ようこそ転生者が無双する教室へ   作:ハァート

17 / 22
1日目終了(表)

 

櫛田、平田との取引を終えた後、洞窟に戻ると人集りができていた。

 

「おっす〜。どうしたの?」

「あっ!服部君おかえり〜。えっと、ね。Cクラスの金田君って人が来てて………」

 

南方が教えてくれた。

ああ、なるほど。スパイか。

俺は人集りの中心に突っ込んでいって一之瀬に声をかける。

 

「一之瀬」

「あっ服部君。あのね………」

「南方からもう聞いてる。追い返せよ」

「えっ?」

「金田が来たんだろ?何の用だよ、お前」

 

俺は金田を睨みつける。敵意丸出し。何かしたらブン殴る。そんな雰囲気を演出する。

 

「実はクラスのある人物と方針が別れたんです。そのせいで殴られてクラスを追い出されてしまって……。クラスに居ずらいのでここにいさせてもらえませんか? 勿論、雑用でも何でもします!」

 

金田は頬を押さえながらそう言った。頬は赤く腫れている。よく見ると爪の間に土も入っている。

 

「皆どうかな?入れてあげてもいいんじゃないかな?」

 

俺のせいで悪くなった雰囲気を一之瀬が頑張って変えようとする。ごめんね。もうちょっと続けさせてもらうよ。

 

「黙ってろ。いい訳ないだろ」

 

俺は一之瀬に強く言葉を返す。誰かが喋ろうとすると俺はそいつを睨みつけて黙らせる。

 

俺がクラスを支配している、そう見える状況を作った。

金田は俺を攻略しないとスパイ活動は難しい、そう判断してくれただろう。

 

しばし沈黙の後、金田より先に一之瀬が言葉を発した。

 

「でもさ!ほら!金田君がここにいたらCクラスは点呼ごとに5ポイント減らされるよね?そう考えたら私たちにも得があるんじゃないかな?」

 

俺は逡巡したふりをする。答えはとうに決まってる。

 

「30万ポイント」

 

「えっ?」

「俺に30万ポイント渡せるならお前が洞窟で生活することを許可してやるよ」

「ちょ!それはズルくね?!俺もポイント欲しいんだけど!」

 

柴田が発言する。ありがとう。こいつのおかげで俺が作ってしまった険悪な雰囲気が少し柔らいだ気がする。

 

俺はニヤリと笑ってクラスメイトに言葉を返す。

 

「分かってる。ちゃんとお前らにもポイントやるよ」

「「「おお………!」」」

 

よし。これでBクラスの殆どが金田がポイントを払えば迎え入れる、という選択肢を望むようになった。

 

「どうする金田?大人しくポイントを払うか?それとも居心地の悪いクラスに帰るか?」

 

金田が一之瀬の方を見る。ばーか。一之瀬もただのお人好しじゃねえぞ。今ここでお前を無料で迎え入れたら、クラスからの不満が溜まる。クラスとお前どっちを取るかなんか聞くまでもない。 

 

 

「………分かりました。ポイントを支払います……ただ……」

 

「あ?なんだ?」

 

「自分30万ポイントも持っていなくて、5万…いや、10万ポイントなら払えるのですが………」

 

おっと?何を言ってるのかなぁ?笑

 

「おお??!10万ポイント!!??低すぎねえかあ?こっちはお前の衣食住を保証してやるんだぞぉ?なぁ!?柴田!!ありえないよなあ??礼儀として30万ポイントぐらいは払うべきだよなあ?!」

 

「いや……俺は別にそこまでは……」

「神崎ー!あり得ないよなあ!?」

「勿論だ!!俺はCクラスが6月にBクラスへ行った非常識で最低で卑劣で醜悪で残酷な行為を忘れてないぞ!!なあ?!皆!!」

 

いやそれは盛り過ぎだろ!

 

「確かに……」

「30万は当たり前だな」

「6月のこと考えたらむしろもっと貰ってもいいんじゃない?」

「40万とか?!」

「いいね!それ!」

 

人は大義名分と金の前では無力だなぁ。

 

「さあどうする?金田。大人しく40万払うか?それとも1週間野宿するか?」

「えっ?なんで10万増えて……」

「おいおい勘弁してくれよ〜。あの時承諾しなかったお前が悪いだろ。物の価格ってのは常に変動するもの。違うか?」

 

「」

 

あーあ。茫然自失、って感じの表情だな。大丈夫?ここ敵地だよ。

 

「んんー?どうすんの?野宿する?蚊とか虫とか日光は大丈夫?食料は?水は?寝床は?テントなしで寝るの?クラスを離反したらしい君には全部解決不可能な問題だよね?」

「っ!」

 

ちょっとは勉強できるお前なら分かるだろ?

お前がBクラスのリーダーを知るにはスパイとして内に入るか、俺たちが占有している塔が見える場所に張り付くか。それくらいしかない。どちらにしろ俺たちに警戒されたら全て終わりだ。後者を選んで近くにテントや食料を用意するなんて間抜けは出来る筈がない。つまり本気のサバイバルしかあり得ない。龍園じゃないんだ。そこまで覚悟してないだろ?

 

「逆に考えろよ。金さえ払えば衣食住は保証する、って言ってるだろ?まあ、逆に言えば無料でお前を受け入れることは絶対ないけどな」

 

「お願いします!40万なんて大金持って無いんです!10万まだならなんとか!どうか僕にご慈悲を!」

 

助けを求めるその目は一之瀬の方を向いていた。良くないよ本当に。一之瀬が何か喋る前に俺は言葉を発し一之瀬を遮った。

 

「安心してよ金田く〜ん。一括で払えないってだけでしょ?リボ払いって知ってる?」

 

「えっ、リ、リボ払い?」

 

焦りからか金田の額から汗が流れる。なんせ星乃宮先生でさえ恐怖する凶悪な一手だ。ん?恐怖?引く、とかじゃなくて恐怖? 

 

「冗談だよ金田。普通に利子なしの分割でいいよ」

 

惨めな金田に救いの糸を垂らす。安心してくれ。俺も流石に高校生から金の取り立てなんかやるつもりはないから。………多分。

 

星乃宮先生がほっと息を漏らすのが見えた。今まで見たことないレベルの安堵の微笑みだ。もしかしたらリボ払いにトラウマがあったのかもしれない。いや、先生の為にもこれ以上考えるのは止めそう。うん。

 

 

俺とBクラスの圧力からここが潮時と判断したのか金田は諦め、俺たちに合計40万ものポイントを払うことを選んだ。

 

その後、星乃宮先生の下、詳しい契約をして

・金田悟は服部晴秋に 9月1日から月の1日ごとに20か月間2万ポイント払う

・無人島試験終了までBクラスは金田悟がBクラスのベースキャンプで生活することを許可し、必要最低限以上の衣食住を保証する

・金田悟はBクラスの指示に従い、労力面でBクラスに貢献するし、法的に許される範囲でBクラスの指示に従う

 

この3つが決まった。そして口約束でこのポイントを皆に分配することも決めた。

 

 

 

 

 

この後、暗くなるまで食料探しと薪木探しをした。釣り組と合わせて今回の食糧はそこそこ取れたらしい。それでも初日は水と食料を合わせて買うことになった。Dクラスと交渉したのに水を買ったのはペットボトルが必要だし、食料は純粋に1食分に届かなかった。

 

 

夕食中、神崎と話し合う。今は2人っきりだ。一之瀬は勿論、姫野でさえ他の女子達と楽しそうに食べている。

 

「この試験、どんな感じ?」

 

「どう、と言われてもな。突然の事が多すぎて困惑ばかりだ」

「そうか?それにしては十分上手くやってると思うけどな」

「そんなことはない。それより聞きたいんだが、結局金田を迎え入れた良かったのか?」

 

「ハハッ!マニュアルを見てみろ」

 

俺は手元にあったマニュアルを神崎に渡す。

 

「マニュアルのリーダーに関する記載の所だ。『リーダーは正当な理由なく変更出来ない』って部分」

 

その部分を見せるが、神崎はピンとこないようで俺に「どういうことだ?」と聞いてくる。う〜む……。どうやって教えようか。

 

「せっかくなら、クイズみたいにしようか。そこからこの試験の抜け穴に辿り着いてみてくれ。期限は俺が食べ終わるまでな。ついでに思いついた疑問点は些細なことでも聞いていいし、部分的に答えに辿り着けばその時点で分かった内容を教えてくれ」

 

「ああ、分かった。リーダーは正当な理由なく変更出来ない。つまり逆に言えば、正当な理由があれば変更出来る、ということか………!」

 

「いいね。じゃあ、具体的にその正当な理由とは?」

 

まあぶっちゃけ、リーダーが変更出来る、って事実自体は誰でも分かる。問題はこの正当な理由そのもの。

 

十分くらい考え続けて神崎がついに口を開いた。

 

「ポイントで正当な理由を買うってのはどうだ?」

 

早くも神崎が考えを巡らせてアイデアを出したことに、ニヤリと口角が上がる。

 

「へー、いいじゃん。悪くない答えだ。ただ問題は値段だな。俺も先生に聞いてないから分からないが百万単位のポイントが必要だろうな」

 

「先生に聞いてない?なら、服部は別のやり方を想定してるということか」

 

「ああ。ついでに言っておくがこっちのやり方だともう少し安く済むぜ。まあ、安く済むと感じるかどうかは時と場合、人によると思うけどな。俺の場合は、こっちのやり方の方が安くなると感じたな」

 

「なんだ?そのややこしい言い方は」

 

要するにクラスポイントとプライベートポイントの優先度やレートは人や状況によって異なる、って話だ。

 

「それも考えてみろ。……と言ったものの、やっぱややこしいかもしれないし、忘れていいよ」

「あのなぁ………」

「あはは」

 

呆れられながらジト目で見られる俺は苦笑いで返すしかないのだった。

 

 

 

 

十数分考え続けていたが、どうやら答えが出そうに無さそうだ。これは俺が食べ終わる方が先だな。

 

「どうだ神崎? もう食べ終わっちまうぞ」

 

最後の一口を見せながら、神崎に問いかける。

 

「分かってる。…………悪い。降参だ……」

「オッケー。答えは『リーダーのリタイア』だ」

 

「!そうか……!リーダーは必ず1人いなければならない。リーダーのリタイアは新しくリーダーを作るための正当な理由になるのか!」

 

おお〜!理解早いねえ。

 

「そういうこと!だから俺たちは金だけ貰ってラッキーってことだな」

 

これでリーダー交代の話が済んだけど、まだなにか話とかないといけないことあった気がする。なんだっけ。

 

「あ、後!合図とか決めとかないか?金田とポイント交渉する時やり辛くて仕方なかったぜ」

「いいな。一之瀬たちも呼ぶか?」

 

この後一之瀬や姫野も交えて色んなことを話した。話せない時用の合図も決めた。その後結局、一之瀬が居たので周りに人が集まって来て、クラスで表立って出来る話……夜警の当番や労働の管理、ローテーションシフトも作ったりした。

 

 

出だしとして悪くない1日だったと思う。

まぁ、まだ1日目は終わってないけどな。

じゃ、暗躍といきますか。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。