"
第一印象は高身長、それとしかめっ面。
私も女性にしてはちょっと…それなりに…いやかなり背が高い方だったから、あの時の事はよく覚えてます。
ほっとしたんですよね、自分ぐらい背の高い男の人がいるって。
それからチラチラ気にはしてました。でも最初は話すことはあまりなかったんですけれどね。
身長以外は黒髪で普通な髪型という感じでしたし、個性社会にしては至ってまともだとも思いましたね。
しばらくすれば流石に同じクラスであれば色々わかってきましたよ。
真面目な優等生ですけれど、ノリも悪くなかったり、意外にも口調が荒かったり。
それと高身長のせいか周りの人と視線を合わせていたためかちょっと猫背っぽかったりですかね。
あぁ、彼の個性も気になってましたよ?
やっぱりみんな互いの個性を知りたいじゃないですか、グラウンドの端っこでこっそり見せ合ったりとか。
彼もクラスメイトに乞われれば断る様な人ではなかったですからね、放課後にそれを見せていたのを知ってます。
"私"はまぁ…見せることはなかったですね。知っての通り、これは危険な個性です。当時、
ともかく彼の個性です。
最初聞いたのは「人差し指から空気の弾を出す」というものでした。ほら、よく子供はやるじゃないですか。手を銃の形に模してバンバンっって。まさにああいうのを形にした個性でしたね。
空き缶を倒すぐらいの威力しかない、それでも「こんなんでも何が起こるかわからん」と言ってあんまり見せびらかすわけでもなかったのを覚えてますよ。
…えぇ、その頃にはそれなりに話すようになってました。高身長繋がりでちょっとしたきっかけがあったんです。
ほら、高いところに手が届くじゃないですか。そんなものだから文化祭とか学校行事なんかでは二人でよく高所の作業なんてものやらされてたんです。それからですね。
話してみて分かったんですけど、彼、あまり他人に干渉しないと言うか、踏み込んでこないタイプの人だったんですよ。
子供の頃って話す時の話題作りって"個性"が欠かせないじゃないですか。特にあまり知らない相手だとそこから入りがちでしょう?ヒーローは誰が好きかとか。
だけどそういう話をしてこないんです。映画の話だったり、音楽の話だったり、趣味の話はしてましたけど、やっぱり個性の話はしないですし、どこかそっけなかったですね。
だからある時逆にしびれを切らして聞いてみたんですよ。
「"個性"の話はしないの?」って。
そしたら彼、「あー?あぁ、その話がしてぇのかよ」って言うんです。
"私"が自分の個性を嫌ってると知ってて気遣っているんだ、って一瞬思いましたよ。
でもなんか、まるで言われて思い出したかのように言うもんですから、ちょっと突っ込んで聞いていみたんですよ。
彼、正直に言いましたよ。「忘れてた」って。
"個性"の話題を忘れるなんて相当ですよ?今ならわかりますけど、当時は不思議で仕方が無かったです。
別にだからどうと言うわけではなかったのですが、それからもぼちぼち交流がありました。
そんな時にある事件が起きたんです。
ヴィランに
…
それでもって、そのヴィランは身代金を要求するような類ではなかったんです。
"自閉スペクトラム症"。
知ってますか?それは"ASD"と呼ばれ、自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群などがそれに当てはまります。
子どもの頃から症状が現れるものですが、大人になってから診断を受けるというケースもあるもので、そのヴィランはそれにあたるようでした。
特徴を簡単に言えば"相手の立場に立って考えることが苦手"ということですが、それが
そして他の特徴として"強いこだわり"などもあります。
"強いこだわり"…そのヴィランは「あなたを理解したい」と言っていました。
先程ASDの症状は「相手の立場に立って考えることが苦手」と言いましたが、ヴィランはそれ故か理解しようとしたんでしょう、他人を。大人になってから発症したせいか、今まで理解できていたからこそ、それが分らなくなってしまって恐怖したのかも知れません。
なんの運命のいたずらか、皮肉にもかのヴィランが持つ個性がそれを過剰な行動へと誘ってしまう個性だったんです。
"髪の毛を食べることで、相手の肉体の情報を知ることができる"という個性だったんです…子供の頃に自慢できる個性ではないですよね…
ともかくそのヴィランはただ他人を理解したかった。自分の行いがどういったものを理解できていないままに。
ただ髪の毛を食べられただけだったら良かったんですよ。さっぱりしたねで済みますから。
もう一度言いますがそのヴィランは"相手の立場に立って考えることが苦手"で"強いこだわり"があり、理解したいがために個性を使用していました。
にも関わらず他人を理解できない。個性によって相手を知ることが出来るはずなのに、何故?と。
強すぎるこだわりは時に大きな勘違いを生みます。
そのヴィランにとって自分が理解できない理由はASDが原因だからではなく、別のことが原因だと思ったそうです。
そのヴィランは"食人"に手を出そうとしたのですよ。突拍子もないですか?でも結果としてそう結論付けてしまった。
どこも食べられてないですよ?その前に"彼"が
私が捕まっている場所は近くの工場の廃墟の一室だったんですが、どうやら彼、ここらへんで個性をこっそり使うために来てたらしく、本当に偶然、違和感を覚えて調べに来たみたいです。いつか個性のことを忘れてたとか言ってたくせにですよ?
…問題は、彼は私を探しに来たわけではなかったこと。そして、彼の存在に先に気が付いたのはヴィランであったこと。
彼の足音に気が付いたヴィランは狂気的な言葉を並べる割に素早く冷静でした。即座に警戒し、扉の横に身を隠したのです。他人に与える苦痛は理解せずとも自分がしていることに関しては多少は分かっていたのでしょうか。或いは、
対して彼は"私"がいるだなんて思ってもいません。だから扉を慎重に開けていようとも驚きで一瞬、呆然としていました。地面に固定された椅子にぐるぐる巻きにされた"私"がいたわけですから。その隙で十分だったんです、ヴィランにとっては。
つまり後者だったんですね。捕まえるために動いてたんです。
結局彼も捕まってしまって、同じように隣に並べられました。スタンガンを首に、こう。
彼の目覚めの一言が確か「おい、俺やっちまったか?」だったと思います。ちょっと落ち着きすぎですよね。
―――そこからはあまり思い出したくないことです。
私は一切の被害はありませんでした。
その代わりに彼は指を…
そうです。彼がヴィランの矛先を
そしてヴィランは彼の指先を切り落とし…食べたんです。
一本、一本…両手の指先全部…
"私"は…何もできなかったです、何もできなかったんですよ。ただ恐怖で震えていただけなんです。
彼は…彼は呻き声をあげるだけで、叫び声一つ出しませんでした。
額に大量の脂汗をかきながらも、歯を食いしばりながらも…
抵抗はしてました。でも彼の個性は指先から空気の弾を撃ち出すだけ。鬱陶しくなる程度で行動を阻害できるような威力ではなかった。
気丈にも「大丈夫だ」って"私"に言うんです。大丈夫なわけないじゃないですか。でも彼と違って"私"は両手を背中側で縛られてたせいで個性を使うことも出来なかったし、何より冷静になれてなかった。
きっと"私"がうまくやればもっと早く打開できていたかもしれないと、今でも思うことがあります。今更、栓無い話ですが。
そして"それ"が起きました。
物心ついた時から違和感があった。
学芸会か何かの出し物の劇で、一人だけ私服で演技をしているようなそんな違和感。ただし、俺の状況を誰も指摘する人はいないせいでもしかしたら「これは間違ってないかもしれない」と思っちまうようなふわっとした不安もセットされた。
場違いな感じだったんだよ。
皆目見当つかなかった。最初のうちはな?でも小学校に入って周りの奴らと一緒にあいうえお~なんて書いてる時なんか顕著だったな。
その時の顔、それはもうしかめっ面だったらしぜ、先生が言うには。
心配されて親に「お子さんは何か悩みを…」なんてことを聞かされたっておふくろから聞いた時はどうしたもんかと悩んだね。
そう、
普通なら素直に言うか、隠すにしてはもっとわかりやすく隠すか、とりあえず6歳児らしい行動ってもんがあるだろうさ。なんの変哲もない、一般的な家庭でありきたりに育ってたんだぜ?
だけど俺はしなかった。顔面に何でもないような表情貼り付けて一瞬悩んだ後、「ペンが持ち辛かった」なんて言葉を選ぶんだ。まだ言うには自分の中で整理しきれていないから、今後の自身との向き合い方を決めていつ頃言うかなんて思考していたのさ。末恐ろしいね。
肝心の授業の方は退屈過ぎてペン回しでもしそうになっちまったぐらいだが、表情は取り繕っていた。ペン回しなんてやっとこともなかったってのに。
そういう子供もいるだろうって?
いるだろうさ、でも俺はこの自身の行動に対して何かが噛み合ってないような気色悪さを感じていたのが一番の"違和感"だった。
だから今も眉間に皺を寄せる癖が治らねぇ。目つきが悪く見えんのはそのせいだろうさ。
ともかく違和感だらけだった。
初めて知った知識は恐ろしくすとんと頭ン中に入って来たし、逆上がりの恐怖なんて微塵もなくてくるっとこなして見せた。
テストの点数を見て褒めちぎる先生やおふくろの前で「そんなことは当然だろう」と妙に気恥ずかしかった。
何より"個性"だ。これが一番違和感がでかかった。
異形なクラスメイト。超能力のような超常現象を生み出す"個性"。
それは当たり前なはずなのに、夢の中の出来事かのように現実感が湧かない。自身の個性すら、どこか意識の遠くにあるように感じていた。
そして一年経った時のことだ。
まぁつまり気が付いた。
俺、多分前世の記憶がある、と。
そう認識してから、その悩ましい"違和感"ととやらは、急に、何写ってるか分からん画質の悪い白黒テレビから昨今の4Kに乗り換えたかのように色づいた"記憶"となった。
この記憶とやらは俺の個性は関係ない。個性は人差し指から空気弾を出すって診断されてたからだ。
どう拡大解釈したって"前世の記憶を引き継ぐ"なんて無理だろう、多分な?
記憶があること自体はいい。こんなあまりに特異な社会だ、外的要因で起こる可能性だってあるかもしれねぇじゃねぇか。
そう、そして
俺の前世は、"個性"なんてものなかった。ハッキリ思い出してからは断言できるぜ。
地理は合ってはいるものの、その辿る歴史は違う。個性なんてものが生まれてからは特に。
実際の所、他人の個性のせいとかでそれは凄まじい妄想を繰り広げたか、記憶を改
だが鮮明過ぎる記憶がそれを許さない。
例えこれが他人に何らかの意図を持って作られた記憶だったとしても、俺はもはやこれが俺の体験した記憶なのだと叫ぶだろう。そもそも俺の頭をかき回す理由がねぇ。意味がなく
兎にも角にも今はどうしようもねぇと思った。
違和感の正体がわかっただけ儲けもんだと納得した。無理やりだけどよ。
だがそれに関して納得は出来てもまた小学生からやり直しなのは不服だ。記憶があるだけで体験するのは初めてなんだが、まぁ初めてと思うのは無理がある。
正直、目立つのが嫌いだから(これは前世からの性格だが)変な立ち回りはしたくなかった。
詳しく言いやしねぇが、「多少落ち着いた子供」程度でどうにかなったとだけ言っとくぜ。
中学校に入るころには演技も堂に入っていた。何より、思考が大人寄りになっても大丈夫な年齢になったのはでかい。割と素に近い振る舞いでいれたからな。
それに結構中学ぐらいの勉強じゃぁ覚えてないことも多かったしな。案外それぐらいの年の悪乗りも悪くない。何も考えずにやることが大切だぜ。
何やったって?
バンバン言いながら人差し指向けるだけで面白がるからそんぐらいだ。
自分のこめかみに向けて撃った振りすればあいつら地面に倒れて苦しみだす振りしてたよ。
「見たかゼロ!我々の勝利!」までが一セットだ。分からない?メタルギアで調べろ。
ヒーローの真似事はしなかった。
俺にはあれに憧れを感じることは出来ねぇ。どうにも前世の記憶をひっぱっちまってるらしい。
まるで大道芸だ。必要なのはわかる、わかるさ。
だけどどうしても世間一般の犯罪に対する扱いを、俺はとても気分良く見れることはできなかった。
そんな時出会ったのがあいつだ。
俺と同じくらい背のでかい女。
でかいやついんなー、としか最初は思わなかった。なんせ個性社会だ。多少背が高いぐらいは人間的
何かと行事があるたび背が高いから便利だなんて理由でセットで労働させられたもんだ。だから色々と話す機会はあった。
なんてことない、他愛のない話をした。ちょっと古めの映画の話だったり、マイナーなバンドの話だったり。
珍しくそいつは個性の話をしないやつだった。俺は個性がある世界が未だに慣れないもんだから話してて気楽で良くて、ほどほどに絡んでた気がする。
―――ある時急にあいつは聞いてきた。"個性"の話はしないのかって。
え、今更?って思ったのがまず最初。次に思ったのは「まぁそりゃ気になるか」の納得。
あいつは噂でだが自分の個性を嫌ってるって聞いてた。こっちが振らなければヒーローの話すらしねぇ。だから今後も聞かれることもないと思っていたが、まぁ気になるよなぁ。
だからそういう話が本当にしたいのか?って聞いたんだが、やっぱりしたくはないらしい。
取ってつけたような気遣いの言葉に珍しく突っ込まれたから「忘れてた」なんてはぐらかしたが、別にそう言うわけじゃない。ただしなくていいならそれでいいやと思ってただけだ。
個性の興味のない変人扱いされたが…あながち間違ってないから言い返せもしねぇ。
気色悪さ、それと軽い恐怖があったのを興味がない振りでごまかしていたのは否定できない。
改めて言われて思ったさ。そろそろちゃんと自分と向き合うべきだってよ。
年は食ってんだ。現実逃避もいい加減にするべきだよなって思ったのさ。何より俺自身の個性だ。
将来ヒーロー関係に行かなきゃぁ使う機会もないだろうからとは思ったが、目指す者はヒーローではないものの
そう覚悟してからは早かったさ。
さっそく適当な廃墟が近場にあったからお邪魔してぶっ放してみた。
個性を使えば、人差し指の先からポフッて小さな音がして遠くの空き缶が倒れて転がる。
前々から思ってんだが、こいつは空気弾なんてもんじゃねぇ。
根拠何て無い。ただどうにも違う気がする。強いて言うなら"弾"の着弾の様子から…としか言えねぇが…
経験上、これは銃弾のように
じゃぁ空気じゃなければ見えない理由は?何を飛ばしてるんだ?と言われるとこれも困る。
しかし世の中にゃぁビームやらなんやら出すびっくり人間は腐るほどいるんだ、理屈で考えていいのかも疑問しか出ない。
しばらく撃ち続けてみたが、それだけ撃っても疲労は来ない。だが自分から何かを射出している以上必ずそれに対する消耗があるはずなのだ。文字通りくたびれるまで撃ってみてもいいが、正直怖くてできねぇところはまだある。こればかりは使う機会がないことを祈るしかない。どうせ威力はお察しだ、役に立つタイミングなんてそうないだろうよ。
その後も小さな実験が続いていた。
"あいつ"にそのことを話しても良かったが…まだそこらへんどう思ってるのかはよくわからんからやめた。
いつかは言うつもりだったが、気の利かない言葉で傷付けたくないって思うようになってからよ。
―――そんな、なんてことない日常を過ごしていた時にそれは起こった。
最近、途中まで一緒に帰るようになったあいつと別れた後、いつも通り個性の実験をしようと廃墟に訪れた。
まず違和感を感じた。なんていうんだろうな、人の気配を感じたんだ。
よくまわりを調べれば見覚えのない車が止まってるじゃねぇか。中に誰かがいるっていう確信は高まった。
問題は何を目的に?って話だ。
俺みたいなガキが面白半分で来てるならまぁいい。だが車を持ってるような大人が来る理由は?廃墟マニアの可能性があるか?どちらにせよ関わらないのが一番だと思ったさ。
…と思いつつも、出来心で車の中を覗き見ちまった。気になったからな。
そしたらよくある学生カバンがシート下に中身をぶちまけたまま無造作に落ちてた。
本当によくあるやつさ、誰のかもわからんやつだ。
だけど嫌な想像するのには十分だろう?ただでさえこの個性社会では悪役かぶれが多すぎる。万が一ってのを考えちまう。
警察は呼ばなかった。思えば呼ぶべきだった。だが何の確証もないまま呼んで本当に取り合ってくれるか?恐らく話は聞いてくれただろう。こんな社会だからな。
だけど前世の記憶が足を引っ張った。「どうせ話を聞いてくれないさ」ってな。
言ってしまえば危機管理が甘かったんだ。やはり前世を引きずっている。
この世界は"個性"が当たり前のぶっ飛んだ世界。目を逸らしていたせいでこれを心の底から分かっていなかった。ぶっ飛んだ世界ってのは人の理性のタガも緩みやすいってことを。
―――俺は夕方の、まだ空が明るい時間に廃墟に足を進めた。
その廃墟はそれなりに広い工場で、いつも裏の方の空地で個性の実験をしていたんだ。中には入ったことはねぇ。
長い廊下の隅っこに何かと暗がりが多かったのを、西日がなんとか照らしてくれたおかげでまだ歩きやすかったのを覚えてる。
しばらくはなにも聞こえなかったが、奥に行くに従って何やら声が聞こえる。男の声だ、それも何を言っているかもわからない本当に僅かだが。
近づくにつれて、声は聞き取りやすくなっていた。
世間話をするような口調だ…急に力が抜けた気がする。
途端に廃墟マニアの親子が遊びに来た可能性が頭を過ぎる。が、それは俺の「そうであったらいい」でしかない。
緩んだ気を引き締めながらもう少し様子を見る。
声が途絶える。
代わりに別の音。なんだ?女の啜り泣き?
さっきの平和的妄想から急に最悪の予想に切り替わったのを感じたよ。
廊下も日が落ちてきていつの間にか暗がりが多くなってさ、それが余計に良くない想像を
んでもって、さっさと警察に連絡すればよかったのに俺は刹那的な正義感か何か知らないが、進むことを選んじまった。「間に合うかもしれない」って思ったのさ。馬鹿だよな。
辿り着いた部屋の前、思ってるより落ち着き払った心臓の鼓動を感じながらドアノブに手を掛けた。鍵はかかっていない。
ドアを慎重に開けた先に待っていたのは―――全く予想もしていなかった人物だった。
「―――あ?」
「か、勘十…っ」
そう、こんな短いやり取りがあった。
そしてバチッという音ともに俺の意識は白く弾けて消えちまった。
―――あ~、頭がくらくらする。首も痛い。
何された?
焦点が定まらないまま現状を確認する。
縛られてる。結構きつくやりやがったな。抜け出せそうにない。
―――そうだあいつがいたんだ…!
畜生がっ…!なんて運のねぇやつだ!でもって、捕まった俺は間抜けすぎて吐きそうだ。
辺りを見回す。薄暗い部屋。段々視界がぼやけなくなってきた。
そうして見えてきたのは50代くらいのどこにでもいそうなおっさん。こいつか?こんなこと仕出かしたのは。
「勘十…」
隣にいた。ちらっと見るが髪の毛がロングから多少短くなってるだけで何かされた感じはしねぇ。泣いた跡はあるようだが、恐らく大丈夫だ。
つーかおいおいこのおっさん散髪屋かよ。違和感なく丁寧に切られてるんじゃないか?
そう思っておっさんの方をよく見ると、なんかを食ってやがる。
髪の毛だな………………
髪の毛かよ………………
「おい、俺やっちまったか?」
絶対にヤバいやつだ、言うまでもねぇ。
タガの外れた絶対捕まっちゃまずいタイプな気がする。
しくった。さっさと警察に連絡するべきだった。
まだ、ややぼうっとする頭でどうすべきかを考えていれば、俺が起きたことに気が付いたおっさんが近づいてくる。
「その制服中学生だよね?背が高いよねぇ。あぁ言わなくていいよ彼女よりも高い180㎝もあるんだね。それにまだ成長期だから伸びそうだ。きっと190㎝は硬いよ」
何だこのおっさん。
「何だこのおっさん」
「勘十っ…君ね…」
仲良く縛られたお仲間が「刺激するんじゃない!」というように慌てるが、俺からすれば明らかに話が通用しないおっさんにしか見えない。
だが
「勘十って言うのかい?それなりに引き締まっている身体してるね。食事も健康的でバランスがいいみたいだし、この調子なら将来病気何て中々ならないんじゃないかな?」
「まじで何だこのおっさん」
…スポーツマンのマネージャーか何かか?
待てよ、さっき髪の毛食ってたよな?…個性か?聞いたら答えそうだなこいつ。
「…おっさんは髪の毛食えば何かわかる個性なのか?」
「お、ご名答。そうなんだ、私は相手の髪の毛を食べれば肉体情報がわかる個性なんだ。ほら、これ君の髪の毛」
俺の髪の毛かよ!そういえば短く切られてるな…俺が気絶してる間に全部食ったのか?…気色わりぃ。
だが、やはり聞けば答えが素直に返ってくる。時間稼ぎながら打開策を見つけるしかねぇ。
「髪の毛って不味くないのか?それに消化にいいとも思えねぇ。健康に悪いぜ」
―――椅子は床に固定されてやがる…全力で揺すれば俺ならどうにか出来そうだが…このおっさんがいる時には意味はねぇな。見逃してくれるはずもない。
「そうなんだよね、やっぱりいつまでも慣れるもんではなくね。でも君たちを"理解"するためには必要なことだから、これくらい我慢しないと」
両腕は何故か俺の方だけ前で縛られてる。椅子の両側にある広い肘掛けに張り付けるようにだ。なんとなく電気椅子を思い出す。だがこれならば個性は使える…が、俺の威力で打開するのは厳しいな。おっさんの手元を狙うぐらいはできるか?不意をうっても呆れそうな衝撃しか与えられないぜ畜生。
「俺たちを"理解"したいのか?肉体情報だけで満足しないってなら質問ならいくらでも答えるぜ?」
足も割としっかり縛ってやがる。
「ありがとう。髪の毛を食べただけだとその程度がせいぜいみたいだからね。個性もわかったけどそれまでさ。でもいいんだ、きっともっと"理解"できる方法を思いついたから」
…個性もか。そらそうだ。
あいつのほうはどうだ?あいつの個性を俺は知らねぇ。知られているとは言え、打開するならばそれでも―――
「君の指を食べるね」
「は?」
一瞬、思考の空白があった。言葉の理解を拒んだからだ。
だが思考停止を許さない過去の記憶が俺を正常な状態に蹴り戻す。
―――よりによって食人かよ!
ある程度似た予想はあったがさすがに予想外だ。
「考えたんだ。何故"理解"し合えないのか。私の個性は相手を理解するのに最適のもののはずなんだ。今までこんなことに悩むことなんてなかった。だけれどふとある時から
イカれてやがる。
まるで世間話のように、持ってる菓子を要求するかのように話してやがって…!
見ればもうワイヤーカッターみてぇな物騒なもんを持ってやがる。どうやらお話は終わりらしい。目の前に餌を転がされて待てるようなお利口なおっさんではなかったわけだ。
「でもそうだね、君の前に彼女を待たせてはいけないね。ずっと退屈だったろうし…だけど彼女の手は危ないみたいだからなぁ―――足の指から貰おうか。きっとそこでもいい気がするんだよ」
隣で息を呑む音が聞こえる。
おっさんはその矛先をあいつに変えやがった。
―――その時、俺が感じた感情の中に、先延ばしにされた安堵なんてものはなかった。
その感情を理解する間もなかったんだ。
ただ衝動的に、俺は口を開いていた。
「俺はおっさんを"理解"できないぜ」
ぴたり、動きを止め、キョトンとした顔で俺の方を見つめる。
そうだ、それでいい。恐らくこのおっさんには挑発より
「だけど
―――恐らく、髪の毛以外を食べても個性は発揮されないはずだ。
ただのおっさんの妄想。
手っ取り早いのは、
最悪なのは指でダメなら"他"を食おうとした時。
覚悟何て出来てなかった。咄嗟だったんだ。
だけど
指の
絶対にあいつに手を出させない。
叫んでもやらねぇ。
もしかしたら、俺の苦しみを万一にも理解して、矛先を変えやがったら意味がない。
だがそれより、何より、気に入らねぇんだ。
個性を使って碌でもねぇことしてヘラヘラしてる野郎が。
吐き気がするぜ。生まれる前の記憶でも見てきたぜ、何も悪いと思っちゃいねぇんだ。
哀れさ、だが気に入らねぇ。
隣で荒い息遣いが聞こえる。声に出そうとして、全く先が続かないような呻き声も。
可哀そうになぁ、声も出ない程に怯えてるんだろう。だからこそ俺の悲鳴なんていらねぇんだ。
大した事ねぇと見栄張りてぇんだよ。
「指十本食われても叫ばねぇ」
自然と、口に出していた。誰に聞こえるでもない小さな呟きだ。口に出したことに、明確な意味があったわけじゃない。けれどそれは誓いと覚悟を伴い、心の奥に染み入るように刻まれた気がした。
「じゃぁまず親指からね」
パチンッ
―――「大丈夫だ」って、言い聞かせるように繰り返すだけしか出来なかった。
ご丁寧に、指先だけを一本一本丁寧に、親指から始まって小指まで順番に。
このおっさん、指を全部だと不便だからとぬかして指先だけにしやがった。
歯を食いしばり、食いしばって食いしばった。割れたかもしれねぇ。血の味がする。
汗で濡れてない場所なんぞどこにもない程湿っていて不快だ。
嘘だ。不快さなんて感じない。それどころじゃねぇ。だけど絶対、叫んでなんてやらねぇ。
目も逸らしてやらねぇ。笑ってやる。あぁ畜生このおっさん、笑い返しやがって。
隣は見れない。顔を見れば、なんか崩れちまいそうだ。
「ダメだね…あと左手の小指しか残ってないのに、おかしいな。
一生理解できてたまるか。
「じゃぁ
畜生が、最悪だ。
こいつ、
イヤでも理解した。
爪を斬るかのような気軽さで切り落とすそのイカれ具合。駄目だ。こいつをこのままにするのはダメだ。
これじゃぁ助けられない。
緩慢な思考を回す間もなく、残った無傷の小指にカッターがあてがわれた。あぁ畜生が。
「はい最後ね」
圧し切られるその直前。感じた。
この最後の小指を失くした時、何かが変わると。錆びついて開かなかった蛇口が開くような、或いはスイッチが切り替わるかのような。
そんな予感がした。
パチンッ
その直後、おっさんは空中を
一体何回転したんだと感心してしまう程の大回転だった。10点。
「―――あ˝??」
「―――ぅえ??」
部屋の壁に強かに身体をぶつけて
さっきまで指を切り落とされてたとは思えない雰囲気だ。
「…何が起きた?」
そう、何が起きた?
感覚はあった。何かが変わると言う。
だけどそれはあまりにも大雑把な感覚で、どうなるかなんざ考えもしなかった、というか考える余裕はなかった。
いつの間にか両手の痛みはマシになっていた。多分あれだ、アドレナリンが出まくってる状態だ。
ノルアドレナリンやアドレナリンは脳の視床下部とかいう所が所謂「戦闘モード」に入ると分泌されるって聞いたな。臓器や血液中にこれらの物質が放たれるんだ。
自身の極限状態が上手く作用してくれたのだろう。
痛みはマシになっていても、それでもこの両手の悲惨さは―――
「あ?」
違和感。
両手に違和感を感じた、指先が無いからじゃない。
確かに指先に熱を感じたが違うんだ。
何て言うのだろうか。
生ぬるい粘液のような、見えないぶよぶよが皮一枚隔ててあるようなイメージで―――
「
「…勘十…?ゆ、指、指は…その…」
俺は今何て思った?
あれ?そう言えばこの指先のない両手どっかで見たような…
やや痛むが指の関節を固定された肘掛へと曲げ、個性を使った。
文字通りバキバキバキィッという椅子が壊れる音と、次いで強い衝撃が地面を幾つも打ち付け貫き、俺は後ろへと受け身も取れずに転がる。
「っぐぅ!?…おいおいおいまじか」
何だっけ、めちゃくちゃ見覚えがあってだな…
とにかく状況は打破できた、これは後回しだ。
「勘十!大丈夫!?」
「…あぁ、大丈夫だ。あっけねぇあっけねぇ。こんなんなら最初から死ぬ気で―――」
そして再び俺は自分の言葉に思わず固まる。
別に意識したわけじゃねぇ。ただ、少しの強がりもあったんだが…
―――あっけねェあっけねェ―――
―――最悪なのはオレ達全員がやられて
―――俺の両手は…―――
「―――………あ~~~…」
なんてこったと思いつつも、あいつを自由にした後、通報してもらい、ついでにおっさんを俺たちの7割増しくらいでぐるぐる巻きにしてもらった。
応急処置だが、血止めをたどたどしくするダチを横目に指先を失った両手を見て思った。
これHUNTER×HUNTERだわ、って。
尚、探しても"念"の「ね」の字もなかった。
「"僕"はこのことをきっかけにヒーローを目指そうと思ったんです。強力な個性を持っていたのに何もできなかった自分が情けなくって。この個性社会への自分の認識の甘さを思い知らされたのもあの時でした」
「…確かにそんなことがあれば嫌でも思い知るだろうな。よくそこからヒーローを目指せたもんだ」
僕のことを指して相澤先生はそう感想をもらす。
"その後"のことも言っているんでしょうね。マスコミの騒ぎとか、学校での扱いだとか。
「彼がいましたからね」
結局彼はあんなことがあった後も芯がぶれることはなかったんです。義指をつけるようになって学校に復学した後、いつも以上に絡むようになったぐらいで。
ただ僕がヒーローを目指すと言った時、そして個性を教えた時の顔は忘れない。
ある意味正反対の個性で、その偶然に笑っていた顔を。
「
「あ、バスがそろそろつくみたいですよ」
どうせヴィランに立ち向かうというのに個性を活かせない職種じゃ合理的じゃない、って言うんだろうなと思って声を
相澤先生の視線がちょっと怖い。
「…まぁ、いずれにしてもいつか活かす時が来るかもな。
その言葉を最後に相澤先生は生徒へと呼びかけを行う。
相澤先生が言っていることはもっともだ。このままではいられないという話は彼からも聞いていた。
だから今忙しいんだろうなぁ…
だけどせめて―――
「せめて、もう少し早く
「………………は?おい待て13号、
「あはは!ほら、そんなとこで立ってたら生徒たちがバスから降りられないですよ?」
僕の両手はブラックホールだ。
どんなものでも指先から吸い込んでチリにしてしまいます。
だけどこの両手は人を傷つけるためではなく、助けるためにある。
彼があの日、僕を助けるために失った
或いは個性が暴走し、人殺しになってしまっていたか…
彼の両手は
僕と同じ、人を傷つけることならば容易い個性です。
だけどその両手が誰よりも温かかったことを"私"は知っている。
あの時の彼の覚悟をバネに、僕はヒーローになれたのだから。
『特殊急襲部隊、ですか?』
『そうだ二タ月警部補。だがこれは非公式な部隊だ』
『非公式な部隊ですか…春の人事異動に合わせてすぐに動くのでしょうか?』
『その認識でいい。表向きは人事異動として警視庁に飛んでもらい、架空の席についてもらう。"警察史編纂室"というものだ』
『警察史、
『窓際らしい名前だろう?』
『…非公式と言うのは
『警察内部でも知る人間は限られている』
『人選の基準ラインを聞いてもよろしいですか?』
『若さか活力があり、そして有用な個性を持つ、或いは活かし方を心得ている者を集めている。主に階級は警部以上での編成となる』
『自分の階級は警部補でありますが』
『塚内警部から太鼓判は押されている。安心して励め。何より"個性"のことがある』
『―――特殊部隊ということですが』
『なんだ?』
『対象の
『…諸外国の例は忘れろ…二タ月警部補、"公安"は
『はい、
『ならわかるだろう?あれを今のままにすれば、いずれ崩れる。だからこそ、これらを警察の
『はい』
『公安の行ってきたことが間違ってたとは言わん。あの時代には確かに必要だったことも多い。それを非難する資格は我々にはないだろう。それでも、だ』
『はい』
『君ならば問題ないと判断したからこそだ…いずれ警察は変わらねばならん、むしろ、遅すぎた』
『"ヴィラン受け取り係"からの脱却ですか』
『そうだ、我々はかつてその脱却を目指し…失敗した。その時の教訓を活かし、今度こそ成さなければならないのだ。いいか二タ月警部補。我々は警察だ、ヒーローではない。この意味はわかるな?くどいようだがそういう人選だ。
『記録には目は通しています』
『よろしい、では―――――――――』
俺は、まだ雪解け前の時期の話を思い出した。
警察官というのは人事異動が多い。人間関係が長く続けば馴れ合いなどで利害関係が生まれ、そこから不祥事に繋がる可能性があるからだ。銀行員も似た理由だっけか?
そんなどさくさに紛れて立場が一変しちまったが、まぁ良かったことは離れてた嫁さんとまた住めるようになったことだろう。
1年ぶりに戻ってきたわけだ。忙しいからあんまり日を
そう言えば今日はあいつが作った「
久々に会った塚内警部も忙しそうだ。
正直推薦の件は中々に複雑な感情を抱いてはいるが、この機会を与えてくれたのは感謝している。
この歪な世界で警察もまた、力をつけなければならない。それに嫁さんをより支えられる機会を貰えるって考えれば意欲的にもなる。
足掛かりとは言われたが、要はこれは正式に決まるまでこっそり経験を積もうって話だ。何を始めるにしても
決まってから動いては遅いのは当然とは言え、随分と厄介なことになっちまったとは思うよ。
「ゆっくりやってられない理由があんのかねぇ…」
まぁ、だから当然、
『9から7、対象の痕跡を発見。個性で路地裏を
「こちら7、了解した。予定通りだ。対象の経路は118と思われる。予測経路の封鎖と"通報"の用意を」
『9了解』
『12了解』
「7から本部6、これより最終段階に入る。無線を封鎖し緊急時に備え待機」
『本部6了解』
「さぁて、行くか…」
「お前が"ステイン"だな」
「…何者だ、貴様」
「一応こういうもんだ」
―――"ヒーロー殺し"と呼ばれる男がいる。
直接確認したがこの立ち振る舞い、気迫、間違いなく本人だろう。
自身の思い描く「ヒーロー」というエゴを押し付ける連続殺人犯。その影響力は未だ小さいが、それでも徐々に世間へと知られてきている。だから何かが起こるその前に
ステインは、俺がポケットから取り出し、目線の高さで突き付けた名刺サイズのカード、それに描かれた絵を見て言葉を零す。
「"クモ"か」
「大人しくお縄に…いや糸か?ついてもらおうか」
「その目…噂に聞く正義に酔った偽物…と言うわけではないようだな」
「そりゃどうも」
「いつか確かめる必要があると思っていた。ハァ…ちょうどいい、今ここで…!?」
一瞬。瞬きする程の一瞬だが、ステインが視線を路地裏の地形把握のために素早く見回す動作の中で背後に向き、そして驚愕で動きが止まる。
俺からは見えていたが、ステインの背後にはいつの間にか高くそびえる壁が出来ていた。
ここは背の高いビル群、その路地裏だ。道は狭くも、反対側の表の大通りまでそれなりの距離を真っ直ぐ抜けている。
それが突然壁に変わっていた。路地裏の左右を挟むビルの外壁と全く同じ高さで。
そしてその隙があれば十分だ。
ここで大きく動いたならばステインならば当然即座に反応し、この隙は結局無意味になるだろう。
だが
俺がステインへと突き付けたカード、それに添えられた指先は、
義指が外れ、細い鎖でぶら下がる。そのことを確認する頃にはステインは感知不能な弾丸に数度顔面を強かに打ち付けられ、後ろへと吹っ飛んだ。
非殺傷だ、だがその威力は容易に意識を刈り取る…はずだった。
「まぁ耐えるか」
「貴様…!」
吹き飛ばされつつも意識は健在、どころか空中で身体をひねって態勢を整えつつある。恐ろしいやつだ。
突如現れた背後の壁、それにステインは吹っ飛ばされた勢いのまま壁面へと迫り足をつけようとして………しかし
「!?」
ただの映像だ。うちの隊員の「複製映写」。しかしそれは間近で見ても映像と判断できない程の完成度へと突き詰められている。一瞬見ただけで看破するのは至難の業。
そもそもさせはしねぇ。そのために俺は姿を現し、最適な位置で足を止めさせたのだから。
そして
ガシャンッ、という音と共に俺の両手の指全ての義指が取り外された。
反対側の大通りまで俺の銃撃届くことは無い。事前に、簡易的だが俺の
ここは最初からこちらの
そして両手を前に構え、俺は個性を使った。
俺の両手は――――――――――――――――――
おしまい
■二タ月 勘十(フタツキ・カンジュウ)
ハンターハンターの幻影旅団の団員、フランクリンの念能力(俺の両手は機関銃)みたいな個性を持った男。
キラキラネームだらけのこの世界でやたら古風な名前だなと安心してたら、指を失った事件後「二つ機関銃」という意味だと言うことに気が付いてしまった。
身長195㎝。
記憶は最初からあったが脳が無意識にシャットアウトしていただけ。
前世は警察官。良い警官ではなかったかもしれない。「取り合ってくれない」は自分が取り合ったことがなかったから。ある意味強い説得力だったため足を引っ張ることになる。
切られたことで髪型はフランクリンと同じになったけど顔は似てないし、背は高いが巨体という見た目でもない。
あとヒロアカは知らない。
予想以上のタフさを見せるステインとの戦闘で、左こめかみから額中ほどまで真横に伸びる刀傷を負った。もしやさらに傷跡が増えるのでは?と密かに戦々恐々している。
前世との"個性"と言うギャップによる違和感と嫌悪感がずっと燻っており、それが生み出す衝動的、或いは妄信的な犯罪の多さに前世で警察官を目指したときの志を思い出して再び同じ道を辿る。
既婚者。
■俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)
最初は自身の固定観念から人差し指からしか出ないと思っていた。
ヴィランに五指の指先全てを切り落とされる過程での覚悟が作用したのかそのリスクをバネに威力がアホみたいに上がり五指全てから撃ちだせるようになる。
普段は義指をつけているが、撃ちだす時は外さないと駄目なのでお馴染みのギミックになっている。
"念"の概念は存在しないが、"潜在エネルギー"的なものはあり、制約などの仕組みも似ている。個性でそれを所謂「弾」として撃ちだす。
あくまで「潜在エネルギーを指先から撃ちだす」個性のためそのエネルギーを念のように他に応用することはできない。つまりハンターハンターで言う"発"のみにしか使えない。
とは言え、個性を使用する際限定ではあるが疑似的な「精孔」(のようなもの)が開いた状態になり「
弾が見えるようになったのは強く認識したから、深い理由はない。自分以外は不可視。
"制約"と"誓約"の仕組みは同じなので自分に取り入れている。
手加減が難しい個性なので「殺傷した場合、両手の機能を失う」という制約と誓約によって結果として威力の調整などの精度の高さを獲得している。
一応「トランスバレット」("透明=トランスパレット"と"バレット=銃弾"をかけた)と呼ばれてるとかなんとか。
■13号
本名不明のため名前が出せなくて苦労した。
女性だったと知って驚いたのがこの小説の始まり。
一人称が"私"から"僕"に変わったのはヒーローを目指してからという勝手な設定だったり。
結婚四年目。
■おっさん
どう見てもビノールトの念能力です。個人的に好きだったのでつい。
不幸な巡り合わせでタガが外れてしまった人。ある意味個性社会の被害者。
別に深い設定はない。
■警察史編纂室
架空の部署。
"流行り神"とは一切関係ありませぬ。名前が良かったからつい…
■ヒーロー公安委員会
裏でやばいことやってるらしい。
■個性を使用する警察部隊【ヴィジランテ:(仮称)クモ】
裏でやばいことやらないようにしたいらしい。
「正体不明のヴィジランテ」というカモフラージュをしている。
クモと呼ばれたのは、罠を張り誘導し静かにヴィランを確保する様と、何よりヴィランを捕縛して捨て置いた場所に蜘蛛印の描かれたカードを置いていることから。
正義に酔ったヴィジランテらしく演出するために主人公が考案した。クモにしたのは遊び心。
活動するにはデリケートなことが多い部隊なので割と情報集系の個性持ちを集めており、表立って行動する要員は現状最低限にとどまっている。
主人公が配属された理由は個性の強さというより「痕跡の残らない非殺傷の銃弾をも撃てる」から。
本名を伏せるため仕事中は番号呼びをしている。番号も人数をごまかすために中抜けする形で振られているので「15」がいたからと言って15人いるとは限らない。
・隊員「9」:触った人の記録や物の記憶を読める個性。
・隊員「12」:片目を瞑った時に最後に見た風景や物を、もう片方の目から映し出す個性。
現状、全員ヒーロー免許取得が義務付けられている。
■USJ襲撃事件
塚内警部に自分と似てる個性のチンピラがいると召集かけられた。全く関係なかった。
その繋がりか、後に捜査に協力することになる。
この事件で負傷した13号の事を知った勘十がヴィラン連合にぶっぱするまで後…
■工場の廃墟
なんか廃墟ってよく出て来るけどそんな近くに都合よくあってたまるか!
そう言えば私の家の近くには工場の廃墟があります。
■この後は?
ちょっと転生ものをやってみたかっただけの一発ネタ。
これ以降の物語の構想とか考えてないやつなのでほぼ続ける気はないです。
そもそもヒロアカはにわかなのです…
あと、はっきり「念」としなかったのは、それがあると念能力者だらけになりそうだったので。
※誤字報告をしてくれた方ありがとうございます。修正させていただきました。