異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン)   作:3S曹長

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 投稿が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
 前回話が切りの良いところで終わり、この後どうやってバニーラを納得させるか、整合性のある話を考えるのに時間がかかってしまいました。
 そしていざ話を書こうとした9月8日の昼ご飯に食べた、セブンイレブンの蒙古タンメンの冷凍麺。ものすごく辛くて、頑張って完食した後、お腹を壊しました。
 辛いモノは大好きで、食べるのは自信があったんだけどなぁ…。皆さんも食べる際は気をつけて下さい。


第四章 離反 その13 「離反者」

 ケイルが開いた「ワープゲート」をくぐり、部外者二人を連れて拠点へと帰還したリュート達。

 部外者の一人目、立花亭座個泥(たちばなていざこでい)は二階の一部屋に監禁されることになった。彼女はもはや抵抗を一切しないほど憔悴(しょうすい)しきった様子だった。手足を厳重にロープで縛られ、口には猿轡(さるぐつわ)をされた状態で監禁されている。彼女の特殊能力「ラベリング」は、彼女の発言が発動のトリガーになるので、口をふさぐ処置は非常に重要だ。それに加え、拠点では常に魔女が「転生殺しの箱(デリートチートゾーン)」を発動させている。有効範囲は魔女から半径200メートル。拠点の別荘内にいる限りは範囲内だ。

 もう一人の部外者であるバニーラ=チョコミクスは、最初に女性陣による厳重なボディチェックを受けたが、その後はお客様に近い扱いを受けた。温かい紅茶とリン特製のぶどうパンを口にするバニーラ。先程の戦いでの緊張感が、まるで嘘だったかのように心がほぐれていった。

 

「このぶどうパン、すごくおいしぃですぅ~」

 

「うふふ、そう言っていただけて嬉しいですわぁ~」

 

 お互いに笑顔で会話するバニーラとリン。初対面だったが、早くも打ち解けたようだ。

 パンを食べるバニーラを見ながら、リュートが礼を言う。

 

「ありがとう、バニーラ。君が助けてくれなかったら、俺は手足を失っていたよ」

 

「とんでもないですぅ。リュートさんが無事で良かったですぅ」

 

バニーラが笑顔で返す。

 

「ふふふ、手足を切り落とされたくらいなら、私の魔法でくっつけてやったが?」

 

 バニーラの隣に座っている魔女が口を挟む。

 

「くっつけば良いってもんじゃ無いだろ…」

 

リュートは呆れたように返しつつ、バニーラとの会話を続ける。

 

「でも本当に助かったよ。よく俺を助けてくれたね?立花亭はバニーラにとって雲の上の存在だろ?」

 

「それはそうなんですけど…。でも、リュートさんが傷付くのはどうしても嫌だったんです!それで気がついたら、体が勝手に動いちゃってました。エヘヘ」

 

「ありがとう、そんなに大切に思ってくれてたなんて、何だか嬉しいな」

 

リュートの言葉を聞いて、顔を真っ赤にするバニーラ。話題を変えたい一心で、自分が最も気になっている質問をぶつける。

 

「それで、ここってどこなんですかぁ?」

 

「良い質問だな」

 

返したのは魔女だった。

 

「実に良い質問だ。このままどこまでもラブコメシーンが続くんじゃ無いかとヒヤヒヤしていたよ。で、ここがどこかという質問だが、残念だが答えるわけにはいかない。そして、君を帰すわけにもいかない」

 

「えっ、ええええぇぇ!?」

 

「おい魔女!言い方が怪しすぎるだろ!?ここは俺達の拠点だよ、バニーラ」

 

リュートがバニーラに答えた。

 

「え、ええと…。それは何となく分かってたんですが…。あの、私を帰せないって…?」

 

バニーラの言葉に、リュートは残念そうに首を振りながら返す。

 

「残念だけど、それは事実だ。バニーラが『神の反逆者』所属である以上は、どうしても…」

 

「そんなぁ…」

 

「でも安心して!悪いようにはしないって言ったでしょ?約束は守るから!」

 

必死で訴えるリュートの様子を見て、バニーラは自分を無理矢理納得させようとする。

 

「で、でもどうして私が『神の反逆者』所属であることが関係してるんですかぁ?」

 

「それは…、言って良いのか?」

 

 リュートは魔女を見ながら尋ねる。

 

「逆に聞くが、言わないでバニーラを納得させられるのか?」

 

質問を質問で返すなあーっ!と返したかったリュートだが、魔女の発言を許可の意味だと捉えて、バニーラに自分達が何者なのかを説明することにした。

 バニーラにとってリュートの説明は信じられない内容ばかりだった。自分の上司でもあり憧れの存在でもあるベストナインのメンバーが罪の無い人々に対して殺戮(さつりく)を行っていたこと、リュートがルイに村を滅ぼされていたこと、そしてリュートの所属するギルド「テンスレ」がベストナインへの復讐を目的とした集団であること…。

 

「そんなの信じられないですよぅ!!」

 

 バニーラは思わず叫んでしまう。あんなに優しかったリュートが言っていることは、自分にとって信じられないことばかりだ。もしかして自分を騙そうとしているのでは無いのだろうか。そんな嫌な発想が浮かんでしまう。

 

「バニーラ…」

 

 対するリュートも、困惑するバニーラをどうやって納得させれば良いのか分からなかった。彼女は過去の自分だ。リディアがまだ生きていた頃の、転生者と一緒に魔人討伐をすることを夢見ていた頃の自分と同じだ。あの時の自分に「ルイは人殺しだ」と伝えても絶対に信じないだろう。尊敬する人をけなされたと怒ってもおかしくない。わしを信じて、と言い続けて納得させられる内容でないことは分かっていた。それに加えて、彼女に提示できるような証拠も無いのだ。

 どうすればバニーラを納得させることが出来るだろうか。リュートは助け欲しさにか、知らず知らずの内に魔女へと顔を向けてしまっていた。

 

「ふふふ、かっこいい王子様を演じ続けるのも限界か?」

 

「…からかうなよ」

 

 笑いながら自分をからかってくる魔女に対し、不満げに言葉を返すリュート。しかし彼女に助けを求めてしまったことも事実だ。何だか自分が情けなくなってくる。

 

「安心しろリュート。バニーラを納得させる策も考慮済みだ。そのためにも…」

 

 魔女はバニーラに提案する。

 

「ひとまず立花亭に会いに行こうではないか、バニーラ」

 

「ふぇ?」

 

「リュートが言っていることが信じられないのだろう?自分が納得出来る何かが欲しいのだろう?」

 

「それはそうですけど…」

 

 バニーラはどこか不満げだ。

 

「私の発案に乗るのは不安か?私達が立花亭に対して、ベストナインが人殺しをしていたことを認めるように脅しているとでも思っているのか?心配無用だ。バニーラは立花亭に対して一言、()()()()()()()()()()()()()でいい」

 

バニーラには魔女の思惑がさっぱり分からなかったが、納得出来る証拠が欲しいのは事実だ。

 三人は立花亭が監禁されている二階の部屋へと向かった。

 

 立花亭が監禁されている部屋の扉の前で、魔女が念を押すようにバニーラに話しかける。 

 

「いいか?立花亭に何を言われても、最初に私が言ったとおりの質問をするんだぞ」

 

そう言いながら部屋の扉を開ける。

 立花亭が監禁されている部屋では、ケイルとポセイドラが番をしていた。立花亭は手足を縛られた状態で壁に寄りかかっている。抵抗も一切していなかった。

 

「ケイル、猿轡(さるぐつわ)を外してくれ。彼女が話をしたいそうだ」

 

魔女の言葉を聞いて、ケイルが立花亭の口にしてあった猿轡を外す。

 バニーラの姿を認めた立花亭は、恨みの籠もった目で相手をにらみつける。

 

「バニーラ…さん…」

 

バニーラは勇気を振り絞って、魔女に言われた通りの質問を投げかけた。

 

「『決めつけ講談師』様、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「そんなことを…わざわざ聞きに来たのですか?」

 

 立花亭は声を荒げなかった。

 

「質問を質問で返さないで下さい」

 

「…随分と偉そうじゃないですか。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でしょう?」

 

「…え?」

 

「なぜとぼけるんですか?裏切りの理由は魔女から聞きましたよ」

 

「…そんな…こと…、わたしは聞いてません…」

 

「は?」

 

 呆然とするバニーラと、困惑する立花亭。

 魔女は面白そうに立花亭に話しかける。

 

「さっきお前に、バニーラはお前が仲間の殺人を黙認していたことを知っている、と伝えたな?()()()()()

 

「なっ!?」

 

言葉を返せない立花亭の姿がよっぽどおかしかったらしく、魔女は高らかに笑い声を上げる。そんな彼女の様子を見たリュートは言葉を失う。彼女は「バニーラにベストナインのメンバーが人殺しをしていたことを信じさせる」ことと「自身の嗜虐心(しぎゃくしん)を満たす」ことを同時に達成するための布石を(あらかじ)め打っていたのだ。油断ならない相手だと改めて感じた。

 

「魔女さん、余り大きな声で笑わないで下さい。外に聞こえます」

 

「おっと、ソレはマズいな」

 

 ケイルに注意された魔女は笑うのを止めた。

 

「リュート、バニーラと一緒に下に戻っていろ。私はここに残る。()()()()()()()()()()()()()()

 

魔女に言われたリュートはバニーラの方を見る。衝撃的な事実を知って体の震えが止まらないバニーラを見て、このままではいけないと思った彼は魔女の指示に従うことにした。

 

 下に戻ったリュートはバニーラに紅茶を飲ませた。しばらくして、彼女も落ち着いた様子になった。

 

「大丈夫?バニーラ」

 

「はい…、心配させちゃったみたいですみません」

 

「いいんだよ、誰だって驚くさ」

 

バニーラを落ち着かせようと、穏やかに話しかけるリュート。そんな彼の声を聞くと、バニーラはとても安心できた。

 

「一つ聞いても良いですか?」

 

「何かな」

 

「どうして()()()()()()()んですか?」

 

「え?」

 

 リュートにはバニーラの質問が理解できなかった。

 

「リュートさん達は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んですよね?」

 

「ち、違う違う!そんなことは全然考えてないよ!」

 

「そうなんですか?てっきりわたしをベストナインの動きを知るためのスパイにしたかったのかと…」

 

「そんなこと、これっぽっちも考えてないよ!俺がバニーラにあったのはたまたまだよ。最初に会った日も、今日も偶然君に会ったんだ」

 

「そうだったんですか」

 

「そうだよ。だから、バニーラを巻き込んじゃったのは本当に申し訳ないと思っているんだ。本当は立花亭と二人で会話をするつもりだったんだけど…」

 

 リュートは必死で訴えかけた。彼は嘘をついたつもりは無かった。本当にバニーラを巻き込んだことは申し訳なく思っていた。だからといって、彼女を帰すわけにもいかない。どう詫びればいいのか分からなかった。

 バニーラにもそんな彼の気持ちは伝わっていた。

 

「そんなに謝らないで下さい。私は落ち込んでなんかいませんよ、むしろ今、とても幸せなんです」

 

「幸せ?」

 

「リュートさんにまた会えたこと、リュートさんに褒めてもらえたこと、リュートさんを助けられたこと、どれもとても嬉しかった。わたしは今日一日、とてもハッピーでした」

 

「バニーラ…」

 

「わたしは…、わたしはリュートさんの力になりたいんですっ!『神の反逆者』所属のわたしじゃダメ…ですか?」

 

「そんなことないよ!」

 

 リュートは嬉しそうに右手を差し出す。

 

「バニーラが味方だなんてすごく心強いよ!これからもよろしくね!」

 

「はい、よろしくですぅ!」

 

バニーラも右手を差し出し、二人は固く握手を交わした。




 前回の話についてコメント欄で、「転生後の名前って自分で決められるの?」という質問が出てきました。
 この質問に対する回答はすでにコメント欄の返信で行ったのですが、その件に関係してここでは、転生者が転生する際に神とどの様な流れで会話するのかについて、解説いたします。
 
 まず、神は以下のような流れで転生者と会話を行います。

1.転移転生と転生後の世界の様子、転生者のルールについて説明する。

2.転移転生するか尋ねる。

3.どんな特殊能力がいいか尋ねる。

4.容姿や服装、戦闘スタイルの要望を尋ねる。

5.その他の要望を尋ねる。

6.異世界へGO!

こんな感じです。
 転生後の名前を決めたいときには5の段階で自分の要望を言うと叶えてくれます。何も言わないと神に勝手に名前を決められてしまいます。
 神は「転生後の名前は何が良いか?」とは尋ねてきません。理由としては、神が「名前なんて魔人討伐に関係ない」と考えて軽視しているからです。「転生後も名前は変わらないでしょ」とか勘違いしていると、神に名前を決められるハメになります。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。漢字の名前の人は、転生後の名前を自分で決めた人です。あと、ルイも自分で名前を決めました。
 他にはアシバロンが「建築作業で傷つかない体が欲しい」と願い、火属性魔法の耐性が高い肉体で転生しましたが、これも5の段階で自分の意見を言ったからです。
 3、4、5の段階で「何でも良い」と答えた場合、神が勝手に決めます。スパノは3の段階で「どうでもいいヨ」と答えたという裏設定があります。

 転生する際の神との会話の流れについては、カレー屋での注文の流れを思い浮かべると分かりやすいのではないでしょうか。

1.いらっしゃいませの挨拶、メニューを配る。

2.メニューを尋ねる。

3.ライスの量を尋ねる。

4.ルーの辛さを尋ねる。

5.トッピングを尋ねる。

6.注文完了!

 じゃあ、どうして神との会話の流れについて作品中で詳しく語らなかったのかというと、「本編の流れに余り関係の無い神との会話について、あまりダラダラやっててもしょうが無いな」と判断したからです。
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