少年はそこで英雄と出会う。 作:やってやる!やぁ~ってやるぜ!
東岸では那須が修に足止めされていた。
だが、手を打たなければ実力差的にやられるのは修である。
(千佳......)
(了解!)
「......勝つ......一点でも多く獲って......」
那須は修に向き合った。
(風向きが変わった......茜はギリギリ追い付かれる。でも大丈夫、数秒...ほんの数秒だけ私が村上先輩を止められれば......!)
熊谷が決意を新たに弧月を抜く。
しかし、それは......
「......!」
「......!?」
玉狛第二の策略により、簡単に消え去った。
千佳の砲撃が橋に直撃して橋が崩れる。
(玉狛の砲撃......!?まだこっちには空閑君もいるのに......!)
玉狛の戦術は基本的に遊真頼りである。その最も重要な駒を玉狛が迷いなく放棄したことに、熊谷は驚きをあらわにした。
そして...
「先輩!!」
「来るな茜!!!」
鈴鳴の村上も追いついたことにより、西岸は那須隊にとっては厳しい状況となった。
(流石に......そう都合よくはいかないか...)
『まだ撃っちゃダメだよ茜!もっと退がって!クガくんにつかまる!』
そして、東岸の那須も西岸からの援護は期待できない状況となった。
『那須先輩!橋が落ちました!!二人はこれません!!』
それを聞くと那須は少しうつむいてから
「そう、分かった。じゃあ......」
変化弾を展開し、
「こっち側は、私が全員倒す。」
修に狙いを定めた。
「だからそっちも、二人で点を取って」
その指示を聞き熊谷は一つ瞬きをして迅の言葉を思い出した。
『今多分個人戦ブースで、熊谷ちゃんの次の相手三人がランク戦してる』
(なるほど、そういうことね......)
そして、目を開き目の前の相手を好戦的ににらみつけた。
(やってやろうじゃないの!!「了解!!」)
「は、橋が落ちた......!!」
鈴鳴第一、別役太一は予想外すぎる出来事に驚愕をあらわにしていた。
『鋼くんはまだ向こうにいるわ......』
「玉狛が落としたのか......!?」
オペレーターである今結花とボーダーの菩薩、その人徳と温厚な性格、そして金持ちの家の出でありながらそれを全く鼻にかけないこともあり、圧倒的な支持を得ている隊長の来馬辰也も玉狛の捨て身の戦法に驚いていたが、
「すいません来馬先輩、先手を取られました。こっち側の相手を叩きます。」
一人、鈴鳴のエース村上鋼は冷静にそう言った。
「鋼さんとは別行動すか?うひー......大規模侵攻を思い出すなぁ」
「ちょっと待ってろ太一。」
別役のボヤキに村上は答え、
「こっちが終われば、泳いでもそっちに行く。」
熊谷に切りかかった。
『No5攻撃手村上隊員を熊谷隊員が迎え撃つ!唯一の橋を失って部隊の合流が難しくなった!那須隊にとってはおそらく避けたかった展開!』
「合流したかったのは那須隊だけじゃないはずだから、どの隊も作戦の変更を余儀なくされるでしょう。作戦が試合を決めた前回の作戦が試合を決めた諏訪・荒船戦とは逆にイレギュラーの展開でも崩れずに立て直す、チームの地力が試されます」
橋の入り口付近では熊谷と村上が打ち合っていた。
村上が絶え間なく攻め、それを熊谷は何とかいなしているが、カウンターを狙っても隙の無い動きで防戦一方な構図が続いていた。
村上が熊谷に向けて袈裟に切り付け、それを熊谷は受け流し、逆に村上の弧月に沿って利き腕を狙う。
熊谷も、剣道をやっていることもあり十分な実力者ではあるのだが......
「っ!!」
村上の相手にはまだ役不足であった。
村上の基本の戦闘スタイルは片手に弧月、片手にシールドモードのレイガストという堅牢なものである。そのスタイルでも軽やかな剣さばきで熊谷を防御一辺倒にできるところもまた、彼の凄さである。
村上はレイガストで熊谷を川側へ押しやり、
(『スラスター』......!)
レイガスト専用オプショントリガー、トリオンを噴射し推進力を生む『スラスター』を使い熊谷を川に弾き飛ばした。それでも熊谷も一定の実力者、橋の電灯の柱に弧月の嶺を引っ掛けて川に落ちるのを防いだが、すぐさま村上が追撃してきて川に落とそうとしているかに見えた......が、
(川に落とすつもり............?村上先輩を)
後ろから遊真が村上を狙う。村上が立っていた部分を切り裂き、足場を無くした村上は落ちるかに見えたが、スラスターを使い、河原まで飛んだ。
「さすがに、これじゃ落ちないか」
そして、那須隊スナイパー日浦から、熊谷に通信が入る。
「狙撃ポイントに着きました!どっちから狙いますか!?」
「どっちでも、落としやすいほうからよ。」
「悪いが全員、瀬田が来る前に片付けさせてもらうぞ。そっちのほうがまだ分がある。」
「それは...こっちも同じだよ」
村上は臨戦態勢に入り、遊真は不敵に笑う。
西岸の戦闘は、激化していた。
那須の
「くっ......!!(那須先輩のメイントリガーは
修はたまらず路地へ逃げ込む......が、
「隠れても無駄よ」
それは効果が薄く、
「ぐっ......!!!(動きが読まれてる......!避けられない......!)」
那須はレーダーを見ながらまた狙いを定める。
(素直な逃げ方......やっぱりまだ戦い慣れてないのね......)
突然、近くのビルの屋上が光り、那須にイーグレットが迫る......が、一応その方向にシールドを張りながら飛びのき躱した。
そのイーグレットを撃った本人、通称鈴鳴第一の『本物の悪』別役太一はスコープを覗きながらボヤいていた。
「う~ん当たらん、ライトニングのほうがマシか?コレ?」
『太一!不用意に撃っちゃダメでしょ!!』
軽はずみな太一の行動を今が叱る。
「大丈夫っすよ今先輩!この雨じゃ向こうからも見えないっす!......多分」
しかし、まるでそれがフラグかのように......
『弾道解析、立体図送ります。』
「ありがとう、小夜ちゃん」
太一に
「でえええ!!!!!?????」
太一は何とか屋上から飛び降り、躱そうとするが
「おわっ!!??」
さらに追撃が来た。
「シールド!」
しかし、それは来馬により防がれる。
「太一大丈夫か!?」
「助かりました~!!人型ネイバーに比べれば......って思ってたけど、那須先輩もこえ~!!」
『東岸では那須隊長の
「まあ、玉狛がやられれば次は鈴鳴か弦巻隊だからな、あそこで太一が撃つのはなしじゃないが......相手が悪い。
でも那須は違うんだな、毎回きっちり弾道を引いている。リアルタイムであれだけの弾道がひける
後、弦巻隊に動きがないのが不気味だな。」
『両岸ともじりじりと相手の間合いを測る!相手の仕掛けを待つ膠着状態か!』
「どっちも今は三つ巴でにらみ合ってますからねー、わりと数と力のバランスが取れてる。逆に言えば、一人落ちるか、弦巻隊の介入で一気に動きますよ。」
「しかしこりゃなんだかんだ言って那須隊有利だな、長距離狙撃が機能しにくい、後攻撃手はよっぽどうまく立ち回んなきゃ使い物にならんからな。東っ側は射手、銃手の実力勝負になる。玉狛と鈴鳴が弦巻隊を上手くサポート出来ればあるいは......って感じだからな。」
「さぁ、どうかな」
(暴風雨の設定は見落としてた。苦肉の策で橋を落として試合前に立てた作戦は全て使えなくなった。でもこんな展開をこの先いくらでも起こること、ここからが勝負だ......!)
修は決意を固める。
「指示を出す2人とも聞いてくれ、千佳は鈴鳴第一と弦巻隊、特に弦巻さんの位置をぼくに教えてくれ。あとは敵からなるべく離れて見つからないことを優先しろ。、といっても必要だと思ったときは撃っていい。お前と宇佐美先輩の判断に任せる。那須先輩の射程にはできるだけ入るな。」
『了解!』
「空閑はこっちのことは考えなくていい!自分の戦いだけに集中しろ!今度は村上先輩や瀬田先輩に勝ってこい!!」
『了解、オサムは?』
修は雨の中、前だけを見つめてこう言った。
「ぼくは......こっちサイドで点を取る」
なかなかにキビしい状況だが......こっちもなかなかにキビしい状況だ。
「えっ!?えっ!!??」
状況がわかっていない戸山がうろたえている。
かしこいきみたちならわかっていたとおもうけど、きょうのげすとはすごいんだぞ!!なんと、だいきぼしんこうでだいかつやくした(らしい)あの人がきているんだ!!!!
ダメだな、IQを落として対応するにも限度がある。つかキモっ!
「あ~~!!こぇぇ~~~~!!!これ先に橋落としたのまずかったんじゃないですか!?」
そう市ヶ谷がきくが......
「いや、そうでもないぞ。むしろ三雲が取れる作戦としては最善に近い。だろ?烏丸」
「はい、どっちにしろ那須隊が壊してましたし、那須隊大幅有利からやや有利まで抑え込めた、上々の判断でしょう。」
「どっちにしろ、遊真がいなきゃ勝てないでしょ?」
小南のいうことも最もだがな。那須にとって三雲はいつでも倒せる相手、最悪何もできず全員落とされる可能性もある。
「さて、お前はどう見る?ヒュース」
「......こんな原始的な戦いに、何を言うことがある?
弱いほうが負ける......ただそれだけの話だ」