少年はそこで英雄と出会う。 作:やってやる!やぁ~ってやるぜ!
「空閑があそこまで負けるなんて......」
三雲がかなり動揺しているが、それもそうだろう。こいつらの作戦は言っちゃ悪いが遊真頼り、遊真が落ちればそれで終わる。三雲もそれを理解して前回、自らは邪魔に徹した。だが、今回は遊真が勝てない可能性が高い相手が二人もいる。こいつらには厳しい戦いになりそうだな。しかもマップ選択権も持ってないから前回のような地形戦で優位をとる方法も難しい。まあ、こいつらの場合、地形戦を後出しでする方法もあるにはあるのだが......それはこいつら自身で気づくべきことだ。
「ここで...自分を超えて行かないと勝てんぞ。遊真」
「遊真が負けた!?誰に!?風間さん!?太刀川!?」
玉狛に帰り、遊真が負けたことを話すと小南は声を荒げた。
「違うよ、むらかみ先輩って人とかおる先輩」
「村上......鋼さん!?後は薫ね、あいつならしょうがないわ。」
「ありゃ~先に戦っちゃったか~、かえったら話そうと思ってたんだけど......」
まあ、村上先輩の
「まったく、相手に情報を与えるようなマネを......」
「好奇心には勝てなかったぜ......でも......」
先に戦って悪いって事は無いだろ。
「俺は先に戦っておいて良かったと思うよ。 情報が無いと対策もできないし。ごちそ~さま~、さ~て、かおる先輩もいるしな、どうするかな」
そう言うと遊真は部屋を出ていった。すると三雲と、宇佐美が言った。
「空閑と互角以上の相手がいるとなると...」
「遊真君を主軸にした作戦は難しいかもね」
それはわかってたことだけどな。有吾さんと俺が育てた遊真は強いが、あの一戦で測った感じだとA級の攻撃手なら遊真は何とか止められると思う。B級にもA級クラスのエースは何人かいる。それと当たれば、まあ上に行けば行くほど遊真がのびのびと点を取る環境を作るのが難しくなってくるからな。そういえば......
「小南は薫と戦ったことあんのか?知ってる感じだったけど......」
「ああ、あんたの幼馴染の二人は元は同じチームだったのよ。で、オペレーターは小町ちゃん。その頃は本部のランク戦にも一応出てたわよ。」
「玉狛第一に......!?」
「そうよ、まあその頃は木崎隊って名乗ってたけどね。」
なるほど、こいつらは元チームメイトなわけか。だからそんな詳しいんだな。
「遊真との戦闘は見たが......強いな。誰に鍛えてもらったんだ?」
「迅さんと支部長よ。」
ああ、あのいやらしい戦い方はその辺か。すると三雲が
「とりあえず僕は、相手チームのデータ集めからやります。」
「まあ、それも大事だろうな。後、鈴鳴とか弦巻隊だけじゃなくて那須隊の対策もしといたほうがいいと思うぞ」
「あ~......そういえば八幡くんは玲ちゃんと同じクラスなんだっけ?」
「ああ、あいつはたぶん強いぞ。」
トリオンの流れが精錬されてた。大分コントロールもうまいだろ。
「そう言えば比企谷さんと空閑は今日泊るんですか?」
「ん?ああ、そのつもりだ。」
すると小南が、
「たくさん時間あるのね!じゃあ八幡!私と勝負しなさい!!」
と言ってきたので、宇佐美に訓練室を開けてもらった。
弦巻邸
いつも弦巻隊の作戦会議は、隊長である弦巻こころの住んでいる豪邸で行われる。
今日もその作戦会議をしている最中であった。
弦巻隊はB級上位グループの常連であり、その実力は本物だ。
「薫さんは玉狛の空閑君と戦ったんですよね。」
「ああ、8-2だったよ。」
狙撃手である奥沢美咲は薫に問いかけた。
「かおるくん相手で二本とったんだ!!戦ってみたいね!こころん!!!」
「ええそうね!!勝って笑顔を届けましょう!!!」
「さて、君はどんな戦いを魅せてくれるかな?遊真。」
「......クシュッ、この体でもくしゃみは出るんだよな」
その頃、遊真は玉狛支部の屋上にいた。すると、後ろの扉が開き遊真も視線を向ける。そこには、
「寝ないのか?遊真。」
玉狛支部支部長、林藤匠がいた。
「俺は眠らなくていいんだ。この体になった時から」
「なんだそうなのか。」
そういうと林藤は遊真に湯気の出たホットミルクを渡す。
「飲む?」
「どうもどうも」
そして林藤は話し始めた。
「派手に負けたらしいな。修が心配してたぞお前が凹んでいるんじゃないかって」
すると、遊真は聞き返す。
「修は相変わらず面倒見の鬼だな。俺は別に凹んで無いよ、みんなも同じように鍛えているのは分かってる、全部が全部勝てるとは限らない。でもだから強い人と勝負するのは面白い。ランク戦の仕組みを作った人はなかなか考えてる。特に負けても誰もしないとこがいいね。俺も兄さんもいつも死と隣り合わせで戦ってきたからな。」
すると、林藤は一瞬固まり、そのあとすぐに笑い出した。
「はっはっは、作ったのは俺と鬼怒田さん、それと比企谷さんだよ。」
「なんと、ボスと父さんだったのか。」
「でも......」
すると、林藤は少し間を開けて言った。
「システムを考えたのはおまえの親父さんだ。まだボーダーのメンバーが10人もいないような大昔にご機嫌で未来のことを語ってた。」
「へぇ......そうか......」
すると、遊真は父のことを知れたからか、ふと笑みをこぼした。さらに林藤は空を見上げて言う。
「遊べよ遊真、楽しいことはまだこれからたくさんある。」
「もう、大丈夫だな。」
その下では廊下の窓を開けて八幡が二人の会話を聞いていた。
「明日の試合、楽しみにしてるぞ。遊真」
そう言い残すと、窓を閉めて自分の部屋に戻っていった。
その口角は、少し上がっていた。
-----そして、土曜日の朝
B級ランク戦第三戦、試合当日