異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン)   作:3S曹長

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「フウウウウウウ~~~。わたしは…自分の作品がアニメ化されていたころ…犬塚惇平先生の『異世界食堂』ってありますよね…。あのアニメ…ネットで見た時ですね。あの『異世界食堂』がわたしの作品のアニメより上回っている『円盤の売り上げ枚数』…。()()…初めて見た時…。なんていうか…その…下品なんですが…フフ……

嫉妬

しちゃいましてね…。『異世界食堂』のヒロインをパクって敵キャラにして…自分のキャラクターに殺させようとしていました」

「オイ…『異世界食堂』ナンカヨリ『小林さんちのメイドラゴン』ヲ見ロッ!」

「コッチヲミローハートアタック、マジやばくね」


第三章 「Mr.土方」襲来 その9 「ポセイドラの過去」

 ポセイドラが「エンチャントウォーター」を発動すると、彼の刀身が水流に包まれる。いや、水流なんてレベルでは無く、激流だ。リュートに見せた時の、水の流れが見える早さではなく、白い水しぶきが刀身を見えなくさせるほどの早さだった。

 

「あんな火柱が近くにあっては水が蒸発してしまう。だから消火が最優先だった。お前の命を刈るのは…この(やいば)だ」

 

 ポセイドラが刀をアシバロンに向けて宣言する。

 

「なるほど、超高速の水流で殺傷力を上げた刀か。」

 

 そう言ってアシバロンは、右手で(つか)んでいた剣ごとレースバーンを投げ捨てた。

 宙に放り出されたレースバーンは受け身を取って着地する。すぐにでも反撃しようかと考えたが、自分の剣では勝つビジョンが見えない。ポセイドラの戦いを観察し、勝機を見出すことにした。

 

「行くぞ!」

 

 ポセイドラがアシバロンに向かって突進する。リュートと違い、隙を最小限に抑えながらもすぐに刀を振ることの出来る姿勢だ。対するアシバロンは先程と同じくポセイドラの刀も手で受けようとする。

 だがアシバロンの手に刀が触れる寸前、アシバロンは後ろに跳躍し距離を置いた。跳ぶ寸前、バシィッと言う音が響く。自分の右手を見るアシバロン。手から血が流れていた。若干ではあったが、刀に流れる激流が彼の右手を削っていたのだ。

 

「ふむ…たかが水だと油断していたな。もう少しで右手を持って行かれるところだった。お見事お見事」

 

「逃がさん」

 

 ポセイドラはアシバロンを追撃する。アシバロンに向け刀を振るポセイドラ。アシバロンは彼の刀を、余裕を持った状態で(かわ)す。

 出来るならば、相手の攻撃を躱す際は、相手の攻撃に対してギリギリの所で躱すのが良い。相手に「あと少しで自分の攻撃が当たるところだった」と錯覚させ続けることで、相手の冷静さを欠くことが出来るからだ。しかし、今のアシバロンはそれをしない。先程ギリギリの所で相手の刀を躱した際にダメージを負ってしまったからだ。刀に流れる激流は、殺傷力を上げるだけでなく攻撃範囲を広めてもいた。

 刀を躱し続けるアシバロン。達人級の剣術を持つポセイドラの攻撃を躱し続けるのは、さすが序列2と言ったところだ。しかし彼自身にもポセイドラを止める手立てが今の所は無かった。油断は出来ない。彼は先程からこちらの様子をうかがっているレースバーンへの注意も忘れていなかった。

 

「なかなか頑張るじゃあないか」

 

「当たり前だ。俺はお前を殺すために腕を磨き続けてきた。お前だけは絶対に許さん!」

 

「ほう、俺が何かお前にしたことがあったかな?」

 

「俺にしたわけじゃ無い!お前に対して許せないのは俺の…」

 

 ポセイドラは普段絶対にしないような雄叫びを上げる。

 

「俺のダチの命を奪ったことだぁ!!」

 

 

 

 

 

 数年前まで、ポセイドラには幼なじみでありながら親友でもある存在がいた。名前はザビーノ。同じ村で育ち、互いに互いを鍛えてきた。成長した二人は村に並ぶ人間がいないほどの強者になっていた。ポセイドラは村一番の剣術自慢、ザビーノは村一番の格闘自慢だった。

 ポセイドラには夢があった。転生者にも劣らないギルドをザビーノと作りたい。そしてそのギルドのツートップとして、ザビーノと一緒に自分の名を世界中に広めたい。そんな夢を幼い頃から二人で共有してきた。

 

 ある日、ポセイドラはザビーノに大事な話があると呼び出された。

 

「なんだザビーノ、大事な話というのは」

 

「ポセイドラ。俺たちは今まで、二人で最強のギルドを作って、二人で転生者に負けないほど有名になって…。そんな夢を追いかけて強くなってきたよな?」

 

「ああ」

 

「…すまないっ!俺、お前に今まで言わなかった、『やりたいこと』があるんだ!」

 

 親友からの突然の告白にポセイドラは驚く。

 

「俺はもっともっと強くなりたい。そのためにこの村を出て、転生者の元で強くなりたいんだ!」

 

「ザビーノ…」

 

「ごめんな、裏切りでしかないよな、こんなの…」

 

 確かにポセイドラは、転生者は自分たちの超えるべき目標であって転生者の元で強くなるのは本末転倒だ、と考えてきた。

 しかし、親友の告白を聞いて心が揺らぐ。自分が勝手に抱いてきた考えで、親友の道を閉ざして良いのだろうか?そんなことはポセイドラには出来なかった。

 

「何を言うんだ。俺には俺の、お前にはお前の考えがあって当然だ。それにお前は『二人で転生者を超える』って夢を捨てたわけじゃないだろ?その夢を叶えるための、転生者の元での修行なんだよな?」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「なら、お前の進む道を俺が邪魔する理由は無い。俺は一人で修行を積んで、お前に負けないほど強い男になってやる」

 

「ポセイドラ、ありがとう!」

 

 ザビーノは深々と頭を下げる。

 

「やめろザビーノ。それより、何か当てがあるのか?」

 

「ああ。『ベストナイン』の序列2、アシバロン=ボーナスの元で修行をする」

 

 ギルド「神の反逆者」には、転生者に憧れて入団する者も多い。しかしそういった人間は、同じ思いを抱いて入団した現地人や、力の足りない転生者と一緒に行動をすることになるのがほとんどだった。

 しかし、ザビーノの目論見(もくろみ)はそれではなかった。魔人討伐とは別の事業としてアシバロンが創設した「アシバロン建設」。今までに無かった建築設計と、アシバロンの転生者としての名声で、この世界の建築業界の頂点に位置していた。この「アシバロン建設」では、アシバロンが能力で操って働かせている魔人の他に、アシバロンの元で強くなることを夢見て志願してきた現地人も働いている。ザビーノもそれを望んでいたのだ。

 

「なあポセイドラ、お前も俺と一緒に行かないか?」

 

 ポセイドラを誘うザビーノ。しかしポセイドラはまだ「転生者と共に強くなるのは本末転倒だ」という考えを捨てきれないでいた。

 

「いや、俺は行かない。俺はお前をここで待っている。いつか必ず、強くなってここに戻ってこい!」

 

「ポセイドラ…。ありがとう!必ず戻ってくる!」

 

 こうしてザビーノは王都へと旅立った。

 

 時が過ぎて夏になった。連日猛暑が続いていた。一人で修行を積んでいたポセイドラは、ふとザビーノのことが心配になり、王都へ向かうことにした。道中幾度か魔族や魔人が襲ってきたが、彼の相手にはならなかった。

 王都に到着したポセイドラは町で情報収集をする。

 

「すまないが、『アシバロン建設』は今どこで作業をしているんだ?」

 

情報はすぐに手に入った。「アシバロン建設」はその知名度に反して、複数箇所での建設は行わない。今建設が行われている現場にザビーノも必ずいる、と考えポセイドラは現場へと向かった。この日も激しい暑さだった。

 建設現場は王都の中央区から少し離れた場所にあった。建物は半分ほど出来上がっており、作業区画の周りは気の柵で囲まれていた。

 柵の外側からザビーノを探すポセイドラ。材木を担いだ一人の男に目が行った。

 

「ザビーノに顔は似ているが、あいつはあんなにやつれていない」

 

最初はそう思っていたが、見れば見るほどザビーノに見えて仕方が無い。そうして注視していると、向こうからポセイドラに話しかけてきた。

 

「…ポセイドラ?どうしてここに?」

 

「ザビーノ?ザビーノなのか!?」

 

二人は柵を挟んで向かい合った。

 

「どうして王都に来てるんだ?」

 

「それよりもお前、どうしてそんなにやつれているんだ!?別人かと思ったぞ!」

 

「ハハ、そうか…。いやなに、ここでの作業はなかなか強烈でね。予想外だったよ。強くなるためとは言え、こんなに苦しい思いをするなんてね」

 

「ザビーノ、戻ってこい!そんな作業なんて止めて今すぐ俺と帰ろう!」

 

「ポセイドラ、それは出来ない。約束しただろう?強くなって戻ってくるって。転生者の元で強くなるんだ。こんなことで弱音は吐けない」

 

「ザビーノ…」

 

 言葉を失うポセイドラ。その時、ザビーノの後ろから声がする。

 

「おい、そこのお前!何をサボっている!?」

 

「おっといけない。そう言うわけだから、お前は村で俺の帰りを待っていてくれ」

 

ザビーノはポセイドラに背を向ける。

 

「そう言う約束だっただろ?ポセイドラ」

 

「……ああ」

 

 ポセイドラにはザビーノを無理矢理連れ戻すことが出来なかった。

 

 村に帰ったポセイドラだが、ザビーノのことを考えない日は無かった。

 

「あの建物の完成が終わったら、アイツも考えを改めるに違いない。その時もう一度アイツに会いに行こう」

 

そう考え、工事完成の予定日を聞き出しておいた彼だったが、日が経つにつれ我慢が出来なくなっていく。

 数日後、彼は再び王都へ向かった。人目に付かずにザビーノを連れ戻せるように夜に着くことにした。

 ポセイドラは工事現場にたどり着く。建物は予定よりも早く完成していた。ザビーノはもういないのだろうか。そう考える彼の耳に男の声が聞こえた。

 

「アシバロン様、今回の工事における死者は魔人が574体、現地人が38人です」

 

「ふむ、予期していたのとほぼ同じ数だな」

 

 不穏な会話を耳にし、声が聞こえたほうに駆け寄るポセイドラ。そこにはアシバロン=ボーナスと男が一人いた。

 

「おい、なんだお前は?関係者以外は立ち入り禁止だぞ!」

 

「ザビーノは…ザビーノはどこだ!?」

 

 アシバロンの隣にいた男に対し、大声で問いかけるポセイドラ。

 

「ザビーノ?ザビーノ…。ああ、アイツなら今回の工事の途中で死んだよ」

 

「なっ…!!」

 

 ポセイドラは激しい絶望感と喪失感に襲われ、しばらく何も考えられなくなる。

 

「おい、こいつは何なんだ?」

 

「どうやら、工事で死んだザビーノに会いに来たようですね。追い返します」

 

「いい。俺がやる」

 

アシバロンと男の会話もポセイドラには半分しか聞こえなかった。だが、一つだけ分かることがある。アシバロンは、自分のダチの命を奪った男だ。

 

「うおおおおおおおお!!!!」

 

 何も考えず、剣を振り上げアシバロンに襲いかかるポセイドラ。だが、そんな考えなしの攻撃にひるむ相手ではなかった。

 

「ふん!」

 

 アシバロンの蹴りによるカウンターは、ポセイドラを遙か遠くまで吹き飛ばす。強く地面に叩きつけられたポセイドラはそのまま意識を失った。

 

 目を覚ますとポセイドラはベッドの上にいた。目の前には知らない女が一人。

 

「気がついたか」

 

 魔女を名乗る女は混乱しているポセイドラに状況を説明する。そして彼女はアシバロンの本性を彼に伝える。

 

「アシバロンは『工事で無理矢理使役させているのは魔人だけだ』などと世間に言っているがそれは嘘だ。ヤツは自分の特殊能力『現場監督(ビルドエンペラー)』で魔人だけでなく、ヤツに憧れた人間をも無理矢理使役させ、工事を行っているのさ」

 

 ポセイドラは激しい怒りを覚えた。

 

「ヤツが憎いか?ならば殺そう。お前の友人の(かたき)を討てるように、私がしてやろう」

 

ポセイドラは魔女について行くことに決めた。そうするしか、ザビーノの敵を討てそうに無かった。




 ポセイドラの過去話で終わってしまった…。もっと進めるつもりだったのに。やっぱり誰のものだろうと、過去話は長くなってしまいますね。
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