異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン)   作:3S曹長

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 第二章の最終話です。

 風の噂で聞いたんだけど、スパノの元ネタって原作では許されてるってマジ?何で許す必要なんかあるんですか?(正論)


第二章 「ソルティングブレッド」殺し その8 「転生者のルール」

 気がつくと、素矢野多賀瑠(すやのたがる)は知らないところにいた。

 

「ここはどこダ?」

 

 辺りを見回す。彼は雲の上に浮かぶ6畳の畳の上にいた。畳の真ん中にはちゃぶ台が一つ。タンスが一棹、小さなテレビが一台。素矢野とちゃぶ台を挟んだ向かいに一人の老人が座っている。老人は古代ギリシャの人が着るような白いチュニックを着ていた。昔は筋骨隆々だったが今ではすっかりしぼんでしまったかのような、痩せた体。顔には白い髪、(あご)ひげ、口ひげがひょろひょろと生えていた。

 

「というわけで、お前さんは死んでしまった」

 

「あン?お前何言ってんダ?お前誰なんダ?」

 

 突然口を開いた老人に対し、素矢野は疑問をぶつける。

 

「ワシか?ワシは神じゃ」

 

神を名乗る老人が答える。何か言おうと口を開いた素矢野を老人は制して言葉をつなげる。

 

「あ~、よいよい。何も言わんでも、お主の言いたいことは大体分かる。皆同じ事を言うのじゃ。じゃから思い出してみぃ。自分が思い出せる一番最近のことを」

 

 素矢野は振り返る。

 

「…そうダ。俺が走っているところに横からトラックが来テ…」

 

「そうじゃ。そのトラックでお前さんは死んだんじゃ」

 

 素矢野は呆然となる。自分は死んだ。だがあのままだと、スーパーの同僚に言い訳をしなければならない地獄が待っている。ならばいっそ死んだ方がいいのか。しかし俺はまだ死ぬつもりは…。そんなことを考えつつも、老人に対し自分が最も気になる疑問をぶつける。

 

「死んだんなら、なぜこんな所に呼んだんダ?あんたなんだロ?俺をココに呼んだのハ?」

 

「おぉ、お前さん、なかなか切り替えが早いのぉ」

 

「混乱してるだけダ」

 

「いや、良いのじゃよ。泣き出したり、ワシに文句を言ったりする輩も多いのでな。なかなか面倒なんじゃよ」

 

「いいかラ。お前が俺の質問に答える番だゾ」

 

「ふむ、その質問に答える前にまずは死んだ者がどうなるのかを話さねばならんな」

 

 神は素矢野にお茶を勧めつつ、説明を始めて行った。

 

「最初に答えを言うなら俗に言う『輪廻転生(りんねてんせい)』というヤツじゃな。別の者に生まれ変わるのじゃ。じゃがな、人間に生まれ変われるとは限らんぞ。別の生き物として生まれるかもしれん。更に言うと、世界というものはお前さんが生きていた世界以外にも沢山ある。俗に言う()()()というヤツじゃな。生まれ変わる先の世界も同じくどこになるか選ぶことは出来ん。つまり、どの世界のどんな生物に生まれ変わるか全く分からん。これが()()()()じゃ」

 

「ふーン。俺の知ってる輪廻転生とは違うんだナ」

 

「物事が間違って知られることはあるものじゃ。ちなみに輪廻転生では記憶を引き継げん」

 

 素矢野は神の説明を大人しく聞いていた。

 

「生きとし生ける命全てにこの輪廻転生は当てはまる。輪廻転生は自動で行われるんじゃが、別の転生方法もある。それが『転移転生(てんいてんせい)』じゃ。この転生方法は、神自らの手で一つの命を転生させる方法じゃ」

 

「俺はその方法で転生するって事カ?」

 

「話が早くて助かるのぉ。その通りじゃ。ほいでこの転移転生はな、神が転生先を決められるし、記憶も引き継げる。好きな能力を持たせることも出来るし、好きな容姿で成長した状態でのスタートも可能じゃ」

 

「便利じゃねえカ」

 

「そうじゃろう?じゃが全ての生命に適用することは不可能じゃ。こうして話している間にも、いくつもの世界でいくつもの命が失われておる。その命全てに手を加えることは神にも不可能なのじゃよ」

 

 素矢野は話を聞いて想像を膨らませる。自分の世界だけでも生命体の数は数え切れない。しかも同じような世界がいくつもあるのだ。気が遠くなる数だと思う。しかし、自分は他とは違う。自分は選ばれたのだ。そう考えると急に気分が良くなった。

 

「なるほど、俺は選ばれたんだナ」

 

「まあそうじゃのう。じゃが、転移転生されるということは、それなりに理由があるのじゃぞ。それにルールもある」

 

「何だヨ?」

 

「その説明をする前に、まずお前さんの転生先の世界がどんな世界か話さんとのう。まぁ安心せい。ちゃんと転生先は人間じゃよ」

 

 神は転生先の世界について説明を始める。元いた世界のように機械技術が発展しておらず法制度も整備されていないこと、その代わり魔法という元の世界には無い力があること等々…。

 

「それでこの世界は今、『人間』が生態系のトップに立っておるのじゃが、『魔族』と呼ばれる生物が知恵を付け『魔人』となり、生態系のトップの座を取って代わろうとしておる」

 

物騒な話になってきたと素矢野は思う。

 

「本来ならそれで良かったんじゃよ。お主の世界も昔は恐竜が支配しておったが、今は絶滅してその座に人間がおるじゃろう?それと同じじゃよ。じゃが、予定が変わっての。引き続き『人間』が支配する世界となることに決まったのじゃが、その時にはすでに『魔人』の進出が始まってしまっての」

 

「神が手を下せば良いんじゃねぇのカ?」

 

「ほっほっほ。勘違いしている者が多いんじゃが、神は余程(よほど)のことが無い限り、下の世界の命に手を下すことは出来んのじゃよ。んで、今回も無理というわけじゃ。そこで、お主のような死者を転生させ、魔人を討伐させるという方法をとることにしたのじゃよ。」

 

「ちょっと待てヨ。俺は戦った事なんテ…」

 

「そこも心配無用じゃ。転生した際には魔人と戦うのに困らないほどの身体能力と魔力を授けよう。素質のある者は更に強い力を持てるぞ。それに加え、一人一人に特別な能力も授ける。実際今もその世界で転生者が戦っておるが、そのほとんどは転生前に戦いなど経験しておらん。じゃが立派に戦えておるよ」

 

「ふーン。で、ルールってのハ?」

 

「そう、そこが重要じゃ。転生者の使命は『魔人の討伐』じゃ。ノルマは無いが、あまりにも討伐をサボるようならば死んでもらう」

 

「物騒だナ」

 

「じゃが、魔人の討伐さえやってくれるなら後は自由じゃ。サボり気味の者には警告も行う。いきなり殺したりはせんわい」

 

素矢野は少し安心する。

 

「そしてな、ここが一番重要なんじゃが、魔人の掃討が終了するまでに死んでしまった転生者は二度と転生出来ん。『輪廻転生』も『転移転生』も不可能、その命は完全に失われることになる。まぁ転移転生にもデメリットがあるということじゃな」

 

「はァ?死ぬ前に魔人の掃討とやらを終わらせなきゃいけねぇってことカ?」

 

「まぁそこも安心せい。魔人を掃討するまでは転生者は不老じゃ。それによほど油断して戦いに臨んだりせん限りは死んだりはせん」

 

 転生者同士で争いが起こった場合はその限りでは無い、という話を神はしなかった。

 

「まぁ、本来死んだ後自分がどうなるかなど皆分からん。輪廻転生では記憶は引き継げないしのぅ。そう考えれば今後の転生が可能か不可能かなど大した差ではないと言える。魔人を掃討し終えた後は、その世界で好きに生きて良い。魔人の掃討が完了すれば不老では無くなるが、死んだ後の輪廻転生が可能となる。さ、後はお主が選ぶのじゃ。『転移転生し魔人を討伐する道』か『他の命と同じように輪廻転生する道』か」

 

「…一つ聞きたいことがあル」

 

 自分の今後を選ぶに当たり、素矢野は神に一つ質問をする。

 

「なんじゃ?」

 

「転生者は魔人の討伐をサボってはいけなイ。決まりはこれだけカ?」

 

「そうじゃの。他の人間を何千人も殺したりせん限りは…」

 

「今の言葉を聞く限り、仮に一般人を殺してしまったとしても数人程度なら問題ないト?」

 

「うーむ。そんな風に受け取って欲しくはないんじゃが…まぁそうじゃな」

 

 神の最後の言葉は口ごもった様子だった。

 素矢野は転移転生の道を選んだ。

 

 

 

 

 

「これは、皆に好かれていたアレクサの分!」

 

 気がつくと、スパノはゴーギャンに殴られ続けていた事に気付く。どうやら気を失い、過去のことを思い出していたらしい。顔は醜く歪んでいて、もはや痛みも麻痺していた。

 ゴーギャンはずっと、スパノに殺された託児所の人間の名前を呼びながら、スパノを殴り続けていた。

 

「これは、皆に優しくしてくれていたアルノ所長の分!」

 

 メシッという音が響く。これで23人全員の名前が呼び終わった。ゴーギャンは背中の武器に手を伸ばす。棘の付いた鉄球と持ち手が金属の(くさり)でつながれている、所謂モーニングスターという武器だった。

 

「最後に…大切なものを失った私の悲しみと、これまでお前に殺された人々の無念…。全てをこの鉄球に乗せて、お前を討つ!」

 

 殺される、スパノはそう思った。死にたくない、と同時に強く思った。

 

「ほ…、ほれだけは勘弁ひてくれえええええぇぇぇェ!!」

 

「勘弁ならん!!!!」

 

 鉄球がスパノの顔を目がけて振り下ろされた。スパノはとっさに両腕で顔をかばうが無駄だった。両腕もろとも粉々に粉砕されるスパノの顔。飛び散る骨、血しぶき、肉、脳…。

 

 こうしてスパノ=ヤナティン、通称「ソルティングブレッド」、本名「素矢野多賀瑠(すやのたがる)」はベストナイン二人目の死者となった。

 

 

 

 

 

 復讐が終わり、ゴーギャンは呆然と立ち尽くしていた。そんな彼の背後から声がする。

 

「終わったようだな、お疲れ様」

 

 冷蔵庫内に隠れていた魔女が出てきた。

 

「あ、ゴーギャンさんお疲れ様でした」

 

リュートも魔女につられてゴーギャンに声をかける。

 

「ああ…。二人のお陰で、皆の(かたき)を討つことが出来た」

 

ゴーギャンが二人に感謝の言葉を言った。

 

「しかし危なかったな。リュートがいなければ、殺されていたのはお前だったぞ?」

 

 魔女の言葉を受け、ゴーギャンは先程から抱いていた疑問を口にする。

 

「なぜ…私は駄目だったのだ?」

 

「あぁ、それは簡単だよ。()()()さ」

 

魔女は答えた。

 

「お前は()()()()()()()()()を言う前に口が止まっていた。お前のような訥々(とつとつ)と語る方法じゃ駄目なのさ。リュートの罵倒を聞いていたか?流れるように、相手の心をえぐるような強い口調で罵倒していただろ?相手の心を乱すには言い方が重要なんだよ」

 

「そうだったのか…」

 

 ゴーギャンは納得する。自分には無理だな、とも思った。

 

「でも、そんなことはゴーギャンさんには無理だったと思います」

 

 ゴーギャンの思考を読み取ったかのようにリュートが言った。

 

「だって『()()()()()()()()()()』ですからね!」

 

リュートの言葉を聞いてゴーギャンは、おや、と思う。自分の過去を彼に話した覚えは無い。とすると今の言葉は魔女の指南だったのかもしれない。

 

「改めてお礼を言わせてくれ、リュート。君のお陰で皆の無念を晴らせた。本当にありがとう」

 

 ゴーギャンのお礼の言葉を聞き、リュートはこれから自分が進む道を決めた。

 

「この世界にはまだ、悪逆を働く転生者がいる。苦しんでいる人がいる。俺は暴虐な転生者を討ち、悲しむ人が生まれない世界を作りたい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二章 「ソルティングブレッド」殺し END

「ベストナイン」 残り7人




 全てが自分のオリジナルで構成された第二章が終わりました。皆さん、いかがでしたでしょうか?

 第二章終了を記念してここからは、私がなぜこの物語を書こうと思ったのかを語りたいと思います。興味のある方だけご覧下さい。





 まず私は、原作者の名前を「チートスレイヤー」を知る前から知っていました。しかし、「賭ケグルイ」は未だに読んでおらず、別の作品で知りました。
 私には今すごくはまっている漫画があります。名前を挙げるのは避けますが、「神と人が13の代表を選出してタイマンバトルを行う漫画」です。その後追い漫画があるんですけど、その原作者が「チートスレイヤー」の原作者だったのです。その漫画の内容なんですけどまあひどいんですよ。設定も描写も元ネタで見たようなのばかりで、オリジナル設定は矛盾を起こしているかつまらないかのどちらかで、本当につまらないんですよ。その漫画でも当然「あの『賭ケグルイ』作者が描く超大作」みたいな宣伝がされていて、「ヒット作出した作者なのによくこんなつまんない漫画作れるな」と正直思っていました。
 そして「チートスレイヤー」をネットで知って読んで、またしても衝撃を受けました。無論悪い意味でです。くっさい告白を突然行う幼なじみ、ルイのやりすぎな悪行、魔女の原作者の気持ちを代弁しているとしか思えない長ったらしい演説、無意味な描写が多い物語の構成…。
 そして思ったのです「今まで物語なんて発表したこと無いけど、この人より面白い物語くらい自分でも作れるのでは?」と。これが第一の理由です。

 一方で、私には「チートスレイヤー」で気に入っている部分もあります。それは「他人の作品のキャラを思いっきりパクっていること」です。
 前から言っていますが私はパクリやパロディが大好きです(商業作品でやることの善悪は別ですが)。「ボボボーボ・ボーボボ」や「いぬまるだしっ」、「銀魂」も大好きです。中国のパクリ玩具を見てゲラゲラ笑っています。そんな私にとって「チートスレイヤー」の「他人の作品のキャラを思いっきりパクっている部分」だけはある意味お気に入りなんですよね。
 「チートスレイヤー」の二次創作を作るに当たっても「どこかで見たようなキャラばかり」であることを目指したのですが、人気作品のキャラクターのパクリを悪役にすると原作と同じく炎上して終わりだろう、とも考えました。
 そこで目を付けたのが「とある共通点を持つ作品」でした。その「共通点」のせいで、知名度はあるのに皆から煙たがられている作品群。「その作品の最も目立っているキャラを『悪役』として昇華することは出来ないか」と考えたのが第二の理由です。

 ですから私は感想欄で「原作より面白い」と言われたり、パロディ元の予想を当てられることが嬉しいのです。
 この作品の感想欄はアカウントの無い人でも書き込めます。どうぞ自由に思ったことを感想欄で書いてくれれば、と思います。「作品読みに来ただけなので、感想書く気は無い」という方はそれでも構いません。これからも私の作品を楽しんでくれれば満足です。

 長くなってしまいましたが、最後まで読んで下さった皆様ありがとうございました。
 作品の今後の展開をお楽しみください。
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