これはとある並行世界でまかり間違って騎士王さんが聖杯で【ブリテン救済=人理を滅ぼす特異点】を発生させちゃったのでカルデアが滅ぼしに行くお話。


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ブリテンフルボッコ√

夢を見る。

 

「遂に……遂に聖杯を手に入れた……」

 

とある金髪で騎士の格好をした少女が呟く。それは本来ならばあり得ざるIF。

何故なら彼女は第四次及び第五次聖杯戦争で自身のブリテン救済という願いが間違ったものだと理解し、願わなくなるからだ。

しかしとある並行世界でその過程を得る前の英霊として召喚された彼女は聖杯戦争で彼女は勝ってしまう。

 

「我が祖国……ブリテンの救済を!」

 

それは純粋な願い。

滅びるしかないブリテンを死後も救いたいと願った善意である。

だが彼女は知る由もない。

人類史とはとある国が滅ぶ過程を経てことで未来へと繋がっていく。

そしてブリテンが滅ばないことで生じるリスク……人理崩壊を招く特異点発生に繋がることを……

 

そして特異点を発生させ、アラヤですら抗えない救済など願えばそれ以上の破滅をもたらすカルデアがやって来ることを……

 

これは人理修復の為にブリテンを滅ぼす戦いである……

 

 

 

 

 

 

 

「ということでアルトリアがブリテン救済を願っちゃったせいで特異点となったブリテンを滅ぼさなきゃいけなくなったから逃げてきたよ」

「本当クズだなマーリン…」

「マーリン、シスベシフォーウ!」

「ハハハ、容赦ないねぇ君達〜」

 

無理矢理夢見の世界に引きずり込んだマーリンから事情を聞いていたカルデアの最後のマスターである白亜 詩音とフォウがジト目で呟いたのにマーリンは笑って答える。

詩音は所謂転生者と呼ばれる存在であり、本来ならカルデア最後のマスターである藤丸立香の代わりに連れて来られたせいで人理修復を行うことになった少年だ。

 

「いやまあカルデア物語を読んでた時、特異点修復の話から大方妄想したことあるけど、最悪のパターンが来たかぁ……」

「大方カルデア物語の通りになったけど、これは載ってなかったのかい?」

「少なくとも見てないなぁ。対象年齢4歳以上だったから史実で起きてたけど載せなかったという可能性もあり得るけど……」

「まあ確かに人理修復の為に現地人皆殺しにしましたとか書けないよねぇ……」

 

詩音はマーリンなどの策士タイプの英霊達やダ・ヴィンチといったカルデアの上層部に、自分が転生者で原作知識と言えるものを『カルデア物語』というお伽噺で読んだと伝えている。

ゲームの世界でしたというよりお伽噺で読んでたから大まかに知ってますと言った方が伝わりやすいからだ。

お伽噺なら日本史とかのように現代でも過去を記載した本は実在するから伝わりやすいという判断だ。

 

そして話した理由はこれから起こる事象が全て既知の反応を見せた場合に仲間達から猜疑心を持たれるリスクがあったからだ。

元一般人である詩音では数多くの英霊達や上層部から隠し通せるとは到底考えられない。ならば先に話してしまおうというスタンスである。

具体的にはレフの爆破テロが起こって強制レイシフトした冬木から戻って来た辺りで詩音は打ち明けた。

勿論打ち明けたことによるイザコザもあったものの、それでも詩音は人理を救う為に頑張りたいという決意表明や未来を知らなきゃ知り得ないはずの情報……

例えばマシュの英霊がギャラバッドとかロマニがソロモン王とかを公開することでカルデア最後のマスターとしての信頼を何とか繋ぎ止めて人理修復をしているのである。

 

「ていうか現地人皆殺しとか確実に連れて行っちゃいけない人選いるんだけど……」

「おや君は良いのかい?」

「あ〜、俺はまあ人殺しとかは吐いて慣れたし何とか耐えられる……」

「君相変わらずドライだねぇ……」

「外道にはならないけど、覚悟は決めてるだけだよ」

 

一般人でしかない詩音は覚悟と努力だけは欠かさずに行ってきた。

何故なら詩音は藤丸と違ってスーパーカルデア人じゃ無いからだ。

ヘラクレス相手にエウリュアレ背負って逃げ切ったり……

ピラミッド頂上付近からケツァル・コアトルへ飛び降りプロレス技による命綱なしのダイブしたり……

助かる為とはいえ、下総で酒呑童子に内臓をかき回されたり……

魔神柱や人類悪相手に一瞬とはいえ通じるガンドを放ったり……

 

そんな超人離れした技を会得しなきゃいけないのがカルデア最後のマスターである。

ぶっちゃけ藤丸の代わりにカルデアのマスターになってなかったら全力で辞退したいレベルだ。

以前ムニエルに英霊達にモテて羨ましいと言われたので、これから起こり得るスーパーカルデア人エピソードに挑戦してみると聞いたら、笑顔で親指立てて……

 

『これはお前にしか出来ないことなんだ。頑張れよ』

 

掌返ししてきたムニエルに殴りたいこの笑顔となったのは言うまでもなかった。

 

夢から覚めた詩音はベッドから起き上がる。そしてベッドの中には寝る前には確実にいなかった筈の女性が潜り込んでいた。

 

「おはようございます、ますたぁ♡」

「おはよう清姫」

 

夜這い三人衆とまで呼ばれる一人、清姫に詩音は答える。

清姫には自分が転生者だと打ち明けている。嘘を見抜ける清姫に転生者を隠した場合、『隠蔽=嘘』判定受けるリスクが避けられないからである。

嘘を付かなくて良いというのは下手に取り繕う必要がない分、気が楽とポジティブに思うことにしている。

そして清姫は詩音が普段と表情が違うことに気付く。

 

「ますたぁ……険しい顔してどうなされたのですか?」

「夢でマーリンから次の特異点が過酷と聞いてな」

「過酷……ですか?」

「滅ぶはずだった国が存続してたせいで特異点になってしまった。つまり特異点となった国を滅ぼさなきゃならないらしい」

「そんな……」

 

口に手を添えて驚く清姫。無理もない。彼女は嘘つき絶対焼き殺すガールではあるが、それを除けば基本的には良識もきちんとある人なのだ。時たま愛からストーキングすることは除く。

 

「今回は人選選ばなきゃいけないし、清姫は留守番でも……」

「いえ、ますたぁが自ら過酷な場所に赴くのに妻である私が逃げるわけにはいけません」

 

清姫は詩音の気遣いをキッパリと断る。ますたぁと慕う詩音の為なら彼女は手を汚す覚悟は出来ていた。

 

「ありがとう清姫。まずはカルデアの皆に事情を説明する。着いてきてくれ」

「はい、ますたぁ」

 

そうして詩音と清姫は詩音のマイルームから管制室へ向かうのであった。




騎士王アルトリアさん
→第五次聖杯戦争前に聖杯戦争勝ち抜いてブリテン救済願っちゃったせいで特異点発生。
聖杯パワーであらゆる滅びを遠ざけて円卓の騎士全員生存したけど、カルデアによるブリテン壊滅√に突入した。

円卓の騎士達
→反逆者モードレッドを除いた円卓の騎士達が全員生存している。彼等は知る由もない、アルトリアが本来滅びるブリテンを生存させたせいで壊滅させなきゃいけない危機を持ち込んだことを……
因みにこの特異点でモードレッドは円卓の騎士に任命されるわけないので、円卓の騎士の誰もモードレッドの存在を知らない。

白亜詩音
→転生者かつオリ主。原作の藤丸だと特異点修復の為に現地人抹殺とか確実に精神やられるのでこうなった。
転生者や原作知識に当たるカルデア物語として打ち明け済みなことが相違点。

清姫
→召喚してすぐに転生者と打ち明けた一人。嘘つき絶対焼き殺すガール相手に転生者隠すのは無謀なので……
安珍の件で一悶着あったりして『安珍≠詩音』と分かった上で慕ってたりする。

マーリン
→アルトリアの聖杯による歴史改変でブリテンが特異点になったので、仕方なく黙って特異点から離脱した。



原作登場英霊達
・アーサー王
・ガウェイン
・ランスロット
・トリスタン
・アグラヴェイン
・ベディヴィエール
・ガレス
・パーシヴァル


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