この落ちこぼれの紅魔族に爆焔を!   作:gurenn

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今さらながらこのすばにハマり、原作や二次創作を読んでいたら、突然自分でも書いてみたくなりまして
他に更新をずっと止めてる物があり、何をやってるんだと自分でも思ったのですが、書きたい時に書いてしまうのが良いと思って書いてみました
投稿は不定期になると思いますが、どうぞ読んでみてください(なめんなと言われそうですがw)
気分が乗れば早めに投稿できると思うのでお許しを


プロローグ

「佐藤和真さん。ようこそ、死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたの生は終わってしまったのです」

 

 真っ白な部屋の中、俺は唐突にそんな事を告げられた。突然の事で何がなんだか分からない。部屋の中には小さな事務机と椅子があり、そして俺に人生の終了を告げてきた相手は、その椅子に座っていた。

 

 もし女神というものが存在するのなら、きっと目の前の相手の事を言うのだろう。テレビで見るアイドルの可愛らしさとは全く異なる人間離れした美貌。淡く柔らかな印象を与える透き通った水色の長い髪。

 

 年は俺と同じくらいだろうか。出過ぎず、足りな過ぎずな完璧な躰は、淡い紫色の、俗に羽衣と呼ばれるゆったりとした服に包まれている。その美少女は、髪と同色の、透き通った水色の瞳をパチパチさせ、状況が摑めず固まったままの俺をじっと見ていた。

 

 ……俺は、先ほどまでの記憶を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 ……普段学校に行かず家に引き篭もっている俺だったが、今日は珍しく外出をした。本日発売のとある人気ネットゲーム、その初回限定版を手に入れるために、珍しく早起きして行列に並んだのだ。

 

 世間では俺みたいな奴の事を引き篭もりだのネトゲ廃人だのと呼んでいるらしいが。無事に目当てのゲームを獲得し、後は家に帰ってゲーム三昧だと、上機嫌で帰宅しようとしていた、そんな時だった。

 

 携帯をいじりながら俺の前を歩いていた女の子。学生服からして、俺と同じ学校の生徒だろうか。信号が青になったのを確認し、その子はそのままロクに左右も見ずに、横断歩道を渡って行く。

 

 そんな女の子の横に迫る大きな影。それは、きっと高速で迫る大型トラックだったのだろう。俺は、頭で考えるよりも先にその子を突き飛ばしていた。

 

 そして…………

 

 ……自分でも不思議なくらいに落ち着いた心で、目の前の美少女に静かに尋ねた。

 

「……一つだけ聞いても?」

 

 俺の質問に美少女が頷く。

 

「どうぞ?」

 

「……あの女の子は。……俺が突き飛ばした女の子は、生きてますか?」

 

 大切な事だった。俺の人生で、最初にして最後の見せ場だったのだ。命懸けで助けに入って、結局間に合わなかったのだとしたら悔し過ぎる。

 

「生きてますよ? もっとも、足を骨折する大怪我を負いましたが」

 

 良かった……俺の死は無駄じゃなかった訳だ。最後に少しは良い事が出来たかなあ……ほっとした様子の俺を見た美少女は、小首を傾げる。

 

「まあ、あなたが突き飛ばさなければ、あの子は怪我もしなかったんですけどね」

 

「…………は?」

 

 この子、今なんて!?

 

「あのトラクターは、本来ならあの子の手前で止まったんです。あたり前ですよね。だってトラクターですもん。そんなにスピードだって出てないし。つまり、あなたはヒーロー気取りで余計な事したって訳です。プークスクス!」

 

 何だろう、初対面で何だろうこの子。どうしよう、失礼だが凄く殴りたい……いや、待て。そんな事より、今もっと大変な事を聞いた。

 

「今なんて? トラクター? トラックじゃなく?」

 

「ええ、トラクターですけど? あの子だって、大型トラックが迫って来れば流石に気付くし逃げますよ」

 

 …………は?

 

「え、じゃあナニ? 俺の死因はトラクターに耕されて死んだって事?」

 

「いいえ、ショック死ですけど。トラックに轢かれたと勘違いして、あなたショックで死んじゃったんですよ。私、長くこの仕事をやってるけれど、こんな珍しい死に方したのはあなたが初めてよ?」

 

 …………

 

「あなたはトラクターに轢かれそうになった恐怖で、失禁しながら気を失い、近くの病院に搬送。『なんだこいつ、なっさけねー(笑)』と医者や看護師に笑われながら、目を覚ます事無くそのまま心臓麻痺で……」

 

「やめろおおおお! 聞きたくない聞きたくない! そんな情けない話は聞きたくない!」

 

 その女の子は、耳を塞いでる俺に近寄ってくると、にやにや笑みを浮かべながら、わざわざ俺の耳元で。

 

「あなたの家族が病院に駆けつけましたけど、悲しむよりも先に、その死因に家族さえ思わず吹き出し……」

 

「止めて止めて! なあ、ウソだろ!? そんな情けない死に方ってあんまりだろ!」

 

 頭を抱えてしゃがみ込んだ俺を見下ろし、口元に手を当ててクスクス笑う女の子。

 

「……さて。それじゃあ私のストレス発散はこのくらいにしておいて。初めまして、佐藤和真さん。私の名はアクア。この日本において、若くして死んだ人間を導く女神よ。……さて。しょうもない理由で死んだ面白いあなたには、二つの選択肢があります」

 

 ……こ、こいつ! いやもう、こんな事にいちいち腹を立ててたら話が進まないから我慢しとこう。

 

「一つは人間として生まれ変わり、新たな人生を歩むか。そしてもう一つは、天国的な所でお爺ちゃんみたいな暮らしをするか」

 

 なにその身も蓋もない選択肢。

 

「いやその……天国的な所って? そもそも、お爺ちゃんみたいな暮らしって何?」

 

「天国ってのはね、あなた達人間が想像している様な素敵な所ではないの。死んだら食べ物は必要ないし、死んでるんだから、物は当然産まれない。作ろうにも材料も何もないし。がっかりさせて悪いけど、天国にはね、何にもないのよ。テレビもなければ漫画やゲームもない。そこにいるのは、すでに死んだ先人達。もちろん死んだんだから、えっちい事だってできないし、そもそも体がないんだからどうにもなんないわね。彼らと永遠に、意味もなく、ひなたぼっこでもしながら世間話するぐらいしかやる事ないわ」

 

 何それ、ゲームも娯楽も何にもないとか、天国ってより地獄なんですけど。しかし、赤子になってもう一度人生やり直す……か。いや、それしか選択肢はないのだろうが。そんな残念そうにしている俺を見て、女神は満面の笑みを浮かべた。

 

「うんうん、天国なんて退屈な所行きたくないわよね? かといって、今更記憶を失って赤ちゃんからやり直すって言われても、今までの記憶が消える以上、それってあなたっていう存在が消えちゃう様なものなのよ。そこで! ちょっといい話があるのよ」

 

 なんだろう、物凄く胡散臭い。アクアは、警戒する俺にニコニコしながら言った。

 

「あなた……ゲームは好きでしょ?」

 

 アクアが、得意気にいい話とやらの説明を始める。その話を要約すると、こうだった。ここではない世界、すなわち異世界に魔王がいる。そして、魔王軍の侵攻のせいでその世界がピンチらしい。

 

 その世界では、魔法があり、モンスターがいて。言うなれば、有名ゲーム、ド○クエや○フエフのようなファンタジー世界があるらしい。

 

「その世界で死んだ人達ってさ、まあほら、魔王軍に殺された訳じゃない? だから、またあんな死に方するのはヤダって怖がっちゃって。死んだ人達のほとんどが、その世界での生まれ変わりを拒否しちゃうのよね。はっきり言って、このままじゃ赤ちゃんも生まれないしその世界が滅びちゃうのよ。で、それなら他の世界で死んじゃった人達を、そこに送り込んでしまうのはどうか? って事になってね?」

 

 何という移民政策。

 

「で、どうせ送るなら、若くして死んだ未練タラタラな人なんかを、肉体と記憶はそのままで送ってあげようって事になったの。それも、送ってすぐ死んじゃうんじゃ意味が無いから、何か一つだけ。向こうの世界に好きな物を持っていける権利をあげているの。強力な特殊能力だったり。とんでもない才能だったり。神器級の武器を希望した人もいたわね。……どう? あなたは、異世界とはいえ人生をやり直せる。異世界の人にとっては、即戦力になる人がやってくる。ね? 悪くないでしょ?」

 

 なるほど、確かに悪くない話に思える。と言うよりも、むしろテンション上がってくる。ゲーム好きな自覚はあるが、まさか自分が、大好きなゲームの世界みたいな所に行けるとか。と、その前に。

 

「えっと、聞きたいんですけど、向こうの言葉ってどうなるんです? 俺、異世界語とか喋れるの?」

 

「その辺は問題ないわ。私達神々の親切サポートによって、異世界に行く際にあなたの脳に負荷を掛けて、一瞬で習得できるわ。もちろん文字だって読めるわよ? 副作用として、運が悪いとパーになるかもだけれど。……だから、後は凄い能力か装備を選ぶだけね」

 

「今、重大な事が聞こえたんだけど。運が悪いとパーになるって言ったか?」

 

「言ってない」

 

「言ったろ」

 

 先ほどまでの緊張感もなく、相手は女神だというのに俺は既にタメ口だった。

 

 ……しかし、これは確かに魅力的な提案だ。もしかしたらパーになるかもという恐怖はあるが、自慢ではないが運の強さに関してだけは、子供の頃から自信がある。と、俺の目の前にアクアがカタログの様な物を差し出した。

 

「選びなさい。たった一つだけ。あなたに、何者にも負けない力を授けてあげましょう。例えばそれは、強力な特殊能力。それは、伝説級の武器。さあ、どんなものでも一つだけ。異世界へ持って行く権利をあげましょう」

 

 アクアの言葉に、俺はそのカタログを受け取ると、それをパラパラとめくってみる。……そこには、《怪力》《超魔力》《聖剣アロンダイト》《魔剣ムラマサ》……その他諸々、色々な名前が記されていた。

 

 なるほど、この中から持って行く能力か装備を選べという事か。参ったな、これだけあると目移りする。と言うか、ゲーマーの勘だが、これらはどれもこれもが反則級の能力や装備の予感だ。

 

 悩む悩む……魔法がある異世界へ行くなら、是非とも魔法を使ってみたい。となると、やはりここは魔法を使う前提の能力を……

 

「ねー、早くしてー? どうせ、何選んでも一緒よ。引き篭もりのゲームオタクになんて期待はしてないから、なんか適当に選んでサクッと旅立っちゃって。何でもいいから、はやくしてーはやくしてー」

 

「オ、オタクじゃないから……っ! 出掛けてて死んだ訳だし、引き篭もりでも無いから……っ!」

 

 あんまりなアクアの言い種に、俺は小さな震え声で言い返すが、アクアは自分の髪の先の枝毛をいじりながら、俺には全く興味無さそうに言った。

 

「そんな事どうでもいいから早くしてー。この後他の死者の案内が、まだたくさん待ってるんだからね?」

 

 言いながら、アクアは椅子に腰掛けこちらを見もせずに、スナック菓子をぽりぽりと……

 

 ……こいつ、初対面のくせに、人様の死因を思い切り笑ったり、さっきからちょっとばかり可愛いからって調子に乗りやがって。

 

 アクアの面倒臭そうな投げ槍なその態度に、流石に俺もカチンときた。だが、ここは我慢だ。ここで短気を起こして、せっかくの異世界転生のチートを台無しにしてしまっては大変だ。何しろ、命懸けの世界に行く事になるんだからな。ここはちゃんとしたチートを貰うべきだ。

 

 そう思ってカタログを読み進めると、最後のページにとある項目を発見する。だがそれは、何故か何者かによって横線を引かれていて、少し読みづらかった。

 

「……ん? 魔王さえ恐れる紅魔族への転生? なあ、これってどういう事だ? 何で横線で消されてる?」

 

「……ちょっと何の事か分かんない」

 

 そんな俺の質問にアクアは横を向いて口笛を吹き、すっとぼけてきた。

 

「おい」

 

「……」

 

「……」

 

 しばらく沈黙が続く。するとアクアは、凄く嫌そうな顔で俺の顔を見てから、めんどくさそうに言った。

 

「その異世界における、チート種族への転生よ。まったく、さっさと適当なのを選べって言ったのに、何でよりによって一番めんどくさい手続きが必要なそれを見つけるのよ。空気読みなさいよ」

 

「おい、いい加減殴っていいか? いいよな?」

 

「女神様に手をあげようっての? だったら、このまま強制的に異世界に転移させても良いんだけど?」

 

 こいつ! いかにも強力そうなチートを、自分の楽のために黙ってるつもりだったのか! きっと、横線で消して見えにくくしてたのもこいつなんだろう。しかも、それがバレたら今度はこの言い種だ。脅しまでかけてきやがった。それでも女神か、この駄女神が!

 

「これについて、詳しい話を聞かせろ」

 

「くっ、この……はあ、仕方ないわね。いい? まず、この紅魔族っていうのはね、全員が生まれつき強力な魔法の素質を持った種族なの。これは、その紅魔族に転生できる権利って事。しかも、今のあなたの記憶はそのままに、ステータスも上乗せしてね」

 

 何だそれ、めちゃくちゃいいじゃん。どうせなら魔法を使ってみたかったし、何よりもこの紅魔族って種族は魔王さえ恐れる種族って話だ。その上、ステータスまで上乗せだと? チートアイテムも悪くないが、俺自身が強くなる訳じゃないだろう。となると、死ぬ可能性は当然ある。

 

 アクアが言う通り、俺はただのゲームオタクだ。戦闘の経験なんてない。だがこれなら、俺自身がチートな存在として生まれ変わる事ができる。

 

「これにするわ」

 

「えー!? 嫌なんですけど! だって手続きがめんどくさいんだもん! 元々持って生まれたステータスを書き換えるのって大変なのよ? ねえ、お願いだから考え直して……」

 

「こ・れ・に・す・る・わ!」

 

 アクアのふざけた台詞に、俺は満面の笑みでそう答えた。期せずして、このムカつく女神に嫌がらせもできると判明して、やらない訳がない。

 

「鬼ー! 鬼畜外道のゲスマさん!」

 

「ふははは! ざまあみろこの駄女神が!」

 

 とうとう泣き出し、すがり付いてきたアクアに向かって、俺は渾身の高笑いを上げた。すると、頭上から光が降り注ぎ、美しい天使が舞い降りてきた。そしてその天使は、アクアと俺に向かって微笑みかけ……

 

「アクア様、ちゃんと仕事してくださいね♪」

 

「嫌よおおぉ! こんなの無効よ、無効!」

 

「残念ですが、一度決定してしまったものは覆せません。それはアクア様も良く分かっていますよね?」

 

「くうぅぅっ! 分かったわよぉ!」

 

 あれ、天使と女神って、女神の方が上だよな? そう思っていた俺の足元に、突然青く輝く魔法陣のようなものが浮かび上がった。えっ、何だこれ!?

 

「それでは佐藤和真さん、あなたをこれから異世界へと転生させます。魔王討伐のための勇者候補の一人として。魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を授けましょう」

 

「……贈り物?」

 

 オウム返しに尋ねる俺に、その天使は、穏やかに微笑んだ。

 

「そう。世界を救った偉業に見合った贈り物。どんな願いでも、たった一つだけ叶えて差し上げましょう」

 

「おおっ!」

 

 それはつまり、異世界とやらに飽きたら日本に帰りたいって願いも有りなのだろうか。例えば、異世界での暮らしに飽きたら、日本に帰って、金持ちになって美少女に囲まれながらゲーム三昧の人生を! とかそんな退廃的な願いも有りなのだろうか!

 

「ねえ待って! そういうカッコイイ事を告げるのって、私の仕事なんですけど!」

 

 いきなり現れた天使に仕事を奪われ、再び泣き出しながらすがるアクア。アクアのその姿を見られただけで、俺はすでに満足していた。俺はそのままアクアを指差し。

 

「散々バカにしてた男に、面倒事を押し付けられるってどんな気持ちだ? 女神ならちゃんと仕事をして、新しく転生する俺の人生を楽させてくれよ!」

 

「あんた、覚えておきなさいよ! 絶対天罰落としてやるんだからああああああーっ!」

 

「さあ、勇者よ! 願わくば、数多の勇者候補達の中から、あなたが魔王を打ち倒す事を祈っています。……さあ、旅立ちなさい!」

 

「わああああああーっ! それも私のセリフー!」

 

 厳かに天使が告げる中。俺の体は宙に浮かび、アクア達の姿がどんどん小さくなっていった。

 

 だが俺はまだ知らない。あのアクアという女神が、本当の意味でポンコツ女神だったという事を。

 

 

 

 

 

 

 ……という夢を見た。

 

「……俺、いよいよヤバいかもな。こんな妄想を夢に見るなんて、やっぱり俺も紅魔族だったんだなぁ」

 

 異世界の人間だとか、女神だとか、あげくには勇者候補の転生者? ははは、まったく面白い冗談だ。

 

 俺の名前はカズマ。魔王さえ恐れるとされる種族、紅魔族随一の落ちこぼれです(泣)




さて、この作品はこんな話です(笑)
一体何が起こったのか、カズマの記憶はどうなったのかはまた次回の話で
最初は爆焔の感じで進みます
それではまた
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