お気に入りがいつの間にか9000件超えててびっくり。
皆こんな妄想の書きなぐり見ててくれるんやなって…むしろ最近チートオリ主より他のウマ娘達の方を書きた(断線されました)
『【最も強いウマ娘が勝つ】と謳われる菊花賞。しかし、今年のクラシックこのレースに、世代で【最強】と見做された【大王】は居ない。
だが、それは果たして、この菊の舞台を走る彼女たちが弱いと言い切れるものだろうか。
今年の灼熱のダービー、そう単純に言えたものではないが、【世代が違えば十人のダービーウマ娘が生まれていた】とさえ言われる。
一着から九着までが従来のレコードを更新し、十着ですらタイ記録という、彼女達が弱いなどと誰が言えるだろうか。
誰かが言った、【空き巣狙いだ】と。誰かが言った、【所詮二位決定戦だ】と。言いたいヤツには、言わせておけばいい。
誰が何と言おうと、私は、私達は知っているのだ。
彼女達が本当に強いウマ娘なのだと』
―『週刊トゥインクル十月号 菊花賞特集』より―
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『――さて次のウマ娘は一番人気、大外からの一気を今日も見せてくれるのか、ダービー二着のハーツクライです』
深く息を吸って、吐く。
夏の合宿を経て、ハーツクライは自分が驚くほど調子が良い事に驚いていた。
勿論、スピカのトレーナーとて何もしなかったわけではない。
むしろ彼は手を尽くしてくれていたが、どうしてもダービー以降の、身体の芯に鈍く残る疲労が取れなかった。
休んでも、いっそトレーニングしても残り続けるそれを、どうしようかと悩んでいた時、津上あきトレーナーはこう答えた。
身体と脳がその全力疾走を覚えていて、休んで調子を戻そうとしようが、抑えた走りをしようが、速さを求める本能が『全力疾走の時はこんなもんじゃない』と無意識に求めている。
証拠に普通に走ろうとしても、全力疾走の時みたいに走ろうとしてて、バランスが酷くブレてるよ、と。
そして、そのブレから良く故障に繋がるから、そこを直していこうか、などと。
そこからはもう大変だった。
トレーナー三人に研究者一人が顔を突き合わせて、まず何があってもブレない中心をだの、全力で走っても問題にならない土台を作るだの、専門的な話が飛び交い。
『バランスをしっかりさせるとつまりこういう事できるよ』と、透明なコップに入れた水を『一切揺らさず』自在に加減速して走るとかいう(頭のおかしな)実演を見せられ。
『身体と脳に全力の走りが刻み付けられてるなら、それを上回るバランス感覚を魂に染み込ませようか』などとトレーニングに追われている間。
気付けばいつの間にか、芯に残った鈍い疲労は、跡形も無く消えていた。
「――ふぅー」
そうして気づいた事が沢山ある。
いつもうっすらと目の下に残っている隈、見せないようにしていても隠せない、僅かに荒れている顔の肌、机や書類に良く押し付けられて、そこだけ妙に傷んでいる服の袖。
トレーナーが、どれだけ自分達の事に心を砕いてくれていた――合宿中の食生活などによって加速度的に改善されていたが――のか。
きっと、忸怩たる思いだったのだろう。
自分だけの力で、私達を治したかったのだろう、勝たせたかったのだろう。
でも、速く走る為に無理をしがちな私達ウマ娘の為に、そんなプライドを投げ捨てて。
元より、負ける気でなんて走っていない。
けれど、それに何より応えたい。
『始まりますは菊の舞台、京都レース場芝3000m。今まで走った事のない未知の領域、果たして誰が一番強いのか』
ガタン!
『今!スタートしました!』
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『先頭争いはまずエーピースピリットとブルートルネードが争うか、一周目の坂に向かいます。おっとコスモバルク上がってきます!モエレエルコンドルも追って二番手!』
コスモバルクは先頭を取る気でいた。
あのダービーから自分の何かがズレているのは解っていた。
だが結局は自分の脚質は逃げだ、最初から先頭に立ち、自分のレースで勝つしかない。
事実、前走で逃げて勝てば自分の中のズレが修正された気がした。
この菊花賞でも、逃げて勝つ。
今までそんな例外が数えるほどしかいないなら、自分もそんな例外になってやるのだと。
『各ウマ娘スタンド前を通過していきます!グレイトジャーニー中団グループ、ハイアーゲームは中団後ろ!後方集団にスズカマンボとホオキパウェーブ、一番人気ハーツクライは後ろから四人目!』
ダービーを走ったウマ娘達は、あの最後の直線を覚えている。
あの極限まで自分から意識を逸らさせ、大外から一気に詰めたあの走り。
無論コースも違えば、直線の距離も違うこの菊花賞で同じ事をやるかは解らないが、あの時と同じく追込みの姿勢。
警戒を怠る事などできない。
『先頭はコスモバルク、コスモバルク先頭でコーナーに入りました、二番手二人、コスモステージとモエレエルコンドル、三バ身ほど空いてブルートルネード四番手!』
『縦長の展開です、五番手油断できないデルタブルース、六番手にブラックコンドル、さらに開いて中団ストラタジェムとトゥルーリーズンが追走!』
『外目にケイアイガードとハイアーゲームこれも中団、後ろ内からエーピースピリット、その外にオペラシチー中団後ろに上がりました』
『後方集団にはグレイトジャーニー、スズカマンボ、ハーツクライにホオキパウェーブ、最後方にはシルクディレクターとカンパニーが控えています』
『向こう正面から二周目先頭コスモバルクが坂を登り始めました!』
ハーツクライは落ち着いていた。
警戒されているのは解っている。
今も前から後ろから、意識をされているだろう。
ならば大外を周るあの戦法が使えない――わけがない。
『コスモバルク先頭坂の頂上、残り800を切りましtおぉっと!?大外、大外から一人、一人上がってくる!』
『ハーツクライ、ハーツクライまたも大外から登ってくるスタミナは持つのか!?コスモバルク600mまだ先頭!』
『ハイアーゲームも仕掛ける第四コーナー周ってデルタブルースとコスモバルクどちらが先頭か!』
デルタブルースは見てきた。
皐月賞を、日本ダービーを彼女は見て、自分はああは走れないと自覚した。
故に、彼女は長距離ただ一本に狙いを定める。
長く、長く、もっと長く。
ステイヤーこそが己の輝く道と信じて、絶対に勝つと、他の距離を切り捨てても良いとばかりにこのレースに臨んでいた。
だが、しかし。
勝ちたいのは、彼女だけではない。
「――おおぉおああぁぁ!」
『大外、大外から響く雄叫びハーツクライ!上がる上がるぐんぐん伸びる!』
『デルタブルース先頭内からホオキパウェーブも上がってくるがデルタブルース抜かせないしかし外ぉ!』
『外から吼えろハーツクライ誰も邪魔できない先頭に立って独走状態これは決まるか決まったぁー!!』
コーナー手前、大外から一気に上がり勝負を決めたのは、ハーツクライ。
『【大王】が居なくても己こそが最強だと!ハーツクライ吼えました!勝ち時計は3分2秒8!奇しくも!奇しくも同じチームの先輩!あの三冠ウマ娘、オルフェーヴルと同じタイム!』
『レコードタイ記録でハーツクライ、菊の舞台を勝ちましたぁー!』
見ててくれただろう、聞こえていただろう、と、ハーツクライはちらりと見えた観客席の【大王】を見やる。
彼女がこっちを見ているのを、手を振りながら確認して。
『次はあなたの番よ』と、声を出さずに呟いた。
次の作者はもっと上手くやるでしょう(棒読み)