それは、僕が朝食のホットケーキと牛乳で優勝していたときのことだった。
「いっちゃん、本を読むんじゃったら図書館に行った方がよくないか? アニメの本もあるじゃろうに」
浦原喜一に電撃が走る!
図書館。名前は知っているのだ。伊達に15+5年生きてない。……人より経験が少ないのは自覚しているが。
それなのになぜ図書館に行くという選択肢を思いつかなかったのかと言われると、単純に「図書館ってやたら難しい本しかないと思ってた」と言わざるを得ない。え、漫画とかあるの? 初耳なんだけど。
ちなみに夜一さんの言う「アニメの本」とは漫画のことだ。何度訂正しても直らないし本人も「年寄りじゃからしょうがないんじゃ」と言っていたから諦めた。
ということで場所は変わって図書館である。
予想より全然近かった。5歳児の足でも散歩レベルで着けるなんて、これはもう毎日来いと言われてるようなもんだろう。
そして中に入るとびっくりするくらい本ばっかり。僕二人分以上あるかもしれない本棚がそこらじゅうにそびえ立っている。そこには想像していたような辞書、図鑑、難しい学術書もあれば、かわいい女の子が表紙のライトノベル、果てには絵本まであった。
「お気に召したようじゃな」
「いや、いや、これ……すごくない? すごい……。めっちゃ本あるんだけど」
「普段5歳児とは思えない語彙力なのに急に言葉を忘れましたね」
夜一さんと喜助さんの二人は、僕に一人で行かせると何時に帰るかわからないとのことで着いてきた。過保護だと思ったが正直何時に帰るかわからないのは僕もだったので大人しく従うことにしている。
さて、それはもうたくさん本を読んだしなんなら一人で借りられるギリギリまで借りたのだが、図書館での10時間は本を読む以外していないので割愛である。
唯一特筆すべきところは、昔読んでいたラノベの大半が最終巻まで出ていたところだろうか。最終巻まで一気読みするの最高だった。それに好みの本もたくさんあり、人生がまた一つ豊かになってしまった。どうしようこれ、マジで毎日通うことになるぞ。
そして、三人で浦原商店への帰路に着いたのだが。
「カンナギ!」
「
もう呼ばれなくなったはずの名前を呼ばれて振り返ると、もう会えなくなったはずのひとがいた。美しい黒髪に、目を引く鮮やかな赤い瞳。すっと伸びた背筋。会うときはいつも綺麗に着付けられていた着物は今は少しはだけているが、その気品と美貌は全く失われていない。
その姿はどこからどう見ても、前世僕たちが崇め奉ってきた『神様』だった。