ハイスクールD×D ~マジシャンズ・ウォー~ 作:ゼロ・ツー
零弐side
今、俺たちは山を登っていた。
何故かと言えば、昨日の出来事が原因であった。
グレモリーの婚約者であるライザー・フェニックスが現れて、グレモリーとの結婚を行う為の話をし始めた。
しかし、それにグレモリーが猛反対し、話し合いで決着がつかなかったので、レーティングゲームというもので決めることとなった。
無論、俺とフェイは出ない。
何故かと言えば、関係ないからである。
立場的には協力者であるが、魔法使いという事もあり、魔王直々に出ないように言われたらしい。
さすがに俺たちの存在も、魔王には報告されているというのは予測できた。
しかし、グレモリーが魔王の関係者というのには少しばかり驚かされた。
そして、十日後にゲームを行う事で話がまとまり、フェニックスが帰って行った。
その後、メイドが自己紹介し、名前がグレイフィアという事がわかった上、魔王から今度話をしてみたいという伝言を聞いた。
そんなことがあった次の日に何故山にいること言えば、修行の為らしい。
フェニックス側の眷属を見たが、質はともかく、数で圧倒されている。
そのため、短期ではあるが修行を行うという事で、そのヘルプに呼ばれて付き合うこととなった。
それが現在の状況だ。
山道を一行の後ろからついて登っているが、何とも言えなかった。
荷物は基本的に兵藤、祐斗、塔城が持っていて、グレモリー、姫島、アルジェント、俺、フェイは手ぶらの状態だった。
兵藤は完全に息が上がって、祐斗は途中で山菜を摘み、塔城は兵藤の倍近い荷物を易々担いで登っていた。
「なんか、カオスな状況だな」
「そうね。何とも言えないよ」
目的地である、別荘に着くと同時に兵藤がヘタレ込んだ。
だが、あまり休んでいられる状況ではなく、すぐに修行が開始される。
各自、動きやすい服装に着替えるために、グレモリーたち悪魔の女性陣は二階に、祐斗は一階の浴室、俺とフェイは二人一緒に割り当てられた部屋で、兵藤はリビングで着替えた。
皆ジャージを着ていたが、俺とフェイは私服なので驚かれた。
「あなたたち、それで大丈夫なの?」
「俺としてはこっちの方が動きやすいんだがな」
「レイジと一緒ですね。むしろ、変にジャージを着るよりも断然いいので」
「そ、そう。まぁ、いいわ。とりあえず、外に出て修行開始よ」
こうして、修行を始めることになったが、俺たち二人が教えることとなるのだろうと思った。
レッスン1 祐斗と兵藤との剣術修行
今回の修行では俺とフェイは基本的には兵藤に付いて、修行の補佐をするような感じになった。
そして今は兵藤が祐斗と剣術を教わっているが……。
「そうじゃないよ。剣の動きを見るだけじゃなく、視野を広げて相手と周辺も見るんだ」
「まったく進歩が見られないな」
「というより、剣の扱いが雑すぎるんだね」
祐斗の動きについていけていないどころか、持っている木刀をただ振り回しているようにしか見えない。
「こりゃ、修行の方向性を決めるのに苦労しなさそうだな」
この後も、時折休憩をはさみながら修行をし、アドバイスなども付け加えて行った。
レッスン2 姫島と兵藤とアルジェントとの魔力修行
祐斗との修行のあとは、姫島の番である。
今回は、アルジェントも加えての魔力についての修行だった。
「魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです。意識を集中させて、魔力の波動を感じるのですよ」
「さっきよりひどくないか?」
「魔力の才能が無いとは言っていたけど、ここまでなんて……」
正直言って、初心者どころの問題じゃなかった。
いくら魔力の才能が無くても此処までとは思っていなかった。
「こんなんで、本当に大丈夫か」
結局兵藤は、米粒程度の魔力の球しか作れなかったが、俺たちのアドバイスから何かを得たようで、大量の人参、ジャガイモ、タマネギの皮を魔力で剥く作業をやることになった。
レッスン3 塔城と兵藤との組手
姫島との修行のあとは、塔城の番である。
今回は、実際に組み手を行い、近接戦闘の修行になった。
唯、今回も……。
「……打撃は体の中心線を狙って、的確かつ抉りこむように打つんです」
「本当に大丈夫かよ?」
「これだと心配になるのは仕方ないね」
もう何も言うまい。
とりあえず、俺たちの番の時は徹底的に苛め抜くしかない。
「何やってやるかな」
塔城との組手を終えたころには、兵藤は数十回も突き飛ばされていた。
レッスン4 兵藤との鬼ごっこ
一度兵藤がグレモリーと基礎を行っている間、他の奴と手合せしたが、なんともまぁ……圧勝だった。
それぞれの戦闘スタイルから、どういうところを直し、どういうところを生かしていくかをアドバイスしていった。
その後に、兵藤を苛める……もとい訓練をつける番になった。
内容は、鬼ごっこ。
俺が鬼の時は、兵藤は時間いっぱいひたすら逃げる。
兵藤が鬼の時は、俺は時間いっぱい逃げ切る。
フェイは時折、攻撃してきて妨害する。
といった感じの修行をした。
「アッハハハ!そんなんじゃ、すぐ捕まるぞ!」
「うわぁぁぁぁ!?」
「〝ダークスライス〟」
「ぎゃぁぁぁぁ!?」
俺が兵藤を後ろからアスリート走りで追いかけ、フェイが魔法で木を薙ぎ倒し、逃げていた兵藤は木の下敷きになった。
今までの戦績は兵藤の全敗である。
「な、なぁ、これって、意味あるのか?」
「意味ならありますよ。逃げるというのも、立派な戦術ですよ」
「まぁ、俺たちは遊びでやっているようなもんだがな」
「実力の差を見せられたようで、反論できない」
〝フロート〟で空に飛んで、
俺と兵藤には両手足に重りをつけてある。
ただし、俺のは兵藤の二倍以上の重さである。
「さて、少し休憩したらまたやるぞ」
「ま、マジで?」
「マジですよ」
後にこの修業は『ガチでリアルな鬼ごっこ』と兵藤が命名した。
一日の修行を終え、夕食をみんなで食っていた。
「うおぉぉぉ!美味ぇぇぇ!マジで美味い!」
どうやら兵藤はお気に召していた様だった。
テーブルには様々な料理が並んでいた。
肉は俺が兵藤をアスリート走りで追いかけているときに捕まえた猪、つまりは牡丹肉で、魚はフェイが妨害している最中に捕った川魚である。
「さて、イッセー。今日一日修行してみてどうだったかしら?」
夕食後にお茶を飲んで一服しているとき、グレモリーが兵藤にそう聞いた。
「……俺が一番弱かったです。後、蒼薙が地味に怖かったです」
「まぁ、あんな追いかけられかたしたら、確かに怖いわね」
「失礼な。あれはあえて恐怖心を煽ることで、潜在的な力を引き出させるためのもんだぞ?」
「何で疑問形なんだよ!」
アハハ、そんなことないさ。
といった感じで誤魔化したら、グレモリーがこれからやるべきことも伝えていた。
「さて、食事を終えたらお風呂に入りましょうか。ここは温泉だから素敵なのよ」
一瞬にしてイッセーの顔がエロくなり、俺とフェイ、小猫が皺を寄せた。
「僕は覗かないよ、イッセーくん」
「バッカ!お、おまえな!」
祐斗がイッセーの考えることを先に断ったみたいだ。
「あら、イッセー。私たちの入浴を覗きたいの?」
全員の視線がイッセーに向いた。
「なら、一緒に入る?私は構わないわ」
イッセーに衝撃が走ったようだ。
「朱乃はどう?」
「イッセーくんなら構いませんわ。うふふ。殿方のお背中を流してみたいかもしれません」
姫島が肯定した。
「アーシアは?愛しのイッセーとなら大丈夫よね?」
アルジェントが顔を真っ赤にして、俯きながらも小さく頷いた。
「じゃあ、小猫は?」
「……いやです」
塔城が両手でバツ印を作って拒否した。
「じゃ、なしね。残念、イッセー」
グレモリーが悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。
兵藤は膝から崩れ落ちていたが、何処か諦めていなかった。
「……覗いたら、恨みます」
その所為か、塔城から先制を食らっていた。
そんな兵藤に俺と祐斗が声を掛けた。
「イッセーくん、僕と裸の付き合いをしよう。背中、流すよ」
「うっせぇぇぇぇぇッ!マジで殺すぞ、木場ぁぁぁぁ!」
「まぁまぁ、落ち着けよ兵藤。唯よ、俺も言わせてくれよ。覗いたら……殺すだけじゃ済まさねぇぞ」
「イエス、マム!!」
俺の呟きに兵藤が敬礼でそう返した。
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