異世界転生殺し チートスレイヤー アナザーミッション(VSアナザーベストナイン)   作:3S曹長

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とーとつにボツ転生者 Vol.4

 不定期開催企画「とーとつにボツ転生者」のコーナーです。第五章に入ってからは初ですね。



名前:ブルーエ=ナノカナー

通称:「ブルーボディ」

能力:自身の肉体を水と同化させる能力。池や海などの水が溜まった場所に自身の肉体を同化させ、潜伏することが出来る。肉体を水に変化させることで、風呂場の浴槽などに隠れ潜むことも可能。また、この能力のお陰で水属性魔法は一切通じない。しかし、この能力のせいで体を洗うことが出来ないため、体がものすごく臭くなってしまっている。

風貌(ふうぼう):茶髪のロングヘアーで、オリーブ色の上着を着た女性。能力の副作用で、全身の肌が青く変色してしまっている。顔が大きい。

転生前:幼稚園の先生だったが、プール授業の際に足をつって溺死。「二度と水に溺れたくない」という願いからこの能力を授かった。職業病なのか、「それってもしかして○○?」「ふーん、じゃあ△△は□□なのかな?」といった感じの幼児に問いかけるような口調で、他人のプライバシーを詮索しようとする悪癖がある。

好物:ブルーベリー、プラム

唐揚げには:ブルーベリージャム

ボツ理由:カセロジャと一緒に登場させるか少しだけ迷ったキャラ。しかし、魔女が「全身を全く違う物質に変化させて、好きなときに元通りになる能力は無理がある」と発言していたためボツになった。そしてなにより、元ネタの知名度がそこまで無さそうだったので諦めた。元ネタの知名度が低いからボツ、というのは割とよくある。

アデクから一言:ガムを噛むことを非難する……それだけはしないでくれっ!!


第五章 外道死すべし その11 「潜入」

 ギルドへと戻ったカセロジャは、米沢が一人で残ることを希望した(むね)を皆に伝えた。

 

「そうか。まぁ、米沢がそう言ったなら彼に任せて大丈夫なんじゃないかな?」

 

報告を聞いたマウントールの言葉を聞き、カセロジャは不満げな声を漏らす。

 

「本当に大丈夫なのか?米沢一人で…」

 

「心配かい?」

 

「いや、別にそんなんじゃ…」

 

「カセロジャ、米沢は頼りなさそうに見えるかもしれないが、彼は強いよ?アシバロンとアルミダを『神の傑作』と評価するなら、米沢は『神の怪作』と言った所かな。私も多くの転生者を目にしてきたが、米沢と同じような転生者には一人として出会ったことが無い」

 

「どういうことだ?」

 

「んっと…、これ以上は『秘密を守る』と彼と約束した以上、話せないな。とりあえず彼なら大丈夫だと私は思う、ということさ」

 

「むむむ…」

 

しかしカセロジャは不満げな様子を崩さなかった。

 

「まだ、不満があるのかい?」

 

「まあ…」

 

「さては『睡眠薬の女』のことかい?」

 

 図星をつかれたカセロジャは、胸の内を率直に打ち明ける。

 

「そうだよ。アイツには屈辱を味わわされたからな…。今度こそ徹底的に()()()()()()()()()と思ってたんだよなぁ」

 

「そうかそうか。なら、もしも米沢が失敗するようなことがあった場合》》は君に任せようじゃないか」

 

 カセロジャはマウントールの妥協案を飲むしかなかった。

 

 

 

 

 

 米沢は悩んでいた。彼の悩みとは潜入のことでは無く、今のベストナインのメンバーのことだった。現状、ベストナインの女性メンバーはアルミダ一人だけである。彼にはこのことが耐えられなかった。自分の属する組織の紅一点が()()()()()だなんて我慢できない。歯に衣着せぬ物言いをしてくる立花亭や、幼女の御手洗を恋愛対象として見たことは無かったが、二人がベストナインのオアシスだったことが、いなくなってようやく分かった。

 彼が二人の捜索に力を入れ始めたのも、今回の任務を一人で買ったことも、このことが原因だった。絶対に二人を取り戻してみせる、と彼は強く心に誓った。

 とは言っても油断は出来ない。一度見つかればお終いなのだ。特に()()()()()()()()()()()()()()。拠点発見時に、彼女の膨大な魔力を触覚で感じ取った。あんなに膨大な魔力を持つ人間がいることに彼は驚愕した。恐らく彼女は魔力感知が可能なはずだ。()()()姿()()()()()()()()()()()。だが、虫の微々たる魔力を感知することは出来ないだろう。

 今はこの場で虫の帰還を待つしかなかった。

 

 テンスレの拠点へ侵入した二匹の虫は、すぐさま近くの物陰に隠れた。外の魔族を倒したポセイドラが戻り、魔女が窓の修復を指示した。

 慌ただしく行動を開始する「魔女の集団」。二匹の虫は物陰に隠れつつ、敵の人数の把握に努めた。魔女、ポセイドラ、バニーラ、「睡眠薬の女」、「フルーレの女」…。ここまでは事前に把握していた人物だ。リュートとゴーギャンは別行動だろうか。そして虫達(かれら)の知らない人間が三人いた。一人は左目に太陽が描かれた男。彼は窓の修復に(いそ)しんでいた。そしてピンク髪の女が、包帯だらけで寝ている人間の側に付き添っている。あの包帯人間は生きているのだろうか。

 

「ジモー、修復は終わったか?」

 

「ああ、バッチリだぜ」

 

 魔女が「太陽の男」に問いかける。ジモー、というのがこの男の名前のようだ。

 

「バニーラ、ラーシャ、監禁部屋の様子を見てきてくれ」

 

「はい!」

 

「分かった」

 

 魔女の支持を受けたバニーラと「フルーレの女」が階段を上っていく。ラーシャ、というのが「フルーレの女」の本名らしい。それにしてもバニーラは何の違和感も無く皆と馴染んでいた。どうやら彼女は脅されて仲間になったのでは無く、()()()()()()()()()()

 

「二階は問題ない。立花亭と御手洗も驚きはしていたが、特に変わった様子はなかったそうだ」

 

「なら良かった。さて、作戦会議に戻ろうか」

 

二階から戻ってきたラーシャが報告をする。立花亭も御手洗も生きているらしい。

 早く二人の様子を確かめねばならない。虫達(かれら)は二手に分かれて行動を開始する。一匹が一階の様子を探り、もう一匹が二階に向かうことにした。

 

 この先は一階担当の虫を「虫1」、二階担当の虫を「虫2」と表記する。

 

 「虫2」は敵に見つからないよう二階へと向かう。飛べばすぐなのだが、明るい部屋で飛ぶ姿は目立つ上、羽音が聞かれる危険も大きい。疑われることの無いよう、徒歩で向かうことになった。

 御手洗の魔力をたどって監禁部屋へと向かう「虫2」。立花亭の魔力を感じられないのは、やはり彼女が能力を封じられているからなのだろうか。そんなことを考えながら進んでいると、手前の部屋から何やら異様なモノを感じた。原因は分からないが何か危険なモノがあるのだと、生物的な危機察知能力で感じ取った。原因を探りたいがここで死ぬわけにはいかない。「虫2」は監禁部屋へと急いだ。

 監禁部屋の扉の隙間から様子を覗く「虫2」。リュート、ゴーギャン、立花亭、御手洗の四人が見える。立花亭と御手洗は拘束されているみたいだが、このままではよく分からない。扉の隙間をくぐり抜け、中に入るしか無さそうだ。リュートとゴーギャンの視線が扉と反対方向に向いた隙を突いて、「虫2」は中へと潜入した。

 (はや)きことゴキブリの(ごと)く。カサカサと早足で近くの物陰へと隠れる「虫2」。

 

「む?」

 

突然ゴーギャンが声を上げた。

 

「どうしたんですか?ゴーギャンさん」

 

リュートが彼に尋ねる。

 

「今、かすかに物音がしたような…」

 

「本当ですか?俺には聞こえませんでしたけど…」

 

「むぅ、気のせいかもしれない」

 

「念のため調べてみましょうか」

 

二人は付近の捜索を始めた。「虫2」は近くにあったズタ袋の中に逃げ込んだ。

 

「…やはり気のせいだったようだ。すまない」

 

「いえいえ、気付いたことがあったら遠慮無く言ってください。そのための見張り役なんですから」

 

二人の捜索は数分ほどで終了した。ほっと胸をなで下ろす「虫2」。虫なのに。見つかるかもしれない恐怖で心臓が口からまろび出そうだった。虫なのに。

 「虫2」は改めて立花亭と御手洗の様子を確認する。二人は確かに生きているようだ。特に暴行などは受けていないらしいが、口には猿轡(さるぐつわ)がされている。

 御手洗が「ムームー」と何か言いたげに声を上げた。

 

「どうした?トイレか?」

 

ゴーギャンの問いかけに頷く御手洗。

 

「今の時間ならば皆起きているだろう。ケイルか誰かにトイレに付いて行ってもらおう」

 

そう言って彼は御手洗を連れて部屋の外へ出て行った。一連の様子を見て、御手洗には元気があることが分かった。

 一方の立花亭からはまるで精気が感じられない。能力封じの影響か、それともレイプか何か酷いことでもされたのだろうか。御手洗達が戻ってくるまで、彼女は身動(みじろ)ぎ一つしなかった。

 

 一階の様子を見ていた「虫1」は恐ろしい情報を耳にした。「魔女の集団」が米沢反死(よねざわはんし)を次の標的に定めていたのだ。自分に脅威が迫っていることを知り、「虫1」は身震いする。しかし幸運なことに、肝心の作戦内容は筒抜けだ。「虫1」はこのまま黙って作戦会議を盗聴することにした。

 魔女が皆に意見を(つの)る。魔女達は米沢について詳しいことを知らないようだった。様々な意見が飛び交ったが100%正しい答えが出てくることは(つい)ぞなかった。

 「虫1」はこのことに安堵する一方で、「睡眠薬の女」もといケイルへの警戒を強めた。どうやら彼女は殺虫剤を作った張本人らしい。尾行した虫が一匹も帰還しなかった理由がこれで分かった。さらに彼女の意見は的中とまで行かずとも、惜しいところまでは行っていたのだ。

 膨大な魔力を持つ魔女、米沢の天敵たり得るケイル。この二人を最重要危険人物として「虫1」は見定めた。

 肝心の米沢襲撃作戦が実行されるまで、まだ日があることも分かった。「虫1」は二階の「虫2」と合流することにした。

 

 合流した二匹は情報を共有し、一方が米沢の元へ帰参することにした。二匹は一階にある大きな棚の裏へと向かう。そして口の鋭い牙で壁に穴を開け、外との出入り口を作った。ここならば、この重たい棚を動かさない限りは見つからない。

 

 帰還した虫から情報を得た米沢は恐怖に身を震わせた。とうとう敵は自分を標的にしたのだ。だが肝心の作戦内容は知っている。ヤツらの作戦の裏をかけば…。いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。アシバロンならそう言うだろう。

 

「ギギギギギ…、奇襲しか無いな…」

 

彼の口から耳障りな声が漏れた。

 彼は数匹の虫を偵察用に残し、王都へと戻ることにした。

 

 王都へと戻った彼はマウントールの自室に向かった。情報を一通り伝え終えた彼はマウントールに進言する。

 

「これ以上好きにはさせない…。ヤツらの拠点を奇襲する」

 

「一人で大丈夫かい?」

 

「魔女…」

 

「うん?」

 

「魔女、魔女魔女魔女!アイツの存在は危険なんだ!アイツの魔力量は人間じゃ無い!正直に言うよ、マウントールよりもアイツの魔力量は多いんだ!」

 

「何だって!?」

 

米沢の言葉を聞いて、マウントールは珍しく平静を崩した。だがそれも一瞬のことで、彼はすぐにいつもの調子で言葉を返した。

 

「もしそれが本当なら、彼女とは一度直接お会いしたいね」

 

「ダメだよマウントール。魔力感知で気付かれてしまう」

 

「それもそうだな。じゃあせめてアシバロンを…」

 

「ギギギ…これ以上アイツに良い想いをさせたくない…」

 

「ははは、なるほどね」

 

「ギギギ…必ず、必ず二人を連れ帰る…。ヤツらも始末するっ!」

 

「ああ、期待してるよ?米沢」

 

マウントールは米沢の要求を認めることにした。

 

 その後米沢は虫を()わる()わる派遣し、「魔女の集団」の行動ローテーションを把握した。

 彼の狙いは「ケイルが魔人討伐に行き、魔女が夜勤明けの日中」だった。

 彼の望んだ日が来たのは、三日後のことだった。




 隠す必要も無いのでバラしちゃいますが、「虫2」が危険を感じた部屋はケイルの研究部屋です。そこには殺虫剤の材料や原液、その他諸々の危険物があるので「虫2」は危険を感じた訳です。
 ちなみにこの危機察知は能力が関係しているわけではありません。「虫の知らせ」というヤツです。虫だけに。虫なので人間よりもこういったことに対する勘が鋭くても不思議じゃないと思います。
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