少年はそこで英雄と出会う。   作:やってやる!やぁ~ってやるぜ!

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大規模侵攻⑤

 

 

基地南部、二か所で人型ネイバーとの交戦が行なわれていた。

一か所のランバネイン戦は、A級の出水公平、米屋陽介、緑川駿が合流、B級合同と協力してこれを撃破。そしてもう一か所のマナ、モネに対する戦闘では、

 

『私にいい考えがあります。』

 

美竹隊隊長、美竹蘭が攻略法を見出していた。

 

作戦を聞いた弦巻隊隊長、弦巻こころはマナに向かって突撃した。

 

「行くわよ薫!はぐみ!」

 

自部隊である薫とはぐみを連れて、

 

「私にはどんな攻撃も効かない......分からないの?」

「意味のないことはないさ、手数が多くなればなるだけ君たちの余裕はなくなるからね。」

 

そう言うと薫は不敵に笑って見せた。

それと同時に、丸山隊、美竹隊はモネに攻撃を仕掛けた。

 

「たしかにあなたたちの連携は強力、でも引き離せば意味ないでしょ?」

 

美竹は、狙撃を防ぐ時にわざわざマナがモネのところまで行って守ったことから、遠隔シールドはないと推測した。

そこから、一気に攻撃を仕掛ける...が

 

「別に......トリオンの燃費は悪いからやりたくない、でもシールドに遠隔操作がないなんていってないけど?」

「っ!?」

 

すべてピンポイントに張られたシールドにより弧月、そしてスコーピオンは止められた。

 

「......終わり、最大出力」

 

モネが居合抜きの格好で構える。

 

「せ、旋空弧g」

 

美竹はとっさに旋空弧月を放とうとするが、間に合わない。それどころか斬撃はモネの全方位に展開されて弦巻や北沢まで巻き込んで切れた。経験の差か、ギリギリで身をかわした薫と、射程圏の外にいた丸山と氷川と狙撃手以外は全員、緊急脱出してしまった。

そして、薫もトリオン漏出で緊急脱出寸前だった。

 

「惜しかったけど、ここまでね」

「そうでもないさ」

「...?......!」

 

すると、マナ、モネ両名の足元からスコーピオンが生え、二人の足を止めた。

 

「...わたしたちの防御を貫けない以上、悪あがきに過ぎない」

「そうかな?彩!日菜!」

 

そして、

 

「「通常弾(アステロイド)!」」

 

氷川と丸山による通常弾の一斉掃射で薫は緊急脱出する。

そしてその弾幕が張れると、

 

「本当に...」

「めんどくさい」

 

何発かかすってこそいるが、ほとんど無傷の2人がいた。

見ると周りには弾丸ピンポイントに置かれたシールドがある。

 

「うっそぉ......」

「ごめん、千聖ちゃん」

 

そして、二人はモネに切り裂かれた

その一方で。

 

『いったん引くわよ』

『で、でもここで引くわけには』

 

狙撃班は撤退の準備を進めていた。 仲間がやられたまま引き下がるのは不服なのか、奥沢美咲が反対の意を示す。

 

『...... 今、A級部隊の湊隊がこちらに向かってるはわ。今私たちがすべきことは、戦略を維持しておくこと。B級合同がもう一人の人型を倒したわ、それに協力したA級の三人は動けるようになって玉狛の手助けに行った。ここでむやみに戦力を減らすより、湊隊としっかりと連携をして、あの二人の人型ネイバーに勝っても早く援護に向かうことが重要なのよ。』

『で、でも......』

『だからって......』

『仲間がやられて悔しいのは分かるわ。でもね奥沢さん、羽沢さん、わたしたちが特攻して緊急脱出するより、あとあと残ったほうがいいでしょ?』

『『はい......』』

『大丈夫よ、それに......』

 

一呼吸置いていう。

 

『薫たちのおかげで、タネはわかったわ』

 

 

——————————————————————————————————————————————

 

 

基地南部では、ブラックトリガー同士の戦闘が始まろうとしていた。

 

「お前を早く倒して救援に行かせてもらうぞ。悪いがコレは...」

「この世のすべての物質に干渉する力、ベクトル。それを操ることができる、故に無敵...だろ?」

「......!」

 

八幡は一瞬、トリガーの性能のトリック、それを事細かに当てられたため動揺の色を見せるが元はアフトクラトルにあったものなのだから、それはそうかと思い直す。

そして、テートは不気味な笑い声を上げながら続ける。

 

「そんで、 そのあまりのスペックに、 ブラックトリガー自体が耐えられない。よって、 連続稼働時間が十五分を過ぎると、オーバーヒートして使い物にならなくなる。だから、早く倒して出来るだけ多くの戦力をこの十五分でけずっときたいんだろ?」

「その通りだ。 もうだいぶ時間をロスしているからな、今すぐ決着をつけさせてもらうぞ。」

 

八幡はそう言うと、ベクトルを操りテートをひねりつぶそうとする......が。

 

「おいおい、俺はお前対策としてここに来てんだぞ? そんなんで一瞬でやられるわけないだ......ろ!」

 

そして、八幡目掛けて未元物質(ダークマター)を放つ、当然、八幡は反射させようとするが...

 

「ハハッ!!まず、腕一本だな。」

 

それはベクトル操作の干渉を受けずに八幡に直撃した。

八幡もベクトル操作を潜り抜けて、いきなり来た攻撃に一瞬硬直したが、ギリギリで身をかわして腕一本の犠牲で済ませた。

それを見てテートは 新しいおもちゃを見つけた子供のような笑顔になる。

 

「へぇ、あれを寸前でかわすのか......」

「ここまで絶望的なのは......あの時以来だな」

 

八幡が思い出すのは、四年前、空閑有悟が死んだ日の......

 

 

 

——————————————————————————————————————————————

 

 

 

八幡は有悟とは反対側の防衛についていた。

 

「頼りにしているぞ!ハチマン!」

「......うす」

 

八幡はやる気なさげに返事を返す。

すると、八幡の副作用(サイドエフェクト)に反応があった。

 

「遊真...砦から出るなって言ったろ......」

 

有悟の息子で自分にとっては弟のような空閑遊真が有悟の言いつけを破り、戦闘に参加しようとしているのを感知した八幡は止めようとした......が

 

「ったくあいつは......レプリカ、有吾さんに知らせ...!?」

『承知しt』

 

次の瞬間、レプリカの子機が何かにねじられたかのように壊れた。

 

「クッソ、こんな時に......」

「お前が相手してくれんのァ?」

 

八幡が感知したのは近寄ってくるラックトリガーの反応であった。圏内に入ってからおよそ2秒で自らの所までたどり着いてきたそれに八幡は恐怖を覚えた。

それと同時に、遊真のもとにもブラックトリガーの反応があった。その事実がより、八幡を焦らせた。

 

「くそっ!!今お前にかまってる暇はねぇ、最速で終わりにしてやる“糾弾”」

 

八幡は三本で糾弾を発動させた。

この糾弾の基準の矢の本数は七本である。そこから数を増やすと、一本一本の威力が下がる そして三十本からはトリオンの消費も増える。そして数を減らせば1本1本の威力が上がるが、トリオン消費が増える。四年後、湊隊使った時のように 分割すればトリオン消費も 威力の減衰もそこまでないので優秀なトリガーだといえる。八幡はそれを三本で放った。速度、威力、射程、そのすべてが七本の時の約十三倍となっている。故にトリオン消費が激しいが、この時点での八幡の最大火力といえるだろう......が、

 

「ツマンネェなァ!反射ァ!!」

 

すべての矢がそのまま八幡の元へ帰ってきた。八幡は若干の動揺はあるが自分の技、特徴は知っているので何とか回避した。

 

「マジかよ......」

「イイねェイイねェ!!今のをよけるか!もっと楽しませろォ!!!」

 

さすがに時間制限があるはずだ、と八幡は仮定する。トリオンの流れが明らかに異常なのだ。だが、それを待っていれば遊真は敵に殺されてしまう。そのことが分かっていた八幡は賭けに出ることにした。

 

「切り替え“断罪”」

 

断罪でブレードを出し、切りかかる。

 

「学べよホラァ!!反射ァ!!!」

 

八幡はそれをもろに食らい、左腕を失った。

すると、相手は挑発するように言う。

 

「オイオイ、もう終わりかァ?」

 

すると八幡は答えた。

 

「ああ、俺の勝ちだ。“天罰”モード」

「......アァ?」

 

八幡は“天罰“モードを発動させた。だが、

 

「確かに、いい性能だなァ...だが、俺の防御をそれで抜けると思うなよ?」

 

確かに八幡のトリガーでも、ただ使っているだけでは一方通行(アクセラレータ)の防御は抜けない。しかし八幡はブレードを一方通行(アクセラレータ)に向かわせた。

 

「はぁ...期待外れか......“反射”」

 

そして、また八幡のもとに攻撃が返るかと思われたが、相手に接触する瞬間、それは反転した。そしてそれは一方通行(アクセラレータ)の権能の範囲内、そのベクトルも反射される。つまり......

 

「......!?」

 

攻撃が通るのだ。驚愕をあらわにした相手はその後狂気に歪んだ笑みを浮かべる。

 

「イイネェ!最高ダネェ!!もっと楽しませろよォ!!!」

「悪いが楽しませる余裕はない。一気に決めさせてもらうぞ」

 

そして、相手はそこら中の瓦礫そして兵士の武器などを、八幡は周りに浮かせたブレードを互いに向けて撃つ。当然相手もさっきの二の舞は避けようと、デフォルトの反射から自らの周りのねじれ方を変えている。だが、八幡の副作用によりその方向は読め、その大きさ、タイミングの基準も先ほどつかんだ、対応できないことはない。

両者の攻撃がぶつかり合い爆風が吹き荒れる...立っていたのは

 

「ふざけ...やがって......」

「周りに迷惑かけるわけにはいかんからな」

 

八幡だった。その周りには“拒絶”により張られた固定シールドがあり、さらにそれより広く10m四方ほどのシールドでできたキューブがあった。

 

「こりゃ勝てねェな」

 

相手は自嘲気味に呟いた。

 

「おい、聞け」

「なんだ、俺は今急いでる!!」

 

八幡が焦り気味に言う

 

「俺の名前はアクセルってんだ。この目、黒く変色してんだろ?トリガーホーンが脳にまで根ェ張ってる証拠だ。俺はもうすぐ死ぬ、だからこいつを任せる」

 

そう言うとアクセルは八幡に一方通行(アクセラレータ)を渡した。

 

「ああ、俺はもう行く。弟を死なせるわけにはいかない」

 

そう言って八幡は去っていった。

 

 

 

少年は尊敬する師を失った。

少年は義弟の成長を失った。

少年は“日常”を失った。

そして決意した、もう何も奪わせないと......

 

 

 

『次回、大規模侵攻⑥に、トリガー、起動(オン)

 

 

 

 

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