チート持ってウマ娘なるものに転生した、芝生える   作:白河仁

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レース開催日と他国との時差を調べてスケジュール組んで『これイケる…?イケそう!?ファ!?』とかやってるSSはウチだけなんじゃねぇかなぁと書きながら思いました。
文章にしてみると解るチートオリ主の強行軍シフトよ…


第二十八話 互いを理解し、深く知るからこそ

 さて弥生賞を終えたチームレグルスだが、あきに息を吐く暇など無い。

一週間後(3月13日)にはヴァーミリアンのサンタアニタオークス(G2)、ラインクラフトのフィリーズレビュー(G2)が控えている。

この時には四月にフロリダダービー(G1)を控えるカネヒキリも一緒に渡米する。

 

 まず日本で行われたフィリーズレビューはデアリングハートとエアメサイアが粘るも、ラインクラフトが最初から最後まで先頭のまま3バ身の差をつけてゴール。

シーザリオと合わせ強いレースを見せつけ、桜花賞では同じチームのこの二人が大本命と報じられる。

 

 そしてフィリーズレビューが終わった直後にすぐ渡米。時差の関係でヴァーミリアンのサンタアニタオークスに滑り込みセーフ。

肝心のサンタアニタオークスであるが、やはりこの時点ではヴァーミリアンに詰め寄るようなウマ娘が居らず、5バ身の差をつけて快勝。

これでヴァーミリアンはアメリカトリプルティアラ前哨戦、ケンタッキーオークスへと歩を進める事となる。

 

 この辺りから『あれ…?レグルスのトレーナーなんでいつも会場にいんの…?』とネットで話題になり始める。

ディープインパクトの過酷なローテーションよりもさらに過酷なローテをしてるとか、まだこの時点では誰も考えが及ばなかった。

 

 さて四月に入り、早々(4/2)にカネヒキリのフロリダダービーである。

 

 

――――――――――――――――

 

 

『直線入って此処でカネヒキリが上がってきたぁ!?先頭ハイフライが粘るもこれは千切れたぁっ!(英語)』

『直線で全員切り捨ててゴールイン!これはとんでもないウマ娘がやってきたぞ!ダート本場のアメリカに!日本からのサムライがやってきたぁ!(英語)』

 

日本ウマ娘の海外G1挑戦ということで大きく取り上げられたが、なんとカネヒキリは悠々と六バ身差をつけて圧勝。

トリプルティアラ路線で強さを見せつけているヴァーミリアン共々、『今年の日本から来たウマ娘がヤバイ』と、全米を震撼させた。

 

 勿論そこはダート大国アメリカ、ダートが主流でない日本から来たポッと出のウマ娘に負けてられるかと、一週間後(4/9)のG1サンタアニタダービーにて借りを返すと大いに燃えていた。

なんせ東部(フロリダ)から西部(カリフォルニア)への長距離移動もある。しかも間は一週間。

こっちのスケールに慣れてない日本のウマ娘にとって、たった一週間でそんな距離を移動して完璧な調整ができる筈が無いだろうと。

 

『最後の直線カネヒキリが上がる抜群の末脚ぃ!なんてこったあり得るのか全員抜き去ったぁ!?(英語)』

『もう認めるしかない!こいつは強い!クラシック一冠目ケンタッキーダービーに向けて最高のスタートダッシュを決めたぁっ!(英語)』

 

 だがそんなものは欠片も問題にはならないとあきが完璧なコンディションに仕上げ、此処でも六バ身差の圧勝。

ダート後進国の筈であった日本のウマ娘が、アメリカクラシックの大本命に名乗りを上げた。

なおあきはカネヒキリの脚を『視』て問題無い事を確認してライブを思う存分応援したら日本に直行である。

既に日付が変わった深夜の日本。

その日に行われる桜花賞に駆けつける為、あきはまた機上の人となった。

 

 

――――――――――――――――

 

 

『いよいよ始まるトリプルティアラクラシック一冠目、桜花賞。

 否応なく注目が集まるのは互いに無敗、同チームでの対決となるシーザリオ、ラインクラフトの二人だろう。

 彼女達の所属するチームレグルスは圧倒的速さでレコードを量産する新星ディープインパクトを筆頭に、本場アメリカダートに挑戦し見事結果を示したカネヒキリ、ヴァーミリアンとスターが揃う。

 今までは手堅い勝ち方を示してきた二人だが、初対決となるこのレースで果たしてどんな走りを見せてくれるのか。

 また、彼女達以外にもエアメサイア、テイタニヤ、ダンスパートナー、テイエムオーシャンと決して侮れないウマ娘も数多い。

 桜咲き誇るこの春に、ティアラを戴くプリンセスは一体誰になるか、注目の一戦である』

 

  ――新聞スポーツティアラ 桜花賞特別号一面見出しより――

 

 

――――――――――――――――

 

 

 阪神レース場、会場は熱気に包まれていた。

今を時めく新星チーム、レグルス所属のウマ娘、ラインクラフトとシーザリオの初の対決が、この桜花賞で行われるのだ。

二人のレース予定ではオークス、秋華賞も出走を予定しており、同じチームだというのに、路線が被ってもデビューをずらしたりなどせず、バチバチにやり合うのがこのチームの特色であると認識されている。

実際、今はアメリカにいるカネヒキリやヴァーミリアンも日本に戻ってきたら一緒のG1に出す事、ラインクラフトはマイルでディープインパクトと対決する予定である事など、ウマ娘の希望であれば、例え同じチームで対決する事になっても出走させると表明している。

圧倒的強さを見せるディープインパクトに、アメリカダートで無類の強さを見せたヴァーミリアンとカネヒキリ。

チームメイトの見せた活躍に、二人への期待も否応なしに高まっていた。

 

『やはり注目はシーザリオとラインクラフトの二人のウマ娘、二人とも此処まで無敗で歩を進めております』

『活躍を見せるチームメイト達に、負けない程の輝きを見せられるのか、しかし他の出走ウマ娘達も一筋縄ではいきません』

『雪辱を狙うエアメサイア、デアリングハートを始め、桜の冠を狙うウマ娘が続々と集いました』

 

 長距離移動も時差もなんのその、今日も今日とて会場に駆け付けたあきは、これまた完全装備で観客席で応援をしていた。

今日は教え子二人が出る為、ハーフ&ハーフ仕様(自作)だ。

ネットの掲示板では『またレグルスのトレーナーいるwww』『新規応援グッズ…だと…!?』『なんで前日にアメリカのレース場に居たのに今日は日本に来てんの???』とある意味お祭り騒ぎだった。

ちなみに勝手に写真を撮るのはNGの為、文章でのみ服装などは説明されている。

 

「ししょー、あいかわらず無茶するのー」

「通信トレーニングは言わずもがなだが、あのスケジュールで応援できる元気が残っているのはな…」

 

 度々ウマ娘どころか人類の限界を楽々突破してくる幼馴染に苦笑いがもれる二人である。

 

「…リオ。きょーは私、負けないから」

「ふん…得意距離だと胡坐をかいていればいい。私が勝つ」

「リオ相手に?じょーだんいいっこないのー」

 

 ふつふつと闘志が湧き出る。

一番近く、一番長く、一番走った間同士。

クセも、技も、強さも、速さも、得意も、苦手も、何から何まで互いに把握している。

だからこそ負けられない。

だからこそ負けたくない。

互いが互いに一番そう思っているのだと、二人は手に取るように解っていた。

 

『さぁ各ウマ娘ゲートインを開始します、前走の借りを返せるかエアメサイア、三番人気です』

『同チームでの初めての対決、大外枠は果たして不利なのか、二番人気はラインクラフト』

『互いに無敗、果たして勝利の女神はどちらに微笑むのか、一番人気シーザリオ』

 

 阪神レース場、芝1600m、桜の栄冠は誰の手に。

 

1枠1番アドマイヤメガミ、12番人気。

1枠2番ペニーホイッスル、11番人気。

2枠3番エリモファイナル、14番人気。

2枠4番テイタニヤ、5番人気。

3枠5番ジョウノビクトリア、15番人気。

3枠6番ダンツクインビー、16番人気。

4枠7番シーザリオ、1番人気。

4枠8番エイシンテンダー、8番人気。

5枠9番デアリングハート、13番人気。

5枠10番テイエムオーシャン、6番人気。

6枠11番ライラプス、9番人気。

6枠12番カシマフラワー、18番人気。

7枠13番ダンスパートナー、4番人気。

7枠14番アンブロワーズ、7番人気。

7枠15番エアメサイア、3番人気。

8枠16番モンローブロンド、17番人気。

8枠17番ラインクラフト、2番人気。

8枠18番ショウナンパントル、10番人気。

 

桜の女王はただ一人。決めるべく走るは以上、18人のウマ娘。

クラシックトリプルティアラ一冠目、桜花賞。

出走準備完了。




さらっと別の世代の筈のお馬さんの名前があるのは仕様です(棒読み)

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