5月に入って数日。俺は新たに行動を開始する。時刻は放課後。
俺はカラオケルームにとある生徒を呼び出している。
『話がある。これから俺が指定するカラオケルームに1人で来い。さもなくば貴様の過去をばらす』
いや〜、原作知識ってやっぱチートだなぁ〜。これは絶対来るしかないだろう。ハハッ。お、来た来た。
カラオケボックスの扉が開き中に入ってくるのは、———————Dクラスのアイドルだ。
「服部君、あれどう言う意味?てか、誰に聞いた」
普段とは比べ物にならない低い声で聞いてくる。
最初から裏の顔だな。
「そのままの意味だ。情報提供者は…言えないな〜。ハハッ、とりあえず座れよ。櫛田。」
そう、俺が呼び出した人物とは櫛田だ。
「そんなことどうでもいい。何が目的?バラしたらレイプされたって言いふらすから」
「ハッ、証拠がねえ上に冤罪だぞ、それ。」
俺がそう言うと、櫛田は近づいてくる。そして…原作で綾小路にやったみたいに俺に胸を触らせてきた。俺は綾小路と違うのでしっかり揉んで堪能する。当たり前だよなぁ?!
「大丈夫。これで嘘じゃなくなるから。というかあんた何」
胸を揉んでんのかって?そりゃ揉むだろ?でも悪いな。そこまで言わせるつもりはない。
「わざと俺に胸を触らせて服に指紋を付けようってか」
俺が喋って櫛田が喋る隙をなくす。そして…俺はポケットからスマホを取り出し、録音を停止する。さっき言葉を遮ったのは触らされた後は自分から揉んでいたってことを録音されたくなかったからだ。
「残念、録音済みだ。」
『服部君、あれどういう———————
———————わざと俺に胸を触らせて服に指紋を付けようってか』
「しっかり冤罪の証拠だ。ハハ、俺がお前の胸を堪能したのに、お前は損しかしてないな」
「この変態。チッ、最悪…なんなのよ、あんた」
「安心しろって。秘密をばらす気はねえよ。とりあえず座れ。今回はお前と契約を結びに来たんだ。」
「契約?」
座りながら櫛田が聞いてくる。俺は予め用意していた紙を出す。
『服部晴秋(以下これを甲とする)、櫛田桔梗(以下これを乙とする)
・甲は乙に月3万prを支払う。
・乙は甲にDクラスの情報及び手に入れた他クラスの情報を提供する
・情報内容によっては甲は乙に月の3万prとは別にprを支払う
・卒業までに甲は乙に2000万pr譲渡する』
内容はこんなもんだ。要するにスパイ。原作知識がある俺が何でスパイを作ろうとしたかって?
理由は2つ。
まず、原作改変した場合に情報の齟齬を埋めるため。
次に、これは櫛田だからこそなんだがこいつなら原作に載ってない情報も手に入る。例えば、こいつが固執している『他人の秘密』とか。
「金欠のDクラスのお前からしたら破格の条件だろ?ていうか、過去をバラされたくないならお前はこの契約を結ぶしかないぞ。早く書きな。」
「…分かった。でも2000万って何?あと一つ頼みたいことがある。」
「なんだ、知らなかったのか?2000万prでクラスを移籍出来るんだよ。つまり2000万prがあれば確定でAクラスで卒業出来るって訳だ。で、頼みたいことってのはなんだ?」
どうせ堀北の退学だろ?
「堀北鈴音を退学させてほしい」
「堀北か…いいぞ、やってやる。だから早く契約を結べ」
「絶対退学させてよ」
「分かったから、早よ書け」
やっと櫛田が契約にサインし、俺に紙を渡す。契約も終わったし、そろそろ俺の設定をバラすか。
「契約ありがとな。ところで………櫛田にお知らせがありま〜す!」
出来るだけ明るい声を心がけて喋る。
「まだなんかあるの」
「今度は櫛田にとっていいお知らせだぜ。なんと…俺は櫛田の過去なんて一切知りませ〜ん」
「は?何言っんの?」
「ガチガチ。櫛田ってDクラスじゃん。でもさ、櫛田って勉強も運動も結構出来るんでしょ?で、高円寺とか堀北と違って協調性もある。だから、何でDクラスに配属されたのかな〜って思ってさ。で、思いついたのが過去になんかやらかしたってこと。」
「は?何が言いたいの?」
「過去になんかやったってのは予想つくけどその内容までは分からない。まあ、かまかけたんだよ」
「はあ?ふざけんなよ、お前!」
やっと俺の言葉を理解したのか櫛田が激昂する。
「いや〜、上手く引っかかってくれてよかった〜。ついでに言えば、お前の過去なんて知らないってことがバレる前に早く契約結びたかったんだよね〜。だから、何回も契約を早く結ぶように急かしたのってそういうこと」
これでかなり説得力が出たはずだ。設定とそこからくる行動の解釈一致は重要だからな。
「クソッ、マジで何なのよ。あんた」
「ハハハ、でもな、櫛田がDクラスに配属されたってことは学校側はお前の過去を認知している。生徒のデータを閲覧する権利でも買えば、本当に秘密を知ることができる」
「チッ…」
「まあ、安心していいよ。俺が閲覧するより先に自分の過去を生徒が閲覧することを禁止する権利を買えばいい」
「そんなポイント持ってないわよ」
「俺が貸してやるよ。今はそんなにポイント持ってないから貯まってからになるけど」
多分閲覧禁止の権利くらいなら今130万prくらいあるし買えるだろうな。でも、それを今知らせるのは少しリスキーだ。スパイ契約でもっとprをせびられるかもしれない。既に契約は結んだものの、情報を渡すのはあっちだからな。
「今はDクラスって0clだけどいずれ脅威になるかもしれない。そんな時に誰よりも警戒すべきなのは櫛田だと、俺は思っている。櫛田を敵に回したくないんだ。だからこそ、櫛田をスパイに選んだし、俺はまだ櫛田の過去を閲覧してないし、櫛田に俺がこれからも過去を知らないでおける方法も示した。2000万譲渡するってのもお前を敵にしたくないっていう意思の表れだ」
唐突に櫛田上げをする。ご機嫌取って承認欲求を満たしつつ、好感度も上がる。
「へえ、そんなに私のこと評価してくれてるんだ、嬉しいな。しかもBクラスの参謀が」
あれ?闇櫛田じゃなくなった。
「もう知っていたのか?やっぱ優秀だな。ますます味方に欲しいし、敵に回したくないな」
「フフ、そっか」
「まあ、ということでちゃんと櫛田に信頼されるような行動をするから俺のことをちょっとずつでいいから信頼してくれると助かる。」
「…本当に私の過去を知らないんだよね?」
「知らない。俺はお前に嘘を付かない。約束する」
「さっき嘘ついたよね?」
「あー。…あれは契約前だからセーフな。」
「私から信頼されたいのに、契約前とか後とか関係ある?」
「契約前は敵なんだから信頼なんてされなくていいだろ」
「契約前だからこそ相手に信頼された方がいいんじゃない?それに敵からも信頼されるって大事な武器だと思うけど」
微妙に論点が違う気がする。まあ、いいか。
「…確かに。俺にはそんな考え方できなかったな。すごいな、櫛田は。素直に尊敬する」
もう一回櫛田上げしとこ。
「ありがと」
櫛田が微笑む。かわいいっ……!!
「あー、とりあえずこの5月のミッション伝えるな。」
「うん。てか、ミッションってw」
「そっちのがテンション上がるだろ?」
「そんなの男子だけでしょ。服部君もっと女の子のこと理解した方がいいよ」
「なら櫛田が教えてよ。女の子のこと」
「どうしよっかなぁ〜?」
なんか普通にあざとい。闇櫛田とか光櫛田とか関係なく。好きになっちゃう。いや、もう好きだ。
「まあ、それは置いといてだな。5月にやって欲しいことの1つ目は他クラスの人間を一度でいいから言うこと聞かせられるくらいの秘密を握って欲しい。特にAクラスの坂柳派の男子。これは5月とか関係なく永続的にやってほしい。2つ目はDクラスの皆が持っているprを把握してほしい」
「2つ目のやつはDクラスだけでいいの?」
「ああ、実は今回の中間テストでDクラスにアクションを起こす気でな。その為にどれくらいDにprがあるのかは知っときたい」
「何する気?」
「それはまだ教えられない。そのアクションを起こした時に素の反応をして欲しいからな」
「分かった」
「後、アクションを起こすのは中間の後だから、Dが持ってるprも出来るだけ中間に近い時の情報がいい。それ以外は普段通り過ごしてくれ、情報が手に入ったら連絡頼む」
俺はそこまで言うと櫛田に3万prを送った。
「もうくれるの?」
「言ったろ、信頼されたいって。とりあえず良い成果を期待してる。あ、それとだな。俺の合鍵渡しとくわ。直接話すときはカラオケルームか部屋のどっちかが良いからな」
「なら、私の合鍵も渡しといたほうがいい?」
「俺に合鍵を渡すのに抵抗はないのか?」
「信頼されたいから、どうせ何もする気はないんでしょ」
確かにそうだけど。よくそんな簡単に俺のこと信用できるな。それともキャラ的に合鍵を渡す行動を取らないといけないってことか?
…もしそうでも自分から言い出したのはなんでだ?櫛田のキャラ的に断らないってのは分かるけど、自分から言い出す必要は無いはずだが。
まあ、気にしても仕方ないか。
「そうだな。じゃあ、合鍵くれ」
「今は無いから今度渡すね」
「オッケー。後さ、」
「まだあるの?」
「これで最後だ。おまえの過去が関係してるのかは分からないが、櫛田って乱暴な面と人当たりがいい面で顔を使い分けてるよな。」
「だから何?それが悪いことだとでも言いたいの?」
まあ、俺自身としてはあんま好みじゃないな。でも、ここは櫛田に寄り添うムーブをする。
「いや、そんなつもりはない。むしろ、他人に好かれようと一生懸命な姿は尊敬する。たださ、ずっと続けてるとストレス溜まるだろ。だから、ストレス溜まったら俺に相談しろよ。好きなだけ愚痴聞いてやるから。ついでに言えば、ストレス発散に適したもんが俺の部屋に置いてあるんだよね」
「何が置いてあるのよ?」
「サンドバッグとグローブ。イラついた時に殴ればスッキリするんじゃない?」
「まあ、考えとく」
「おう」
こうして俺と櫛田のスパイ契約が無事に終わった。
櫛田とスパイ契約を結んで数日後。今日は週末。櫛田に仲介役を頼み、俺と外村と櫛田で電気屋に向かっている。
「今日は来てくれてありがとな、外村。後ごめんな櫛田と2人っきりじゃなくて」
「い、いや、気にしてないでござるよ」
そう言うが、分かりやすく外村はがっかりしている。ついでに、外村というのは原作で博士と呼ばれているオタクのことだ。
今日はこいつに少し教えてほしいことがあって櫛田にこの場のセッティングを頼んだ。俺たちが電気屋につき、早速外村に聞きたいことを聞く。
「外村。早速今日の本題に入りたいんだが、人に見つかりづらい超小型で長時間録画出来る電池式のカメラとか分かるか?そういう分野に詳しいって聞いたんだが、そこまでは流石に分からないか?」
「フッフッフ。舐めてもらっては困るぞ、服部殿。それがし、その分野も勿論分かるでござる。拙者に任せるでござる。」
「おお、マジか!助かった。」
数十分後
「いや〜いい買い物が出来たよ。外村。」
俺が今日買ったのは、さっき外村にリクエストした条件を全て満たした超小型カメラ2つとそのバッテリーで、約1万5000prくらいで済んだ。
「役に立てたのなら、何よりでござる」
「よかったね、服部君」
「ああ、櫛田もありがとな。仲介役を頼んで」
「気にしないでいいよ。」
「外村。これ今日の感謝だと思って受け取ってくれ」
そう言って俺は外村に2万prを送る。
「こんなにいいのでござるか?!」
「こんなにって…マジで金欠なんだな、Dクラス。」
「そうなんだよね〜。ホント、クラスポイント0とかもう来月とかどうやって暮らしていいか分からないよ」
「そうなったら櫛田には俺がpr貸してやるよ。外村は男だし…山菜定食も耐えられるだろ」
「ひどいでござる!?」
まあ、とりあえずこれで櫛田がprをある程度持っていても変じゃなくなったか。それにしても櫛田はこれを狙って言ったんだろうか。だとしたら逸材だな。
俺は3人で寮に帰る時にそんなことを考えていた。
本ヒロインは姫野です。ただ、本人はハーレムを狙ってます。叶うかは分かりませんが。
ついでにカメラは現実でそれくらいのやつが一つ5000円くらいで売ってあるのをAmazonで確認しました。
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