異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン)   作:3S曹長

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 皆さん、原作のチートスレイヤーは読んでいますか?

 原作のチートスレイヤーに出てくるベストナインの中に、「ルーパー」って通り名のヤツがいますよね?
 あの「ルーパー」って通り名を見たときに私は、パピプリオのパートナーしか思い浮かびませんでした。
 そのせいで、「え?このキャラのどこにパピプリオ要素があるんだろう?」「パピプリオのどこになろう要素があるんだろう?」と数日間ずっと考えていました(実話)。

 他のベストナインの通り名が露骨過ぎたせいで、「ルーパー」だけずっと謎のままでしたね。

 同じ人います?私だけなのかなぁ?

 パピプリオ自体知らんわ、という人はググって下さい。何のキャラかすぐに分かります。
 ちなみにこの作品のキャラクターにパピプリオ要素は無いです。


第二章 「ソルティングブレッド」殺し その7 「監視カメラ」

 リュートはこの間、キッチンの陰にじっと隠れていた。スパノの能力を考えると、うかつにゴーギャンに加勢することは出来ない。彼は地下室での魔女の言葉を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

「スパノ=ヤナティンの特殊能力、『致死塩分量(デスディーリングソルト)』は相手の塩分の致死量を自在に操る能力だ」

 

 地下室にて、魔女はリュートに説明を始めた。

 

「塩分っていうのは簡単に言うなら塩のことだ。人間が生きていくためには塩分が欠かせない。だがその塩分も摂り過ぎれば毒になる。人間の塩分の致死量は個人差があるが、大体体重1キロに対して0.5~5グラム…つまり自分の体重の2000分の1から200分の1程度だ」

 

 リュートには魔女の言っていることの半分以上が理解できなかった。

 

「ふーむ、難しかったか?もっと簡単に言おう。料理に塩が使われていることくらいは知っているな?お前が普段口にしている塩は、摂取しなければ人間は生きていけないが、摂り過ぎると逆に死んでしまうものだ。何事も適切な量が大事だと言うことだ」

 

この説明ならリュートにも理解できた。

 

「で、その塩だが、小さいスプーン一杯くらいの量なら食べても死なないだろう?ところがスパノに能力を使われるとそのくらいの量でも死ぬようになってしまうんだよ。で、塩っていうのは生きていくために必要なモノだから、常に体の中に()()()()()()が存在しているんだが、ヤツの能力はその『常に体の中にある量』ですら死に至るようにすることが出来てしまう、というわけだ」

 

魔女の噛み砕いた説明のお陰でリュートはスパノの能力の恐ろしさを理解することが出来た。

 

「そんなの…どうやって戦えば良いんだ?」

 

「速攻でヤツの心を揺さぶるか、見つかっていない状態で心を揺さぶるかだな。幸い私の『転生殺しの箱(デリートチートゾーン)』とは違ってヤツの能力は目視出来る敵にしか発動しない。私はこの前のように隠れて『転生殺しの箱(デリートチートゾーン)』を発動するから、そこにスパノを誘い込む。後はヤツの心を、能力を発動される前に揺さぶるんだ」

 

 ルイとは違い、目視されるだけで発動される能力。ルイのようにはいかないことがリュートにも理解できた。

 

「リュート、お前はゴーギャンがスパノを無力化出来なかった時の第二陣だ。スパノに見つからないように隠れていろ」

 

 魔女が言った。

 

 

 

 スパノはクックックという笑いを止めない。ゴーギャンもうずくまったまま声を発しない。

 

「言っとくが我慢はするべきでは無いゾ。俺の能力は尋問(じんもん)向きダ。我慢すればその分苦しむ時間も苦しみの強さも増すことになるヨ」

 

 スパノは完全に意識をゴーギャンに集中させている。今がチャンスだとリュートは思った。

 

「そこまでだ!素矢野多賀瑠(すやのたがる)!!」

 

 リュートは物陰に隠れたままそう叫んだ。

 

「な…まだいるのかヨ」

 

スパノが狼狽(うろた)える。

 

「お前は自分の嫌いなヤツを(おとし)めるために、パン生地に仕掛けをしたそうだな?でも監視カメラを忘れていて全部バレたんだって?()鹿()じゃねぇの!?監視カメラを気にするなんて万引きする小学生だってやっていることだ!お前は小学生以下の大馬鹿野郎だ!!」

 

「て、てめええええええぇぇぇェ!!」

 

リュートの罵倒にスパノが怒りの声を上げる。リュートの言葉にいくつも()()()()()()()()()()()()が混ざっていることにも彼は気付けないでいた。

 

「そいつを嫌いになった理由が可愛い女の子と仲良くしていたのが気に食わなかったかららしいな?さっきから聞いてれば、自分は『他人を苦しめる人間』だって言っていたじゃねぇか!?そんな陰キャが周りから好かれるわけないだろ!そんなことも分からないなんてお前はどこまで馬鹿なんだ!?」

 

「さっきから言わせておけバ!!どこダ!?出てこぉイ!!」

 

 スパノは十分に心を乱している。リュートは剣を構えて物陰から飛び出した。

 

「な…お前はあの村にいタ!」

 

 スパノが声を上げる。次の瞬間、リュートはその場に倒れこんだ。

 

「は、はは、『致死塩分量(デスディーリングソルト)』が間に合ったのカ。随分と驚かせてくれたナ」

 

スパノはリュートに近づく。リュートは苦しそうに口を開く。

 

「なぜ…俺の村の…人々を殺した?」

 

「はァ?なぜってお前、簡単なことだヨ。()()()()()()()()()()サ」

 

 

 

 

 

 リュートの村が滅びたあの日、ルイ=ジュクシスキー、スパノ=ヤナティン、立花亭座個泥(たちばなていざこでい)の三人は魔人討伐のためにリュートの村の近くまで遠征していた。

 

「終わりましたね、ルイさん、スパノさん」

 

「今回も楽なもんだったナ」

 

「楽すぎてつまらないですがね」

 

 魔人討伐が終わり、ギルドへと帰還しようとした時にルイが唐突に言った。

 

「二人は先に帰ってギルドに報告してきて下さい。俺はすこし()()()()()()()()()()()ので」

 

「?トイレくらいなら待っていてやるヨ」

 

「いいですって」

 

ルイはそう言って走り去ってしまった。

 しばらくしてもルイは戻ってこない。

 

「遅いネ」

 

「そうですね…って、ルイさんの言う『もよおす』って言葉通りの意味じゃ無いですよ、スパノさん!恐らくあいつは…」

 

 二人はルイを探しに行った。

 しばらくした後、少し遠くの方で大きな火柱が上がり、爆発音が聞こえてきた。

 

「ちっ、しまっタ。立花亭行くゾ」

 

「もうっ、しょうがないゲスヤローですね!ルイさんは!」

 

二人は爆発のあった方へ向かった。

 

 村の中はすでに死屍累々であった。燃える家屋(かおく)や横たわる屍の数々をかき分け、二人はルイを発見する。

 

「おいルイ!いないと思ったらこんなとこでサボってんのカ!」

 

「ルイさん、あいかわらずクズですね!」

 

「いやー、この村ではこの女が一番の当たりでしたね。いい感じにたるんだ肉がたまりません!」

 

「けっ、始末は自分でしてほしいものだネ」

 

 三人でこのような会話をしていた時、スパノはふと、ルイの近くに倒れている一人の少年の屍に目を向けた。体が一瞬動いたように見えたからだ。しばらく注視していたが、その後は動く気配が見えなかった。もし生きていたなら近くのルイが気付くはずだと考え、スパノは目線を外した。

 スパノと立花亭はルイのしている行為を見るのが嫌になり、彼から離れた。

 

「なんであの人はああいう非人道的行為をやめられないんですか!頭のネジが半分以上取れているんじゃ無いですか!?」

 

「まったくだネ」

 

 燃えさかる村の中を歩きながら愚痴をこぼす立花亭にスパノは同意の意を示す。

 

「あいつの暴挙を報告しなきゃいけないじゃないですか!マウントールさんにルイさんのこと報告すると、すごく嫌な顔するんですよ!」

 

 ここで、スパノはあることが気になり、立花亭に命令をする。

 

「おイ。お前は先に帰還して報告を済ませてこイ」

 

「え~!!スパノさんは?」

 

「俺は…あいつのお()りダ」

 

立花亭は文句を言いつつ「ワープゲート」でギルドに帰って行った。スパノはそれを見届け独りごちる。

 

「あいつは人殺しを嫌うからネ。こっから先は見せられないヨ」

 

 スパノは倒れている屍に触れながら息があるかを確認して歩く。マウントールの発言を思い出しての行動だった。

 

 

 

 

 

 その日、マウントールはベストナインの会合でこう発言をしていた。

 

「いいかい。私たち『神の反逆者』の使命は魔人を討伐し、人々を魔王の脅威から守ることだ。罪の無い人々の虐殺など言語道断だ!」

 

そう宣言した後、彼は少し声のトーンを下げてこう続けた。目線は誰か特定の人物達に集中させているようだった。

 

「ただし、仮にの話だが…もし()()()()()()()()()()()()()には、きれいさっぱり掃除してから帰ることだ。それが責任というモノだよ」

 

 

 

 

 

 ルイがそんなことを思い出しながら村の見回りを続けていると、倒れていた一人の男性が動いていた。スパノは男性のそばに近寄る。彼は頭から血を流していた。

 

「おい、生きているのカ?」

 

「あ…あなたは…スパノ…ヤナティンさんか?」

 

「そうだヨ」

 

「た…助けてくれ…、ルイ…ジュクシスキーさんが…突然……」

 

「あア。助けてやるとモ」

 

 そう言うとスパノは男性に『致死塩分量(デスディーリングソルト)』を発動した。男性の頭から大量の血が噴き出す。

 

「ぐ…ぐああああぁぁぁ……!」

 

男性は苦しみながら息絶えた。

 

「クックック、()()()()()()()()()()()()()()ネ。前世での教訓サ」

 

 

 

 

 

「な…なに…?」

 

リュートが苦しそうに言う。

 

「お前もアシバロンの手下だナ?未だに(はらわた)が煮えくりかえっているヨ。だが残念ながら、尋問相手は一人で十分でナ。相手の体重が重い方が能力の調整の幅が広がル。苦しんで死なないことに感謝するんだナ」

 

そう言いながらスパノは腰に差した剣を抜こうとした。

 

 次の瞬間、リュートは立ち上がり、スパノの足を素早く切りつける。スパノの体から左足が離れ、バランスを崩したスパノがその場に倒れる。

 

「な……ぎぃやあああああああああああああぁぁぁぁぁァ!!!!」

 

左足を失ったスパノがあまりの痛さに悲鳴を上げる。リュートは剣をさやに戻しながらスパノを見下す。

 

「やっぱりお前は馬鹿だな。俺の苦しんでる演技すら見抜けないなんて。今までもその能力で人を殺してきているなら、俺の苦しみ方がおかしいことくらい分かるはずだ。お前にとっては、自分の能力で苦しんで死んでいく人間なんてどうでも良かったんだ。あと、『監視カメラを潰す』とか言っておきながら結局俺っていう()()()()()を見逃しているじゃないか?前世から何も学んでいなかったんだな!」

 

 そしてリュートは傍らで起き上がる人影に言った。

 

「後は任せます、ゴーギャンさん」

 

 その言葉を聞き、ゴーギャンはスパノの胸元にまたがり、彼の首を掴んだ。

 

「これは…ルルの分!」

 

 バキィッ、という音を響かせながらゴーギャンの拳がスパノの左の頬に炸裂した。




 次で第二章は終了です。

 スパノの特殊能力「致死塩分量(デスディーリングソルト)」には元ネタがあります。割とがっつりパクってます。元ネタ知っている人ならすぐ分かるけど、元ネタ知らない人達は、今回の説明でどんな能力か分かったかなぁ?自分の説明力が試される気がします。

 仲間思いのツンデレ「食いしんぼう(ザ・グラタン)」ちゃん大好き。チートハーレム系主人公だったら嫁の一人にしたい。
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