異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン)   作:3S曹長

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 ベストナインの序列6、立花亭座個泥(たちばなていざこでい)の元ネタが分からない人のために、彼女のキャラクター作成時の裏話を紹介します。

始めて立花亭座個泥の元ネタを見た私「なんだこの女?一人で滅茶苦茶しゃべるじゃん。講談師か何か?」

チートスアンアン作成時の私「う~ん、この女を元ネタにしたキャラの設定どうしようかな?いっそのこと第一印象そのままに講談師キャラにするか!」

立花亭座個泥、完成

 上記のようないきさつで完成したキャラなので、「講談師の作品なんてあったっけ?」「着物着ているから元ネタは落語家キャラなんじゃ?」とか考えているとたどり着けません。歴史キャラでもないです。元ネタ作品の舞台は現代です

 ちなみに、立花亭座個泥の元ネタについての私の感想なんですが、ハッキリ言って嫌いです。でも例の大コマ決め台詞は()()()()()()を思い出してしまってフフッとなります(分かる人どんだけいるんだよ)。


第四章 離反 その6 「再会」

 聞こえてきたすすり泣きの声。間違いない、リュート達が以前出会ったウサギの獣人の転生者、バニーラ=チョコミクスの声だ。また迷子にでもなっているのだろうか。

 だが以前のように軽率に声をかけることは出来ない。ベストナインが自分たちを探しているのだ。

 

「どうしましょう?」

 

「俺達を捕まえるための罠かもしれない」

 

「でも私達の居場所は掴めてないはずですよ?」

 

「しらみつぶしにバニーラを向かわせているとか」

 

「そんな砂漠でネズミの指輪を探すような作戦をとるでしょうか?」

 

 バニーラと以前会ったことがあるリュート、ポセイドラ、ケイルの三人が話し合っていると後ろから声が聞こえる。

 

「ちょっと待ってくれ、三人で一体何を話し合っているんだ?」

 

ゴーギャンだ。四人の中で彼だけバニーラと会っていない。

 

「今聞こえているすすり泣きの声なんですけど、以前地下室で話したバニーラって獣人の転生者の声なんです」

 

「そう言えば、以前そんな話をしていたな…」

 

「で、また泣いているようなので話しかけるべきか、それとも向こう(ベストナイン)が俺達を探している以上、危険なことは避けるべきか…」

 

リュートがゴーギャンに説明をしていると、ケイルが何か思いついたように口を開く。

 

「でも、バニーラさんは耳がとても良かったはずです。彼女の泣き声が聞こえる位置にいる私達の話し声なんて、彼女にはとっくに聞こえているはずでは?」

 

「でも泣き声が止みませんよ?」

 

「おびき寄せるために泣き続けているのか、それとも泣くのに必死で気付かないのか…」

 

 少し思案した後、ポセイドラが提案する。

 

「こちらの声がバレている可能性がある以上、真相を確かめた方が良いだろう。それに、相手がバニーラということは、逆にこちらが情報を得るチャンスだ」

 

「…と言いますと?」

 

「逆にバニーラから情報を聞き出す。アイツなら、こちらの質問にホイホイ答えるだろう」

 

「罠だったらどうします?」

 

「他に誰かが潜んでいるならもう俺達の近くにいてもおかしくない。だが、アシバロンと戦った時のような殺気は感じない。強敵がいるとは考えにくい」

 

「…じゃあ、俺が先に彼女に接触します。皆さんは隠れて俺とバニーラの様子を(うかが)ってください」

 

 申し出たのはリュートだった。

 

「分かりました。気をつけて下さいね?」

 

こうしてリュート以外の三人は物陰に隠れ、リュートだけがバニーラに近く。

 彼がバニーラに十歩ほど近づいたときのことだった。辺りに大声が響く。

 

「ひええええええん!!だ、誰ですかぁ!?」

 

「うわっ!!お、落ち着いてバニーラ!俺だよ!覚えてないか!?」

 

 一瞬心臓が飛び上がる思いがしたが、以前も同じやりとりをした記憶がある。リュートは両手を大きく振ってバニーラに呼びかける。

 

「ふ、ふえぇ!?そ、その声、リュートさんですか?」

 

「そうだよ、俺だよ、リュートだよ!」

 

そう言いながらお互いの顔が確認出来る位置まで近づいたリュート。どうやらバニーラの近くに罠は無さそうだ。

 

「う、ううう…良かったでずぅ…。知ってる人に会えまじだぁ」

 

「また迷子になっちゃったのかい?」

 

「うう、そうなんでず…」

 

 泣き声をあげるバニーラを慰めるリュート。二人の会話を物陰から見ていた三人が話し合う。

 

「どう思います?」

 

「アイツがリュートに気付いた時の様子は、泣くのに夢中で俺達に気付いていなかったようにしか見えなかったな」

 

「演技の可能性は?」

 

「アイツにそんな器用なことが出来るとは思えん」

 

「ふふふ…、同感です」

 

 リュートはここで一つ、バニーラにカマをかけてみる。

 

「バニーラ、()()()()()()?」

 

「な、何言っでるんでずがぁ?迷子なんだから一人でずよぉ!からかわないで下さい!」

 

「あはは…ごめんごめん」

 

 彼はバニーラが本当に迷子なのだと確信した。うっかり者の彼女なら、近くに仲間がいる場合は「いえ、他に○人います」とか答えるはずだ。返事の必死さからしても、彼女が演技をしているとは思えない。

 隠れていた三人も同じ結論に至ったようで、物陰から出てきて二人に近く。

 

「どうしたリュート?」

 

「あら、ひょっとしてバニーラさん?」

 

出来るだけわざとらしくならないように声をかけるポセイドラとケイル。ゴーギャンは何と声をかけて良いのか分からず、目を泳がせていた。

 

「ああっ、皆さん。どうやら彼女、また迷子になってしまったみたいで」

 

ゴーギャンの様子を見て危なっかしいなと思いながら、リュートも三人が初めてバニーラに気付いた(てい)で声をかける。

 

「うう…、知っている人がこんなに来てくれるなんて心強いですぅ」

 

バニーラが安堵した様子で言う。

 

「それよりも気になっていたんだが、俺達と会った日のことは誰かに話したのか?」

 

 ポセイドラがバニーラに尋ねる。唐突すぎるし、直球過ぎる。もう少し段取りを話し合っておくべきだったとケイルは後悔した。

 

「あ、えーと…。あの日一緒にいた仲間に、皆さんに助けて貰ったことを話したら、『転生者が誰かに助けて貰ったなんて恥ずかしいから他には言うな』って釘を刺されまして…。なので他の人には言ってません」

 

バニーラもバニーラだ。ポセイドラの怪しすぎる質問に一切怪しむこと無く答えた。

 この様子を見てある程度のことなら怪しまれないと踏んだのか、ケイルも気になっていたことを尋ねる。

 

「そう言えば、バニーラさんってどこのギルド所属なんですか?」

 

「はい、『神の反逆者』所属です…一応…」

 

彼女の答えを聞いた四人の背筋が凍る。可能性は高いと思っていたが、本当に「神の反逆者」所属だった。

 動揺した四人の様子を少し変だと思ったのか、バニーラが付け加える。

 

「え、えへへぇ…、おかしいですよね?こんなにマヌケなわたしが、名高い『神の反逆者』所属ぅ、だなんて…」

 

どうやら四人の心境を勘違いしたらしい。

 

「あっ!いやいや、そんなことは思ってないよ!?」

 

リュートが慌てて否定する。

 その一方で、ポセイドラは心の中で別のことを考えていた。

 

「やはりバニーラは『神の反逆者』だったのか。だったら()()()()()()()()()()()。何かしらの手を打たなくては…」

 

 そんなポセイドラの思惑を知ってか知らずかケイルが再びバニーラに尋ねる。

 

「今日はどなたといらしたんですか?」

 

「はい、今日は『決めつけ講談師』様と一緒に!」

 

 馬鹿みたいな返事だと思ってはいけない。この世界では「決めつけ講談師」という通り名で通っているのだから、普通の返事なのだ。「アホの坂田師匠」みたいなものである。

 閑話休題(かんわきゅうだい)、バニーラの返事を聞き、リュートに衝撃が走る。立花亭座個泥(たちばなていざこでい)、通称「決めつけ講談師」はリュートがルイに村を襲われた時に、ルイと一緒にいた姿を目撃したベストナインのメンバーだ。彼女は村の人間を殺していないと魔女が言っていた。リュートはそんな立花亭を殺すつもりは無い。だが、なぜルイの蛮行を黙認していたのか、その答えはずっと知りたいと思っていた。

 

「『決めつけ講談師』様の居場所に心当たりはあるの?」

 

 はやる気持ちを抑えてリュートが尋ねる。

 

「はい、ゾボロ村跡地で待ってると思います。そこから討伐に出発したので」

 

 なんと言うことだろう。リュート達はゾボロ村を知っている。世間では魔族の侵攻で滅ぼされたことになっているが、実際はルイによって滅ぼされた村だと魔女から聞いたことがあるからだ。今いる位置からは、寄り道をしない限り一本道だ。

 リュートの意図に最初に気付いたのはケイルだった。彼女は尋ねる。

 

「他に同行者は?転生者は何人ですか?」

 

「えっと、パーティは私も含めて六人で、転生者は『決めつけ講談師』様と私だけですぅ…。はあ…、怒ってるだろうなぁ『決めつけ講談師』様。自分以外で唯一の転生者のわたしが迷子なんて…」

 

 リュートにはバニーラの落ち込みを気にしている余裕がもう無かった。バニーラ以外の転生者が立花亭だけならなんとかなるかもしれない。普通の戦士に負けるつもりは無かった。

 

「もし良かったら、俺がゾボロ村まで連れて行ってあげるよ!一緒に行こう!」

 

「ふえ?いいんですかぁ?」

 

「おい、リュート…」

 

 急いでリュートを止めようとするポセイドラ。そんな彼をケイルが止めた。

 

「おい、邪魔するなケイル!」

 

「気持ちは分かります。でもここは彼に任せてみませんか?」

 

「そんなこと…」

 

「大丈夫です」

 

ポセイドラはケイルの顔を見た。顔は笑顔なのに、目が半開きだ。彼女のこの特徴的な笑顔は、何か考えがある時の顔だ。

 そんなやりとりをしていた二人にリュートは頭を下げて頼み込む。

 

「お願いします!俺に行かせてください!」

 

ケイルはリュートに優しく問いかける。

 

「本当に大丈夫ですか?」

 

「はい、俺に行かせてください!」

 

「分かりました。では、こちらの小瓶を持っていってください」

 

彼女が手渡したのは、赤い液体が半分ほど入った小瓶だった。それを見てポセイドラも彼女の意図を察する。諦めたようにリュートに声をかける。

 

「しょうが無い、行ってこい」

 

「ケイルさん、ポセイドラさん、ありがとうございます!」

 

二人に礼を言うリュート。そんな彼に声をかける人物が一人。

 

「やはり『決めつけ講談師』の所に行くのか……。いつ出発する?私も同行する」

 

「ゴーギャンさん」

 

声の主の方に振り返るリュート。

 

「いつ出発するって…今すぐに決まってるじゃないですか。それにまた白目になってますよ」

 

「お、そうだな。うっかりしていた」

 

「あ、あのう…そちらの方は?」

 

 バニーラが不安そうにゴーギャンを指して尋ねる。

 

「あ、ああ。この人はその…うっかり屋さんで、よく白目になっちゃったりするんだよ」

 

「ゴーギャンだ。よろしくたのむ」

 

自己紹介しちゃったよ。

 

「ゴーギャンさんですね。バニーラ=チョコミクスですぅ。バニーラって呼んでください」

 

バニーラも何も怪しまずに名乗り返す。どうやらゴーギャンの名前は知らないようだ。

 

「ゴーギャンさん、バニーラについて行くのは俺一人で大丈夫です。皆さんは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「む、そうか。分かった」

 

 三人にはリュートの言った意味が理解できた。拠点に戻って魔女にこのことを伝えて欲しい、何か問題があるようなら自分を連れ戻しに来て欲しい、という意味だった。

 別れ際、ケイルはリュートに(ささや)いた。

 

「それじゃあ、二人きりの散歩がんばって下さいね」

 

「ええ!?そ…そんなつもりじゃあ…」

 

 ドキリとするリュート。しかしもしかすると、彼女は暗に「二人きりの間に情報を色々引き出してくれ」と言っているのかもしれない。何だか、そんな風にしか思えなくなってきた。

 ケイルの囁きはバニーラの耳にも届いていたようで、彼女は顔を真っ赤にする。どうやら彼女には()()()()しか理解できていないようだった。




 人気の高かったバニーラ再登場回です。彼女は元から一発キャラでは無く、再登場させる予定のキャラでした。

 作中で「砂漠でネズミの指輪を探すような…」という表現がありますが、元ネタはもちろん「砂漠でアリのコンタクトレンズを探すような」という、よくある例え話です。
 作中世界にコンタクトレンズが存在するとは思えないので、表現を変えました。
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