ようこそ転生者が無双する教室へ   作:ハァート

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賭け将棋

入学式の翌日。授業は初日ということもあって、授業の大半は授業方針等の説明だけだった。危うく寝そうになった。寝てないからギリセーフ。今から昼休み。俺は神崎にファーストコンタクトを行うつもりだ。

 

「確か、神崎…だよな。良かったら一緒に飯食わないか?」

「ああ、それは構わないが、どうして俺を誘ったんだ?」

「特に深い意味は無いよ。ただ、神崎と仲良くなりたいと思っただけさ。もしかして、嫌だったか?」

「いや、そうだな…別に嫌では無いぞ。飯は学食か?」

「ああ、そのつもり。じゃあ、行こっか」

 

まだ4月。今は裏の無い普通の友達として仲良くなれたら、とりあえずそれでいい。しかしここで……

 

「服部君、神崎君、今から学食?ご一緒していいかな?」

 

一之瀬だ。後ろにはBクラスの人達が20人近くいる。すげぇな。

 

「俺は構わないぞ。神崎もいいか?」

「ああ、俺も構わない。」

 

まぁ、4月の時点では普通の友達になろうとしてるんだし、2人きりで食べる必要はないか。移動中、一之瀬のおっぱいを凝視したが、揺れることはなかった。チクショウ!

 

学食で各々ご飯を購入し、上手い飯を食べながら交友を深めていく。そんな時に校内アナウンスが掛かる。

 

『本日、午後5時より、第一体育館の方にて部活動の説明会を開催いたします。部活動に興味ある生徒は、第一体育館の方に集合してください。繰り返します。本日—————————』

 

部活動か。この学校何か部活に入る気はないな。動きたくないし。でも、一応行くつもり。何故ならワンチャン綾小路と接触出来るかもしれないから。でも別に今無理して綾小路と知り合わなくても2巻で多分会えるんだよな。

 

「柴田は何か部活に入るつもりか?」

 

近くにいた柴田に雑談の話題として、部活の事を聞いてみる。

 

「俺はサッカー部に入るつもりだぜ。中学校でもやってたしな。そういう服部はどうなんだ?」

「俺は部活に入るつもりはないな。でも、何か興味ある部活があるかもだから、説明会には行くつもり」

「そうなのか、サッカー部はどうだ?」

「サッカーって陽キャがやるスポーツじゃん。俺には無理」

「そんなことねえって、楽しいぜ、な!な!」

 

なんて会話をする。このクラス、この学校の制度さえ無ければ凄い居心地がいいクラスなんだけどな。

 

 

放課後になり、Bクラスの皆で体育館に行く。綾小路に話しかけようか迷ったが、部活動説明会の後にやりたいことが出来たので、今回は接触しない。べ、別に話しかけるのにビビったわけじゃないぞ。サッカーにバスケ柔道とか弓道など部活の紹介が終わった。

そろそろアレがくるかな。何って私が…いや堀北学が来たー!(ヒロアカ風)

堀北生徒会長が舞台の上に立つ。原作通り何も喋らずずっと一年の方を見る。すると、

 

「がんばってくださ〜い」

「カンペ、持ってないんですか〜?」

「あははははは!」

 

周りから、そんな声が聞こえてくる。おいよせ、お前らっ! 戻れ!(ワンピース風)

 

俺は黙って堀北生徒会長を見る。そして弛緩した空気が徐々に変わり、場が静寂に包まれる。

 

凄い。威圧感だけでよくこんな事できるな。そこに痺れる憧れる〜。流石、唯一綾小路にアドバイスを送れるような人間だけはある。静かになってある程度時間が経った頃、

 

「私は、生徒会長を務めている、堀北学と言います。生徒会もまた、上級生の卒業に伴い、一年生から立候補者を募ることになっています。特別立候補に資格はありませんが、もしも生徒会への立候補を考えている者がいるのなら、部活動への所属は避けて頂くようにお願いします。生徒会と部活の掛け持ちは、原則受け付けていません。」

 

肌を突き刺すような空気を感じる。

 

「それから———私たち生徒会は、甘い考えによる立候補を望まない。そのような人間は当選することはおろか、学校に汚点を残すことになるだろう。我が校の生徒会には、規律を変えるだけの権利と使命が、学校側に認められ、期待されている。そのことを理解できる者のみ、歓迎しよう 」

 

一年生は一言も発することが出来ないまま、堀北生徒会長を見送ることしかできなかった。

 

部活動紹介が終わって数分後。俺たちは外に出ていた。

 

「服部君、部活に入らない子たちはこれからケヤキモールで遊ぶんだけど、服部君もどうかな?」

「あー、俺今日ちょっと用事あるから、無理。」

「そっかぁ……。また誘うねっ!」

 

ちょっとだけ、冗談めかしてしょんぼりした雰囲気を出した後、一之瀬は元気よく皆と遊びに行った。俺も用事を済ませるべく、歩き出した。

 

 

 

数分後。俺は囲碁・将棋部の部室の前にいた。囲碁・将棋部に入るつもりはない。

目的はもちろん、二次創作のど定番!プライベートポイントを稼ぐならこれしかねえ!

チートで連戦連勝。数百万ゲットだぜ!

何故か「一年生だから」と、向こうだけ賭け金を多くしてくれるご都合チート!

・・・そう賭け事だ。

 

チートオリ主達はチェス、もしくは全他のボードゲームで稼ぐのが主流だが、あいにく俺は将棋しかできない。いや、正確に言うとオセロとかも出来るんだが、毎日やっているような人たちに対して勝てる自信がない。

 

「失礼します。1年Bクラスの服部です。ここ、囲碁・将棋部で合ってますよね?」

 

部屋の中を見渡すと、7人ほどの部員がいた。

 

「うん、合ってるよ。入部希望者かな?」

 

1人の女の先輩が答えてくれた。

 

「いえ、違います。今日は別の用事できました」

 

「別の用事?」

 

「はい。ポイントを賭けて僕と勝負してくれませんか?」

「へぇ。良いよ。でも一つだけ教えてほしいな。どうやって部活でポイントを賭けるって事を思い付いたのかな?」

 

えー、めんどくさい質問だな。二次創作で知りましたよー。

 

「…………………この学校って、生徒間でポイントの譲渡が出来ますよね?でも、特に賭博は禁止されませんでしたから。それで思い付きましたね。」

 

本当かどうかは知らない。でも、この学校は暴力でも『バレなきゃ黙認!』みたいな風潮があるから『賭博法? 知らん何それ楽しいの?』ってなる可能性がある。

 

「そっか。で、囲碁にする?将棋にする?」

 

結構アドリブこいて、適当かましたのにスルー。って事は当たってる?

 

「将棋でお願いします」 

「オッケー。相手は私で良い?あ、副部長の安森です」

「はい。安森先輩よろしくお願いします。あ、掛け金って自分が決めて良いんですかね?」

「うん、良いよ。」

「では……、あっ、一つ聞きたいんですけど、安森先輩って何クラスですか?」

「ヘぇ〜。私は3年Bクラスだよ。でも、まだ4月だよ?どうしてそんなことを聞くのかな?」

 

まーた、面倒い質問きたよ。クラスなんて聞くんじゃなかった。いや、でも相手の強さを推し量るのに必要だからな。

 

「簡単なことですよ。学校にある監視カメラの多さ、店にある無料品コーナーや学食の山菜定食や自販機での飲料水。ここまで来てクラス同士で優劣が付けられてることに気付かないわけありません。」

 

言いながら、俺はしまった、と思う。これは毎月貰えるポイントが10万ポイントじゃないという根拠にはなるが、クラスとポイントが連動している根拠にはならない。

 

この情報だけならもしかしたら、評価が個人の可能性だってあるし、ポイントでクラスは変わらず「Aクラス」ではなく、「最終的にポイントが一番多かったクラス」が恩恵を受けられる仕組みだったかも知れない。

 

「なるほど。入学してまだ2日なのに凄いね。」

 

でも、先輩はそのことに気付かなかった。俺と同様に既に知っているからこそ、俺たちが知っていてもおかしくない情報や情報から推察できることと、そうでないものの区別がし辛いのだろう。

 

「あ、話戻しますけど、掛け金はまず5000ポイントでお願いします」 

 

バレない内に話を逸らす。後、自信はあるけどちょっとビビって低めのポイントで設定している。3年。Bクラス。副部長。ワンチャン負けるかもしれないからな。

 

「ああ、そうだったね。将棋をしに来たんだったね。じゃ、早速やろっか」

 

 

 

数十分後。俺は安森先輩に勝った。しかも余裕で。この対局は常に優勢だった。その証拠に俺の囲いは一切崩れていない。思ったより余裕だった。イケるな、俺。

 

「強いんだね、服部君。他の子ともやってく?」

「はい。あ、ついでに次の方との賭け金、5万ポイントに上げてもいいですか?」

 

副部長でこの強さなら他にこの人より強いのはいても1人か2人くらいだろう。それならこれくらい賭けても多分大丈夫だろ。知らんけど。

 

「ああ、いいぜ。次は俺とやろうや」

「はい、よろしくお願いします」

 

そうして、俺は部員全員と対局した。

 

 

 

「デュフフ」

 

おっと。つい、キモい笑い声が出てしまった。俺は帰りながら、自分の学生証を見る。367880と書かれてある。30万以上もある。あの後俺はずっと掛け金5万で対局し、全勝した。

 

なんでも、高校で将棋の大会はないらしく、皆本気でやっているのは囲碁で、将棋はたまにしかやらない遊び程度のものらしい。でも、もしかしたら俺に負けたから、将棋ちゃんとやりだすかも。流石に明日とか明後日に行くつもりはないが、来月には行くつもりだ。

 

一応、鍛えとくか。まあ、多分必要ないと思うけど。

 

そう思って、将棋アプリをダウンロードし、俺は寮に帰った。




高校で将棋の大会がないってのは、現実で自分の学校がそんな感じなので合わせました。
晴秋の棋力はアマ四段くらいです。
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