浦原喜一の転生生活   作:わさび醤油

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第七話:人工的な味の血 #とは

「今日寝言言ってたっスよ、よくわかんなかったけど」

 

身体が半分こされるというめちゃめちゃ怖い夢を見た日から数日。今日も今日とてほとんど昼みたいな時間に起きて部屋に行くと、喜助さんがそう言った。

うん、心当たりがなくもない。この世界に転生してから頻繁に見る()()()の夢を、昨夜もまた見ていたのだ。

 

「あー、父親に殺される夢見ちゃって」

「なんちゅー殺伐とした夢見てるんスか……。というか、アタシが?」

「ううん、違う人。夢では親は変な新興宗教の教祖みたいな人で、僕はその宗教の巫女さん的立ち位置」

 

 

 

神社の中で、父親が何かに怯えながら言う。

 

「君は本来、いてはいけない存在だったんだ。なのに僕は」

「あの、なんのお話でしょうかお父様。それに外がなんだか騒がしいようですが……」

「……気にしなくていい。せめて安らかに眠ってくれ」

 

穏やかに笑ったと思ったら、首あたりに激痛。外で何が起こっているのかわからないまま、父親の話が理解できないまま、それでも一つ、僕は実の父親に殺されたことだけを知った。

 

 

 

「壮絶な夢っスねえ……」

「うーん、よく見るから慣れちゃったや」

「あらら……。あ、じゃあそんなアナタにオススメなのはコチラ! これを飲めばお腹もいっぱい夢もいっぱい、今なら2本で1980円っスよ!」

 

喜助さんがどこからともなく箱を取り出し、流暢に語り始める。それはさながらジャ○ネットたかたのあの人のようで、しかしその何十倍も怪しかった。

いつの間にか隣にいた夜一さんも眉根を顰めて疑わしそうにそれを見ている。

 

「うさんくさっ! その格好でさらにうさんくさっ!」

「効果が具体的でないところがいかにもって感じじゃな」

「ささ、これを。ぐいっと行っちゃってください!」

 

差し出されたのは小さめサイズのコップに入った血、のようなもの。前世でも飲んではいたけど、普通の人は血なんか飲まないんじゃなかったっけ……?

 

「どうっスか?」

「うーん、美味しいけど……なんか人工的な味?」

「ほっほう、人工的……と。では、今まで人工的でない──つまり天然らしい味のそれを飲んだことがおありで?」

「えっと、」

 

前世では月一行事のように飲んで、って危ない! 誘導尋問よろしくスルッと前世について答えそうだった。

前世で血を飲んでたとかいう中学生も飛んで逃げ出す恥ずかし発言を親にするなんて、いつまでネタにされるかわからない。

発言は慎重に、これ生活の基本。

 

「夢で飲んだような……気がする?」

「夢でっスかあ。たまにありますもんねご飯とか食べる夢」

「それは起きたら腹一杯になってたりせんのか?」

 

見事にはぐらかし、全く違う話にシフトする。

これでこれから変な寝言を言っていても、「夢ならしょうがないな」となるはず。なんて完璧な作戦。

しかし、あの夢は心臓に悪いから早々になんとかしたい。怖い夢を見ない方法のようなものがないだろうか。当面の目標は本屋に行くことと悪夢を見ないことになりそうだ。

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