異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン) 作:3S曹長
甘いものがとっても大好きな甘党うさぎ。
世界一甘いと言われる甘糖人参を探し求め、
今日も明日もニンジンをかじりたい。
リュート達は、バニーラが来たという方向へ進んでいく。
「この方向ですと、途中で魔族の群れに突き当たってしまいそうですよ」
「だ、大丈夫ですぅ!わたしも戦えますから!皆さんの足は引っ張りません!」
ケイルの警告にバニーラは自信満々に答える。「転生者だから戦闘は大丈夫だろう」という考えと「この子に戦闘なんて出来るんだろうか」という相反した考えが四人の頭によぎった。
「戦えるのか?」
ポセイドラが単刀直入に聞いてしまう。
「はい、バッチリ戦えますよ!わたしの『
聞き慣れない技名が彼女の口から出てきた。リュートはポセイドラに習って単刀直入に聞いてみることにした。
「バニーラさんって、転生者なんですか?」
「あ、はいそうです!わたしは転生者ですぅ」
彼女は素直に答えた。
「それより…、わたしのことは呼び捨てで構いません。それに、敬語も使わないで普通に話して欲しいなぁ、と。その…丁寧に話しかけられることに慣れていなくて…」
「慣れていない?」
「そうなんですぅ、転生前から丁寧語で話しかけられたことが無いので」
「それってどういう…」
「リュートくん?女の子のプライベートにズケズケ入っていっては駄目ですよ」
ケイルがリュートを注意するとバニーラが首を振る。
「いえいえ、大丈夫ですぅ!わたしの過去を皆さんにお話ししようと思ってましたから!その…他に話すことも無いので…」
そう言って彼女は自分の転生前について語り出す。
「わたし、転生前は普通のウサギだったんですぅ」
「だから、ウサギの獣人なのか」
「そうなんですぅ。獣人は皆、転生前は動物だったみたいですよ」
ポセイドラの反応に彼女は答えた。獣人の転生前は動物だった。この情報は誰も知らなかった。
「普通のウサギといっても…わたしはものすごく体が大きかったんですぅ」
バニーラは回想を続ける。
「ペットショップで売られていたんですけど、体が大きいせいでなかなか飼い主が見つからなくて…」
「その『ペットショップ』っていうのは?」
聞いたことの無い単語についてリュートが尋ねる。
「はわわ、すみませぇん説明不足で…。わたしのいた世界では人間が飼育する動物を売るお店がありまして、それを『ペットショップ』って言うんですぅ」
バニーラが慌てて説明をする。
「ようやく飼い主が見つかっても『大きいのがこんなに不便だとは思わなかった』って言われて返されることもあって…。でも、三番目にわたしの飼い主になってくれた方は私にとても優しくしてくれました。その方に大切に飼われて、わたしはウサギとして幸せな一生を送ることが出来ました」
「いい話じゃないか」
バニーラの話を聞いたラーシャが言う。リュートも同じ感想だった。
「それで、死んだと思ったらわたし、神様の元にお呼ばれされて。そこで『今度は別の世界で人間達のために頑張ってみないか』って誘われたんですぅ。確かにわたしは『大切にしてくれたご主人様に何か恩返しがしたい』ってずっと思ってたんですぅ。でもウサギのままじゃ人間の役に立てなくて…。でも、神様はわたしに人間の体をくれました。『その体で今度は人間達の助けになりなさい』って。この世界にご主人様はいませんけれど、同じ人間を助けることが出来るなら、わたしはそれで幸せなんですぅ」
彼女の話を聞いてリュートは思わず感動してしまう。ご主人様が人間だとしても、彼女をペットショップに返したヤツも同じ人間だっただろう。それなのに、人間全体への恩返しをご主人様への恩返しだと考え、見ず知らずの世界の人間を助けようとするとは。とてもいい子だと思った。それと同時に「ルイやスパノとは大違いだ」とも。
「感動の話をしてくれたところで申し訳ないのですが…」
感動的な気分に浸るリュートを、ケイルの言葉が現実に引き戻す。
「魔族の群れがこちらに近づいてきています。結構大きいですよ」
「はわわ、うっかりしてましたぁ!よく聞いたら足音が近くまでぇ!!」
バニーラが慌て出す。確かに前方から敵群の影が見えてきた。
「とっくに気付かれているようだな」
「バニーラの言う方向も私たちの獲物も同じ方向だっただけだ。ちょうどいい」
ポセイドラとラーシャが武器を構える。ポセイドラの武器は黒に見えるほど濃い
「リュートくん、バニーラさん、準備して下さいね」
ケイルも武器を取り出す。彼女の武器は
「バニーラの武器って…?」
リュートがルイの剣を抜きながら尋ねる。
「わたしの武器はこれです!」
そう言って彼女が取り出したのはニンジン…どこからどう見てもニンジンだった。オレンジのニンジンに緑の
「に、ニンジンん!?」
「リュート、こいつは転生者だ。何か仕掛けがあるはずだ」
困惑するリュートにポセイドラが言う。
「来ますよ!」
ケイルの言葉通り魔族が目の前まで迫っていた。大きな犬ほどの魔族から人間の倍近くの巨体をした魔人まで。大小様々の魔族が10体はいた。
「皆、目を閉じろ!!」
ラーシャはそう叫んで魔法を発動する。
「『フラッシュ』!」
彼女のフルーレからまばゆい光が放たれる。強烈な目くらましの呪文だ。
「うわあああ!目が、目がああぁぁ!」
バニーラが悲鳴を上げる。リュートはギリギリで目を閉じることが出来たが、彼女は遅かったようだ。二人はラーシャがこんな手を使うとは知らなかった。
「全く…」
ポセイドラが呆れる。
「ラーシャさん、
ケイルがラーシャを注意する。
「す、すまん!いつもの癖で…」
ラーシャも素直に謝罪する。しかし彼女の目くらましは魔族達にも効果は絶大だった。のんきに話していられたのもこのためだ。
「皆さん、しばらくお願いします。バニーラさん、目を開けて
「ふ、ふえぇ?」
「心配しないで下さい。目くらましを直す目薬です」
ケイルは小さな薬瓶を
「すまない、この
ラーシャがフルーレを振ると、光の羽が現れる。彼女がフルーレを魔族に向けると羽もそちらに飛んでいき、魔族の体を
「これなら俺は『エンチャント』を使わなくとも良さそうだな」
ポセイドラが
「行くぞ、リュート。俺はデカブツを斬る」
言うが早いか、ポセイドラは巨体の魔人目がけてジャンプをし、剣を振りつつ着地する。次の瞬間、魔族の体は
「す、すごい…」
リュートも感心しながら、ラーシャと一緒に羽で重傷を負った魔族達を切り伏せていく。
が、三人の目に新たな敵が映った。巨体の魔人を始めとする前衛の魔族を討ったことで、後の敵が見えるようになったのだ。ポセイドラが斬った魔人とは別の意味で巨体だった。背丈はヒトの大きさ程だが、丸い大きな球体の体をしている。ズシンズシンと大きな音をたてながらゆっくりと前進してくる。その背後にも魔族が十数体控えていた。
「皆さん!お待たせしましたぁ!!」
リュートの背後から声が聞こえる。バニーラの声だった。
「皆さん、左右に散ってくださぁい!」
彼女の指示通り、三人は魔族の群れに道を空ける形で左右に退く。
「『
バニーラの叫びと共に、ニンジンがどんどん小さくなっていく。それと同時に茎と葉が細く長く伸びていき、あっという間に、オレンジのニンジンが分銅となった緑の
バニーラは鞭を伸ばし、巨体の魔族の足に引っかける。彼女が鞭を持った手を引くと、巨体の魔族が前方に転んだ。
「『
彼女の指示でニンジンが形を変える。オレンジのニンジンの先が鋭くなり、茎がまっすぐ伸びて堅くなる。ニンジンが穂先となり、茎と葉が
「でええええい!!」
バニーラは素早い動きで槍を動かし、魔人の巨体を幾度も
「では、残りは私が」
バニーラの後方にいたケイルが杖を魔族に向けると、杖の先から黄色の液体が噴射される。彼女の杖は、杖に見せかけた
「『ウォーターボール』」
ケイルが呪文を唱えると球体の水の塊が現れる。杖に見せかけたスポイトは
「『エレメントウォーター』」
ケイルが追加の呪文を唱えると、液体が動きを止めた。彼女が杖を指揮棒のように振ると液体もそれに合わせて動き、魔族の群れの上で動きを止めた。
「『エレメントウォーター』は自分の指定した液体を自在に操れるようになる魔法だ」
あっけにとられるリュートにポセイドラが解説をする。
「降り注ぎなさい」
ケイルがそう言って杖を振ると、液体の塊はザッと音を立てて魔族に降り注ぐ。魔族はうなり声を上げながら倒れ、動かなくなる。
「魔族にのみ効果のある毒です。皆さん、
リュート達は息のあった魔族に止めをさし、勝利を手にした。
「やった!勝ったよ、バニーラ!」
「えへへぇ、わたし、お役に立てましたかぁ?」
「もちろんだよ!バニーラの能力ってすごいなぁ」
リュートとバニーラがハイタッチして勝利を喜ぶ。
その時、バニーラの耳に
「おーい、バニーラどこだぁ」
「あ!仲間が来ましたぁ!お~い!わたしはここですよぉ!!」
彼女は夢中で声の聞こえた方向に駆けていく。しばらく走って彼女は仲間を見つけた。
「あ、いた!おい心配したんだぞバニーラ!」
「えへへぇ、心配かけてすみません、皆さん」
「魔族の大きい反応があったんだけど大丈夫だったの?」
「はい、大丈夫でした!優しい皆さんが一緒に戦ってくれたので…」
そう言ってバニーラが後ろを振り向くが、そこには誰もいなかった。
「あれ、あれれれれ?置いて来ちゃったみたいですぅ」
「バニーラ、誰かに助けてもらったの?」
「『神の反逆者』に所属する転生者なのに恥ずかしいぞ」
「えっへへえ、すみませぇん」
「どうしたの?なんだかご機嫌ね」
「え、そうですかぁ?」
バニーラは笑顔で言った。
「わたし、夢を叶えることが出来てるなぁって思っちゃいまして!」
リュート達四人は、バニーラが駆けていった方とは逆方向に去って行く。
「本当に良かったんでしょうか?」
「むしろ追いかけていった方が問題だ。俺たちはルイとスパノを殺してるんだぞ。もしアイツの言う仲間が『神の反逆者』のメンバーだったらどうする?」
「そ、そうでした…」
ポセイドラの言葉にリュートは素直に納得する。
「でも、それならアイツに顔を見られた時点でアウトなんじゃないか?」
「…言われてみればそうだな」
今度はポセイドラがラーシャの言葉に納得する。
「でも、私は彼女が危険な子だとは思えません」
「お前がそんな風に言うとは。一体何があった?」
ケイルにポセイドラが尋ねる。
「あの子、私の目薬の処方を素直に受けてくれました。私達のことを少しでも敵視していたり、私達の事を
ケイルが答えた。
「俺もそう思います。最も、俺の場合は完全に勘なんですけど…」
リュートもケイルに賛同する。
そんな中、リュートは頭の中で別のことを考えていた。
「今日、俺はバニーラって転生者と一緒に魔族の討伐をした。『いつか転生者と一緒に戦いたい』って夢を俺は今日叶えていたんだなぁ」
新キャラのバニーラ=チョコミクス、いかがでしたでしょうか?
私が今回この新キャラを出した理由は、「マジメに魔人討伐を頑張る良い転生者もいるんだ」ということを伝えたかったからです。皆さんも彼女のことは変に疑わず、温かい目で見てあげて下さい。
こんなこと、原作者は絶対書かなかっただろうなぁ。あ、ごめん、決めつけちゃいけないよね。良い転生者を書くつもりもあったかもしれないよね。
それから、「テンスレ」メンバーの一部の戦い方をご紹介しました。彼らの武器は、元ネタと同じ武器を使うキャラもいれば、違う武器を使うキャラもいます。
元ネタと同じ武器…ゴーギャン、ポセイドラ、ラーシャ
元ネタと違う武器…ケイル
特にラーシャはオリジナル成分の多いキャラで、「元ネタと同じ武器を使う」という特徴は、貴重なパクリ要素です。その他のパクリ要素と言えば、「姉を殺した相手への復讐」の要素ですね。もう一つ付け加えると、彼女の元ネタは漫画のキャラじゃないです。
他の「テンスレ」メンバーが
一つ目は、
二つ目は、ケイルとは別ベクトルのクールビューティーが欲しいと思ったからです。実際にクールビューティーになれているかはさておき。
三つ目は、「テンスレ」にはリュートと魔女が加わるわけで、それを踏まえて
以上の三つが理由なので、「ラーシャだけ
それよりも、「テンスレ」メンバーの大半の元ネタである「