少年はそこで英雄と出会う。 作:やってやる!やぁ~ってやるぜ!
さて、先ほどのヒュースの言葉に、
「『弱いほうが負ける......それだけの話だ...』何かっこつけて当たり前の事言ってんの!?ボスが気を遣って話振ってんだからもっと中身のあること言いなさいよ!!」
「別に気を遣っていったわけじゃないけどな......」
と、小南にヘッドロックを食らっている。やめたげてよぉ!!折角前々回から引っ張ってんだから少しはかっこつけさせたげてぇ!!!
「あんたもう少し自分の立場考えなさいよ!あんたたちのせいで本部の隊員がさらわれてうちの修は死にかけたんだから!」
「......こなみ、おさむはいきてる。もうすぎたことだ。」
「なに大物ぶってんの陽太郎」
「おぶっ」
小南が陽太郎にチョップをかます。微笑ましいな、何故だ?小南に睨まれた。これ以上考えるのはやめよう。
「俺をこの部屋に引っ張り出したのはお前たちだ。そっちこそ回りくどいやり口はやめろ。情報を聞き出したいのなら尋問でも拷問でもやってみればいい」
「いや、俺たちにそのつもりは無い、拷問ってのはされるほうもするほうもつらいからな。」
「ヒュースはごうもんがうけたいのか?マゾなのか?」
「玉狛の人たちはそんなことしないから安心していいよ!ヒュースくん!!私、戸山香澄16歳!!あなたは......」
わりと和気あいあいとした雰囲気になっているので上々だろう。
さて、今はどうなってる?
西岸では三人が切り結んでいた。三つ巴とはいえ、エース二人相手では熊谷がやや劣勢であった。しかし、絶望的な状況というわけではない。なぜなら那須隊狙撃手、日浦茜の位置がまだ特定されていないからである。
『茜、まだ撃っちゃダメだよ!』
「えっ!でも先輩が!!」
『村上先輩も空閑くんも向こう岸の仲間を気にしてる!絶対、どっちかが大きく動く!!動いたとこにあわせて一発勝負だよ!!』
「了解!!」
『日浦隊員まだ撃たない!』
「相手が待ち構えてちゃそりゃ撃てないだろ、村上と空閑、そして瀬田からすれば早く撃ってきてほしいくらいだ。こっち岸を最速で片づけたいだろうからな。」
「狙撃手は居場所を知られると不利になる。チャンスを待って初弾を確実に当てたいところでしょう。」
『しかし、このままでは熊谷隊員が落ちるのは時間の問題です!!』
(絶対に来る......)
三人の覚悟を知っていた熊谷はある種の確信を抱いていた。
(絶対に......)
『......来た!!』
村上と熊谷が同時に遊真を斬りつける。
「ちっ......」
遊真は体をひねらせながら飛んで、 何とか直撃は免れたが、 腕を大きく削られてしまった。
『茜!!』
その呼びかけに応え、日浦はライトニングで遊真を狙ったが遊真はグラスホッパーで跳ねてそれを躱す。
「そこか」
そして、日浦の位置を補足した遊真はグラスホッパーで一気に急襲する。
「(まさか、釣られた......!?)茜!緊急脱出しろ!!......茜!?」
だが、日浦は熊谷の呼びかけに応えず、バックワームを外し遊真をライトニングでまた狙った。
『緊急脱出しない方を選んだか......』
『確かに緊急脱出を選んでもいい場面です。 自発的に緊急脱出すれば的に点を与えずに撤退が可能。 ただしランク戦のルールでは“周囲半径60m以内に敵の隊員がいない場合に限る”という緊急脱出の条件があります。』
そして、遊真はライトニングをシールドで防御しながら、60m圏内に侵入した。
『空閑隊員が60m圏内に接近!日浦隊員もう緊急脱出は使えない!迎え撃つつもりか!』
『茜......!!』
オペレーターの志岐も不安そうな声を漏らす。
このままでは先程までと同じようにシールドで防ぎつつ接近され落とされることが明らかだったからである。
このままであれば......の話ではあるが、
「......!?」
日浦は遊真から3m程離れた場所を狙撃した。そこにはあらかじめ設置していた橋の爆破用の
「この距離なら......」
そして、日浦はアイビスを構え、爆風から逃れようとする遊真の腕を捉えた。
「外さない!!」
しかしそれは......
(腕だけ......!?)
遊真の囮だった。遊真の本体はそれよりも上部に脱出しており、そこからグラスホッパーで一気に日浦を狙う。
(このままじゃ......ダメだ!)
数日前......
「比企谷先輩!私に戦術を教えてください!!!」
「......は?」
日浦は八幡に戦術指南を乞いに行っていた。
しかし八幡の感触は悪い。
「いや、お前は奈良坂って師匠がいるだろ?あいつに聞いちゃダメなのか?」
「いや......それだけじゃ足りない気がして......A級に最速で上がった比企谷先輩ならその足りないものが何かわかるかな......?と。だって今シーズンで私、私どぅわああああ~!!!!!」
その日浦の大きな泣き声に自然と視線が集まる。
「ちょ、ちょっと待て!!聞くから!!!話聞くから!!!!泣くのヤメテ!!!!!!」
日浦は八幡に自身の親が危険を考えて三門市から離れようとしていること、自分もボーダーを辞めなくてはならない事、その為に悔いの無いように今までで一番を取ろうとしていること......その全てを話した。
「なるほどな、話は分かった。」
「あ、ありがとうございます!!」
日浦は満面の笑みで八幡に礼を言うが......
「だが、協力するとは言ってないぞ」
それは意味が無かった。
「な、なぜですか!?」
「お前は多分、ボーダーでずっとやってきたスタイルがあるだろ?今、こんな途中にそれを変えようとすれば絶対すぐ落とされる。なじむ暇がないからな。だからオススメはしない。」
八幡の正論だが、それでも突き放すような言い方に日浦はめげずに聞いた。
「でも......少しでも!!強くなりたいんです!!!」
八幡はその姿に見覚えがあった。
『俺は......俺のせいで親父が死んだから、強くならなきゃいけないんだ』
義弟の悲痛な願い、それを八幡は全力を尽くして叶えたが、それがあっているかは未だにわからない、だがその目をしている人が、本気で強くなろうとしている......これだけは、八幡は誰よりも知っていたのだ。
八幡は頭をポリポリかきながらいった。
「ついてこい、一発ものぐらいなら何とか様にはなんだろ」
「はいっ!!」
『狙撃手は寄られたら終わりだ。だからこそ寄られないように隠れんだが、これは言うなればどうしようもなくなった時の対処法だな。いいか、一度しか言わんからよく聞けよ......』
(勝負は攻撃手が仕掛けてくる一瞬......ココ!!)
遊真が日浦を切ったその一瞬後、日浦が遊真を巻き込んで爆発した。
『日浦隊員が爆発!?こ......これは......』
『なるほどバックワームはこのために外しておいたんですね、おそらく日浦隊員は背中とかに
『戦闘体活動限界、
「......っ!」
遊真はシールドをとっさに張り何とか致命傷は避けたが、腹と足がだいぶ削れてしまった。
『一歩及びませんでしたね。』
『相打ちを狙った日浦隊員!しかし空閑隊員防ぎ切った!しかし腹と足を削られる大ダメージを負ってしまった!!!!』
『......?なんか違和感がある?でも玉狛もそうだが......くまもそろそろ限界だぞ』
西岸で遊真が抜けた攻撃手の戦闘では熊谷が片腕を斬られたが、
『不利になっても崩れない気迫!先程の日浦隊員もそうでしたが今日の那須隊の戦いにはいつもよりさらに気持ちがこもっているように感じます!太刀川さんはどう見ますか?』
『気持ちの強さは関係ないでしょ。勝負を決めるのは戦力戦術あとは運だ』
『そうですか?気持ちが人を強くすることもあると思いますけど......』
『それは多少はな、けどそれだけで戦力差がひっくり返ったりはしない。気合いでどうこうなるのは実力が相当近い時だけだ。もし気持ちの強さで勝ち負けが左右されるってんなら......俺が一位になれるはずがない』
『うわー嫌な一位』
『でも展開自体はちょっと面白いな、
熊谷は打ち合ってレイガストに弾き飛ばされたように見せ、飛びのいた。
(村上先輩の間合いを外して......レイガストが割れるまで叩き込んでやる!!)
そして、村上のレイガストに向けて
「スラスターON」
『ベテランに付け焼き刃はあんま効かない......お?』
スラスターでレイガストが熊谷に迫る。
「付け焼き刃にやられるわけにはいかない。」
そして、
すると次の瞬間、村上の首が落ちた。
「友子に注意を向けすぎたね、鋼さん」
「瀬田......!来馬先輩、太一、すいません。先に落ちます。」
薫が熊谷に意識を逸らして村上に接近し、その首を落としたのだ。
そして、薫は橋の方を向いた。
「君の方から来てくれるとは、意外だったよ......遊真」
「隊長の許可がおりたんでね。今回はあんたと遊んで行く」
すると、薫は頷いて
「ああ、目一杯遊ぼうか」
そして、戦闘が始まった。