ああ、どうも。
 ええ、アイレ・トゥルエノですよ。あなたが予定していた方ですね?
 どうぞ入ってください。…コーヒーでいいですよね?
 お茶菓子はないですが、まあ召し上がってください。私も飲みながら話すので。
 それで、まずは…ああ、生い立ちと戦争の話ですね。録音するんでしょう?
 ……んんっ…はい、んん……どうぞ。いつでも話せますよ。

 …では、話しましょうか。まず…



※これはオリーブドラブ氏のところの『機動戦士ガンダム 〜烈火のジャブロー〜』の三次創作だよ!
その作中に登場した『アイレ・トゥルエノ』というキャラクターが主人公の物語だから先に読もうね!
※一話完結だよ!突っ込みたい要素を突っ込んだから読みにくいだろうけど頑張ってね!(クソ筆者)

↓(リンク)
https://syosetu.org/novel/223795/

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Aufzeichnung von Aire


 

生い立ち、初陣

 


 

 私の生まれはサイド3です。

 特に特筆することもない一般家庭の生まれでしたよ。弟が1人と父と母の、何の変哲もない家庭です。

 あれは…たしか私が14程の頃でしたね。

 起きたのは皆さん知っている出来事です。ジオン・ズム・ダイクンの死とザビ家の台頭です。

 これが発端となり、私の家族は分裂しました。

 父のダイクン派、母と弟のザビ派。この騒動は私の祖父たち…父方の祖母と母方の祖母を巻き込む大惨事へとなりました。

 父や母や弟は毎日喧嘩三昧。父は当時ジオン軍への入隊を考えていた私も敵視していました。

 

 ある日のことです。母と弟が出ていったことで、家には私と、酒に溺れた父が残されていました。

 父はしきりに離婚してやる、こんな家族捨ててやると言っていましたよ。

 私が無言で水を差し出すと、父は訝しげにこちらに聞いてきました。お前はどっちの味方なんだと。

 あの時答えた言葉はハッキリと覚えています。

 

『父さん、私にとって主君はどうでもいいの。スペースノイドの国家、それに属することこそ、私の義務だと感じている。国家のために戦うにあたって、主君の関係なんてないと私は思っているの。自由なる人々の国家こそが大事なんだから』

 

 父は言いましたよ。「じゃあ第三勢力か」って。きっとそんなもんだったんでしょう。

 ま、翌年には家庭のゴタゴタも全部そのままに私は入隊して忙しい日々を送りました。その間に離婚は成立して、私は父の子供らしいです。私が帰国した頃には死んでましたけどね。

 …まあ、この話はいいでしょう。そろそろ聞きたいでしょう?戦争の話を。

 

 

 

 

 私の初陣はルウムです。当時はMS部隊に属して居たんですよ。

 私の役目はザクマシンガンによる防空でした。私を率いる小隊長は対艦ライフルを、次に2番機がバズーカ、3番機の私がザクマシンガン、4番機が予備弾薬とバズーカです。

 初の実戦に出撃する時、正直震えが止まりませんでした。コックピットに座っても、まるで体が芯から冷えているようで、どれだけ抑えても止まる気配はなかったんです。

 それは護衛の時も同じです。いつか襲われるのではないか、艦隊が負けて、次は私たちじゃないか、と。

 …でも、それは杞憂に終わったんですよ。

 

 私達の作戦目標が護衛から敵艦隊への攻撃へ変更され、いざ敵艦隊を目前にした時。連邦軍艦隊が私達の前に現れた時。私は確かに感じたんです。

 「ここが私達の国だ」と。

 機体を動かせば、訓練と遜色なく動きます。

 訓練とはなんら変わることはなかったんです。

 

「全機突っ込むぞ。恐れるな」

 

 隊長機の号令一下、私達小隊は敵艦隊とMSが混ざりあった、これまでに見たことも無い戦場へ突入しました。

 私は対空警戒をしつつも、エレメントを崩さないように後方を飛びました。

 まるで止まっているような戦艦の主砲、ロクにこちらに当たらない対空機銃。ザクIIの機動力に連邦軍艦艇の搭載火器はまるで着いてきてませんでした。

 戦闘機ですら周りのザクIIが仕留めています。

 そんなやることが無くなっていた私に、隊長から命令が入りました。

 

「アイレ、お前も対艦攻撃に参加していいぞ。各自ブレイク、暴れ回れ!」

 

 その瞬間、私達の小隊は一気に分裂しました。

 私が持つザクマシンガンでは致命打は期待できません。特に戦艦級相手は撃沈できないでしょう。

 しかし指揮系統と攻撃手段を奪うことは簡単にできました。

 ブリッジへの掃射、砲塔を上部からの射撃、機関部へのヒートホーク。

 ミサイルランチャーを開けて蜂の巣にすることもしました。

 時折、中にある弾薬への誘爆で派手に爆発する艦艇もいました。確か…そう、サラミス。

 サラミス級の一隻が派手に爆発してくれまして。私の最初の戦果でした。最高の誕生日プレゼントでしたよ。…ああ、私の誕生日は1月の16日でして、戦っていた時間が誕生日だったんです。

 

 そうして敵艦艇への攻撃を続けていれば、いつの間にやらルウム戦役は終わっていました。

 戦いが終わった。これを実感した瞬間身体に疲れがドッと押し寄せてきたんです。

 損害を負ったとも思えない隊長機が、何かを殴って凹んだであろう対艦ライフルを宇宙に投げ捨てるのが見えます。

 いけ好かない2番機がバズーカに再装填してるのも

 4番機が予備弾薬を敷き詰めていたMS用の格納箱を律儀に回収しようとしているのも。

 ああ、終わったんだとその光景を見ていた時でした。

 ふと、火を吹いている偵察機が見えました。連邦の機です。

 帰る場所も失って、ああやって燃え尽きていくのか…なんて心の中では思ってましたよ。完全な油断でした。

 既にパイロットも死んだかと思えるほどにボロボロだったそれは突如として加速したのです。

 咄嗟にザクマシンガンを構えて迎撃しようとしました。

 しかし私の戦法は掃射による制圧射撃。そのせいで殆どの弾薬を使い切っていたんです。

 六発ほどの発砲でしたが、焦っていたせいでロクに狙いも着いていません。そのせいで私は撃墜ができなかったのです。

 減速する素振りも見せず突っ込んでくる偵察機、ぶつかる直前です。

 モノアイを通して、パイロットの目を見ました。

 恐ろしい目でした。複座型のうち片方の座席は血にまみれていて見えませんでしたが、パイロットの顔は良く見えたんです。

 まるでこの世全てを憎むかのような、そう、鬼のような顔。

 その顔に呆気を取られていた直後、機体に衝撃が走りました。

 モノアイから通じる映像どころか、機体の発する光も全て消え、暗闇になったのです。

 突如として何も見えなくなった私はパニックに陥りました。

 だって…暗闇に彼の、あのパイロットの顔があるように見えたのです。

 四方から見られているように錯覚したんです。

 恐ろしいその環境で平静は保てませんでしたよ。

 無様と笑われても仕方ありません。ので正直に話しますとも。失禁だってしてましたしなんなら命乞いもしてました。それまで無神論者でしたが神にも祈りましたよ。「ああ神様」と。

 

 結局、なぜ暗闇になったかと言うと頭部の破壊と当時に機体が停止しただけでした。私のザクIIに限って急ピッチで仕上げられたものだったようで。まあ不良品だったんです。

 それからですよ、私が接近戦をしなくなったのは。

 

 


 

地上戦

 


 

 次なる戦場は地球です。

 最初の戦場は欧州方面でしたね…随分と地獄の戦場ただったのを覚えています。

 ま、ジャブローよかマシでしたが…

 

 私が当時好んでいたのはまあ地上型ザクIIは当然なんですが、その中でもマゼラトップ砲を装備していました。

 と、いうのも。当時のバズーカは重力の影響を受けやすく、少し使いにくかったんです。弾速もそれほど速くなく、至近戦闘をしたくない私からしたら使う気が起きない武器でした。

 最初こそバズーカでしたとも。というか、小隊の多くはバズーカでした。当初はザクマシンガンとバズーカ半半だったんですが、ザクマシンガンでは平野の多い戦域だと射程不足というのがわかったのです。

 その為、比較的射程に優れたバズーカを使用したんです。偏差射撃にさえ慣れれば当てるのはそう難しくありません。ザクマシンガンは歩兵掃討と対空用途で使われていましたね。

 しかしある時です。合流したとあるMS隊が見たことも無い砲を持っていたのです。

 聞けば、マゼラトップの砲を代用したと言うではありませんか。現地改修の武装ですが、射撃体勢さえ工夫すれば扱えるようでした。

 これ幸いと私を筆頭に二人がバズーカを捨ててマゼラトップ砲を装備し始めたのです。

 

 しばらくはそれで大きな戦果を挙げられていました。平野での撃ち合いでは連邦の戦車…確か61式ですよね。

 アレのアンブッシュや丘を用いたハルダウンによる攻撃に成すすべがなかった私達ですが、射撃体勢さえ整えて入れれば相手が顔を見せた瞬間にカウンターを叩き込んで砲弾を回避する程度のことは出来るようになったんです。

 しかしそれも全部がよく働いたか、と聞かれれば…まあ、全然そんなことはありませんでしたよ。

 私が欧州戦線で経験した最後の戦闘ですね。私達の小隊は森林を進んでいました。

 場所は確か…フランドルだか、ワロンだか、パ=ド=カレーだか…まあその辺の数少ない森林でしたね。私は僅かに脚部不安が残っていた為若干後方に居たんです。

 私達の目標はこの先にある都市の制圧です。敵のMSは確認されず、楽な任務になるはずでした。

 他愛のない2番機の自慢話を聞かされる4番機、咎めるのも諦めたのか無言の隊長機、そして私の図でした。

 それが破られたのは正に突然です

 

「だから俺は━━━うぉっ!?脚が━━━」

「っツェーザル!?ツェーザルがやられた!対MSミサイルだ!」

「クソッ!どこから来た!見たかエルヴィン!?」

「期が深すぎてっダメだ!やられ━━━」

「エルヴィンッ!!」

 

 対MS誘導弾。確か…AMSRレジーナですよね。

 アレによるゲリラ攻撃です。

 私からも発射位置は見えません。深い木々の合間に隠れていたんでしょう。

 脚を壊された機体から順にコックビットへミサイルが叩き込まれていましたよ。

 

「アイレ!下がってろ!後退だ!!」

「隊長!援護を」

「黙ってろ!お前じゃ何もしなくても脚を壊しかねん!さっさと撤退しろ!俺は後で合流する!」

 

 …そういうやり取りをした後、隊長には会えませんでした。

 おそらく死亡したのでしょう。残念ですが、ザク一機で本気で隠れた歩兵を倒せるとは思えません。

 少なくとも、壊滅した私達の小隊は解散、私は別の場所へ配置転換をされました。

 


 

キャリフォルニアベース

 


 

 配置転換を受けた私の行先はアメリカ戦線でした。

 あそこはカリフォルニア………ああ、アメリカ英語だとキャリフォルニアでしたね。あそこの防衛任務です。

 私のザクIIは残念ながら脚部の調子がどうにも直らず、なら向こう側で余った機体を貰う形になりました。

 幸運なことに、私にうってつけの機体でしたよ。

 ザク・ハーフキャノン、現地で改造を受けたはいいものの、ザク・キャノンが配備されて向こうで放置されていたものです。

 私にはザクと大きく変わらないながらもハーフキャノンが行える後方支援攻撃がすっごく刺さりまして。直射も砲撃もなんでもござれでしたよ。

 

 まあ、私一人が強くなったところでどうにもなりませんでしたけど。

 向こうでは防衛隊の一人のスティクス軍曹と……ああ、はい。そうですよ、その戦車のエースです。そのスティクス軍曹と動いていました。

 マゼラアタックは戦車にしては隠蔽性能も弱かったですしね。私のカバーで隠れて攻撃支援、私がフロントで攻撃を誘引、というスタイルでした。

 キャリフォルニアベースでの戦いは随分と激しい割にはしょっぱかったですね…私のスコアもMS3程度で打ち止めでしたし。いえ、当てたはずなんですよ。でもタンクもどきってすごく硬くてですね。しかも追撃は異様に激しかったですし…

 ただこの辺りはあなた方も知ってのとおり、私達防衛隊の一部は損害を受けながらも潜水艦でアフリカに逃げることになりました。ここから地獄のゲリラ戦です。

 …え?降伏の選択肢?ありませんよそんなの。私の座右の銘は「生きて虜囚の辱めを受けず」ですよ。

 それに…ジオンは私達の国です。今はこうして帰国できてますが、一度たりともここが祖国とは思ったことはありません。ここにあるのは…ただの連邦の植民地です。

 ……ま、この話はいいでしょう。

 さて、まだ聞きますか?キャリフォルニアベースの話はこれくらいしか………あ、やっぱダメです。今日はここまでですよ。

 ほら、立ってください。そろそろ時間なので。

 …え?なんのって?

 鎮魂の時間ですよ。もう0時、12月31日です。

 あなた方アースノイドはあまりこういうのはしませんからね。せめて私だけでも、鎮魂は必要なのですよ。

 それが人である故に。


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