少年はそこで英雄と出会う。   作:やってやる!やぁ~ってやるぜ!

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終結

 

「圧倒的不利な状況から一矢報いた来馬隊長。さらにギリギリまで粘り二点をもぎ取った弦巻隊長。実質六対一で単独三得点を挙げた那須隊長。どの隊長も最後まで意地を見せましたね。」

 

「三雲の狙いは最初から那須のトリオン切れだったわけか。雨取を逃がして全滅のリスクを減らした上で、自分は欲張ってもう一点を取りに行った......なるほど、こいつは確かに曲者だ」

 

 

 

那須隊

 

「那須先輩!!」

「おつかれさまです」

「大丈夫?」

 

熊谷たちが緊急脱出(ベイルアウト)したての那須に駆け寄る。那須は体が弱く、小さい頃から病床に伏しトリオン体に換装しなければ満足に運動も出来ないのでこの心配は普通だろう。そして那須は悔しそうに俯きながら言った。

 

「ごめん......四点取れなかった......」

「何言ってんの」

「四人相手にすごかったです!!私、ちゃんと熊谷先輩のサポート出来なくて......!どぅわあぁ~~~~~~~!!!!」

「はいはい、泣くな泣くな」

「ははは......ごめんちょっと......」

 

そういうと熊谷は作戦室から出ようとする。

 

「くまちゃんどうしたの?」

「ああ、ちょっとトイレ......」

 

 

熊谷は作戦室から少し離れたところで立ち止まった。

 

(玲は一人で三点とった。茜も一点空閑君からもぎ取ってる......後は......)

 

熊谷は自分の頬をパチンと叩いた。

 

「...しっかりしろ、私......」

 

 

 

 

 

弦巻隊

 

「こころんすご~~い!!!那須先輩倒したよ!!!」

「やったわよイエ~~~イ!!」

 

隊長の弦巻に北沢が満面の笑みを浮かべて駆け寄りハイタッチを交わす。

 

「いやまあ、こころには毎回驚かされるというか......」

「す、すごいよこころちゃん!!」

 

珍しく浮かない顔で薫も話しかける。

 

「すまないね...駆けつけられなくて......」

「大丈夫よ!!誰だって負ける時くらいあるわ!それに......」

 

弦巻は薫にニコッと笑いかけた。

 

「次は勝つ......そうでしょ?」

「(全く...このお姫様はどこまで......)ああ、もちろんそのつもりだよ」

 

 

 

 

 

玉狛第二

 

遊真と千佳が作戦室に入って来て修と宇佐美はそれを迎える。

 

「ふい~~~手ごわい相手だった」

「空閑、千佳」

「 2人ともお疲れ様~~~」

 

宇佐美は千佳の頭を撫でて、修は遊真に話しかけた。

 

「千佳ちゃん大活躍だったね!最後まで残ったしえらいぞ!」

「ありがとうございます」

「瀬田先輩に勝ってくれてありがとう。助かった。」

「隊長の指令とあらば。それにオサムだって取ったじゃん狙い通り生存点2点」

 

遊真の返答に修は言葉を詰まらせるが

 

「それはそうだけど......」

「あっ解説のまとめがはじまるよ!見よう見よう!」

「おっ、迅さんとたちかわさんのか、見よう見よう」

 

解説のまとめによりその会話は途切れた。

だがその修の劣等感、自らが点を取ることが出来なかった事実は修の胸にくすぶることになる。

 

 

 

 

 

『暴風の河川敷という特殊なステージ。最終的にそれを味方につけた玉狛第二の勝利となったこの試合。改めて振り返ってみていかがでしたか?』

 

「あんまり予想が当たんなかったなあ~~やっぱ東さんみたいにはいかない」

 

『もうちょっとマジメに!』

 

「マジメに?OK。一番でかいポイントはやっぱ橋が落ちたところだな。身を切って那須隊の作戦を阻止した玉狛の思い切りはなかなか。あれがなかったらたぶん那須隊が勝ってた。最初の転送位置がかなり良かったからな。」

 

『橋が落ちることですべての部隊が東西に分断される展開となりました。ではまず西岸の方からお願いします。』

 

「個人的に西岸のポイントは那須隊の二人が逃げなかったことですね。日浦隊員が一点熊谷隊員は点を取れずに退場しましたがそれぞれしっかりと時間を稼いでるんですよね。二人が即逃げで緊急脱出(ベイルアウト)していたらその分西岸の勝者が川を渡る時間が早まるわけで、そうなると那須隊長が東岸で3点をとるのは難しかったでしょう。上位陣に追いつくには失点よる得点が大事。

まあこれはあの那須隊長を守り、その那須隊長から一点もぎとって弦巻隊長の判断と同じようなことですね。まあ結果的に玉狛と鈴鳴に一点ずつ取られましたが、トータルでは悪くない判断だったと思います。」

 

 

解説を聴いていた那須隊の日浦、熊谷もその言葉で自分たちのしたことはあながち間違いではないことを知覚する。

 

『続く玉狛と弦巻のエース対決は、瀬田隊員が常に優先に見えましたがこれはどのような勝負だったと思いますか?』

 

「そうだな、まずここに入る前。瀬田に村上が落とされたときに試合が大きく動いた。鈴鳴がエースの援護をもらえなくなったからな。で、次。弦巻隊はまず転送位置が悪かった。北沢が空閑と近すぎた。あいつは強いが戦闘を始めてまだ四か月程度、対して空閑はどこで経験を積んだのかわからんがベテランクラスだ。あいつが死んでなかったら大分展開も変わったと思うぞ。そんで、瀬田。あいつが強いのは乱戦、せめて空閑より少し橋が遠い地点ぐらいなら一対一対一対二の構図になってた。この乱戦なら瀬田は多分最低でも二点、普通に狙撃手にも撃たせれば四点だって狙えた。あいつの副作用(サイドエフェクト)は凶悪だからな。でもそこに間に合わなかったのが一つ。そんで多分弦巻は西岸で薫も加わらせて最後の特攻に行きたかったポイな。だから最後に読み違えた感じだが......空閑を倒して瀬田が渡ってたらそれはもっと刺さった。別に弦巻の判断は決して間違ってない。どっちかというと勝てる相手に負けたエースの瀬田が悪い。」

 

 

「ごもっともだね」

「太刀川さんって薫さんにだけ厳しいですよね」

「き、きっとそれだけ買ってくれてるってことだよ!」

 

 

『成程。さて次は東岸の射手・銃手・攻撃手対決ですが......』

 

「こっちはもっと単純だな。那須にとって三雲はサシならいつでも倒せる相手で実際その通りになったけど、三雲は「倒す・倒される」とは別のところで戦ってたわけだ。最初の接触で那須とまともに打ち合うのはきついとみてすぐさまトリオン切れ狙いに変更した。戦力差をよくわかってる感じがいいな」

 

『雨と風で長距離狙撃が封じられた雨取隊員を地形への攻撃のみに絞って動かしたのも印象的でした。おそらく雨取隊員は一度も那須隊長の射程はいっていないはずです』

 

「戦闘能力は那須の方が上だが隊長として「勝ちの画」を書く力は三雲のほうが上だったってとこか」

 

「那須隊長はリーダー兼エースだからやっぱり負担が大きいんですよね。木虎を新エースに添えて戦績が上がった嵐山隊みたいに、那須隊長の他に点取り屋がいると大分変わるんじゃないかな。攻撃力という点では今回のアドリブの炸裂弾(メテオラ)がいい感じだったので、しっかりとものにすれば強力な武器になりそうですね。」

 

『最後に一点、二点をもぎ取った来馬隊長、弦巻隊長の戦いぶりはいかがでしたか?』

 

「あれはちょっと驚いたな。前までは村上が落ちたのはもう終わりって感じだったけど、今回は来馬が最後の最後まで粘った。大規模侵攻となんかちょっと変わったか?村上が来馬と太一の面倒をみなくてよくなるなら、鈴鳴がもっと上に上がってくるぞ。

あと弦巻隊長、これもびっくりしたよ。あいつはわりと勝ち目のない戦いでもガンガンぶつかってくるやつだったからな。そんなやつが、最後まで耐えて耐えて二点取った。こいつもやっぱりなんか大規模侵攻で思うところがあったんだろうな。」

 

『今回は敗れた三部隊ですが戦闘で部隊が分断されたことで逆に進化の兆しを見ることができたと言えそうですね。そして5得点で見事勝利した玉狛第二。夜の部の試合の結果次第ではありますが、上位グループ入りの可能性が高いとみていいでしょう。A級予備軍と言われるB級上位チームにどう挑むか。次の試合にも期待がかかりますね。』

 

 

 

 

 

さて、遊真は薫に勝ったか。

 

 

「ねぇねぇ八幡先輩!私にも戦術教えてくださいよ!!」

「うるさい」

 

服を引っ張るなよ!伸びちゃうだろうが!!......戦術か、そうだな......

 

「あそこで暇そうにしてるヒュースに聞いたらどうだ?」

「......!?」

 

いや......ホントめんどくさいとかじゃないから。ヒュースがこの世の終わりみたいな顔してるけど俺もたまの休日にプリキュア見たいとかじゃないから!!!!

 

「あれ?ハチ師、メール来てるよ?」

「あ、ホントだ。なんだ......?」

 

俺はまだ知らなかった。このメールから休日が消えるくらいじゃ済まないことになるなんて......

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