ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
零弐side
リアス・グレモリーとソーナ・シトリーのレーティングゲーム決戦前夜。
アザゼルの部屋にグレモリーたちと俺とフェイが集まっていた。
集まった理由はゲーム前の最後のミーティングの為である。
ミーティングの中で、やはり最初に上がったのは兵藤の
話によると、禁手状態へ変身するのに有する時間は二分で、さらにその時間
そして禁手の使用時間は最大三十分で、力を使っていくと、その分減っているという。
正直、そんな使用時間は長丁場になった場合、無いに等しい。
今回は仕方ないとして、これから変身時間短縮も含めて使用時間も増やしていけるようにしていく必要があるとのことだ。
相手であるソーナ・シトリー眷属の情報と自分たちの情報はほとんど上がっているらしいが、相手で不明な点が少しあるというが、人数は互いに八人という状況である。
次の話に移るとき、アザゼルが用意していたホワイトボードに何かを書きだした。
「レーティングゲームは、プレイヤーに細かなタイプをつけて分けている。パワー、テクニック、ウィザード、サポート。このなかでなら、リアスはウィザードタイプ。いわゆる魔力全般に秀でたタイプだ。朱乃も同様。木場はテクニックタイプ。スピードや技で戦う者。ゼノヴィアはスピード方面に秀でたパワータイプ。一撃必殺を狙うプレイヤーだ。アーシアとギャスパーはサポートタイプ。さらに細かく分けるなら、アーシアはウィザードタイプの方に近く、ギャスパーはテクニックタイプの方に近い。小猫はパワータイプ。で、最後にイッセー。おまえもパワータイプだ。ただし、サポートタイプの方にも行ける。ギフトの力でな」
アザゼルは、十字線を引いて、上下左右の端に各タイプ名を書き、グラフを描いた。
そして各メンバーの位置を書き込んでいった。
兵藤、ゼノヴィア、塔城のパワータイプを丸で囲んだアザゼルは話を進めた。
「パワータイプが一番気をつけなくてはいけないのは――カウンタータイプだ」
アザゼルの説明をまとめると、カウンタータイプはテクニックタイプの中でも厄介な分類で、パワータイプではカウンター一発で形勢が逆転することはざらだという。
「カウンターなら、力で押し切ってみせる」
ゼノヴィアが勇ましそうに言ったが、俺とフェイはそれに反論した。
「正直、それが出来ればいいが、大概はそんなことはできない」
「むしろ、相性から考えれば、相手との力の差が相当なければできない事ですよ」
そう言いながら、俺とフェイは前に出た。
「確かにパワータイプは力がある。だが、単純に見てそれだけだ。だからこそ、からめ手に弱い」
「ちなみにぼくたちをここに加えるとすると、こうなりますね」
フェイがホワイトボードに書き込んだところは、十字線のほぼ中心。
「もともとぼくたち魔法使いは全体的にウィザードタイプといえます。その中でも、レイジはパワーよりのテクニックタイプ。僕はサポートよりのテクニックタイプといえます」
「だけどよ、蒼薙の場合、あの魔導砲だっけか?それがあるだろ」
「そこが落とし穴だ、イッセー」
兵藤の言葉に、アザゼルが言葉を挟んだ。
「確かにあの魔導砲は一見相当な威力があるが、その分魔力を大幅に使用している。だからこそ、多用できない。それにこの前のテロのときの戦い、お前も見てただろ。こいつら、特に蒼薙が相手していたのはテクニックタイプでも相当な実力者だった」
「あぁ、確かにシヴァはテクニックタイプだ。しかも、スピードにも特化し、カウンターも行えるほどだ。兵藤だって、禁手に至ったからとはいえ、祐斗には勝てそうにないだろ?」
「確かに、スピードで翻弄されそうだな」
「だからこそ、俺はパワーを上げるんじゃなくて、テクニックを上げるようにしたんだ」
他にも理由はあるがな、と付け加えて、俺とフェイの補足は終えた。
シトリー達にカウンタータイプがいるとすれば、兵藤にぶつけてくるというのはわかるが、恐らく『
あいつはなんだかんだで、神器のこともあり、テクニックタイプによるからである。
「ところでイッセー、禁手に至ったことは美候たちの襲来で周囲に知られてしまったぞ。ソーナ・シトリーも認識しているだろう。十分に気をつけたほうがいい。おまえなら、禁手に変身する前に
「フッ。だいじょうぶです。俺は大人ですから」
アザゼルのアドバイスに兵藤は何故かそう言っていた。
「どうした?なんだか、ずいぶん大人びたように見せているな?」
「先生。俺は大人ですよ。何せ、つつきましたから」
「あー、わかったわかった」
兵藤の言葉に、俺とフェイは汚物を見るような目線を向け、アザゼルは適当に返事を返した。
「木場」
「なんだい?」
「男には二通りある。――乳をつついた男と、乳をつついていない男だ。俺は前者だ。無敵だ。すごい。俺は越えてしまったんだ」
怪訝そうな祐斗は、憐憫の眼差しへと変わり、首を横に何度も振った。
「……部長、これはダメです。ゲーム前にカウンセリングを一度受けさせたほうが……」
「いや、むしろここは改心させるべきだろう」
「いえ、そこは消すという一択です」
「あ、それだ」
俺とフェイはそれぞれの〝
そのことに、兵藤は少し焦っているようだったが、顔がそうとは思えなかった。
「イッセー先輩が変な笑みを浮かべています……怖いです……」
「……ギャーくん、近づいたらバカが
とりあえず、明日ゲームがあるので、改心させるのはまた今度にした。
最後にアザゼルがまとめを述べた。
「おまえたちが今回のゲームで勝利する確率は八十パーセント以上とも言われている。俺もおまえたちが勝つと思っているが――『絶対』に勝てると思っていない。それに駒の価値も絶対的なものはない。実際のチェス同様局面によって価値は変動する」
「確かに、俺からも言わせてもらうと、この前のテロの時、俺とフェイがシヴァとローに勝てる可能は、お前らのゲームでシトリー達が勝つ確率よりも低かった。だけど俺たちはこうして生きている。だからこそ、一パーセントの可能性を甘く見るな」
「そうですね。この世界で、人間でも、魔法使いでも、悪魔でも、『絶対』というものはありませんから」
「そうだ。だからこそ俺たちから言える最後のアドバイスは、絶対に勝てると思うな。だが、絶対に勝ちたいと思え」
アザゼルの言葉に俺とフェイも付け加えさせてもらい、ミーティングは終わった。
グレモリーたちが明日の作戦会議をするというので、俺とフェイ、アザゼルは抜けることにした。
その時、塔城が二人きりで話がしたいという事で、フェイには席を外してもらい、部屋の外で話をした。
「それで、話ってのはなんだ?」
「……私に、勇気をください」
そう言って、塔城は俺の手を握ってきた。
「……レイジ先輩は私が、猫又が怖くないんですか?」
「その程度じゃ怖かねぇよ。そんなのよりももっと怖いもんを見てきたからな」
だからこそ、あの時あれだけのことが言えたわけである。
塔城も少しばかりは驚いていた。
「……明日のゲームで、猫又の力を使ってみようと思います」
「へぇ、一体どういう心境の変化だ?」
「……姉さまのようになるのは嫌です。けど、このままでは皆さんのお役に立てないかもしれません。だから使おうと思います。それに、レイジ先輩があのとき言ってくれたからでもあります」
「なら、ちゃんと見せてもらうかんな、お前の出す結果をな」
「はい。私も、猫又の力を乗り越えて、
「……冥界猫か。なるほどな」
「それと、私のことをこれからは名前で呼んでください」
「……わかった。フェイともどもこれからは名前で呼ばせてもらうぜ。小猫」
「……先輩は優しい魔法使いです。やっぱり」
部屋の戻る小猫の呟きを聞いて、記憶の中から、とある出来事を思い出した。
それは、協会に居たころに一緒にいた二人の少女の事だった。
投稿が思ったよりも遅くなりました。
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