浦原喜一の転生生活   作:わさび醤油

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第一話:女神なんていなかった

このお話は、僕が死ぬ場面から始まる。

 

 

死ぬ場面。あるいは、殺される場面とも言い換えられる。

冒頭一行で、翌日晴れて15歳になるはずだった僕はあっさり殺されてしまうのだ。……ああいや、だからって死にきれずにゾンビとして街を徘徊する話というわけではない。

そもそも僕の生まれ育った土地は、僕の殺された土地は、高層ビルどころかスーパーマーケットすらないドのつく田舎である。

だからつまるところ、殺された僕は転生したのだった。

 

転生。

生まれ変わることである。

僕が愛読していたライトノベルではしばしば、一度死に、ゲームのような魔法や勇者という概念のあるいわゆる異世界に産まれることを異世界転生と呼んだが、今回に限ってはそうではない。

言うなれば、普通世界転生だ。

え?

自演乙?

なにを失礼な。

僕は、転生と言えば人気が出るだろうと思って適当にでっちあげた作り話をしているんじゃない。現実に起きた話をしているんだ。

……まったく、仕方ない。

疑っている読者諸兄のために、長い前置きなんかせずとっとと本文に進んでみようではないか。

 

 

☆☆☆

 

僕は死んだ。

神ではなく。

……いや、神ではないかと聞かれれば、神ではないわけでもないと答えざるを得ないが、それは置いといて、だ。

とにかく、僕は死んだ。殺されたのだ。

 

誰に?

実の父親に。

家庭環境が悪いつもりはなかった。欲しいものは結構買い与えてくれたし、そのおかげで立派なオタクに育った。僕も親の言うことはちゃんと聞いていたはずなのだが。

しかし、考えても殺されたという事実は変わらないので、これも置いておこう。実のところ、どうして殺されたのかよくわからないのだ。

さて、意識が薄れてきて、「ああ、僕はこのまま二度と目が覚めなくなるんだなあ」といやに冷静に考えていたのだが。

僕は普通に目を覚ました。

しかし僕ではなく、別の人間として。

 

ぼんやりとした視界の中で揺れる男女は、僕のことを『キイチ』と呼んだのだ。15年弱呼ばれ続けたものとは違うその名で。

完全に僕を見ながら呼ぶものだから訂正してやろうと思っても、あーだのうーだのしか言えない。それに、伸ばした手がやたら短い。

目の前にいる男女は20代から30代のようだし、これはもしかしなくとも……。

 

「いやー、乳幼児って見たことなかったっスけど、こんなにちっちゃいもんなんスね……!」

「おお、儂も感動しとる……」

 

はい確定! 僕赤子決定!!

おいおい、転生しちゃったよ僕!

こういうのは知ってる漫画とかの世界に転生するのが定石だが、どれだろう。Fairy Headか? 泣虫ぺダルか? 大穴で桜蘭高校ソフト部?

って、周りを見回すとかなり和風っぽい家だからファンタジーと洋風の世界観の作品はないか。魔法とか使ってみたかったのに……。

 

しかし、まだ学園ものが残っている!

何を隠そう、僕は学校に行ったことがないのだ。一人で家に引きこもるばかりの生活を続けていると、自然と物語の中の楽しい学園生活に憧れも出てくるというもので。

生まれ変わったら学校に行って友達と放課後何か食べながら帰るのが夢なのだった。

フハハ、待っていろ学園生活! 新しい部活を立ち上げて5人くらい馬の合う友達を集めてワイワイ楽しく日々を過ごしてやるからな!

 

「お、笑ったぞ!」

「何か面白かったんスかねえ?」




ここまででお分かりの方もいらっしゃいましょうが、「浦原喜一の転生生活」は「神と呼ばれた少年は平穏な日常を夢見るか」のリメイクとなっております。
とはいえ、設定も性格も全くと言っていいほど違うため、こちらのみでも問題なくお読みいただけます。あっちを読まないでいたほうが面白いまである。設定違うとは言っても軽いネタバレにはなると思うのでね……。
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