ようこそ転生者が無双する教室へ   作:ハァート

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遅れてごめんなさい。次からは気をつけます(n度目)

今回、服部君がちょっとだけ触れていますが、原作の一之瀬に必要なのはクラスメイトを切り捨てられる覚悟じゃなくて工夫する頭だと思う。
正攻法と工夫もせず安直に真正面から戦うことは全然違うからな。



食料と水の工夫された入手法

リーダーも決まったため、俺たちは早速スポットの占有をすることにした。

 

「はい、服部君。これがキーカード」

 

星乃宮先生からキーカードを受け取る。キーカードにはしっかりと『ハットリハルト』と刻まれていた。

 

「う〜ん。でも、意外だな〜。まさか、服部君が自らリーダーをやる、って言い出すなんて」

「そんな意外っすか?」

「そうだよ!だって服部君。面倒ごとは全て一之瀬さんに押し付けてるでしょ!」

「………いつ俺がそんなことしましたっけ?」

「な〜に、白ばっくれてんのよー。中間テストの時は勉強会に参加しない、5、6月のCクラスとのいざこざも一之瀬さん任せだったじゃない!」

「いや、それは……」

 

思ったより俺は一之瀬任せだったのかもしれない。まぁ、今回は本気でクラスポイントもプライベートポイントも稼ぎに行くから許してくれ。

 

「でもよかった〜。服部君のポイント履歴を見るとさ、てっきり2000万ポイントでAクラス目指してるのかと思っちゃってたのよ〜」

「いやいや、そんな事無いですよ。俺はちゃんとこのクラスと一緒にAクラスへの成り上がりを目指してます」

 

バーロー。2000万なんて大金、なんでAクラスに上がるのに使わなくちゃ行けないんだ。

 

「それに先生。歴代に2000万ポイントなんて集められた人いないんですよね?」

「そうだけど〜。服部君ならなんとかしそう、て思っちゃうんだよね〜。だって実際、今400万ポイントくらい持ってるでしょ?」

「ポイントの半分が臨時収入ですよ。それより先生、試験について聞きたいんですが、リーダーは精神的な理由でリタイア出来ますか?」

 

二次創作あるあるのリーダーは仮病でリタイア出来るのか問題を聞いていく。

 

「………リーダーには責任が伴うわ。普通の生徒ならともかくリーダーは肉体的な理由でのリタイアには、一見して判断出来るような状態じゃなければ、メディカルチェックを受けてもらう事になる」

「俺が聞いているのは精神的な理由です。慣れない生活で鬱になる、他クラスからの妨害でノイローゼになる、責任感に押し潰されて鬱になる、などの可能性があると思いますが」

「現代の科学では心理的に傷を負ってるかどうか分からないと思うわよ」

「……答えになってない気がしますが」

「私からはこれ以上答えられませーん」

 

ふむ。先生が言える範囲で俺にヒントをくれて、精神的な理由でリタイア出来ると暗に答えてくれた。そう考えていいだろう。これでも味方だしな。

 

 

 

それから俺たちはスポットを3つの占有した。洞窟、小屋、塔の3つだ。占有する時はまずスポットを周りで囲む→誰かがスポットを占有するふりをする→囲む人と占有したふりの人が入れ替わるのを繰り返していき、俺の時だけ、本当にスポットを占有する。って感じだ。占有する時にいるメンバーは固定で俺、神崎、姫野、安藤、南方の5人だ。

 

「よーし、これで終わりだね〜」

「わざわざ悪いな、面倒事に付き合わせてしまって」

「ホントよ。なんで私まで………」

 

めんどくさいそうに愚痴を言う姫野。それをニヤニヤしながら見る安藤と南方。何があった?

 

「ふふふ、やっぱり信頼されてるからじゃな〜い?」

「そうだよそうだよ!やっぱり本当は付き合ってるんでしょ?!」

「はぁ!?な、何言ってんのよ!?つき合ってないから!!」

 

姫野が安藤と南方に揶揄われる。すまん我慢してくれ、姫野。ちょっとだけ優秀な、敵としてそこそこ歯応えがある凡人アピールにお前が必要なんだよ。

 

「お前ら、早く森で探索に行くぞ」

「「はーい」」「おう」「はいはい」

 

 

神崎の指示に続き、俺たちは森の中へ入る。

森の中での仕事はスポット探し、食糧と水探しだな。他にも探索班は3〜5人で7班くらい作ったから、上手く行けば他のスポットや大量の食糧が見つかるかも。

マニュアルからの生活必需品購入は一之瀬に任せてある。節約方針で無駄な物は買わないように言ったし、面白い工夫を見せてポイントを上手く使うことを期待してる。

 

 

「思ったよりあんまり見つからないねー」

「しょうがないよ、まだ探し始めて30分くらいだし」

 

食糧を探しているが中々見つからない。今のところトマトと木の実、メロンくらいだ。だが、ここで諦めるわけにはいかない。周りをもう一度よく見渡してみる。生い茂った草むらに、てっぺんが見えないほど高い木。スポットらしきものも見つけられるない。食べ物も草むらの中に巧妙に隠されていることがあるからわざわざ草むらの中に食べ物があるか探さないといけない。クソ面倒だ。

 

空を飛べたら、簡単に食べ物なんか見つけられるのに。そんな下らないことを考えてしまう。

………やばいな。変なこと考えてないで少しでも多く食べ物を探そうとした方が有意義だな。そう思って俺はもう一度、木に実が成ってないか確認しようとして…………………

 

「あっ!!!」

「うっさ。………どうしたの?」

 

俺が大声を上げて、隣にいた姫野が迷惑そうにしている。

他の3人も俺の方に意識を向けてくれてるしこれは言うしかないな!俺の発明を。

 

「神崎!あと、南方!お前らさ、木に登って上から食べ物あるか確認出来る?怪我する可能性があるなら無理にしなくていいから」

「!なるほどな……!任せろ、それくらいならこなしてみせるさ」

「またもや運動神経抜群の私の出番ってわけね!勿論任せてよ!」

 

2人は意気揚々と木に登ってくれる。………南方登るの早くね?猿かよ。まぁ、女の方が柔軟性とか高いらしいし、こういうのは得意なのか?

 

それからはすいすいと食べ物が集まって5人が抱えきれないほどの食糧が集まった。そこで神崎がジャージを結んでバックがわりにすることを提案し、集めた食糧を全て回収出来るようになった。俺たちは満足できる成果を持ってベースキャンプに帰った。

 

 

 

 

午後4時頃。洞窟に戻ったが、違和感を覚えて一之瀬へ話しかけに行った。

 

「なぁ、一之瀬。なんでまだ物資が届いてないんだ?」

「えぇっと………その。まだ明るいし、一応服部君に最終確認取ろうかなって…………」

 

それくらい別に俺に確認取らなくても勝手にやってくれていいのに………。少し申し訳なさを感じながら、マニュアルを見る。ん?

 

「なぁ、これ。仮設シャワーじゃなくてウォーターシャワーの方がいいんじゃない?」

「あ、服部君もウォーターシャワーの事知ってるんだ。私も浜口君からウォーターシャワーの詳細を聞いたんだけどさ、水が簡単に確保出来ないから難しいんじゃないかなぁ…と思って」

 

ここでベースキャンプを井戸にしなかった弊害が出てきたか。

 

「服部、一之瀬。話の途中悪いが、報告がある」

「ん?どうした?」

 

なんだろう。良い報告であることを望む。

 

「周辺にスポットと飲み水を確保出来そうな場所がなかったそうだ。このままだと一週間水を買わないといけなくなる」

「あちゃー。そっか。まぁ、洞窟があるからテントは買わなくていいし、スポットも3つ取れてるからそこはしょうがないんじゃない?」

「そうだな。これくらいは妥協すべきか。一応、少し離れた場所に川は見つけたそうなんだが、既にDクラスが占有していたそうだ」

 

ッ!!

神崎の何気ない発言で俺はこの状況の打開策を思いつく。

 

「安心しろ。水はどうにかなりそうだ。とりあえず仮設シャワーはウォーターシャワーに変えて選んだ物資を購入しとけ。俺は今からDクラスに交渉しに行く」

 

俺は不敵に微笑み、そう言った。

 

 

 

 

 

川の上流に案内してもらった後、俺は星乃宮先生と2人で川に沿って下流に向かっていた。数分歩くと喧騒が聞こえて来て、Dクラスの姿が見えてきた。星乃宮先生をDクラスから見えない所で待機させ、1人でDクラスの方へ向かう。   

ここは堂々と龍園エミュで行こう。

 

「よう、不良品ども。久しぶりだなぁ」

 

Dクラスの奴らが一斉にこっちを向く。

 

「へぇ。良いスポット押さえてんじゃねえか」

「何の用かな。服部君」

 

平田がクラスを代表して聞いてくる。俺はDクラス全員を見渡すようにして、櫛田と綾小路の様子を見た。綾小路は相変わらずの無表情。櫛田は不安な様子のDクラスの女子に寄り添っている。うーん、流石天使。

 

「お前らにとって美味い話を持ってきた。要するに交渉だ。っても聞かせるのは代表者だけだがな。平田、櫛田。話を聞く気があるならこっちへ来い」

 

俺の言葉を聞いてDクラスがザワザワし始める。

 

「美味い話ってなんだ………?」

「そもそも信用出来るの?」

「良い話なら聞いていいんじゃねえの?」

「はぁ?飲み水の事といい適当な事言わないでよね」

「適当ってなんだよ!それに今そのことは関係ないだろ!!」

「関係あるわよ!」

「2人とも落ち着いて!」

 

ガキかよ!ってツッコミたい。

 

 

「平田君の言う通りだよ。中間テストの時を思い出して。服部君の話にはきちんと私たちにも利益がある筈だよ!」

 

いいぞ櫛田。いい感じに皆を誘導してくれている。

 

「待ってくれ。中間テストの時の様な感じなら、あいつから聞かなくても俺たちだけで『美味い情報』とやらに辿り着けるんじゃないか?」

「幸村君。『美味い話』だから情報とは限らないよ。一旦私と平田君でその話を聞いてみて、私たちに利益が無いと思ったら交渉を断る、って感じでどうかな?」

「………そうだな。分かった俺は櫛田の案に賛成する」

 

こうして櫛田による巧みな誘導が成功しようとした時………

 

「待ってくれないかしら」

「………どうしたのかな?堀北さん」

「あなた、私たちを誘導しようとしてないかしら?」 

 

おっと? さっきとは違う意味でまたザワザワとした空気になる。

 

「ごめん堀北さん。何を言ってるのか全く分かんないや」

「そうだぜ、堀北ちゃん。桔梗ちゃんがそんな悪巧みみたいなことするわけないじゃん?」

「…………それもそうね、何でもないわ。気にしないでちょうだい」

 

なんか櫛田に違和感を覚えたのか?

てかそれなら警戒されないように黙ってて、決定的な証拠を掴みに行った方が良かった気んじゃないか? いやワザと言う事で圧をかけようとした?

今気にしても仕方ないか。

 

特にこのまま櫛田に反対意見も出ず、平田と櫛田の2人が俺の方に来た。

 

「ハッ。話を聞くかどうかでこんなにも時間がかかるとはな。まあいい。具体的な話をするぞ。ついてこい」

 

そう言って少しだけ歩いて星乃宮先生の所へ行く。

 

「ヤッホー」

 

一瞬だけ「げ」って顔をするが、すぐに取り繕う櫛田。確かに星乃宮先生って櫛田と似てるし、同族嫌悪とかで苦手そうなタイプだ。

 

「こんにちは!星乃宮先生」

「うんうん!櫛田さんは今日もかわいいね〜」

「そんなことないですよ!それより先生の方が綺麗で大人って感じがしますよ!」

「えぇ〜。そう〜?」

 

なんか怖い。よく分からんけど怖い。

 

「それで服部君。話って何なのかな?」

 

平田も同じ事を思ったのか俺に話を振り、女のバチバチとした会話を中断させる。

 

「簡単な取引だ。俺がお前らにBクラスのリーダーを教える。その見返りとして、お前らはBクラスに川のスポットを使用する許可を出す。それだけだ」

「リーダーって………本気かい?」

「当たり前だろ。言っとくが今俺のポッケにはキーカードが入ってる。嘘はつけねえよ」

「服部君……本気なの?」

「ああ。ただし、もう一つ条件がある。この契約を試験終了まで誰にも漏らさないこと。勿論、クラスメイトにもだ」

「で、でもそれだと皆が納得出来ないかもしれない……」

「それでも無理矢理納得させろ。俺たちがお前らのスポットで急に釣りとかしだしても何も言わせるな」

「服部君から教えられたリーダーの名前を皆に言わないでくれ、と言うならまだわかる。でもどうして契約内容も言ったらダメなんだい?」

「理由はシンプルだ。俺がクラスを売ったってのを他クラスに少なくとも試験終了まで知られたくない。ついでにこれはお前たちのためでもある」

「どういうことかな?」

「龍園たちCクラスに俺がDクラスにリーダーを教えたって知られてみろ。あいつなら平気で暴力を振るってでもお前らからBクラスのリーダーを知ろうとするぞ。……実際にDクラスの奴らがリーダーを知っていてもいなくてもが関係ない」

「いくらCクラスでもルールを破ってまでペナルティのリスクを負ってまでそんなことしないんじゃ………」

「ここは無人島。監視カメラは全然ない。証拠なんて滅多に出ないぞ。……まぁ、詳しい奴に聞けば早いだろ。櫛田。お前Cクラスとも仲がいいやつ多いよな。実際の所どう思う?Cクラスの連中はペナルティを恐れて暴力を振らないと思うか?」

「平田君。正直、服部君の言う通りだと追う。Cクラスの子たちが私たちに暴力を振る可能性は全然あると思う。だから、この契約は皆に教えない方がいいかな」

「分かった。櫛田さんがそう言うなら………」

「まぁ、俺たちも川の上流の方を使わせるし、なんなら何かしらの契約をしたって事実とその結果俺たちが川を使っていいことになったってのは言ってもいいぞ。俺がバレたらまずいのはクラスを売ったってことだけだからな」

 

この後、星乃宮先生の下で以下の契約が行われた。

 

『1.服部晴秋は平田洋介、櫛田桔梗にBクラスのリーダーカードに刻まれたリーダーの名前を見せる

2.1の見返りとしてDクラスは川のスポットを占有中、Bクラスに川のスポットを使用する許可を与える

3.1の内容を試験終了まで平田洋介、櫛田桔梗の2名は誰にも教えてはならない』

 

はぁ〜。無事済んでよかった〜。ついでにだけど、ここで1の内容を『BクラスはDクラスに洞窟の使用を許可(洞窟内での寝泊まりの許可)する』とかにすると一之瀬が好きそうな正攻法の中での工夫、って感じになる。

 

原作でBクラスは井戸だったが、これを使ってAクラスから洞窟での寝泊まりを許可してもらって、ポイントの出資を抑える(Cクラスより早くAクラスと交渉する必要がある)とか、Dクラスが川の水を飲むかどうか揉めてる時に颯爽と現れ、井戸水を提供する代わりに20ポイント分くらいの物資を提起してもらう(普通なら無理そうだけど一之瀬のコミュ力ならいける。むしろここで無敵のコミュ力を発揮しないでどうする)、とか色々出来たと思う。

ルールの穴を利用する裏の様な戦い方じゃなくて、ルールの中で最大限工夫する。今は無理でも将来的に一之瀬にはこれくらいのことは出来てもらわないと困るぞ。

 

一之瀬の将来に期待しながら、俺は星乃宮先生と洞窟へ戻った。




1巻で櫛田が自分を嫌いながら話かけてきたことに気づいた堀北ならこれも気づくかもな、と。ただ、実際櫛田もボロは出してませんからね。上手く問い詰められる証拠もないし、風邪で疲れてるし、そもそもあの場では服部君の話を聞かない、以外で櫛田の案よりまともな案はなかったから引き下がるしかなかった。場を乱しといて謝りもせず、何でもない。と言うだけなのはマジ初期堀北って感じです。

後、一之瀬が服部君が来るまで物資を頼まなかったのは伏線ってより考察、妄想に近いんですけど。一之瀬ってなんか無意識に責任とかリスクを逃れようとしてる節ありませんか?

例えば、11巻(11.5巻)で龍園を訴えようとしなかったり。2年生4.5巻でポイントをクラスから集めるくせにポイントの使い道を考えようとしなかったり。

感想と高評価くださーーーーい!!!!

服部君のラブコメルート2

  • 皆と付き合う(R18なし)
  • 皆と付き合う(R18は番外編で)
  • 皆と付き合う(R18は本編で)

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