異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン) 作:3S曹長
言い訳になってしまいますが、このせいで投稿頻度が落ちています。暑くて頭が働かず、夜も眠りにくくて朝は暑さで目が覚めて睡眠不足…という悪循環に陥ってます。オリジナル展開ですし、一人で執筆しているので、頭が働かないと作業が遅れてしまいます。もう少し涼しくならないかな、と思う今日この頃です。
あと、魔女に関してなんですが、彼女は魔法を使う必要性が無い場合は魔法を使いたがりません。このことを言っておかないと、「何であのとき魔法使わなかったの」って疑問が出てくるやもしれないので、お伝えします。
「さあリュート、聞きたいことは全て聞けたかな?」
魔女はいつもと同じ調子でリュートに尋ねる。
「忘れたふりをするなよ」
忘れているならそのままにしておこう、という魔女の
「まだお前の正体も目的も何も分からないままだぞ。教えてくれ、お前の正体は何なんだ?何でベストナインを殺そうとしている?何故自分で殺しに行かない?」
リュートは魔女に対して今思っている疑問を全てぶつけた。
「やれやれ、忘れていなかったのか。だが約束したからな、教えてやろう。もちろん、彼らはその答えを知っている。私が嘘を言っているかどうかは、彼らの反応を見て判断すると良い」
魔女は部屋にいる皆を見渡しながら言った。そしてリュートの質問に答え始めた。
「まず、私の正体についてだな。教えてやろう。私はね、
リュートは唖然とする。お前は何を言っているんだ、という言葉すら出てこない。だいたい、リュートに殺しを提案したことからして、天使のやることにしては残虐すぎる。自分をからかっているのだろうか、と本気で考えた。
「ふふふ、お前の困惑が伝わってくるよ、リュート。だが本当だ」
リュートは周りの様子を見渡す。リンとジモーがくすくす笑っているようだが、他の皆は特に変わった反応を見せていない。
「リュート、お前は私の言っている
魔女は言った。
「私の言う
リュートはまだ困惑したままだったが、不思議と魔女の発言を嘘だとは思えなくなっていた。
「天使と言っても、神の世話をする者や神の仕事の補助をする者、いろいろな役割がある。私の役割は、『
確かに、とリュートは思う。
「答えは単純だよ。
魔女は自分の役割を更に詳しく解説する。
「転生者は魔人を殺すために、神の手でこの世界に転生される。私の役割は、転生者が『魔人の討伐』という目的をきちんと果たしているのかを観察する、と言う役割だった。確かに転生者は魔人討伐をしっかり行っている。だがそれよりも私が気になったのは、力を持ったことで増長し、悪事を働くようになった転生者の存在だった」
魔女は少し自嘲気味に続ける。
「
魔女は少し悲しそうな顔をしたようだったが、それは一瞬のことで、すぐに元の表情に戻る。
「『いくら力を持って増長しているとは言え、ここまで悪事を働くのは変だ。』そう考えて私は転生者の転生前の情報を調べることにした。言っておくがこれも向こうでは
リュートは心の中で得心がいった。魔女が転生者の転生前に詳しかったのはこのためだったのだ。
「私は悪事を働いた転生者の情報をまとめ、神に進言した。『今の転生者には悪事を働く者が多すぎる。そういう転生者は全て排除して、しっかりと審査を行った上で転生者を選び直すべきだ』というような内容をね。最初は『こいつは何を言っているんだ』といった感じで笑われるだけだったが、しつこく進言を続ける私に神も堪忍袋の緒が切れたみたいでね。天使としての役割を剥奪され下界に追放されてしまった。これが私の正体だよ」
魔女がリュートの一つ目の質問への回答を終えた。リュートにとっては、いきなり全てを信じ切れる答えでは無かったが、明確に変だと言える内容でも無かった。
「ここまで聞いたのなら、2つ目の『なぜ、ベストナインを殺そうとしているのか』という質問の答えも見えてくるのでは無いか?『調べた結果、ベストナインのメンバーにはクズが多すぎたから』、『神が動かないなら私が動くまでだと思ったから』、この二つが答えだな」
魔女はリュートの二つ目の質問に答えた後でこう付け加えた。
「最も、彼らはベストナイン全員を殺す気は無いと言っているがな」
魔女は部屋にいる人間を見渡す。リュートも皆を見渡した。
「その通りだ。我々はそれぞれが、ベストナインの誰かに復讐心を持っているし、他のメンバーの復讐の成功を願っている。助けを必要とする者がいるならば、喜んで手伝うだろう。だが、『誰の復讐相手でもないベストナインのメンバー』も殺そうと考えている者は一人もいない!」
レースバーンが宣言した。他の皆も笑顔や
「これだけ集まれば、せめて一人でも私に賛同してくれる人がいても良いのだがな…」
魔女のぼやきに対して、言葉を返したのはケイルだった。
「魔女さん?まだ分からないんですね。九人も集めたのに、自分に賛同する人が誰一人現れなかった理由が。私達は身勝手な転生者の手で大切な人を失いました。だからこそ、
ケイルの言葉に魔女は苦笑するだけで、反論も納得もしなかった。
「まあ私の愚痴はこのくらいで良いだろう。次の話で分かると思うが、ここにいる全員が殺す気の無い人間は私にも殺せない。私に賛同しないからと、ここにいる全員を皆殺しにする、なんて残酷なことも私には出来ない。最も出来たところで私はそんなことはしないがね」
リュートの三つ目の質問、「どうして自分で殺そうとしないのか」への答えが始まった。
「なぜ自分からベストナインを殺しにいかないのか。答えはこうだ。私はベストナイン、いや
リュートは続きを
「さっき私は天使だと言ったな。天使には
「…それでも殺そうとしたらどうなるんだ?」
リュートは気になった質問を魔女に投げかけた。
「天使が人間を殺そうとした場合、
リュートは魔女の答えを聞いて息を飲む。が、それと同時に一つの疑問が浮かぶ。
「ふふふ、今お前に浮かんだ疑問を当ててやろう。『転生者の能力を打ち消したのは問題ないのか』、そう思ったな?」
魔女の言葉にリュートは頷く。
「その程度は問題無い。私は転生者の能力を消したが、
そう言いながら、魔女はリュートの肩をポンポンと軽く叩いた。
「以上がお前からの質問の答えだ」
全ての質問に答え終わった魔女にリュートは礼を言う。
「ありがとう、正直信じ切れない部分もあるけれど、特に変なところも無かったし、皆の反応を見ても、お前の言葉に偽りは無いって信じられるよ」
「ふふふ、そもそも私は今までお前を嘘で騙そうとしたことは一度も無いのだぞ?説明不足なところがあったのは否めないがね」
魔女が笑いながら言うと、ポセイドラが口を開く。
「それにしてもお前、魔女の正体を知らないままルイを殺したのか?よくこんな怪しい奴からの誘いに乗ったな」
「本人を前にして『怪しい奴』なんてよく言えるものだ。お前、やはり女性から嫌われやすいタイプだな?」
ポセイドラの言葉に魔女が答える。
「だが、それも不思議ではあるまい」
口を開いたのはゴーギャンだった。
「魔女の言葉には、なぜか人を引きつける力があるからな」
ゴーギャンの言葉に皆は同意する。リュートにも心当たりがあった。最初は魔女のルイ殺しの提案に懐疑的な彼だったが、気がつくと体は自然と動いていたのだ。
「お前達を動かすために魔法を使って誘導したことは無いぞ?さてリュート、お前の疑問に答えてやったところで、私からもお前に言いたいことがある」
魔女がリュートに視線を移す。
「何だよ?」
「体、洗った方が良いんじゃないか?さすがに血生臭いぞ」
リュートは自分の体を確認する。全身がルイの返り血だらけだった。
「よし、風呂場に案内してやろう!体を洗い終わったら他の場所も案内してあげよう」
レースバーンがリュートの案内を快く引き受けた。
五日後、歓楽街
歓楽街中央部の一軒の店。女の子たちと酒を飲める店の中では最高クラスの一軒に、ベストナインの序列5、『ソルティングブレッド』のスパノ=ヤナティンはいた。
女の子と楽しく酒を飲みながら、スパノは思いをはせる。
「ルイも馬鹿な奴ダ。いくら強さがあったところで、それを振りかざして女を屈服させて何が楽しいのサ?金さえあれば店の女はいくらでも俺にしっぽを振ル。この楽しさは力に溺れた奴には絶対に分かりっこないネ」
スパノはグラスを口に運んだ。
「大体、力に溺れるからあんな無様な死を遂げるんダ。誰の仕業か知らないがご愁傷様なことだネ」
「失礼します、スパノ様」
店のボーイがスパノに声をかけた。
「…何だヨ」
「スパノ様に封書が届いております」
スパノは封書を受け取る。差出人は不明で、中には一枚の紙。それを読んでスパノは冷や汗を流した。紙には大きな字でこう書かれていた。
「ノイワ村 夏のパン祭り 開催!!」
説明回がようやく終わりました。長くなってしまいましたが最後に無理矢理次回への引きを入れました。説明回ではわかりやすくするために傍点が多くなりがちです。
お気づきの方もいると思いますが、各話に題名を追加しました。本当は原作リスペクトで「○○殺し その△」で統一しようと思ったのですが、読者の注目を集めるため、及び「あれ、この場面ってどこの話だったっけ」となった場合に見つけやすくするために変更を加えました。変な原作リスペクトなんてするんじゃなかった(後悔)。
あと、諸事情により第二話(ベストナイン登場)のギットス=コヨワテの外見の描写を一部変更しました。
ここから先は魔女の設定創作の裏話です。興味の無い方は読まなくても問題ありません。
よくネットで「原作者の分身」「原作者の恨み辛みを読者に伝える人形」などと言われる魔女ですが、私は原作を読んで「魔女は神の関係者だろうな」と当たりを付けました。原作が終わった今、その正体は謎のままですが、この作品を作るに当たって私は、「魔女が神の関係者だとするなら彼女の本来の役割は何なのだろう」「神の関係者ならばなぜ転生者はのうのうと生き延びているのだろう。そもそもなぜ神は動かないのだろう」等々想像を膨らませ、さらにネットでよく言われる「なぜ魔女は転生者を殺そうとするのか」「なんで魔女自ら殺しに行かないのか」と言った疑問に対する答えとなる設定を作り、今回語られたような設定になりました。
「原作者の言いたいことを言うためだけの存在」と言われてネット上では嫌われがちな彼女ですが、この作品内では皆様の嫌悪感を払拭出来たらな、と思わないでも無い今日この頃です。