思い付きの短編です。
名作、シャーマンキングが再アニメ化されているのでその記念に。
シャーマンキングの二次創作が少ない……。もっと増えろ……。
続くかどうかは需要があるかどうかで決まったり決まらなかったり。

続かなかったらファウストに開かれたまん太の夢だと思ってください。

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短編です。
続くかどうかは不明。
シャーマンキングが再アニメ化してるのでエール(´・ω・`)
アニマックスで昔やってた思い出。


あの世とこの世を結ぶ者

 あの世とこの世を結ぶ者。

 

 霊との交信を可能にし、この世の理から外れた数多の巫術を行使する霊能者のエキスパート。

 それがシャーマンだ。

 

 古来より世界の裏では人知れずシャーマン達が人の世を支え、時には争いを引き起こしていた。

 科学が発達した現代ではほとんどの人がその存在を忘れてしまい、疑念の目で見ているのが現状だ。

 しかし確かにその者たちは存在し、今でも世界のあちこちで暮らしているのだ。

 

 そしてここにいる僕────麻倉子葉もまた、そのシャーマンを生業とする一族の一人だった。

 

 「兄さん、またこんなところでサボっているんですか?」

 

 僕は目の前にいるヘッドフォンを付けて山の崖近くで寝そべっている少年────麻倉葉の前に立ち、呆れた様子で声をかける。

 便所サンダルを履いた足を組みながらのんびりと音楽を聴いて寛いでいる彼は、そのゆるそうな垂れ目をこちらに向けるとヘッドフォンを外して気の抜けた声で返事をする。

 

 「おー、子葉(しよ )じゃねえか。お前もオイラと一緒にサボりに来たんか?」

 

 「違います。ボクはお祖父様に言われて連れ戻しに来たんです。全く、面倒事を妹に押し付けて逃げるその癖はどうにかならないんですか……」

 

 そう。このやる気のない少年こそ僕の兄、麻倉葉だ。

 そしてこの世界でこれから始まる物語、『シャーマンキング』の主人公である。

 

 シャーマンキング。

 

 500年に一度行われるシャーマン同士の戦い、『シャーマンファイト』。

 その戦いに勝ち残り文字通りシャーマンの頂点になった者は『シャーマンキング』と呼ばれ、全知全能の大精霊『グレート・スピリッツ』を手に入れる。

 そして望むままの願いを叶えることができるという、どこぞの聖杯戦争みたいな争いだ。

 

 実際過去にはシャーマンキングになって世界人口を三分の二まで減らした者までいるようなので、冗談抜きでヤバい争いである。

 アンリマユでも漏れ出したのだろうか。

 

 ともかく、僕はそのシャーマンキングを廻る戦いに今後巻き込まれていく中心人物である主人公、麻倉葉の妹として転生してしまった。

 

 正直ふざけるなと言いたい。

 

 確かにシャーマンキングとなって全知全能になるのは魅力的だ。

 新世界の神になることも不可能ではないし、もしかしたら元の世界へ帰ることもできるかもしれない。

 まぁ元の世界ではトラックの染みになって死んだ上に、家族も誰もいないので未練はないのだが。

 

 そして僕には転生者特有の原作チートがある。

 加えてこの世界における戦闘力のようなものである『巫力』は、転生のおかげか生まれつきかなりの量を所持していた。

 

 具体的には生まれつき1万くらいの巫力を持っていた。麻倉葉の初期が確か200くらいだったはずなので大体このくらいだと思う。

 麻倉家現当主であるお祖父様が4000くらいなので、生まれたての赤ん坊の巫力としては異常な量だ。

 一人用のポッドで逃げられてもおかしくないレベルである。

 

 そんなチートスペックで生まれた僕だが、再度言わせてもらおう。

 

 ふざけるなと。

 

 何せこのシャーマンファイトは出来レースといっていいほどの化け物が紛れ込んでいるからだ。

 

 麻倉葉王。

 通称、ハオ。

 

 僕のもう一人の兄にして、麻倉家のご先祖様が生まれ変わった転生体である。

 巫力は125万とかいう頭のおかしい強さであり、相方である持霊は五大精霊と呼ばれる超弩級の火の神霊を所持している。

 そんなぽっと出の僕みたいな転生者を嘲笑うかの如く圧倒的な力を生まれ持ったこの世界の正当な転生者、それがハオ様だ。

 

 うん、勝てるわけがない。

 

 原作はハオとの最終決戦前に打ち切りになったためどうなったのかは分からないが……主人公勢がまともに戦って勝てないから優勝して眠ったところを叩こうとしていたのは覚えている。

 つまり原作でもまともに勝負したら無理ゲー扱いされているのだ。

 そんな怪物に勝てるわけがない。

 

 巫力1万(笑)だ。

 

 僕がシャーマンファイトに出てもボコボコにされるのがオチである。

 

 なので麻倉茎子────僕のお母様にそれとなくシャーマンファイトへ出たくない事を伝えたのだが……。

 

 『大丈夫よ。子葉ならできるって母さん信じてるわ。それに葉もいるもの。何かあったらお兄ちゃんを頼りなさい』

 

 と、やんわり断られてしまった。

 その後も何度か言ってみたものの、余計お祖父様の修行がきつくなるばかりで聞いてくれなかったので止めた。

 僕がその話題をする度にお母様が申し訳なさそうな顔をするのが見たくなかったというのもある。

 

 恐らく、ハオを生んでしまった自分を責めているのだろう。

 そのせいでなまじ才能があって戦力になる僕は戦いから逃げることが出来なくなってしまったのだから。

 

 そんな風に自分を責め続けるお母様は見たくなかった。

 

 ほんと、シャーマンキングの世界は少年誌とは思えないほどヘビーな内容が散りばめられているから困る。

 

 「兄さん、ボク達は来るべきシャーマンファイトに備えて力をつける必要があります。ボクは初戦で負けるつも……負けると思うので、兄さんが頑張ってくれないと困るんです」

 

 「なぁ、今負けるつもりって言おうとしなかったか?」

 

 そんな事は言ってない。

 僕が安全に観客席のギャラリーに加わりつつ、お母様を悲しませないで済ませるには兄さんに頑張ってもらうしかないのだ。

 戦略的撤退と言って欲しい。

 

 「わざと負けたりしたら母ちゃんに怒鳴られるぞ」

 

 うっ……。

 それはちょっと困る……。

 お父様に怒られようとどうでもいいが、お母様に怒られるのは嫌だ。

 

 「そ、そんなことしませんよ? 仮にもし万が一負けたとしても、兄さんがなんとかしてくれるでしょう?」

 

 「ウェッヘッヘ。そうだなー。まぁなんとかなるさ」

 

 そういって再び頭の後ろに腕を組んで目を瞑る兄の横顔は、今はまだ自分の方が力は上のはずなのにどこか頼もしくみえた。

 こんな平和な日常がいつまでも続けばいいのに……と願う僕もまた、兄の横に座り山の風を感じるよう瞼を閉じていった。

 

 「って、寝るんじゃなーーーーい!!」

 

 一瞬兄の空気に流されそうになった僕は勢いよく立ち上がると、そのままズルズルと兄の首根っこを掴んでお祖父様のところへと歩いて行く。

 シャーマンファイトへの不安はまだあるが、このどうしようもない兄と一緒なら不思議となんとかなると思えてしまう僕であった。

 

 

 

 

 

 




と、いうわけでシャーマンキングの短編です。
原作は少年誌の割に結構エグい話があった思い出。
まん太の開き然り……ルドセブ&セイラーム然り……。
一番好きなキャラはマッスルパンチです。

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