは抜きにして、名前で呼び合うようになった。
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