異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン) 作:3S曹長
始まりました、不定期開催企画「とーとつにボツ転生者」のコーナーです。このコーナーでは名前の通り、様々な理由でボツになってしまった転生者を発表するコーナーです。もちろん転生者には元ネタがあります。そして転生者の元ネタには「例の特徴」があります。それでは始めましょう。
名前:タンショ=スモッツ
通称:「謎解き天パ」
能力:謎解きに関係する能力
好物:ハチノス、きなこと黒蜜のかかったアイスクリーム
唐揚げには:韓国のり
ボツ理由:当初はベストナインのメンバーになるはずだったキャラ。しかし、謎解きに関係する能力が思いつかなかった(周りの事象を謎に変換するのか、謎解きをすると自分に有利な何かがあるのか)。そしてなにより、読者が納得できるクオリティの謎解きを作る能力が作者になかった。だからといって、「『やっぱりあった、監視カメラ!』『なんであんな所に監視カメラが…』」とか「みんなモーニングセットを頼んでいるのにあの人はサンドイッチを頼んでいる。あの人は怪しい」とか「『毒はワインに入っていたのではなく、ワイングラスに塗られていたんです!』『すてき!結婚して!』」だとか…便所のネズミのクソにも匹敵するくだらない謎解きで満足するのは、プライドが許さないのでボツになりました。
ジョースター卿から一言:逆に考えるんだ。自分がピンチの時にSOSの暗号を考えつくなんておかしい。アイツは犯人とグルだ、と考えるんだ。
バニーラと出会った日の夜、リュート達は魔女にバニーラの話をした。魔女のことだからきっと辛辣な悪口が飛び出すのだろう、と考えていた彼らだが、意外にもそうでは無かった。
「ほう、獣人の転生者か」
「獣人は皆、転生前が獣だったというのは本当か?」
「ああ、その通りだよ。この世界に転生者として送られる獣は、ほとんどが『人間に飼われていた獣』なんだよ。人間に大切にされた獣は、人間に対する感謝の心を抱きやすい。しかし、獣のままでは満足に恩返しが出来ない。そんなフラストレーションを、魔人討伐による人類の救済という形で解消させるわけだ。私はね、『獣人の転生者』というシステムは結構気に入ってるんだよ」
「意外だな。魔女が転生者を気に入るとは」
「獣は人間よりも単純だ。転生後に増長して悪事に走りそうなヤツはすぐ分かるから選別されない。そして人間達への感謝を示そうと一生懸命になりやすい。魔人もしっかり討伐するし、コミュニケーション能力もバッチリだ。だけど、しっかり転生者としてやっていけそうな獣は少なくてね。どうしても数が少なくなってしまうんだよ」
リュートは魔女の説明を聞いて、バニーラの人当たりが良い理由を理解した。
翌日
この日の魔人討伐はケイル、ラーシャ、ジモー、ゴーギャンの四人が行っていた。リュートは地下室の外でポセイドラとレースバーンと共に剣の修行をしていた。ルイによって滅ぼされた村には、修行に使える空き地がいくつもあった。魔女はここ数日、次の作戦を地下室で練っていた。
リュートは村一番の剣術自慢ではあったが、他の「テンスレ」メンバーと比べると戦闘能力では劣っていた。パン祭りの準備期間中から、二人に剣術の修行に付き合ってもらっていたが、二人の剣術はリュートが見たことがないほど上手だった。やはり世界は広いのだ、と思わずにはいられないリュートだったが、彼の才能は二人も認めるほどだった。
「そろそろ、こいつにも『エンチャント』を教えても良いかもしれないな」
「ああ、そうだな!」
昼食後、ポセイドラの提案にレースバーンが賛同する。
「えんちゃんと?」
「『エンチャントソード』、剣に魔法を乗せることで攻撃力を上乗せする技術だ」
レースバーンが説明をする。
「俺たちは今まで君に剣術だけを教えてきた。最初からある程度の技術はあったようだが、ここで修行を始めてから君の腕前は更に上達しているぞ!俺たちも驚いているほどだ。断言しよう、君には間違いなく才能がある!」
「あ、ありがとうございます!」
レースバーンの熱い賛辞にリュートの口から感謝の言葉が出てくる。
「『エンチャントソード』を覚えることが出来たなら、君の強さはますます上がる!覚えて損は無い技だ」
「…でも俺、これまでも魔法の練習を何度かしたことあったんですけど、上手く使えたことが無くて…」
魔法は剣術に比べて才能の有無が重要となる。極端な話、どんな人間だろうと剣を持って適当に振れば、相手を傷つけることは出来る。そこから修行をすることでどれだけ剣の技を磨くか、というのが剣術だ。一方、魔法とは体内の魔力を用途に分けて放出する技能だ。自分が思ったとおりの魔法を使うには才能が必要なのだ。知識や技量は日々の努力で身につけることが出来ても才能は身につかない。事実、魔法を全く使えずに魔人と戦っている人間もこの世界には沢山いる。
リュートはルイに村が襲われるまでの間、いつか転生者と共に魔人討伐をすることを夢見て、戦いの基礎を習得しようとしていた。彼には剣術の飛び抜けた才能があり、独学で村一番の剣術自慢になり、ここ数日の修行で二人が驚くほどの上達ぶりを見せていた。
一方、魔法に関しては自信がなかった。今は亡き幼なじみのリディアは魔法を多少使えていたので、彼女から教わっていたこともあるが、結局初級の攻撃呪文を使いこなすことすら出来ないままだった。
「よし、その程度ならば問題は無い!」
レースバーンが勢いよく断言するので、リュートは少々面食らった。
「リュート、俺たち二人も最初から剣術と魔法の両方が使えていた訳ではない!俺は火属性魔法が得意だったが、剣術はさほど得意ではなかった。ポセイドラは初めて会ったときから剣の腕前は達人級だったが、今ほど魔法は使えていなかった。俺たちは互いに互いを教えあい、『エンチャントソード』の修行をしていったのだ!」
レースバーンは誇るような表情で言っているが、ポセイドラの表情はどこか不満げだった。恐らく、魔法が上手く使えなかった過去を暴露されたのが気に食わなかったのだろう。
「それにだ!何もしないで諦めてしまうのは、もったいなさ過ぎるではないか!『エンチャントソード』の技能は魔法を唱えることと完全に一緒というわけでは無い!もしかしたら出来るかもしれない、そう考えて修行をしてみることに何のデメリットがあるだろうか?出来たなら御の字、出来なければ仕方なかった、そう割り切って修行をするべきではないか!?」
リュートはハッとした。確かに自分はまだ何もしていない状況で諦めていたのかもしれない。これから戦うベストナインのメンバーは「
「すみませんでした、レースバーンさん。俺、やってみます!」
リュートが「エンチャントソード」の修行を始めた理由は、レースバーンの言葉に心を動かされたこともそうだが、ポセイドラに恥をかかせてしまったことも理由の一つだった。
「よし、まずは俺の技を見せてやろう!俺の『エンチャントソード』はもちろん火属性!『エンチャントファイア』!」
レースバーンが魔法を唱えると、彼の剣の刀身が炎に包まれる。
「『エンチャントソード』の習得に必要なのは想像力だ。火属性魔法の場合は、自分の剣の刀身が着火剤だと想像する。その着火剤に火が付けば当然炎が上がるだろう。火を付けるのは当然、自身の魔力だ」
レースバーンの説明を聞き、リュートは剣を握る。剣が着火剤で出来ているものだと想像する。その想像を保ったまま自身に眠る魔力が炎に変わっていくのを想像、そしてその炎を剣に着火させる。
「『エンチャントファイア』!」
…何も起きなかった。いや、正確には刀身が少し温かくなった。湯たんぽの代わりにはなりそうだ。怪我をしても責任は負えないが。
「うん、まぁ最初はこんなものだろう!『エンチャントウォーター』も試してみるか!ポセイドラ、お手本を見せてくれ」
「『エンチャントウォーター』」
ポセイドラは早速魔法を唱える。刀身が水流に包まれた。
「ポセイドラは今、水の流れをかなり遅くしている。本来は今の何百倍も水の流れを速くすることで殺傷力を上げる技だ」
確かに今の水流は目で追える早さだ。このままではただ刀に水がまとわりついているだけだ。
「流れの速い川は水の流れを見ることが出来るな?その水の流れを切り取って刀身にかぶせるイメージだ」
リュートはポセイドラに言われたとおりのイメージを頭に浮かべる。そしてそのまま自身に眠る魔力が水に変わっていくのを想像、その水を刀身に流す。
「『エンチャントウォーター!』」
…やはり何も起きない、いや、刀から水が
「まぁ最初はこんなもんだ。しょうがないしょうがない」
ポセイドラがリュートを励ます。リュートとしては、「最初はやはりこんなものか」という気持ちと「これなら行けそうだ」という気持ちと「このまま上手くいかないで終わるのではないか」という気持ちの三つがまぜこぜになっていた。
リュートは不安だけを押さえ込むために、レースバーンに尋ねる。
「ラーシャさんは光属性魔法を使ってましたよね?」
「ああ、確かに彼女は光属性魔法をフルーレの剣術に合わせて戦う。だが、光属性魔法は熱量を上げるほど明るさも上がってしまう。剣の威力を上げるほどの熱量の光属性魔法を『エンチャント』すると眩しさに目がくらむか目を閉じるか、どちらにせよ何も見えない状況で剣を振ることになってしまう」
「そ、そうなんですね…」
ラーシャの「フラッシュ」をまともに受けたバニーラはケイルの治療を受けるまで目が見えない状況になってしまった。あの明るさを剣に付与すれば、まともに戦えなくなるのは間違いない。
「そもそも、お前の得意属性は何だ?」
ポセイドラが口を開く。
「え?」
「それを知るのが最初なんじゃないか?」
リュートとレースバーンはしばらく言葉が出なかった。肝心なことを調べていなかったのだ。
「あっはははは!こいつはうっかりしていたな!いやいやゴーギャンじゃあるまいし…」
レースバーンが高らかに笑う。
そんな彼の背後に突然、「ワープゲート」が開く。
「ワープゲート」から一人の男が出てくる。
その男の放つ
薄いグレーの上下ジャンパーにクリーム色のヘルメット。上のジャンパーには黄色の反射帯、ヘルメットの正面には緑の十字。ベストナインの序列2、通称「Mr.土方」のアシバロン=ボーナスに間違いなかった。
彼は辺りを見回し、口を開く。
「ここか?祭りの場所は…」
今回の話を書いた中で気付いたことがあります。
私は…
この話の大まかな流れは前々から考えついていたのですが、修行シーンが上手く書けず、中盤ものすごく苦労しました。
理由は明白ですね。私自身が
まさかこんな所で今までの生き方のしっぺ返しを食らうとは…トホホ。