ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
零弐side
まったく最悪の事態だ。
まさかはぐれ悪魔を狩りに来たはいいが、この土地の管轄をしている悪魔たちと鉢合わせるとは思わなかった。
出来る限り接触は避けてきたはずなのだが、運が無いと言ったらいいのか。
「……どうするんだい?レイジ」
「……どうもこうも、下手したら一戦交えないといけないだろうさ」
フェイが小言で話しかけて来て、手短に作戦会議した。
むこうはそのことには気づいてはいない。
「こんな形で会うのは初めてかしら。訊きたいことはいくつかあるけど、まず一つ。あなたたちは一体何者?」
「答える義理はあるんでしょうか?リアス・グレモリーさんよ」
「義理はないかもしれないけど、こちらとしては聞いておかないといけないのでね。それで、答える気はあるかしら?」
「ぼくとしては今答える気はないかな」
「奇遇だな、フェイ。俺も今はない。……戦闘に紛れて、お前の魔法で撤退するぞ」
「……わかったよ」
質問に答えるとともに、小言での作戦会議も終えた。
すると向こうは、攻撃の構えをしてきた。
「答える気が無いのなら、答える気にするまでよ!祐斗!」
「はい。部長」
一年のころに知り合った木場祐斗が、俺に向かってきた。
しかもその手には一振りの剣が握られていた。
俺も瞬時に右手を振り抜き、その剣を受け止めた。
「っ!?一体どこに隠し持っていたんだい?」
「企業秘密だ。お前こそどっからそんな物騒なものを出したんだよ」
「僕も企業秘密ってことで」
俺は不可視の魔法を解いた魔剣を握っていた。
鍔迫り合いをしながら、一言二言言葉を交わしたら、祐斗が距離を取った。
そして瞬時に姿を消した。
消えたわけでなく、高速で移動しただけなので、どこから来るかは予測はできる。
魔剣を背中に持っていくと、そこで金属がぶつかり合う音がした。
「まさか反応できるなんて」
「このぐらいじゃ俺には届かないぜ」
祐斗の剣を払いのけると、前から小柄な少女が飛び込んできた。
塔城小猫だった。その小さい拳を俺の腹に向けてきた。
すぐに気づけたので、後ろに跳んで避けた。
「……避けないでください」
「無茶苦茶言うな」
少しフェイの方に意識を向けた。
すると、フェイは姫島朱乃とグレモリーと対峙していた。
「〝ブラックドア〟」
フェイは自分の頭上に鉛筆で長方形を描いた。
そして魔法陣が出てきたと同時に、長方形の中に穴が開き、二振りの槍が出てきた。
それはさっき俺があえて消さないでおいたはぐれ悪魔の槍だった。
それを掴むと片方を投げつけ、自身はまた作りだした穴を通り、姿を消した。
すぐにグレモリーたちの横に穴が開いてそこから槍が出現した。
またフェイ自身は槍が飛んだ方に出現し、また槍を掴んでから投げた。
俺の方は攻撃事態を避けるか魔剣で受け止めるだけで、反撃しなかった。
それよりも……。
「一人だけ隙だらけなんだがな!」
俺が攻撃を掻い潜り、戦いの様子を窺っていた兵藤一誠に左手を向けた。
「〝マイクロ……〟」
俺がその言葉をつぶやくと同時に、黒い球体が兵藤の前に出現した。
「避けなさい!!イッセー」
グレモリーの言葉に兵藤がすぐに脇に飛んだ。
「〝……バースト〟!」
先ほどよりも少し規模を大きくし、それによって衝撃がこちらまで届いた。
そのタイミングで俺とフェイはグレモリーたちから距離を取った。
そしてすぐにフェイが背を向けて、空中に縦長の長方形を鉛筆で描き、俺は背を向けているフェイの前に立った。
「〝ブラックドア〟」
フェイの言葉と同時に長方形の中に魔法陣が浮かび、穴が開いた。
「っ!?待ちなさい」
「待たねぇよ!」
グレモリーがすぐに気づいて魔力弾を撃ってきたが、俺はその場で体を一回転させるようにして、魔力を纏わせたレーヴァテインを地面に向けて、魔力弾ごと叩き付けた。
それにより、土煙が巻き上がり、相手の視界を封じた。
それと同時に、俺とフェイはフェイの開けた穴からその場を離れた。
土煙が晴れた後に残ったのは、クレーターを通り越して、床が砕けた家とグレモリーたちだった。
次の日。
昨日のことがあり、接触してくることは間違いないと思っていたが、以外にもすぐには接触してこなかった。
朝学園に登校すると、グレモリーたちの警戒の視線は感じた。
だが、そのときはそれだけで、特に何もしてこなかった。
こちらとしては逃げずに済むので、どちらかというと助かった。
しかし、昼休み前の授業にて。
その時の授業は体育で、内容は二年全員がグラウンドで陸上を行うというものだった。
俺は早めにやることをやり終えて、端の方で様子を見ていた。
フェイは丁度走り高跳びをしている最中で、周りでは女子が集まり、歓声を上げたり、話をしているようだった。さらにその周りでは男子や残っている女子がそれを見ている形をとっていた。
男子の大半が何故だかエロい視線になっているのは言うまでもなかった。
「それで、こんな時になってやっと話に来たのか?」
俺が脇に視線を向けると、その人物はいた。祐斗である。
「ある程度時間が経てば、君たちもある程度警戒が解けているかなと思ったんだけど、そうでもないみたいだね」
「当たり前だ。警戒を解かない理由が無いだろ」
「ははは、それもそうだね」
そういうと祐斗は俺の隣に座ってきた。
それを見た数人の女子が黄色い悲鳴を上げたり、何やら話をしていた。
「それで、何の用だ?」
「今日の放課後、ちょっと話があるんだ」
「どうせ昨日のことだろ。逃げやしねぇから、無駄なことはすんなよ」
「わかったよ。それじゃ、放課後にまた来るから、その時に」
「はいはい。わかったよ」
祐斗が去ったのを見て、溜め息をつた。
面倒くさい。唯それだけで溜め息が出た。
「溜め息ばかりついているよね、レイジは」
「つきたくもなるだろ、実際」
声を掛けてきたのはフェイだった。
どうやらやることは終えたらしい。
「放課後だとよ」
「やっぱりそうなったんだ」
「ま、下手なことはしてこないだろうさ」
「そうだね。それなら今日も何時も通りに過ごそうか」
そして放課後になり。
祐斗に連れられて、旧校舎にあるオカルト研究部に来た。
中にはすでにグレモリーたちが揃っていた。
それぞれ思い思いのことをしているようにも見えるが、警戒している雰囲気がバリバリ伝わってきた。
「昨日ぶりね、お二人さん。立っているのもなんだから座ったら」
とりあえず俺たちはグレモリーに対して向かい合うようにソファーに座った。
「さて、蒼薙零弐くんにフェイシス・クラウンさん。呼びにくいからレイジにフェイって呼ばせてもらうけど、あなたたちは何者なの?」
その問いと同時に、警戒心が一層強まったのを感じた。
仕方ないと溜め息を吐きながら口を開いた。
「俺たちは魔法使いだよ」
「えぇ、そうですね。それ以上でもそれ以下でもありません」
「魔法使い?魔術師とは違うの?」
「あんなものと一緒にしないでもらいたいですね」
グレモリーの質問にフェイがジト目で睨んで答えた。
因みにフェイは、本当に親しい仲の人以外には敬語のような口調になる。
「あなた方は魔法と魔術の違いが分かっていますか?」
「魔法と魔術の違い?」
「えぇ、そうです。その違いも判らないようであればぼくたちのことを説明する必要もないと思うのですが?」
「おい!いくらなんでもそんな言い方は――」
「なんですか?悪魔になり立てのあなたがわかるようなことでもないのに口出しはしないほうがいいですよ」
兵藤が文句を言い終える前に、フェイの方が反論をぶつけた。
あまり見ていられる状況ではないので、一旦フェイを落ち着かせることにした。
「落ち着けって。そんなにイライラしながら話すことでもないだろ」
「そ、そうだけど……」
フェイの頭を撫でながら一旦落ち着かせて、俺の方で話すことにした。
「ま、俺たちのことを知るには魔法と魔術の違いを知るところからっていうのは間違いないな。そこん所は今から説明してやるよ」
俺が話をする体制をとると、その場にいたものも興味深そうにした。
「それじゃ、お前らにとって魔術っていうのはどんなもんだと思う?」
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