異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン)   作:3S曹長

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 この作品の連載が始まってから今日で一ヶ月が過ぎました。このことが何を意味するか、皆さんお分かりでしょうか?
 そう、()()()寿()()()()()()()()()。ここまで連載を続けて来られたこと、そしてこの記念日に第三章が終了すると言う節目を迎えること。何だか感慨深く感じます。これもいつも当作品を楽しみにしてくださっている読者の皆様のおかげです。ありがとうございます。

 今回は後書きにお知らせがあります。最後まで読んで下さると幸いです。


第三章 「Mr.土方」襲来 その12 「その輝きは赤々と」

 レースバーンはとある村の鍛冶屋の一人っ子として生まれた。

 鍛冶屋は仕事に火属性魔法を使用する。そのため両親は火属性魔法が得意で、彼もまたその血を引いていた。

 幼いときから火属性魔法の扱いと鍛冶の方法を教わり、その両方を体得。初めて作った剣は彼の愛用する武器となった。レースバーンが鍛冶の技術を体得すると、父は鍛冶場をレースバーンに任せ、他の地の技術を会得するべく旅立っていった。

 そんな彼の平和な日常は突如終わりを迎える。彼の村に突然火の手が上がった。何事かと家から飛び出したところで、彼の背後に衝撃が走る。彼が気を失う直前に見た光景は、新聞で何度も目にした英雄ルイ=ジュクシスキーが自分の母に襲いかかるところだった。

 目を覚ますと、自分の生まれ育った村は焼き滅ぼされていた。(かたわ)らには裸の母の死体、そして謎の女性。魔女を名乗るその女性は、レースバーンに事の顛末を伝える。怒りと憎悪で満たされた彼は、ルイへの復讐のために魔女の仲間になった。

 レースバーンの家には広い地下室があった。昔、この地で戦争があり、先祖が自分の身を守るために用意したものだった。この地下室が魔女一行の拠点となった。

 ルイへの復讐を目標に日々を過ごすレースバーン。しかし、他の村がルイに滅ぼされたという情報を耳にしたとき、彼の心境に変化が起きる。

 

「自分は生まれ育った村のため、そして(はずかし)めを受けた母のためにルイへの復讐を目標としていた。だが、それでは駄目なのではないか?ルイに殺された名も知らぬ多くの人々のためにも、自分はヤツを討たなければならないのではないか?」

 

 時が経つにつれ、彼の目標は「自分の復讐」ではなく、「ルイに殺された人間全ての無念を晴すこと」へとシフトしていく。それと同時に、「自分自身がルイを殺すこと」へのこだわりも薄くなり、「ルイの死そのもの」が目標となっていく。

 そしてある日、魔女が連れてきた新たな仲間リュートの手によってルイが殺されたことを知る。「自分が復讐を果たしたかった」という気持ちが無かったわけでは無い。だがそれよりも、ルイが死んだことに対する満足感の方が大きかった。それと同時に「他の仲間の復讐が成功すること」が自分の新たな目標となった。

 

 

 

 

 

「レースバーンさんっ!!」

 

 リュートが叫んだ。レースバーンの魔法「スーパーファイアドーム」に彼自身とアシバロンが包まれていく。その刹那、アシバロンの拳がレースバーンの腹を貫くのを見た。

 

「そんなっ!レースバーンさんっ!!」

 

 リュートが再び叫ぶ。

 ポセイドラの判断は迅速だった。二人が炎に包まれたのを確認した彼は即座にリュートの側に駆け寄る。

 

「ポセイドラさんっ!レースバーンさんが…」

 

「黙って掴まれ!お前はアイツの覚悟を無駄にするのか!?」

 

 ポセイドラが苦しげな声で叫んだ。それ以降、二人は叫びたい気持ちを必死にこらえ、逃走を開始する。炎に包まれたアシバロンからは彼らの姿は見えない。逃げるチャンスは今しか無かった。

 リュートを左脇に抱えたポセイドラは右手に掴んだ刀の切っ先を斜め後方に向ける。

 

「『ウォーターレーザー』」

 

彼が逃走中に発した声はこれだけだった。刀の切っ先から激流が放たれる。その勢いで二人は上空へと飛び上がる。目標は村の東に広がる森だった。

 森の入口付近へと二人は落下する。落下途中にあった木で勢いが殺される。着地したポセイドラは「遠隔会話(テレパシー)」で魔女に自分の位置を伝える。

 

「魔女、東の森の入り口近くだ。()()()()()()()()

 

「分かった。()()()()()()()()()

 

 報告が終わった直後、二人の近くに「ワープゲート」が開き、魔女が出てきた。

 

「ポセイドラ!リュート!レースバーンは!?」

 

魔女の問いかけに対し、ポセイドラは何も言わず表情で答える。魔女は彼の言いたいことを察した。三人は「ワープゲート」をくぐり、二度とその場に帰ってこなかった。

 

 

 

 

 

 炎のドームの中、アシバロンは鼻で笑った。

 

「たわいもない。やはりこいつが一番つまらん。炎で俺の視界を塞いだつもりだろうが無駄だ。こんな炎はすぐに抜け出して、仲間にも後を追わせてやる」

 

彼はそう考え、自分の右腕をレースバーンから引き抜こうとする。

 しかし抜けなかった。アシバロンは不審に思い、右腕に目を向ける。

 レースバーンが両手に全身全霊の力を込め、アシバロンの右腕を掴んでいた。ものすごい力だ。

 

「おい、手を離せ。死にかけのお前に何が出来る」

 

「断る。この手は死んでも離さん…」

 

 レースバーンの顔を見てアシバロンは驚く。大量の血を口から流しながら必死の形相で自分の右腕を掴む(レースバーン)。そんな彼の見開いた瞳には闘志が赤々と燃えていた。その目からは、今彼を襲っているであろう死の苦しみや、死への恐怖心などは微塵も感じられなかった。

 

「ふふ、ふはははははっ!!面白いな貴様!死にかけていながら、闘志を一切絶やさないとは」

 

「当然だっ、二人の跡は…断じて追わせない!」

 

レースバーンの覚悟を目にして笑うアシバロン。彼は相手を殺すのが少しだけ惜しくなった。

 

「ははは、気に入ったぞ!その覚悟、その心の強さ!どうだ?俺の建設現場で働かないか?」

 

「何…?」

 

「勘違いするなよ。命乞いじゃあ無い。貴様の『強さ』を買ったのだ。お前ならば俺の建設現場でも()を上げること無く働くだろう。待遇も良くしてやる。どうだ?」

 

アシバロンの提案を聞き、レースバーンは口に笑みを浮かべる。

 そしてハッキリと言葉を口にした。

 

「断る」

 

「そう言うと思ったよ。残念だ」

 

アシバロンの口調からは残念さは微塵も感じられなかった。

 

「それに俺は言ったはずだぞ?『楽しめないと言ったことを後悔させてやる』と」

 

「ふはははははっ!!面白い!死にゆくお前に何が出来る!?」

 

再び笑うアシバロン。レースバーンは闘志を絶やさない。

 

「俺の()()()()()だ!お前にくれてやるっ!」

 

 レースバーンの体が赤く輝く。言葉の比喩では無い。確かに彼の体は赤い光を放っていた。

 

「ほう、()()()()()!!やめとけ!やめとけ!俺は死なん!!墓に入るための()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

「俺に墓など必要ない!この村も、俺の体も、全て消えて無くなるのだからっ!」

 

レースバーンの体の輝きが勢いを増す。目を開けていられないほどの輝きとなる。アシバロンは左腕を挙げ、空中の()()を掴み取る。

 

 レースバーンは最後の魔法を唱えた。

 

「『大爆発(ダイバーン)』!!!!」

 

 文字通りの大爆発が起こる。爆発は炎のドームを軽々ぶち壊し、地下室も含めたレースバーンの村を跡形も無く消し去り、近くの森をも焼き払った。

 

 

 

 

 

同時刻

 

 リュートは知らない森にいた。彼の側にはうなだれるポセイドラ、同じくうなだれた魔女、心配そうに三人を見つめるリン、キャスター付ベッドの上で身動(みじろ)ぎもしないメルクリオ。五人の他にも地下室から持ち出されたであろう「テンスレ」メンバーの私物が積まれていた。

 

 リュートは悔しかった。自分はアシバロンを相手に何も出来なかった。ルイやスパノの時とは大違いだった。我慢しようとしても涙が止まらなかった。そんな彼に目を向けるポセイドラ。

 唐突にポセイドラがリュートに刀を向ける。リュートが驚く間もなく、ポセイドラは魔法を唱える。

 

「『クイックウォーターレーザー』」

 

 ポセイドラの刀から水流が放たれる。「ウォーターレーザー」よりも細く速度の速い水流が、リュートの顔の横をかすめる。

 

「えっ…?な、何を…?」

 

驚きを隠せないリュート。魔女とリンも驚きを隠せない。

 そんな三人には何も言わず、ポセイドラがリュートの後ろに回る。しゃがんで何かを拾い上げる。

 拾い上げた()()を三人に見せるポセイドラ。彼の手の上には、真っ二つにされた黒い虫の死骸があった。元の大きさは親指の第一関節くらいだろうか。

 

「さっきから俺たちの側を飛んでいた。()()()()()()()()だ」

 

ポセイドラが三人に対して言う。

 リュートの胸に再び悔しさがこみ上げてくる。彼は拳から血が出るほど地面を強く叩いた。

 

 

 

 

 

 レースバーンの起こした大爆発は大きな火柱を上げた。火柱の跡には大きなクレーターが残った。そこに村があったことなど言われなければ気がつかないだろう。

 クレーターの中心に一人の男が立っていた。ベストナインの序列2、通称「Mr.土方」のアシバロン=ボーナスだった。ぼろぼろの服を身にまとい、彼は(ひと)()ちる。

 

「だから言っただろうが。俺は死なんとな」

 

 そんな彼はある違和感を覚える。彼は()()()()()()()()()()()。どこか懐かしい違和感。自らの体を右手で触って確かめる。

 彼は()()()()()()()()()。工事現場で死なない体を追求し、火属性魔法の耐性を極限まで高めたアシバロン。そんな彼の体は普通の「自爆魔法」では傷一つ付かない。「自爆魔法」もまた、火属性魔法の一種だからだ。そんな自分がやけどを負った。体の底から歓喜が沸き上がる。

 

「ふっ、ふはははははははははははは!!!!」

 

笑いが止まらなかった。

 

「俺が!()()()()()()()()()()()()!!『楽しめないと言ったことを後悔させてやる』という言葉、嘘ではなかったなぁ!!!!」

 

彼の笑い声は何時(いつ)までも止むことはなかった。

 

「面白かったぞ、レースバーン!!お前の名前は俺の心に刻み込んでやろう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三章「Mr.土方」襲来 END

「ベストナイン」 残り7人

「テンスレ」   残り9人




 第三章が終了しました。「善良な転生者の存在」や「ベストナインの強さ」。原作で描写されてなかった部分を書けた章になったと思いますが、皆さんいかがでしたでしょうか?

 さて、第三章が終わった、と言うことは皆さんお分かりですね?「アニメ化した際の1クール(約12話)分が終わった」ということです(知るかい)!

 これを記念して、ちょっとした企画を開始します。
 その名も「チートスアンアン アニメ化大作戦」!!
 この企画は名前の通り、チートスアンアンがアニメ化したらどうなるかを読者の皆様と一緒に考えていこう、という企画です。
 しかし、ハーメルンの注意書きに「感想欄では読者から意見を(つの)ってはいけない。読者から意見を募るのは活動報告欄でやってくれ(意訳)」と書いてありました。ですのでこの後書きでは「活動報告欄でこんな企画やるよ」という宣伝に(とど)めておきます。
 これを読んで興味を持った方、活動報告欄へ是非お越しください。お待ちしております。
 一応言っておきます。ネタ企画です。本気にしている方はいないと思いますが、「こいつ増長しているな?原作者と一緒やんけ」と思われるのもアレですので。

 そして次の話ですが、物語の続きではなく、ちょっと別のことをやりたいと思います。期待して待っていてください。

 最後になりますが、いつも読んでくださっている読者の皆様、本当にありがとうございます。これからも当作品をお楽しみください。
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